2019年5月の観察日記
5月1日 | 一昨年に長野で採集したハヤシクロヤマアリは順調なので、その様子を。 幼虫が育ってきた。 繭製造場所。石膏の粉を幼虫に被せている。 繭。まだごく少ないがちゃんと出来ている。 ゼリーを与えた直後は働きアリの栄養交換がそこかしこで見られた。 |
5月2日 | クロナガアリの観察に出かけた。 所用があって、到着は午後4時頃だった。 到着後、すぐにクロナガアリの脱翅メスを1匹見た。取りあえず飛んだのを確認した。 クロナガアリのオスアリが見られた。 少しだけ飛んでいた。 遊具に止まっていたオスアリ。 飛んでいるメスアリは見かけなかった。 巣穴をほっている新女王アリを見つけた。1匹で掘っていた。 同じ新女王をもう1枚。 飛んでいるのはオスのみで、メスアリは見かけなかった。 規模的にもかなり小規模だったとしか思えない。 先週に大半が飛んでしまったのだろうか。 何だか消化不良・・・ |
5月3日 | ルリアリ、コオロギを巣内に運び込んでいた。 いつもゼリーしか食べていなかったのだが、初めて食べているのを見た。 しかも、完食に近い。 嬉しい。 |
5月4日 | 信貴山〜生駒を歩いてきた。 レンゲソウが綺麗に咲いていた。 新緑の中を歩く。 沢山あったアリジゴクの巣。 イチゴの花とカミキリモドキ。 この構図、すごく好き。 ナナフシの幼虫。いつもこの時期に見かける。 ビロウドツリアブ。 これを見ると、春を感じる。 さて、肝心のアリだが結果は今一つ。 アシナガアリの女王が石をめくると出たがすぐに地中に潜った。 ハヤシクロヤマアリも出たが、働きアリばかり。 枝折をしてみたが、ウメマツオオアリサテライト魔界。 クロオオアリは巣口が賑やかになっているが、飛ぶ気配はなかった。 ヨツボシオオアリも巣口に数匹羽アリを見たが飛びそうにない。 アリ的には結果が出なかったが、新緑の中を歩くのは気持ちが良かった。 大量にいた毛虫を除けば‥ね。 |
5月5日 | アリにコオロギを与えていて思うことがある。 同じコオロギを与えているのに、食べてくれる時と放置される時があるのはどうしてだろう。 見た目には同じコオロギなのに・・・。 それとも、単純にコロニーが満腹状態にあるだけなのだろうか。 産卵していて、幼虫も育っているコロニーでもそんなことがある。 だとしたら・・・? 分からん。うーむ・・ |
5月6日 | クロオオアリにしてみた。 女王。元気に走り回る。 卵も確認できる。 餌の食いも良い。 |
5月7日 | クロナガアリの火を切った。 しかし、今日は肌寒い日だった。 もう少し頑張っても良かったような気もするが、昨日の日中気温が上がり、温室内の温度が上がりすぎることを危惧した。 肌寒いと言っても致命的暗寒さではないと思うので、この辺が適当な時期かと思った |
5月8日 | 先月、猪名川で採集したシベリアカタアリ。 女王。今のところ、コロニーに問題はない。 餌の食いも良いし産卵もされている。 |
5月9日 | これから、暑い季節に入る。 そうすると、厄介なのが湿度管理だ。 特に小さなアリでは乾燥しやすい。 かといって、恒温機に入れると蒸れてしまうことがある。 こまめに様子を見るしかないのだが、夏場の暑い時期は1日、日中だけで環境が変わる可能性があるので神経を使う。 今までの経験で飼育しているアリの中では、ルリアリが蒸れに弱そうだ。 住んでいる環境が枯れ枝と言う乾燥気味の所とはいえ、乾燥したら一気に死滅しそう。蒸らすのもダメだけど・・ 湿度供給に悩むのは目に見えている。 シベリアカタアリがうまく行っているのは餌場にも通気孔があるからかもしれないと最近アリたちの様子を見て思う。 餌場、通気孔をあけるのは案外良いのかもしれない。 アリたちの様子を見ながら飼育環境を考える。 こういう時間をもっと持てたら良いんだけど・・ |
5月10日 | 会社の帰りにクロオオアリの有翅メスが1匹歩いてるのを見かけた。 脱翅メスは見かけなかった。 今日は飛んだかも、と思いつつ明日枚岡に行くから今日は良いか、と思い帰宅の途についた。 今年も、この時期が来たんだなぁと思った1日だった。 |
