第33章ー夜の病院と途切れたラインー

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 瑠奈との対峙でラナは疲れてしまった。
 自分ってこんなに疲れやすかったのかしら?と思いながらもベッドに身を横たえ、その日は寝入ってし
 まった。
 
 目が醒めたのは深夜だった。
 早い時間に眠ってしまったので、目がさえて眠気がなくなってしまった。
 そこでラナは病院の中を少し歩いてみようと思った。
 夜の病院と聞くと怖いイメージがあるが、ラナは幽霊やUFOといったオカルトの類を全く信じていなか
 ったので
平気だったのと、瑠奈と怒鳴りあったくらいで疲れてしまう自分に気が付いて少し歩くことで
 体力の慰めにしよう
と考えたのだ。
 
 夜の病院は静かだ。
 薄明りは灯っているが、ほとんど音のない世界。
 へぇ、こんなだったんだ・・
 と思いつつラナは病院を階下へと移動して1回の総合受付の前に来ていた。
 そこでコーヒーを買うと待合室の椅子に座った。
 そして今日あったことを頭の中で整理した。
 明日、和彦に電話してみよう。そして事がどうなってるのかを確かめるのだ。
 和彦なら事実を話してくれるだろうという期待がラナにはあった。
 
 コーヒーを飲み終えてエレベーターで部屋に戻ろうかとも思ったが、もう少し夜の雰囲気を味わいたくて
 階段を上っていくことにした。
 S病院は3階までが診療を行う医局があって4階からが病棟になっている。
 5階まで来た時だった。
 やけに騒がしい。
 そっとそちらに行ってみるとどうやら入院患者の容体が急変したようで医師や看護師が部屋になだれ込
 んでい
ったかと思うとしばらくしてベッドをガラガラと大きな音を立てて滑らせていった。
 患者の様子は陰になってよく見えなかった。
 ラナは変なもの見たわ・・と思った。
 まさか自分があんな風になるなんてことはないわよね・・
 と思いながら少し気が重くなって部屋に帰った。
 
 翌日、和彦は面会に来なかった。
 夜、面会時間を過ぎても来なかったので、ラナは公衆電話から和彦のプライベートの携帯番号に電話を
 してみた。
 コールはするが誰も出なかった・・

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