2021年6月の観察日記

6月1日 一昨日、採集したクロヤマアリの働きアリが1匹死んでいた。
早すぎる気もするが湿らせたティッシュの上に腹部のみを置いて空気が籠らないようにして設置。
理想は1個体1箱なのだが、容量的に間に合うだろうか。
これで様子を見て行きたい。
と言うか、今月中にこういうプラスチックカップがどれほど増えるのだろう・・・
6月2日 クロヤマアリのオスアリの蛹。

果たして羽化まで漕ぎつけられるだろうか。
6月3日 ハヤシクロヤマアリのオスアリだが、残念ながらすべて働きアリに殺されてしまった。
何がきっかけでそういう事態になったのか良く分からない。
餌はふんだんに与えていたはずだし、羽化して暫くは働きアリも親和的だった。
それなのに、今日には全て殺されてゴミ捨て場に死骸を晒すことになってしまった。
羽化したオスアリが空を飛ぶことは無いが、標本用に1匹は餌場には出てきて準備運動・・と言う事には持って行きたかった。
残念だ。 
6月4日 クロヤマアリのオスの撮影に再挑戦。

うーん、この飼育容器はどうも撮影が難しいのかも、と思い始めた。
6月5日  淀川にトビシワの観察に行った。

写真はこれだけ。
生きているメスアリを1匹見たが撮影準備している間にどこかに消えてしまった。
昨日、激しく雨が降ったので今朝飛んだ個体の死骸と思う。
オスアリは見かけなかった。
大阪城のクロヤマアリも見てみたが、予想以上に気温が低くアリも寄生バチもいなかったので早々に撤収した。 
6月6日  大阪城にクロヤマアリの寄生バチの観察に出かけた。
到着してすぐにアリを集めた。
そのうち2か所で寄生バチがやって来た。
2か所だが、来ていたハチは恐らく同一個体。
ホバリングをして、たまにアリに産卵する。
そんなアリを採集して帰宅。
採集したアリは10匹もいなかった。
昨年に比べるとハチが少ないように思う。
観察時間の最後に一瞬ハチが2匹になった時間もあったが、何だか気になる。 
6月7日 先週日曜日にハチに寄生されたクロヤマアリが残り1匹を除いて瀕死だ。
体を丸めてぴくぴく痙攣している。
今朝はそんな症状のアリはいなかったし、容器内が特段乾燥していたわけでもなさそうだ。
これには見覚えがある。
昨年、寄生されたアリを解剖したとき、育った幼虫が入っていたアリはこんな動きをしたのだ。
ひょっとしたら、体内でハチの幼虫がほぼ育って生命維持に大切な所を食べたからではないだろうか。
そう思い、腹部のみを切り取り、濡れたティッシュに1個体ずつ1箱の透明プラスチックケースに収容。
明日から、この腹部が乗ったティッシュに朝夕給水するという作業になる。
羽化、してくれるだろうか。 
6月8日 ハヤシクロヤマアリコロニーの餌場にメイプルを少し溜まりが出来るほどアルミカップの中に入れてみる。
しかし、12時間もせずに蜜は飲み干されてしまう。
今、一番活気のあるコロニーはまさにこれ。
オスがいなくなったのは残念だった。
オスアリ、一匹で良いから標本にしたかった・・・ 
6月9日  これは、昨年から飼育しているクサアリモドキ・・・ではなく、その前から飼育しているもう1つのクサアリモドキだ。

働きアリが減って、正直諦めかけていたがこまめな給餌をすることで幼虫が育ち始めた。
ホストのケアリはもういないが幼虫の色つやが良いと言う事は見ていて励みになる。 
6月10日 ぐおっ!
クロヤマアリのオスが羽化しているではないか!
撮影は今日出来なかったので、明日以降のお楽しみにしよう。
とうとう、大阪城クロヤマアリの働きアリ、オスアリ、メスアリの標本が手に入った! 
6月11日  大阪城にクロヤマアリの寄生バチ観察に出かけた。
しかし、アリを集めても一向にハチが来ない。
時期や気象条件は問題ないと思うのだが、何が悪いのだろうか。