5月11日 | 枚岡を歩いた。 歩き始めて暫くして、ヨツボシオオアリの脱翅メスを1匹見つけた。 採集。 山を歩いて行くと、ケブカツヤオオアリの脱翅メスがいた。 左の触角が一部欠損しているが、採集した。 展望台でヨツボシオオアリの有翅メスを見かけたが、交尾しているかは微妙。 取りあえずこれも採集した。 暗峠を歩いて、枝を折るとケブカツヤオオアリのコロニーが出たがサテライトだった。 幼虫を少し頂いた。 椋ヶ根橋のヨツボシオオアリが5時を過ぎたころに少し飛んで行った。 ヨツボシオオアリが幼虫を運んでいたのでそれを貰った。 脱翅メス用である。 クロオオアリも巣口が賑やかだったが飛ぶ雰囲気が無かった。 成果:ヨツボシオオアリ脱翅メス1匹、ケブカツヤオオアリ脱翅メス1匹、ヨツボシオオアリ有翅メス2匹。 ヨツボシオオアリもケブカツヤオオアリも飼育は簡単ではないが導入した幼虫がヘルプになってくれたら、と思う。 |
5月12日 | 枚岡に出かけた。 歩き始めてすぐにクロオオアリのオスの死骸があった。 ヨツボシオオアリのオスがいた。昨日と異なり、メスアリは見かけなかった。 カマキリの幼虫。もう孵化しているんですね、 ヨツボシオオアリの巣口からメスアリが顔を出していたが、今日は飛ばなかった。 さて、最後にクロオオアリの様子でも見て帰ろう・・と思ったら、 これだ。 巣口から少し離れた所で屯するオスアリたち。 風を見ている新女王アリ。この後、このメスが飛び立った。他の個体は飛び立っていなかった。 風を見る新女王アリ。上とは別の個体で、この後巣内に帰って行った。 今日は、長居することが出来ず、4時半頃に観察を切り上げたがこの後どうなったのだろうか。 結構、今日の夕方から夜にかけてクロオオアリやムネアカオオアリがうじゃうじゃな所はありそうな気がする。 |
5月13日 | 土曜日に採集したヨツボシオオアリの脱翅メス。 久しぶりに、脱翅メスって見た。 ヨツボシオオアリの幼虫を1匹入れている。 うまく行くかどうか・・本当はもう2、3匹確保できれば言うことなかったのだが・・。 |
5月14日 | 土曜日に採集したケブカツヤオオアリ。 腹部が大きいが、これはゼリーを給餌したので、採集したとき腹部は小さかった。幼虫が見えるがこれは枚岡の枝折で出た幼虫でこの女王の子ではない。 左の触角の欠損が気になるが、どうなることやら・・ |
5月15日 | クロヤマアリは神経質な展開になっている。 最初の産卵こそ順調だったが、そこから伸び悩んでいる。 幼虫が中々育たない。 長野のハヤシクロヤマアリがびっくりするほど順調なのに、こちらはコツコツ産卵状況や幼虫の成長具合を見なければならない。 この違いは、何だろうか。 むしろこのHPを作った最初の頃の方が上手く行っていたのは何故なのか、そっちが不思議。 ??? |
5月16日 | ヨツボシオオアリには給餌をしている。 最初から、女王1匹で無給餌で働きアリを育て上げられるとは思っていない。 幼虫を1匹入れていて、現在卵が2個。 うまく行くかどうかは自信が無いが、幼虫1匹が育ってくれれば・・という想いはある。 取りあえず、卵を食べる症候群が出ないことが最初の関門だ。 |
5月17日 | 先週、土曜日に採集したヨツボシオオアリ有翅メスとオス。 果てしなく、ダメ。 思いっきり馴染んでしまって交尾する気配が無い。 ・・・厳しい・・・ |
5月18日 | 曇って時折冷たい風が吹きアリ日和ではないと判断したので、どこにも出かけなかった。 晴れてくれたら、今日も枚岡と思っていたのだが何だか肩透かしな気分。 先週、見かけたクロオオアリは今週、飛んだのだろうか・・。 |
5月19日 | 枚岡を歩いた。 マイマイカブリを見つけた。 この時期、良く歩いているのを見かける。 公園事務所付近でアメイロアリを見た。 新女王を見たのはこれだけだった。 ヨコヅナサシガメ? ミドリカミキリの一種?時々見かけるが種類が良く分からない。 チョウがとまっていた。 アオマダラタマムシだろうか。初めて見た。 カミキリムシが産卵していた。 さて、今日はオオアリの飛行を見越していったが、全く駄目。 神社の巣は少し羽アリが残っているようだったが他が全く駄目。 石をひっくり返した時アシナガの巣内にムネアカの女王の頭胸部の残骸があった。 状況から推測したら週の前半に飛んだものが捕獲されて食われたと考えられた。 ヨツボシオオアリ、ケブカツヤも見かけない。 それでも、収穫はあった。 椋ヶ根橋付近で石をめくるとケアリの初期コロニーが出た。 働きアリが数匹と女王だけのコロニーだ。 採集した。 シロアリも3匹採集した。 梅林で石をめくるとオオズアリコロニーがいたが、吸虫管を用意している間に女王が隠れてしまう大失態。 そんなわけでケアリとシロアリは持ち帰った。 ケアリはまた後日写真載せます。 シロアリは・・うまく行くのだろうか。 飼育、意外と難しい気がするんですよ・・ |
