2019年8月の観察日記
8月1日 | 先月、採集したアシナガアリにした。 女王。いつ見ても可愛いフォルムだ。 産卵も順調。 アシナガアリは真夏の高温の時期に恒温機で冷やしてやれば働きアリ生産は簡単な方ではないかと思う。 あまり神経質ではないし。 ただ、温度管理がねぇ・・ |
8月2日 | クサアリモドキで産卵を確認。 まだ10個ほどで上手く撮影できなかったがとりあえず最初に一山は越えた。 容器の蓋部分の結露って撮影するときは鬱陶しいね・・ |
8月3日 | 暑い時期。 長野のハヤシクロヤマアリは今年から恒温機容量の関係で常温飼育になったが今のところ元気。 むしろ、餌の食いが凄い。 何気に今、一番活気があるかもしれない。 エアコンを稼働させたので、巣内湿度が高くなってきたためだろうか。繭を餌場に出し始めた。 全部ではないが、多くの繭が餌場に出されている。 |
8月4日 | クサアリモドキ(以前から飼育しているもの)は女王が死んだとしか言えない状態。 働きアリは少しずつ減り、幼若個体が全くいない。 女王アリの死骸を確認してはいないがどう見てもダメとしか言いようがない。 うーん、このパターンは初めてかもしれない。 |
8月5日 | アリの増え方について考えたい。 ある数を超えると急に増えるということはずっと前から指摘されていた。 3日に取り上げたハヤシクロヤマアリにせよ、一昨年大阪城で採集したクロヤマアリにせよ、まさにそれを体現している。 大阪城のクロヤマアリはまだもう少し働きアリが増えないと・・と言う段階だがそれに近い。 他の種でも大体そういう感じがある。 最初はちょびちょびしか増えないのに、あるあたりから急に増え始める。 これ、どういうメカニズムなんだろうか。 |
8月6日 | 6月に採集した寄生バチが入っていると思われるクロヤマアリ達には変化が無い。 ちょくちょく死ぬ個体はいてそれを保存しているのだが何も出てこない。 採集するとき、健康な(未寄生の)働きアリも採集していると思われるのだが寄生バチを宿していると思われる個体もいるはず。 どれくらいで羽化するんだろうか。 長期戦も覚悟しなきゃ、ね。 |
8月7日 | 6月に大阪城で採集したクロヤマアリに働きアリ4匹目が誕生。 この後は卵ばかりなので、暫く羽化はなさそう。 しかし、今回のこの事例は私の中での「小型女王は子育てが苦手」と言う仮説に疑問符を投げかけるものだ。 確かに、働きアリの生産数は「大型女王」に比べて少なめ。しかし、この女王はちゃんと子育てをした。 しかし、この数でコロニーとして成り立つのだろうか。 でも、よく考えたらヨツボシオオアリも現在働きアリ5匹。 野外での初期コロニーの挙動って実際どうなんだろう。 初期コロニーってあまり見かけることが無いので、ふとそんなことを考えた。 見かけるのは大抵大きなコロニーの働きアリばかりなので、初期コロニーのおどおどしていると思われる働きアリの行動を見てみたいと思った。 |
8月8日 | クサアリモドキは少しずつ卵が増えている。 ケアリの数がそれほど用意できなかったので(大体100くらい)、腹部の肥大化や産卵ペースもゆっくりな気がする。 本当はケアリが沢山の状態で一気にロケットスタートにしたかったが、用意できなかったものは致し方ない。 |
8月9日 | ヨツボシオオアリの女王アリ。 ビニールチューブ(片側を給水用のティッシュで塞いだもの)に籠った。 この幅がお気に入りのようで、最近はこの中で産卵や子育てをするようになった。 ヨツボシオオアリが順調なのは初めてで嬉しい。 |
8月10日 | 先月採集したアシナガアリにした。 腹部が大きい。 見たところ、まだ孵化していないように見えるが・・? |
8月11日 | 先月、枚岡で採集したケアリコロニー。 どうなったかと言うと・・ 働きアリが羽化している。 ケアリのこの安定感は凄いと思う。 私個人はこの新女王からのコロニー立ち上げの時期が一番面白いと思っている。 |
8月12日 | 昨日、取り上げたケアリを見て思ったこと。 2011年頃、ケアリ女王を複数採集してコロニー立ち上げを考えた。 どのコロニーも比較的順調に働きアリ誕生に至ったと記憶している。 しかし、女王が突然死するという現象でぽつぽつと脱落していき、安定した状態になるまでに至った女王は1匹だけだった。 そのコロニーも、昨年女王が死んでしまった。 少なくとも7年生きたことになる。 わが家のチクシトゲアリのことを考えると(種が異なるので比較できないとは思うが)少し短い気がする。 そこで、リベンジの意味も込めて多少多めに女王を採集した。 どれくらい生き残ってくれるだろう。 と言うより、新女王の突然死の理由って何だろうか・・ |
8月13日 | 一昨年、大阪城で採集したクロヤマアリのコロニー。 急に元気が出てきた。 巣部屋内は結露で見づらいが元気。 ただ、幼若個体があまり見られなくなってきた。 もう、今年の生産は終いになってしまっているのだろうか? |
