「・・・・」
ラナは一気に話して、少し疲れたようだった。
ベッドに体を寝かせると、いった。
「編集長代理、私の恋愛はなんだったんでしょうね。あの時、あの人が私を守ってくれた、そしてあの人の雰囲気が私はたまらなく
好きだったのに、私はあの人の一番にはなれなかったのですね・・」
「今井さん、貴女には酷な言い方かもしれないけど、単純に「縁がなかった」とは考えられないの?一人に固執していたら見えるも
のも見えなくなるわよ」
「・・分かっています、分かってるんです、頭では・・でも、どうしてもあの人を振り切れない。あの人の温かみにもう一度触れた
い・・」
そういうとラナはしくしくと泣き始めた。
はぁ、とため息をついて初音は言った。
「・・・無理させたわね・・ごめんなさい。でも、私は部下としてではなく、一人の人間として貴女には生きて幸せな人生を送ってほ
しい。それが私の想い、願いよ。」
「・・すみません・・でもやっぱり、あの人のいないこの世界にはもう・・」
「そう・・よほど好きなのね。その人のこと。」
初音は立ち上がった。
「でも、私、あきらめないわよ。貴女を説得できそうな人は片っ端から連れてくるわ。それで貴女が死を翻意してくれたらこれ以上の
ことはないですからね。」
「私を説得できる人なんて、もう誰も・・」
「いない、なんて言わせないわ。」強い口調で初音が言う。
そのとき、看護師がやってきた。
「あら?今井さん、お客さんですか?すみません、もう面会時間が・・」
「あら、もうそんな時間ですか?すみません、長居をしてしまいました。」
そういうと初音は自分の名刺入れから名刺を取り出して看護師に渡した。
「私、今井の上司の佐野と申します。何かあったらこちらに連絡ください。」
はい、と看護師は言い、初音は礼を言って病室を後にした。
「・・・!」
初音からの電話を聞いて智代の目から涙があふれた。
ラナが体調不良で入院したとは聞いていたが、がんだったなんて・・
しかもラナは生きることに絶望してるとも聞かされた。
理由はプライベートなことだから・・と初音は教えてくれなかった。
とにかく、ラナと話あおう。
翌日、初音に教えて貰ったラナの入院先に智代は出かけた。