2018年6月の観察日記

6月1日 日曜日に採集したクロヤマアリに寄生するハチをアルコールに漬けた。
さて、これをどうしたら良いのだろうか。
これが新種なのか、既知の種なのかも分からない。
どうしましょう?
6月2日 淀川にトビシワの観察に出かけた。

トビシワのメスアリの死骸があったが、いつ飛んだのか分からなかった。

上とは別の個体。これも死んでいた。

アミメアリ。画面外のミミズの死骸に集まっていた。
大阪城に移動した。
しかし、今日は全く見どころが無かった。
オスアリ、メスアリも見かけず、クロヤマアリの寄生バチも見かけなかった。
何か見所、あると思ったのだが消化不良だった・・。 
6月3日 今日も、大阪城だ。

クロヤマアリのメスアリが歩いていた。
状況を見ると飛行前、巣から出てきた個体のようだ。

腹部をアップ。「小型」女王の特徴はこの小さな腹部だと私は思っている。栄養を溜め込んでいるように見えない・・。

クロヤマアリが女王アリを運んでいた。引っ越し途中のようだ。

ホバリングしてクロヤマアリを狙っていた。

上の画像のハチの所を切り取ったもの。

その2。
今日は産卵を観察することは出来なかった。と言うより、いつもの場所にいるにはいたのだが、観察、撮影してすぐにどこかに行ってしまったのだ。
クロヤマアリの羽アリは採集したので、また後日画像を上げたいと思う。
6月4日  クロヤマアリの寄生バチをアルコールに漬けたは良いがどうしたら良いかと思っていたら、ツイッターの方でコマユバチ科を専門に分類・研究している方から連絡があった。
そこでその方に標本を渡して見て頂くことになった。
こういったレスポンスが返ってくるのはネット時代ならではと思った。
さぁ、どうなるんだろうか。 
6月5日 日曜日に採集したクロヤマアリの羽アリ。方眼紙を下にして写した。

方眼紙の格子は1マス5ミリ。
どう見ても、10ミリはない。
これ、いわゆる「クロヤマアリ」なんだけど、どう見ても「大型」女王とは違うように見える。
何だろう、これ・・。 
6月6日 昨日、取り上げたクロヤマアリは翅を落とさない。
まぁ、交尾前だろうとは思っていたので予想の範疇の展開だが、この女王、見れば見るほど不思議だ。
小型。以前、枚岡で見た大きなクロヤマとは一回り小さい。
分からない。
そんな小型のクロヤマは1コロニーいるが、働きアリを見る限りそれほど違いはないように見える。
何が違うのだろう?
6月7日  ケブカツヤオオアリ。

繭が出来始めている。

卵も見られる。今のところ、懸念していた拒食症状は出ていない。
6月8日  クロヤマアリ。これは大阪城で採集した「小型」女王コロニーだ。

コオロギの欠片を咥えている。
こういう風に食べてくれるのを見ると、なんだか嬉しくなる。

女王。大きさを比較するものが無いが、やはり小さい気がする。
6月9日 大阪城にクロヤマアリとそれに寄生するハチの観察に出かけた。

クロヤマアリが甲虫の死骸を運んでいた。

羽アリの繭を運んでいる。

もう1枚。

クロヤマアリの羽アリが1匹いた。

そのメスアリが飛び立つ瞬間。
この後も、クロヤマアリの有翅メスは複数見かけた。
しかし、脱翅メスは見かけなかった。
大阪城はこのパターンが多い気がする。

そして、今日のもう1つの目的である寄生バチなのだが今日は全く姿を見かけなかった。
もう終わってしまったのだろうか?
いや、まだ6月終わりまではまだ希望があるはずだ・・。
6月10日 昨年秋に採集したヒゲナガケアリと思われるケアリでようやく働きアリが羽化した。

女王アリを採集して9か月・・長かった。
6月11日 アズマオオズアリの兵アリの羽化を見た。

色が淡い。

不格好な頭の大きさが可愛らしい。 
6月12日 土曜日にクロヤマアリの羽アリを数匹採集していた。
1匹だけ、交尾してるかも?と思う羽アリを採集したが、まだ羽を落とさない。
この「小型」女王、羽を落とす確率が低い。
これの生態に関しては私なりに一つ仮説は持っているのだが検証が出来ていない。
これは調べ甲斐があるネタなのかもしれない。 
6月13日 この前、オスアリが羽化したと書いたケアリコロニー。
実は、良く分からない不調状態になっている。
餌は与えているのだが、産卵数が少ない。
結果、幼若個体が少なくなっている。
餌を与えると、集まって来るので食べていないわけではない。
それなのに、不調。
・・何だろう? 
6月14日 アシナガアリやアズマオオズアリは明らかにコオロギが合っているようだ。
見ていて勢いがある。
アシナガアリはまだ働きアリは10匹ほどだが、アズマオオズは幼虫の数が多いためか、コオロギを与えると殆ど完全に食べつくす。
コオロギは共食いさえなかったらねぇ・・。
6月15日  4月に採集したクロオオアリは、働きアリがようやく羽化した。
今のところ2匹確認できている。
採集した後、5月に少し寒い時期があったので、時間がかかったのだろうか。
ちなみに、5月に採集したものはまだ働きアリは羽化していない。 
6月16日  大阪城にクロヤマアリとその寄生バチの観察に出かけた。

クロヤマアリオスが出てきた。

もう1枚。この後、オスアリは飛び立っていった。

メスアリも出てきた。

もう1枚。
この写真のコロニーではオス、メスが数匹飛び立っていった。
その時、地上では働きアリが賑やかに表に出ていて結婚飛行独特の雰囲気があった。クロヤマでこういう様子を見たのは久しぶりだ。

