ラナは我に返った。
気が付くと見慣れた天井に心配そうにのぞきこむ智代、美奈、初音というメンバー勢揃
いであった。
「ラナ、気が付いた?」
智代が心配そうに尋ねる。
「・・私、どうしたのかしら・・?」
「今井さん、貴女、病院を抜け出したでしょう。そして天野商事の受付で倒れたのよ。
免許証から貴女の身元が分かって再びここに戻ってきたということなの。もう無茶は
しないで頂戴。どれくらいみんなに心配掛けたと思ってるの・・」
「まぁまぁ、編集長代理、お説教はその辺で・・」
美奈がとりなす。
初音はまだ言いたいことがあったようだが、口をつぐんでしまった。
ラナは独り言を言った。
「おかしいなぁ・・がんは切ってるのに、どうしてこんなことに・・」
一同の顔が曇る。
ラナのがんは手つかずで痛み止めなどの薬で症状を誤魔化していることを誰も切り出
せなかったのだ。
はっとラナは思い出したようにたずねた。
「和彦さんは?和彦さんから何か連絡は?」
初音が首を横に振る。
おかしい。私は確かに受付に「今井が来た」と伝えた。
それから意識を失ったはずだ。
だから和彦は「今井」という人物が来て、受付で倒れたことは知ってると思うんだけど・・
何かがおかしい。ラナは薄々だが気になり始めていたのだった。