5月20日 | 昨日、枚岡の石の下から採集したケアリ。 この女王と働きアリが3匹の零細コロニーだ。 幼若個体はいない。 昨日、石膏巣に放り込むと一緒に入った土を自分の周りに固めて小さな巣のような状態を作り出した。 女王。痩せてはいるが、元気。 |
5月21日 | ヨツボシオオアリ。 ゼリーを与えると、すぐに口をつけて食べる。 その後は腹部が肥大化する。 卵は3個で引っ越ししているヨツボシオオアリから失敬した幼虫が1匹。 この幼虫は育って来ている。 しかし・・ 野外でヨツボシオオアリってどうやってコロニーを立ち上げるのだろうか。 複数女王だろうか。 飼育条件で見る限り、単独ではあまりにも産卵数が少なすぎる気がする。 今、1匹の幼虫が希望の綱だがこれがいなければ卵が3個で心許なさ過ぎる状態になっていた。 綱渡りだ・・ |
5月22日 | アリたちへのコオロギとゼリーは今のところ順調に見える。 メイプルも良いとは思うが最近はタンパク入りのゼリーの効果もあるんじゃないかと思い始めた。 これから季節は夏。 うまく行けば一気に増えてくれるが、乾燥や蒸れも発生しやすい意外と難しい季節に入ってくる。 飼育環境一つでも、奥が深い生き物だなぁと思う。 |
5月23日 | ううむ。クサアリモドキの女王が見えない。 カートンの下にいる可能性もあるのだが、卵が見えないし、無女王の群に見られるようなバラバラの動きを働きアリがしているようにも言える。 と言うより、後者の可能性が高いんじゃないかと疑っているのだが、女王アリの死骸を見ていないのが希望の綱か。 一瞬で良いので生きているのを見たい。 |
5月24日 | 今年、春の新女王アリはヨツボシオオアリとケブカツヤオオアリを1匹ずつ迎えただけだ。 ムネアカは1匹脱翅メスを見たのだが撮影機材を用意している間に落ち葉に潜られた。 クロオオアリは職場近くで1匹有翅メスを見たが交尾しているか微妙だった。 ミカドオオアリに至っては姿すら見ていない。 新女王はクロナガも飛行日を逃したので消化不良感がある。 |
5月25日 | 暑い日だった。 仕事の都合でフィールドには出かけられなかったが、今日あたりの気温ならクロヤマは飛んだのではないかと思う。 こういう時に観察に行けないって・・・ |
5月26日 | 大阪城に転戦した。 クロヤマアリの有翅個体は全く見かけなかったが、面白いものを見た。 ケアリの巣口に寄生バチが来ている。 昨年まで見ていたクロヤマアリの寄生バチとは全く違う。 巣口でずっとホバリングしていた。 寄生の瞬間は観察できなかった。 アリヤドリバチの一種と思われるが詳細不明。 この1匹だけだった。 おまけ。動きから一瞬クロヤマアリの寄生バチかと思ったが、どうも行動を見ているとタンポポに寄生しているハモグリバエ幼虫の寄生バチのようだった。 |
5月27日 | 長野で一昨年採集したハヤシクロヤマアリにゼリーを与えたら、こうなった。 これでも、少し働きアリがばらけた時である。 ゼリーを与えるとすぐに集る。 こう言うのを見るのは楽しい。 |
5月28日 | アメイロケアリのゼリーに集まる図にした。 働きアリはこんな色なのに、女王は黒っぽいという不思議なアリだ。 |
5月29日 | 最近使っているゼリーはカブトムシやクワガタムシ飼育者には有名らしい「プロゼリー」という物だ。 このゼリー、結構栄養成分が入っているようでアリたちもこれとコオロギである程度は行けるんじゃないかと思う。 ここをご覧の方で昆虫ゼリーを使用されている方、他におすすめのものがあれば教えて頂けると嬉しく思う。 傷みやすいのが玉に瑕ですけどね・・ |
5月30日 | 久々のヤマヨツさん。 働きアリを写してみた。 女王も元気で繭が沢山ある。 何だろう、その割に増えないのは不思議な感じだ。 |
5月31日 | ケブカツヤオオアリの新女王は苦戦している。 採集した時から、腹部が小さく痩せているのが気になっていたが、まさにその不安が的中したような感じで放り込んだ幼虫も少しずつ食べていて産卵も見られない。 うーん、この種類、難しいぞ・・ |