今日も、寄生バチは来ていた。
巣口を飛んでいたが、産卵は確認できなかった。 
6月17日  今日も、クロヤマアリとその寄生バチの観察に出かけた。

今日も巣口に見られた。
産卵は一度見られたがその瞬間が見事にボケて使い物にならない写真しか撮れなかった。

腹部のオレンジが特徴的だ。

もう1枚。
小さなハチなので撮影が難しい・・。

撮影中、クロヤマアリのオスが1匹飛んでいくのを見た。
このハチ、生態を解明することは出来るのだろうか・・。
6月18日 羽だ。

この羽、何の羽だろうか。

上とは別の羽。
これの持ち主だったのは何かというと・・。

クロヤマアリ。
この個体、少し変。
これは6月9日に採集したもの。
しかし、採集後1週間全く羽を落とす気配が無かった。
未交尾か、と思いこの前の土曜日16日に採集したオスアリを入れた。
そうすると羽を落とした。
飼育容器内で交尾したのか、もともと交尾していたのかは不明だ。
この女王は「小型」なのだが、交尾後に羽を落とさずにずっといるってあり得るのだろうか・・。
ちなみに産卵はしていない。 
6月19日 4月末に採集したハヤシクロヤマアリの女王。

この働きアリが羽化する前、幼若個体はこの働きアリ以外一切ない状態だった。卵、幼虫、蛹も。だからこの働きアリがまさに生命線だったのだ。
しかし、無事羽化してくれて働いてくれている。
腹部が大きいのは給餌したからで数個卵を産み始めた。
でもこの女王が新女王かと言うと少し疑問がある。
そんな女王でも1個体とは言え自力で働きアリを生産したことに感動。
6月20日 クロヤマアリの羽アリを採集していた。

メスの羽アリ。

オスアリ。同居させているが、今のところ変化なし。
18日に採集したメスアリのように羽を落とすようなこともない。
6月21日  今年は餌にコオロギを与えているが、どうも好みがあるような気がする。
某ショップのフタホシコオロギは今一つ食いつきが悪い。
しかし、別のショップのヨーロッパイエコオロギは食いつきが違う。
ショップの管理によるものなのか、フタホシとイエコの種類の差が出ているのか、どっちだろう。
6月22日  18日に紹介したクロヤマアリ。

5つ卵がある。
しかし、油断はできない。
この「小型」女王は神経質で産卵してもそれを食べてしまう事例が多い気がする。
更に、この女王は採集してから羽を落とすまで1週間あった。
その間、当然体内の栄養を使っている。
あくまでもスタートラインである。
6月23日  アズマオオズ。

兵アリだ。数は少ないが見ごたえがある。

働きアリ。「わしわし」とした雰囲気になってきて、良い感じだ。
6月24日  今日も大阪城にクロヤマアリの観察。
しかし、今日は収穫が何もなかった。
雨が上がってそれほど時間が経過していないので地面はかなり湿りがち。
その条件が良くなかったのだろうか。
今日が土曜日なら夕方まで粘って以前にアメイロケアリの女王が多く見られたポイントで観察継続しようと思ったが、今日は早々に撤退した。
クロヤマアリの寄生バチも見かけなかった。
もう終わってしまったのだろうか・・。
6月25日 クロヤマアリの寄生バチは、やはりElasmosomaだったらしい。
正式に先日、標本を見てもらった結果が来たのだ。
ただ、あの個体、オスだったらしい。
Elasmosomaの種はメスの腹部先端の亜生殖板という部位でしか区別が付かないらしい。
要するに、オスだったということで属名は分かったが種名には落とし込めなかったのだ。
しかし、今年は標本を他に2個体採集している。
それを送付することになった。
その中にメスが1匹でも入っていたらすべて明らかになるだろう。
でも、巣口の周りをぶんぶん飛んでいたのでてっきりメスだと思ったんだけど・・。 
6月26日 Elasmosomaの話題で書き忘れていたことがあった。
17日に採集したものを飼育してクロヤマアリへの寄生が行われるかを飼育実験した。しかし、結果はダメだった。
飼育容器に入れてもハチは飛び回らず、壁に止まったまま。
翌日には死んでしまっていた。
昨日の結果からすると、ひょっとしてこの個体はオスだったのだろうかとも思うが残念だ。
この週末も観察に行きたいが、天気が微妙なのと、例年この時期になるとほぼハチ自体が見られなくなるので採集したものがすべてオスだった場合、種の判別は来年以降になるかもしれない・・。
6月27日 大阪城で採集したクロヤマアリは、1匹だけ羽を落としたものがいただけで後は未交尾だったようだ。
羽を落とさないまま力尽きていた。
この「小型」女王は羽を落として歩き回っているのを見ることが少ない気がする。
何かと癖のある「小型」 女王。今年もクロヤマアリのシーズンは終わろうとしているが、中々尻尾を掴ませてくれない・・。
6月28日  ケアリコロニーにいたオスアリは全て死んでいた。ゴミ捨て場にオスアリの欠片が散らばっている。
オスアリを生産してくれたのは嬉しいのだが、今年はそれ以降どうも働きアリ生産が少ない気がする。
何かリズムがおかしくなった気がする。 
6月29日  暑くなるのが早い。
クロオオアリのメスアリを4月に採集した辺りからそれは少し感じていたが、山を歩いてもアリに限らず虫の行動が少し早い気がする。
明日は観察に行けないのだが、枚岡ではどういう光景が繰り広げられるのだろうか。 
6月30日  今日は所用で観察に出かけることができなかった。
大阪城のクロヤマと寄生バチは明日で終わっているかどうか見極めたいと思う。
大阪城が終わればまた枚岡と箕面だ。 

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