2019年7月の観察日記

7月1日 この前に採集したクロヤマアリを見てみると・・

おおう!卵ではないか!この女王は「小型」女王にしては中々良い滑り出しではないだろうか。
産卵したと言っても羽化までが安定しないのがこのタイプの特徴だが、今のところは良い感じだ。
7月2日 寄生バチを宿していると思われるクロヤマアリがぽつぽつと死んでいる。
これ、寄生によるものなのか、環境によるものなのか全く不明。
この前、一緒に観察した研究者の方によると肛門からハチの幼虫が出てくるらしいけど‥?
そもそも、幼虫期間が全く不明なので何もかも手探り。
うーん、難しいけれど面白い。 
7月3日 出来れば、この週末に箕面に夜間観察に出かけたい。
日没から自販機や街灯に来るアリの観察に行きたいのだ。
来週土曜は会社の用事で行けない。
だから、今週末に・・と思っているのだが、天気予報が微妙。
晴れなくても良い、雨さえ降らなければ・・ 
7月4日 ここ最近、暑くなってきたので帰宅後に部屋にエアコンを入れるようになった。
そうすると、毎年のように起こる事柄が。
結露。
石膏巣が結露して中の様子がよく見えなくなる。
・・・・ 
7月5日 先月、淀川で採集したトビシワの最後の1匹が死んだ。
トビシワの新女王は意外と死にやすいんじゃないかという気すらする。
それとも、私が採集する前にトビシワ働きアリの攻撃を受けていたのだろうか。
良く分からない。
合掌。 
7月6日  午前、枚岡に行こうかと思っていたが天気が今一つで冷たい風が吹いていたので枚岡は中止。
夕方、ある意味恒例行事化している箕面に出かけた。
昨年は豪雨で滝への道が封鎖されて行けなかったので2年ぶりだ。

到着後、すぐにシリアゲアリのメスアリが1匹見つかった。
種類が良く分からないで放置していたやつだ。
顕微鏡を手に入れたので同定用に採集。

その後、すぐにハヤシクロヤマアリがいた。
ひょっとして、今日はアツいんじゃないか?と思い始めた。
日没まで待機。
ホタルが少数だが舞っている。
3年前に1匹だけ見かけたが今日は数匹が継続的に見られた。

午後8時を過ぎたあたりからケアリが少数飛び始めた。

トビイロケアリとは少し違う気がする。
脱翅メスを1匹だけ見かけたが採集し損ねてしまった。
羽を落とすことを期待して数匹採集した。
他はアメイロケアリを数匹見かけただけ。
飛んではいたが凄く肩透かし感があった。

おまけ。ゴミムシダマシ?
7月7日  枚岡を歩いてきた。

駅を降りてすぐにケアリ祭り状態だった。

ケアリ有翅メスの死骸がクロヤマアリに運ばれていた。

有翅メスもいた。交尾しているかは分からない。
取りあえず、脱翅メスを数匹確保して山に入った。

何かの虫の死骸に集るアミメアリ。

クサアリモドキの女王。ケアリほどではないが数匹見かけた。
このうち1匹を採集した。

壁面にいたクサアリモドキ。いかつくて格好良い。

ケアリ女王が多く飛んだ時に見られるアシナガアリによるケアリ新女王狩り。
クサアリモドキ用にケアリの繭を結構な数確保した。
しかし、この時期の繭からはオスも羽化してくる。
どれくらい働きアリにいなってくれるか、微妙。
アシナガアリは全く見かけなかった。
時期が早いのだろうか。
7月8日 ヨツボシオオアリで初めての働きアリが羽化した。

ヨツボシオオアリで働きアリを羽化させたのは初めて。
結構嬉しい。
ずっと前のクサオオアリのようにならないことを祈るばかりだ。
7月9日  日曜日に採集したクサアリモドキ。

