2017年8月の観察日記

8月1日 先日引っ越しさせた今年新女王を採集したクロヤマアリ。

比較的肉餌も食べてくれて、久々に安心できるクロヤマアリに出会えた気がする。
8月2日 クサアリモドキの繭。

繭部屋。
繭の数はそれほど多くない。
クサアリモドキはハニーワームが一番受けが良かった気がする。
実際、野外でもミミズや芋虫を運んでいるのを見かけるので芋虫系の餌が良いのかもしれない。
8月3日 毎年、この時期になると私を悩ませるものがある。
それは、結露で思うように撮影ができないということだ。
石膏巣に適宜給水はしないといけない。
暑い時期なので、乾燥死する危険が高いからだ。
そうすると、エアコンをつけるとうっすらと結露する。
撮影できない・・。と言うジレンマが発生している。
悩ましいなぁ。 
8月4日 先日、購入したプロゼリー。
クロヤマアリが食べているようで2日もすると無くなってしまう。
今までのゼリーはそういうことは無かった。
タンパク入りなので、少し期待している。 
8月5日  ミールワーム。
経済的に優良な餌なのだが、どうしても食べ残しが出てしまう。
殻が硬いからだ。
すると、段々と餌場に食べ残した殻が溜まる。
適当な時期に掃除しているが、こういう手間を考えるとハニーワームって良い餌だなぁと思ったりする。
アリの餌って結構奥が深い。
中々、これ!と思うものに遭遇できない・・。 
8月6日 暑い日だった。
日中、ふとアメイロアリの様子を見るとやけに働きアリが餌場に出てきて走り回っている。
危険な兆候だ。
すぐに氷枕を巣部屋の上に乗せた。
すると、餌場で狂走していたアリたちが氷枕の部屋に集まって、餌場の狂走は無くなった。最初、これを見た時は何が起こっているか全くわからなかったが(確か2004年のアシナガアリだったと思う)今ではこの症状を見て、対応できるようになった。
昼過ぎにエアコンをつけて以降、問題はない。 
8月7日 ケアリの女王。

この女王は2011年に採集したものだ。
6年飼育しているが特に問題もなく元気に過ごしてくれている。 
8月8日 アメイロケアリとケアリ。

繭は沢山ある。
ケアリは少し減ったようでその分アメイロケアリに置き換わっているように見える。
黒い部分が少しずつオレンジに置き換わるのは見ていて楽しい。 
8月9日 ハニーワームが多く見られるようになった。
これで暫くは肉餌に困らない。
適当な数、確保して後はアリの餌にしようと思う。
ハニーワームは食べ残しがほぼ無いという点で大変重宝できる餌だ。
もっと、様々な成長段階を準備できたら、とは思うがその辺りはスペースの関係で難しい・・。 
8月10日 野外でクサアリを見ていると、芋虫系の餌をよく運び込んでいる。
そして、実際ハニーワームを与えると一番受けが良い。
ハニーワームは少なくともミールワームよりは断然食いつきが違うように見える。
ケアリは割と何でも良く食べてくれるのだが、クサアリモドキはハニーワームが一番良さそうと言うのが今の私の結論だ。
8月11日  この時期、氷枕を乗せてないクサアリモドキの巣部屋もエアコンをつけるとうっすらと結露する。
これを過信して餌場の飲み水を給水しないでいると、乾燥してしまって死亡を招いてしまう。
何だか、とても可笑しいというか変な感じだ。
8月12日 ゼリーの登場で最近登板機会が減ったメイプル。
実はメイプルの方が受けが良いのは知っている。
しかし、メイプルを与えるとゼリーの消費が減りそうで敢えて与えていない。
蜜餌系はメイプルはかなり有力なのだが、アリに味の比較をされてしまうと・・と思うとメイプルを躊躇してしまう。 
8月13日 久々にキイロシリアゲアリにしてみた。

オスアリが生まれている。

働きアリとオスアリ。
新女王は生産される気配がないし、創設女王達が淘汰されることもなく共存している。
キイロシリアゲアリは、コロニーが成熟してくると女王の間引きが起こり、単女王化するという話だが・・・?
8月14日 先月に1匹だけ採集しているアシナガアリ。

幼虫が育ってきた。

女王。このフォルム、良いですね。 
8月15日 ハニーワームの話。
ハニーワームはミールワームのように切る必要もなく、コオロギのように潰す必要もない。生きたまま餌場に放り込むとアリたちの狩猟本能を満足させられていると思う。
しかし、ハニーワームを飼っていると、たまに自分はアリを飼っているのか、ハニーワームを飼っているのか分からなくなることがあったりする・・。 
8月16日 今年の夏はここ数年に比べると暑くてたまらない日が少なかったような気がする。
だから、氷枕の出動日も少なかった。
氷枕をしなかったことによる悪影響は今のところ殆ど見られない。
アメイロケアリが少し狂走しかけた日があっただけで後は至って通常営業だった。
暑さって意外と見落とされがちな落とし穴だが、今年も上手く回避できているような気がする。
まだ夏は終わっていないので、油断するとあっさり壊滅しかねないけど・・。 
8月17日 以前から不思議に思っていたものがあった。

