「貴方が、好きです・・」
ラナは勢いとはいえ男の人に初めて「告白」というものをしてしまった。
「・・・」
和彦は黙っていたがその顔には驚きの表情が出ていた。
「・・」
和彦が何か口を開こうとした時、騒ぎを聞いたサークルメンバーがやってきた。
そのどさくさでラナは和彦の返事を聞きそびれてしまった。
ラナは、和彦の携帯電話にかけてみたが、留守電しか相手してくれなかった。
「はぁ、限りなくダメっぽいわね・・」
自嘲しながらそれでも返事がないということはひょっとしたら・・という淡い思いをもちつつ悶々とした日々が1週間ほど続いた。
1週間ほどしたある日、ラナの家の郵便受けに封筒が入っていた。
和彦からだった。
中身はやっぱりごめんなさい、というものだった。
和彦はラナにはきっと自分よりいい人が現れると言ってくれたが身を呈して自分を守ってくれた和彦をラナは諦められなかった。
ラナは和彦のメールアドレスを知っていたのでメールを送った。
意外なことに返事が来た。
ごく普通の何気ないメールだったが、嬉しかった。
そんなやり取りがしばらく続いたが、ある日、メールが返ってきた。
あて先不明だった。
和彦はメールアドレスを変えたらしい。
風の噂では和彦は仕事環境が変わったと聞いた。
電話をかけたがやっぱり出なかった。
ラナはそれでも正月と暑中のハガキは和彦の実家に送っていた。
自分のメールアドレスを添えて・・
しかし、それもラナの一方通行だった。和彦からは返事が全く来なくなった。
ラナは身を呈して自分を守ってくれた和彦が自分の世界から消えるということが納得できなかった。
その小さな傷は少しずつ大きくなり、ラナを蝕み、ラナは恋愛に絶望し、人を愛することに絶望し、そんな人生に絶望し、死に魅せられるようになった・・・