導入した当初、ケアリの働きアリが微妙に攻撃する場面もあったが今はほぼ無視されている。
画面に写っているがオスアリが結構羽化している。
ま、この時期のケアリの繭を採集したらこうなることは分かっていたけれど取りあえず取れるだけ採集したし、実際働きアリも少し羽化してきているので働きアリがどれくらい羽化するかで今後が決まりそう。寄生種のこの手間、ドキドキするけど楽しい。
7月10日  今日も引き続きクサアリモドキの行動観察。
見ている限り、攻撃は見られない。
ケアリの働きアリも少しずつだが羽化してきている。
恐らくこういった個体から口移しで栄養を貰っていると信じたい。
取りあえず、オスが羽化しつくしてケアリの働きアリのみになった辺りでタッパーから石膏巣への引っ越しを考えている。
それにしてもクサアリモドキはアメイロケアリのように「はみはみ」しない。
攻撃されてもじっと耐える。
ケアリの働きアリは少なめにしているので、本格的攻撃に至っていないが野外だと大挙して殺されている物が多いんだろうなぁと思う。 
7月11日 クサアリモドキの周りをよく見ると若い働きアリが少しずつだがまとわりつき始めた。
女王アリはまだ落ち着きなく歩き回るが、ケアリの働きアリからの攻撃はほぼ無い。
あとは、オスアリがいなくなったころを見計らって容器に移し替えて産卵を待つだけだ。
しかし、オスアリ、分かってはいたけれど多く羽化してくるね・・ 
7月12日 キイロシリアゲアリにオスが羽化し始めた。

毎年、オスは羽化するがメスは羽化しない。
何かあるのだろうか。
7月13日  先週採集したクサアリモドキを観察した。
ケアリからの攻撃は一切受けなくなっていて、腹部が膨らみ始めた。
採集の時に入ってしまった木の屑がドーム状になってその下にいる。
だから、写真が上手く撮れないという事情がある。
本来なら、そろそろ平置きの容器に移し替えるべきだろう。
そこに、1つだけネックがある。
オスアリだ。
オスアリには、ご存知のように羽がある。
餌場は開放して乾燥状態にしたい。
開け放つと、オスアリが部屋の中に飛び出る。
それ以外にも、巣内で死んだオスアリの羽や体の欠片にカビが生える危険もある。
ネットを餌場に貼ろうか・・
考えている。 
7月14日  先週の日曜日に採集したケアリの女王。

どの個体もこれくらい産卵している。
今のところ順調。

女王。丸々している。
複数採集した。これは突然死に備えるための保険だ。
2011年だったか、複数採集したがコロニーが安定するまで生きたのは1匹だけだったからだ。
どれくらいの個体が生き残るのだろうか。
7月15日 最近、早朝時間が冷え込む。
こんな感じなので山を歩く気になれない。
そして、今週末は雨予想。
・・・
今年の観察、1週目で終わりとか言う展開になりませんように・・
せめて、今週末ほどほどに気温が上がって晴れなくて良いので雨さえ降らなければ・・
としか言えない展開になってきている。 
7月16日 出勤途中、ケアリの女王がケアリの働きアリに運ばれているのを見た。
他にも探したが、この1匹だけだった。
連休中、山に行けるときにこんな天気だったら・・と思うことしきりだった。 
7月17日 5月に採集したヨツボシオオアリ。
割と順調で働きアリが3匹まで増えてきた。

給餌も始めている。
コオロギを与え始めて産卵が再開。
年内には10匹ほどの働きアリが生まれてくれたら言うことない状態。
ヨツボシオオアリでこの状態に持って来れたのは初めてで嬉しい。 
7月18日  先月、大阪城で採取したクロヤマアリはどうなったかというと・・

「小型」女王にしてはやけにあっさり繭まで来ている。
このタイプは今まで何度も飼育したが、食卵を繰り返して独力で働きアリを生産するのは秋頃が多かったので、「普通」の進展だ。 
7月19日  天気予報が変わってきた。
明日は雨一色だったのが曇り予報に上方修正されてきた。
?これなら行けるかな?
雨が止む時間にもよるがひょっとしたら・・ 
7月20日  明け方まで雨だったが目が覚める頃には雨がやんでいたので様子を見に枚岡に行った。
しかし、側溝には水が流れていて、地面も水たまりは無いもののかなり濡れた状態。
期待したケアリ系女王はヒゲナガアメイロケアリを1匹見かけただけであった。
そんな中でも、収穫はあった。
まず、ケアリの繭。
前ほど多くはないが目分量で100ほど。
先々週採集した繭からはオスが結構羽化してタッパー内で蒸れが生じたようで貴重な働きアリがそこそこ死んでしまった。
何というミス。
オスはいなくなったので帰宅後に巣部屋を接続、開放状態の餌場に放り込んだ。
しばらくしたら無事女王や働きアリ、繭も巣内に移動されていた。
そして、別の収穫がこれ。