肉に集まったクロヤマアリ。

その2。

その3。

ハチに関しては少し範囲を広げてアリを集めたが、ハチを見ることは無かった。
ハチがいなかったのは単なる偶然だと信じたい。
しかし、まるっきりボーズと言う訳でもなかった。
ハチが来るのを待っている間、トビイロケアリと思われるケアリの脱翅女王を1匹、別の場所でクロヤマアリの有翅女王を2匹採集した。 
さて、クロヤマアリはどうなるだろうか・・
6月12日 大阪城にクロヤマアリとその寄生バチの観察に出かけた。

到着してすぐにクロヤマアリを集めた。
数か所で集めて暫くして、ハチが来たではないか!
2か所で2匹ほど産卵されたクロヤマアリを採集。
その後少し離れた場所で集まっているクロヤマアリを見ていると、やけに「やる気がある」ハチがいた。
見ていると、次々に卵を産んでいく。
無駄なホバリングが少なく、集まっているアリに2、3秒止まって産卵している。
私はそれを見てアリを採集していた。
結果、産卵されたクロヤマアリは20匹近くに達した。
実は、今日は昨日天気が良くてもハチが全くいなかったので撮影機材を所持していなかった。
そのため、産卵活動は一切撮影できていない。
採集に専念できたから、手元に寄生されたクロヤマアリが多く集まったので撮影を兼ねていたらこれよりも少なくなっただろう。
しかし・・・撮影もしたかった。
その後、公園内でクロヤマアリの有翅メスを採集。
撮影面では収穫皆無だったが採集面ではそれなりに良かったので、良しとしよう。 
6月13日  昨日、撮影が全くできなかったので撮影機材を持って出かけた。

肉片に集まったキイロシリアゲアリ。
クロヤマアリ用に置いた肉片に集まった。
勿論、ここまで集まるとクロヤマアリは手出しができない。

肉餌に来たクロヤマアリ。
今日はそれほど活性が高くないようだった。

トビシワ。
ストロボなしだとこれが限界みたい(持って行っていたが、ふとレンズだけだとどこまで行けるんだろうと思って撮影した)。

これは・・・触角先端に羽毛状の毛があるように見える。
果たして正体は・・?私には分からない。
一瞬、クロヤマアリの寄生バチにも思えたが・・?

一瞬現れたElasmosomaと思われるハチ。
クロヤマアリの周囲を一瞬ホバリングしたが、すぐどこかに消えてしまった。
結局、今日は産卵行動はおろかハチの姿自体見ることが少なかった。
そして、改めてストロボのありがたみを思い知った(マクロレンズのみでやってみたが、感度を最高値に上げて荒い画像にしてもこのレベルだった)。
6月14日 昨日、観察を行っていた際に見たクロヤマアリの何気ない動画
取り立てて変わった点は無い。
動画のテストを兼ねている。
ダンゴムシかワラジムシの死骸を運んでいる。 
6月15日  一昨日、大阪城で撮影したキイロシリアゲアリの動画
手振れがしていて、自分で見ていても何だか・・・
しかし、アリに接写出来て動いているのを上げているのは少し楽しい。
動画撮影は一眼のカメラで行った。
三脚のような機材があれば安定するのだが・・・
6月16日 羽化したクロヤマアリのオス。

オスは初めて。
女王が死んで働きアリが産んだ卵から成長したと思われる。
うーん、やったと言う感じがする。
6月17日  ミールワームの肉餌はやはり粉末餌より受けが良い。
コストもコオロギやハニーワームより低い。
最終的に元に戻ってきたと言う感じかな・・・・
6月18日  個体数が一番多いハヤシクロヤマアリだが、死骸や繭の殻が発生している。
それらは餌場に放置されているのだが、面白いことに気が付いた。
ミールワームの欠片をアルミホイルカップに入れて与えているが、古いカップにゴミをどんどん入れていて一杯になる。
それを見計らって、カップごとゴミ箱へ。
アリと人間で共同でゴミを処分している態勢になっている。 
6月19日 先週末に採集したクロヤマアリの卵。

昆虫ゼリーを与えて給餌状態にして餌不足による食卵を防いでいるが、これでも安心できないのが「小型」クロヤマアリだ。
さて、どうなるやら・・ 
6月20日 大阪城でクロヤマアリと寄生バチの観察に出かけた。
しかし、寄生バチは姿を見せなかった(一瞬、それらしきものは見たがアリに寄ってこなかったので本当にアリの寄生バチなのかは分からない)
そんなわけで、クロヤマアリの撮影をしてみた。

