2021年8月の観察日記

8月1日 7月24日、所用で福井県に出かけた。
その時、アメイロケアリの女王を採集した。
それを踏まえて翌25日、枚岡公園でケアリの繭を大量に採集することが出来た。
馴染むかどうか不安だったが、どうもうまく行き始めたようなので今日から公開していく。

今一つの写真になった。

動き回るが、実は栄養交換は見たことが無い。

ケアリの繭。どんぶり勘定で300〜400くらいありそう。
8月2日 アメイロケアリの導入について行った手法について書いて行きたい。

まず、ケアリの繭を採集した直後、羽化したての働きアリ以外の成熟したケアリの働きアリは(気の毒だが)間引いた。
そして、羽化直後の働きアリと繭だけの状態にした。
暫くして、見てみると教科書通りアメイロケアリの女王が白い働きアリを咥えていた(その働きアリを噛み潰したかは見ていない)。
それから、暫くは女王と働きアリとに微妙に距離感があった感じはしたが、最近ようやくケアリの働きアリが女王の周りに纏わりつき始め、女王も働きアリの塊の奥に身を隠せるほどになって来た。
餌は昆虫ゼリーだと余計な水分が出てカビが広がる(繭の殻とかを培地にして)可能性があるのでメイプル。
水分補給は濡れたティッシュを毎日交換。
メイプルは朝と夕方に交換と言う破格待遇。
これで今のところうまく行っている。
クサアリモドキ(ヒラアシクサアリ)も同様だが、こちらは若干成熟した働きアリは残してもクサアリの女王が上手く攻撃を耐え忍んでいるうちに馴染んでいるパターンが多いように思う。
その点、アメイロケアリはケアリの攻撃に弱い印象。
だから気を遣う。
8月3日 ヨツボシオオアリの卵を写そうとしたが・・・

プラスチックケース内に入れたチューブに卵を置いているのでどうしても光加減がうまく行かずボケた写真になってしまった。
まだ、産卵は継続中の模様。 
8月4日  6月に大阪城で採集したクロヤマアリ。

羽根が付いたままの女王アリ。
未交尾かと思って諦めていた。

しかし、産卵して幼虫が育ってきている。
同時期に採集した他のコロニーでは働きアリが羽化しているので遅まきながらではあるがこまめな給餌が効いたのだろうか、ここまで育った。
8月5日 暑い日だった。大阪では38℃台まで気温が上がったらしい。
常温飼育で、氷枕を置いていないアリたちのコロニーで幾つか狂走の気配を見せているものがあった。
すぐにエアコンを入れて、メイプルを飲ませて落ち着かせた。
この日記のごく初期の頃の苦闘の様子を見て頂ければお分かりかと思うが、最初の頃夏の暑さがここまで有害だとは思えなかった。
毎年、夏に(当時メインで飼育していた)クロヤマアリの働きアリが大量死する原因が分からなかった。
原因に当たりがついたのは2004年の夏だった。
アシナガアリが暑さで壊滅した。
その時、異様に走り回っていてそれで暑さの危険性に気が付いた。 
8月6日 取り上げやすい「宝の山」。

アメイロケアリ用に採集してきたケアリの蛹。
これが今、一番見ていてホットなものになっている。
8月7日  アメイロケアリの女王アリを写してみた。

女王アリ。まだ腹部は肥大化していないし、産卵もしていない。

もう1枚。
ケアリからも女王と認識されているようで、働きアリが纏わりついている。 
8月8日  アメイロアリの引っ越しを行った。
アメイロケアリが馴染んでケアリの働きアリも羽化してきて石膏巣に移しても良いと判断した。

巣部屋に接続してすぐに引っ越しを始めた。

石膏巣に移ったケアリと繭。
女王も問題なく引っ越ししてくれた。
4時間ほどして引っ越しは完了した。
8月9日 キイロシリアゲアリ。

オスアリ。わらわらいて「映える」ので写真のネタ的に良く登場させている。

女王アリの頭胸部。

働きアリと幼虫。
昨年は粉末肉餌が良くなかったのかオスアリを全く生産しなかったが今年はミールワームに変えたのが良かったのかオスがわんさか羽化している状態だ。 
8月10日 7月に箕面で採集したケアリ。

繭まで成長した。
恒温機で飼育しているので常温飼育より繭まで時間がかかった気がする。 
8月11日 毎年、この時期特有の悩みがある。
氷枕や恒温機を使うと結露が発生して、撮影が難しくなるのだ。
見ていて面白いのだが撮影に関しては苦労する季節なのだ。
8月12日  クロオオアリ。

今年、激増という訳ではないが、増えた。
見ていても安定感が出てきた。
8月13日  アメイロケアリの産卵を確認した。
見たところ、20個もない数だが、一安心。
そのアメイロケアリのホストであるケアリがまた脱走。
10匹ほどで、脱走箇所もすぐ特定。
事なきを得た。
8月14日  アメイロケアリは産卵が始まってから肉餌をすごく食べ始めた。
産卵前は肉餌ではなく、蜜餌を好んでいたが・・・

働きアリがこんな感じで猛烈にミールワームを食べる。
このタンパク質が女王に行くのだろう。
女王と卵は結露と壁面にあって撮影できなかったので、撮影出来たら公開したい。
8月15日 秋雨模様でハヤシクロヤマアリもゼリーの食いが落ちてきている。