まず、アシナガアリの新女王。1匹。有翅メスもいたが、スルーしてきた。

そして、ハリブトシリアゲアリ。
ハリブトは有翅メスを数匹見たが、羽を落としているのはこれだけ。
実際の採集時間は短かったがある意味効率が良いと言えなくもない結果だった。
7月21日 枚岡に出かけた。

早速、ケアリがいた。中々アツそうだ。

同じ個体をもう1枚。

シリアゲアリの脱翅メスがいた。

カタツムリを物色するアメイロケアリ。

クサアリモドキの女王も少しだが歩いていた。

身づくろいをしているアメイロケアリ。この日は今までにないくらい(と言っても量的にはそれほどでもないが)アメイロケアリを見かけた。

ミヤマカミキリ。

アシナガアリのオスがいた。生きているのはこれだけだった。

ニイニイゼミの幼虫がいた。撮影後、側溝から救い上げた。

マイマイカブリ。

恐らくオオカマキリ。

ミヤマカミキリの死骸を食べるムネアカオオアリ。

巣作りの場所を探すケアリの新女王。

ぶれたが、ウメマツオオアリがいた。夏本番を感じさせた。

本当にアメイロケアリはよく見かけた。

この個体はケアリの働きアリを咥えていた。

ヤブキリの死骸にアミメアリが集まっていた。

これだけでは物足りなかったが、枚岡では伸びしろが少ないと思い、箕面へ。

アシナガアリの有翅メス。脱翅メスはいなかった。

ハヤシクロヤマアリのオスの死骸。
1匹、飛ぶのを見たので飛んでいるのだがメスアリは見なかった。
結局、箕面では収穫は無かった。
枚岡のケアリも峠を越えた感じ。
三連休が観察に行けなかったのは痛かった。
7月22日 実は、今年はまだ恒温機を稼働させていない。
今年の夏は冷涼でさほど暑いと思わないからだ。
そして、これを稼働させると中のアリたちが秋だと思って秋モードに入るのでなるだけ稼働させたくなかったという意味もある。
でも、天気予報を見るともうすぐ稼働させる時が来るはずだ。 
7月23日  一昨年、長野で採集したハヤシクロヤマアリがとにかく調子が良い。
スペースの関係で常温飼育にしたが餌を与えてもすぐに食べつくしてしまう。
今までの不調は何だったんだろう・・ 
7月24日  クロヤマネタでもう一つ。
大阪城で一昨年採集したクロヤマアリ小型女王のうち1コロニーが勢いが出てきた。
働きアリの数はまだ30ほどだが餌へのがっつきが凄い。
こう言うのを見るのは楽しい。 
7月25日  今年、初めて恒温機を起動させた。
今年は例年より暑くなるのが遅いので、稼働が今日になった。
とりあえず、今からお盆くらいまでの一番暑い時期に稼働させることになるだろう。 
7月26日  枚岡で採集したアシナガアリも産卵を確認。
恒温機が無かった時代、暑さに耐性が低い種だと知らずに常温飼育でいつも卵を食べてダメにするという結果を繰り返した。
例年のパターンだと大体9月上旬頃に働きアリが羽化するはずだ。 
7月27日  先日採集したクサアリモドキは腹部が少し膨らんできた。
ただ、この時期のお約束としてエアコンをつけると結露するし、氷枕部分も大きな結露が出来ていて撮影が叶わない。
取りあえず、腹部が微妙に膨らんだということだけ書いておきたい。 
7月28日  晴れたが、野外観察に行っていない。
この時期、もうケアリ系は大体飛びつくしていて山に行ってもそれほど目ぼしいものが見当たらないという経験則からだ。
しかし、今年は野外観察にあまり行かなかった。
天気や仕事の都合もあったが何だか寂しいものを感じる。 
7月29日  今月初めに枚岡で採集したケアリ。

もう、繭が出来ている。
この安定感、凄い。
複数採集したがどれも同じ状況。
女王アリ自体がどっしりした感じがする。
7月30日 枚岡で採集したシリアゲアリだ。

数個だが産卵を始めた。
今のところ、安定している。
例年、シリアゲアリとの相性はあまり良くないので今回こそは・・
7月31日 先月、採集したクロヤマアリ。

働きアリが現在2匹。
「小型」女王の飼育歴では初めてと言えるくらいあっさりと働きアリを生産してくれた。
繭はあと1つ。
それと卵が数個。
「大型」に比べると、初期の働きアリの数は少ない気がするがこのあっさり感は何だろう。今までの苦労は何だったんだ・・ 

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