ムネアカの働きアリ。これは羽化直後のものではない。それでも色が淡いのだ。
ウメマツオオアリでもこういった色の薄い個体を取り上げたことがあった気がする。
確か、チクシでも。
これ、一体何なんだろう。
どういう要因でこういった色の淡い個体が生まれているのだろうか。
分からない・・。
見たところ、行動的に特に変化は(他の色の濃い、普通の個体に比べて)見られないが、見た感じが虚弱な気もする。 
8月18日 8月は毎年あまりフィールドに出かけていない。
それは、出かけても収穫が少なく見栄えがしないからと言うことなのだ。
実際に出かけてみたら何か新しい発見はあるかもしれない。
しかし、今まで8月は非常に見栄えがせず、「面白くない」のだ。
それで、ここ数年は8月はフィールド探索が疎かになっている。
8月って1年で一番気温が高い時期なのだが、面白みに欠けるという意味で退屈を感じる月でもある。
8月19日 現在、ハニーワームが増えていて肉餌には暫く困らない状態。
私としては、コンスタントにハニーワームがいる状態が望ましいのだが、どうしてもそれが叶えられない。
ハニーワームがいるときは大量にいるがいない時は殆ど与えられない。
餌のローテーション的観点からみるとそれは良いのかもしれないが、ハニーワームは餌場に放り込むだけで良いという点において、コオロギやミールワームより優れているのでコンスタントに与えたいと毎年思っているが、改善できていない・・。
8月20日 チクシトゲアリと昆虫ゼリー。

今朝、フィルムケースの蓋に昆虫ゼリーを多めに盛って与えた。
夕方にはこれだ。
これだけ食べてくれると見ていて嬉しくなる。 
8月21日 先日、ハリブトシリアゲアリの脱翅メスを採集した。

このずんぐりした体形、いかにもシリアゲアリの女王っていう感じがして可愛い。
年内に働きアリは・・生産できるのかな? 
8月22日  アメイロアリ。

女王。アメイロケアリと同じく、働きアリと女王は体の色が異なる。
今のところ、昆虫ゼリーとミールワームの欠片で上手く飼育できている。
8月23日 クロヤマアリと昆虫ゼリー。
クロヤマアリが食べているのを見たことが無い。
しかし、いつの間にかゼリーが無くなっている。
と言うことは、食べていると思う。
プロゼリーはタンパク配合と言う触れ込みなのだが、出来れば肉餌ももう少し食べてくれて増殖モードに入ってくれたらと思うのだが、肉餌は・・今一つ。
もどかしい・・。 
8月24日 アシナガアリの新女王からの育成を見て、いつも思うこと。
初期ワーカー、あれだけの数で立ち上げ出来ているのだろうか。
クロオオアリやクロヤマアリは10匹ほどは生産するが、アシナガアリはそれよりも少ない気がする。
かと言って、2匹女王で飼育したら殺し合いになってしまった(2007年辺りだった気がする)。野外ではどうなってるんだろう。
ヨツボシオオアリやクサオオアリはもっと単雌創設って出来ているんだろうかと思うほど。
クサオオアリは飼育例が非常に少ないので何とも言えないが、そういう種類はやはり多雌創設してその後女王が間引かれているのだろうか。
これだけでもアリの世界の奥深さを考えずにはいられない。 
8月25日  ケアリは、シーズン初期ミールワームメインにしていた。
ミールワームにした理由は至ってシンプルで価格が安いうえに入手しやすいからだ。
食べてくれる。
しかし、ケアリが増えないということはやはり少し少ないのだろう。
ミールワーム、どれくらい与えれば良いのだろうか。今でも分量が良く分からない。 
8月26日 明日から蟻研だ。
採集用具はごく少なめにして着替えメインの荷物にした。
アリたちには餌を沢山与えて出ていくつもり。
蟻研、どんな展開になるのだろう。
そして、今頃はどんな人と喋っているのだろうか。 
8月27日 蟻研初日。
移動だけで殆ど終わったという感じ。
夜に灯火を巡ったが、涼しい風のためか来ている虫の数自体が非常に少なく、ケアリのオスが少し見つかっただけだった。
虫関係では見所は少なかったが、蟻研ならではのお話タイムがとても楽しかった。 
8月28日  蟻研中日。
幾つもの研究発表を興味深く聞いていた。
夜に外を歩くと、蒸し暑い気象条件のためかシリアゲアリにケアリ、ハヤシクロヤマアリにクロオオアリ(!)まで見られ、季節感がカオスな状態だった。
聞いたところではクロオオアリは飛びそこなったメスアリが追い出されたのではないかと言うことだった(実際、クロオオアリのメスアリは右の触角がほぼ欠損していた)。
日付が変わるころまで宴会していた・・。 
8月29日  蟻研最終日。
大変残念なことに、朝から雨で採集は中止になった。
10時半頃散会して相野々駅から電車に乗って帰った。
今回も、とても楽しい会になった。
私は採集、撮影は全くしていなかったが話をして、聞くことで十分だ。
夢のような3日間が終わってしまった。 
8月30日  蟻研が終わり、アリに給餌をした。
特に壊滅したコロニーはなく、どのコロニーも元気だった。
数日、家を空けるとこれに気を遣うが無事にすべてつつがなく終わって良かった。 
8月31日 アメイロケアリの餌場、よく見るとアメイロケアリの働きアリの死骸がぽつぽつある。
心なしか、ケアリの数も少し減って全体的に数が少し減った気がする。
よろしくない。
何とか改善しなくては・・。
女王は元気だが、取り巻きの働きアリをいかに維持していくかが課題なのだ。 

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