1枚目。草が写りこんでしまった。

身繕いをしていた。

巣口にいた個体。

肉塊に来た。

もう1枚、肉塊に来たもの。

コガネムシの死骸を運んでいた。

別の所で肉塊に来たもの。暫くして完全にバラされてしまった。
寄生バチがいれば、間違いなく寄ってくると思われた状況を作ったが肝心のハチが来ないことには採集も撮影もできない。
それでクロヤマアリの働きアリ尽くしになった。

その後、別の場所でクロヤマアリの有翅メスを1匹採集した。
状況的に羽根を落としてもおかしくないが、どうだろうか。
クロヤマアリの通り道から離れていない所を歩いていたが、このパターンでも羽根を落とすことは珍しくないので、様子見。
6月21日 昨日、紹介し忘れていたトビイロシワアリ。

肉塊に来た働きアリ。

働きアリの顔が写った。
顔をアップにすると、普段とは違った感じがする。 
6月22日 クロヤマアリの働きアリとオスアリの栄養交換を写した。

オスアリとの栄養交換。

働きアリの顔をアップにした。
6月23日 昨日、職場近くでアメイロケアリの飛行があったようでメスアリが飛んでいた。
触角を見た所、毛が見当たらないので普通のアメイロケっぽい。
この辺、顕微鏡を見なきゃなのだがケアリの繭、今年は用意できそうにない。
取りあえず、週末枚岡でそういう朽木を探しては見るが、あるかなぁ・・・
写真はストロボが電池切れと言うお粗末な結果だったのでまた後日・・・
6月24日  大阪城のクロヤマアリ。この個体だけ羽を落とさない。

未交尾なのだろうか・・?焦点がぼやけて微妙な写真になってしまった。
6月25日  箕面公園にアリの偵察に出かけたが、アリはおろかアリの痕跡すら見当たらなかった。
ほんの少しだけ早いのだろう。
もう2週間もすれば夜に行けば明りにわらわらと・・・!
アメイロケアリ類が希望だけど、手持ちにホストケアリの繭が無いんだなぁ・・・
繭沢山の「宝の朽木」を見つけたら、状況は一気に好転するのだろうけど・・
6月26日 大阪城で採集した寄生バチに寄生されたクロヤマアリが死んだので解剖してみたら、これが出た。

うーん、成長してる。
まだ成長は完了していないが、これを濡れティッシュ上に置いて観察してみることにした。
6月27日 残念なお知らせ。
昨日、取り出したハチの幼虫だがあっさりと死んでしまったようだ。
拡大すると、黄色く小さくしぼんでいて数匹のコナダニがいた。
ティッシュを交換して再度置いたが厳しいかもしれない・・・
何だか生きている感じがしない・・・ 
6月28日 クロヤマアリの寄生バチはやっぱり難しい。
幼虫を出すところまでは行くのだがその後が・・・
流石難易度が高いだけのことはあると思う。 
6月29日  アメイロケアリはホストがいないがゼリー給餌を続けている。
枚岡の朽木の幼虫が繭になる頃まで待ってくれることを期待している。
この辺りではアメイロケアリはケアリが繭になるかならないかと言う辺りで第1陣が飛行する。
この時期の繭はオスも多く、ロスも大きい。
7月半ばになれば働きアリの繭ばかりになるのだが、果たしてそれまで待ってくれるか・・・
日曜日、朽木を崩して繭が見つからなかったのはショックだった。 
6月30日 大阪城で採集した羽付きのクロヤマアリが産卵を始めた。
そんな時、女王が死んだクロヤマアリコロニーで羽がもがれたオスアリ(まだ元気な状態のもの)が餌場に出てきた。
吸い取って、羽根つきの女王と同居させてみた。
夜に見てみても女王は羽を落としていない。
交尾したのだろうか?
容器に入れてすぐの頃は女王が羽を震わせていたのだが・・・
仕事の間に交尾したかどうかは不透明なまま、今はお互いに知らんぷり。
うまく行っているのだろうか・・?

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