8月14日 | 一昨年に採集したアシナガアリ。 昨年採集したアシナガアリの新女王は死んでしまったが、こちらは元気で生存中。 女王はチューブの陰に隠れてしまって撮影できなかった。 |
8月15日 | 先月、枚岡で採集したシリアゲアリ。 卵と孵化した幼虫が見える。 女王の頭胸部をアップ。 |
8月16日 | アメイロケアリがやけに餌場を歩いている。 巣内を見てみると・・・ おおぅ・・・ いつ見ても、この光景は精神衛生上よろしくない。 周囲の働きアリが女王の亡骸を囲んで女王の反応を見ているようだ。 しかし、女王からの反応はない。 こんな状態が少し続いて最終的に体がばらされてしまう。 3年前に採集したものだったが・・ 合掌。 |
8月17日 | クサアリモドキの卵が少しずつ増えてきている。 果たして、今年中に働きアリが羽化するのだろうか。 時期的に微妙だが今年がダメでも来年には働きアリが見られるだろう。 昼は氷枕、夜はエアコンの都合で中々クリアな画像が撮影できないが女王は元気である。 |
8月18日 | ヨツボシオオアリにした。安定している。 女王。ゼリーを食べているのだろう、腹部が大きめ。 働きアリ。 腹部の模様が特徴的。 ゼリーとコオロギで今のところうまく行っている。 |
8月19日 | キイロシリアゲアリコロニーでは、オスが羽化している。 これでも、オス全体の半分ほど。 女王の間引きもなく元気。 |
8月20日 | 先月採集したケアリの女王アリ。 ゼリーを与えているので腹部がやや大きい。 滅茶苦茶膨らんでいるわけではないが栄養満点感がある。 |
8月21日 | 7月に枚岡で採集したトビシワ。 これまたあっさりと働きアリの羽化に漕ぎつけた。 女王の動きに特に異常もないのでうまく行きそう。 淀川の女王は何かと怪我を負っている個体が多かったのでそれが生存率低下につながっていたのかもしれない。 |
8月22日 | 6月に大阪城で採集したムネボソアリにしてみた。 働きアリが3匹生まれた。 ムネボソは増え方がゆっくりなので落ち着いて見ていられる気がする。 |
8月23日 | 蟻研初日。 富士急ハイランドのバス停に着いたとき、雨が降っていた。 どうしようと思っていたら知り合いの方に会うことが出来、私を含めて3人で会場の施設までタクシーで行くことが出来た。 夕方からバーベキューだったので、雨だと嫌だなぁと思っていたが夕方には雨が止んだ。 無事、バーベキューも楽しめたし、夜の部の語らいも楽しむことが出来た。 こうして蟻研初日があっという間に過ぎて行った。 |
8月24日 | 蟻研2日目。 研究発表があって、その後自由時間にアリ観察組とお土産購入組に分かれた。 私は職場へのお土産の関係でお土産組に行った。 アリ観察組はツヤクシケアリやヤマクロヤマアリに遭遇できたらしい。 夕食後、親睦会での自己紹介。 私はちゃんと喋れていただろうか・・? |
8月25日 | あっという間に蟻研最終日。 自衛隊の敷地内でのアリ観察会。 エゾアカヤマアリを見た時が盛り上がった。 あんなところにエゾアカがいたとは思わなかった。 エゾアカは女王を見かけなかったがあの凶暴さを見ることが出来ただけで十分だった。 他にもクシケやクロオオ、トフシと思われるアリ、キイロケを見てきた。 今回は採集活動はしていないのでお土産は特にない。 帰りの新幹線をのんびりし過ぎていたら帰宅が午後8時頃に。 服の整理とかしていたらあっという間に寝る時間になってしまった。 今回の蟻研でも色々な方と出会うことが出来た。 とても楽しい時を過ごせて、時間があっという間に過ぎた。 やっぱり行って良かった! |
8月26日 | 蟻研から帰宅してアリに給餌した。 アシナガアリに幼虫が。 最初、卵が中々孵化しないので食卵のスパイラルに入ったかと心配していたがこの状態だと9月中に働きアリの羽化が見られるだろう。 |
8月27日 | クサアリモドキは少しずつ卵は増えている。 今年中に働きアリが羽化するのだろうか。 今のところ、卵しかいない。 今年は秋が早い気がする。 このまま行けば、幼虫で打ち止めな気がしなくもない。 取りあえず、卵を減らさないように維持していきたい。 |
8月28日 | ケアリは最初の段階は越えてきた。 どの個体も働きアリ生産にこぎつけた。 と言うより、ケアリで卵を食い尽くしてしまう例ってあまり見かけない気がする。 そういう意味で安定感はある。 他のアリでは幼若個体を食い尽くしてポツンと1匹だけになってしまう例があるが、ケアリではそれがあまりない。 どういう点が違うんだろう? |
8月29日 | 秋の気配が漂ってきた。 今年、氷枕や恒温機が稼働した期間は例年より短く2週間ほどだった。 今年は7月が少し気温が低めだったのでこういう展開になったのだ。 アリの飼育で意外と厄介なのが夏場の高温だが、その期間が短かったので少しほっとしている部分がある。 |
8月30日 | アシナガアリ幼虫の頭部を写してみた。 頭部が少し突き出ている。 女王。問題なく動き回る。 |
8月31日 | 枚岡で採ったシリアゲアリ。 蛹がある。 色づいている個体もあるので羽化も近そう。 |