ゼリーに群がっているが、食べ切れないようになってきた。
7月18日に活況の様子を上げたが、あの時と比べると明らかにゼリーの食いが落ちている。
秋雨はしばらく続くとか。
このまま、シーズン終了かなぁ。
8月16日  撮影しやすいヨツボシオオアリだ。

働きアリ。順調だ。

女王アリ。腹部が小さいが産卵は継続中。

大型働きアリ。
今年は順調に増えてくれた。
8月17日 アシナガアリの幼虫を写してみた。

アシナガアリの幼虫はケアリやヤマアリ、オオアリとは違った形態をしていて見ていて楽しい。
8月18日 今年の夏は雨模様の日が多く、気温も少し低め。
ハヤシクロヤマアリもゼリーの食いが落ちる時期が早めだ。
例年、貪るようにゼリーを食べる時期がもう少し長く楽しめていたので少し拍子抜け。お天気には勝てないし、餌を食べるか食べないかはアリたち次第なのでこちらがとやかく言う筋合いなど全くないが、少し寂しい気もした。 
8月19日  今年、肉餌はミールワームで統一していた。
シーズン最初の数日、粉末餌を与えたが食いつきの悪さに首を傾げ、たまたま思いついたミールワームに食いつく様子を見て今年はこれで行こう、と思った。
少なくともヨツボシオオアリには大変良かったようで昨年はコロニーサイズが全く成長しなかったのに今年は着実な増加を見せてくれた。
爆殖と言うほどではないが、プラスチックケースにチューブを入れた簡易の飼育環境再現容器も良かったのだろう。
奥深い世界だ。
8月20日  7月に箕面で採集したケアリに働きアリが誕生している。

羽化して間もないようで色が淡い。

卵を咥える働きアリ。
ちなみに、上の画像とは別の個体。

少し色の濃い個体。
それでも、まだ淡い感じがする。
羽化後1日経つか経たないかと言う辺りだろうか。
8月21日  アメイロケアリは動かなくなった。
これは悪い意味ではなく、「安定した」と言う意味だ。
飼育容器の一か所に陣取り、そこから動かずケアリに纏わりつかれている。
こうなると多少の刺激でもびくともしない。
安定感が出てきて良い感じだ。 
8月22日 クサアリモドキ(ヒラアシクサアリ)にした。

働きアリ。蛹も見える。

女王。
元気である。
昨夏、乾燥気味にしてコロニーの勢いが弱ってしまった。
今年、こまめに世話をして持ち直してきたが、わさわさと言う感じにはまだほど遠い。
8月23日 今年の夏は、今まで数日氷枕を使っただけだ。
他は曇りや雨が多く常温で飼育が出来ている。
この週末からまた晴れが戻り、気温が上がるそうだ。
やはり、まだあと1か月ほどいつでも使えるようにしておかなくてはならない。 
8月24日  久々にシリアゲアリにした。

特に問題はない。

女王アリも健在。
それほど増えなかったが、案外これくらいが適正な数なのかもしれない。 
8月25日 気温が上がる予報なので恒温機と氷枕を再開。
狂走の気配はなく、安定している。
今年の夏は変だ。
盛夏の時期に暑くなく、今頃になって暑くなる。
管理もそうだが、撮影の視点でも結露ばかりで写真が・・・ 
8月26日  アメイロケアリの女王は腹部が少し膨らんで撮影して面白いと思ったので撮影を試みた。
・・・結露のせいでまともな写真が全く撮れず、投げ出してしまった。
取りあえず、産卵は続いていて、少し腹部が大きくなったことを文字だけで味気ないがご報告させていただきたい。 
8月27日 アメイロケアリの卵を撮影してみた。

上手く撮影できていないが、卵塊があることはお分かりいただけると思う。
こんな感じの卵塊が複数ある。
少しずつ卵が増えている感じだ。
8月28日  箕面に夜間観察に出かけた。
日没後、すぐに時期を外したと思った。
灯りにアリがいないのだ。
気温や湿度も問題ないと思ったが、全体的に虫の数自体が少ない。
いつもこの年に見られるケアリの羽アリは皆無。
キイロシリアゲアリは最近飛んだと思われる死骸が自販機の隙間に挟まっていたが生きているものも皆無。
全く駄目か・・と思い、トボトボと道を歩いているとようやく目の前にアギトアリが1匹現れた。

撮影しにくい角度にいて、走り回るのでまともな画像がこれだけ。
メスアリはオスアリより走り回るように動くので今回のように撮影しにくい角度に入ると撮影が難しい。

暫く歩いて、自販機にオスが1匹いた。
オスは自販機に止まっているのを見かけることが多い気がする。
今日の収穫はこれだけ。
採集は一切行わず撮影のみ行った。
何だか寂しい結果だ。
8月29日  7月に採集したアシナガアリの蛹。

温度管理をうまくしていたら、安定してここまで来れる感じの種だ。 

色づいた蛹の顔。羽化までもうすぐだ。
8月30日 7月に採集したケアリの日常。

ミールワームの欠片を咥えている。
こういう何気ない日常が良い。
8月31日 7月に採集したアシナガアリで働きアリが羽化した。

この虚弱な感じが何とも愛らしい。 

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