2016年8月の観察日記

8月1日 アメイロケアリに入れたケアリの繭、蛹から毎日多くの働きアリが羽化している。
餌をいくら与えてもすぐに空にされてしまうのだ。
働きアリの栄養に回るだけで精いっぱいで女王にまで回っているのだろうか、と不安に思うほどだ。
女王は元気だが、今のところ産卵はまだ始まっていない。
腹部も特に肥大化はしていない。
8月2日 アリの肉餌。
ハニーワーム、ショウジョウバエ、ミールワーム、アカムシにコオロギ。
この辺りをメインに試してきた。
どの餌にも一長一短があるのだが、他にあるだろうか。
ショウジョウバエは意外と食いつきが悪かったような気がする。
ミールワームは一番安価で手に入りやすい。
乾燥アカムシはミールワームの次に安い気がする。
コオロギは食べ残しの細かい粉末が出てしまうのが気になった。
ハニーワームは食いつきが良いのだが、少し高い。
番外編で、蚊は食いつきが良いが、大型コロニーを賄えないし、私自身をトラップに捧げるというのが少し鬱陶しい。
肉餌・・結構奥が深いと思う。 
8月3日 8月になった。
クロヤマアリはそろそろシーズンエンドも視野に見えてくる時期だ。
結局、今年も増えなかった。
何が悪いのだろうか・・。
飼い初めのころ、こんなに苦労した覚えがない。
働きアリさえ羽化したらサクサク増えていた気がする。
・・・・
8月4日 5月に採集したムネアカ。
どうなったのだろうか。

こうなっている。
女王のお腹が「ボンレス状態」である。
メイプルとミールワームを与えているが順調そうだ。
8月5日 箕面で採集したナワヨツボシオオアリ。
撮影は初めてだったので撮影した。

女王。元気。腹部が大きいのはメイプル水割りを数日前に与えたから。

卵。少なくて不安になる・・。今のところ卵食いは起こっていない。
8月6日  昨日のナワヨツボシオオアリに続いて、こちらにご登場願った。

先日、掲載した卵はまだあるのだが、もう1匹のクサオオアリは卵を食べてしまった・・。 
8月7日 アメイロケアリに入れたケアリの繭はほとんどすべて働きアリが羽化してきた。
残る蛹、繭は数個だけだ。
アメイロケアリの女王の産卵はまだ始まっていない。
と言うより、最近氷枕による結露のために観察がし辛く、たぶん生きているだろうというレベルなのだ。
肉餌、蜜餌ともに恐ろしく消費するのは心強いのだが、2009年の例もあるので早く卵を見たい・・。 
8月8日 5月に採集したアメイロアリは働きアリの誕生までこぎつけたが女王が突然死する現象が2コロニーで起こり、残っているのは1コロニーだけだ。
アリを飼育していると、珍しくない頻度で起こるのだが女王がある日突然に死ぬというのはいつまでたってもやり切れない。
死んだ女王のそばで女王が産んだと思われる卵や幼虫の世話にいそしむ働きアリを見るのは複雑な気分だ。 
8月9日 アメイロケアリの女王はここ2日ほど所在不明なのだ。
今年の春にクサアリモドキの1コロニーで女王が崩御された。
その後の容器を転用したが、その容器にはクサアリモドキが作ったカートンがある。
また、真夏なので氷枕で冷やしているのだが、結露が発生している。
そのため、内部の観察が非常にし辛いのだ。
ケアリの働きアリは沢山いるのだが、その団子のどこかにいるのか、カートンの内聞にいるのかがわからない。
そもそも、姿が見えないので生きているのかの確認も出来ない有様なのだ。
ケアリの働きアリが卵を咥えていないかは毎日見ているのだがまだ観察できていない。
この分だと、アメイロケアリの産卵が始まってもアメイロケアリの働きアリの羽化は来年になるかもしれない・・。
8月10日 ナワヨツボシオオアリに、また登場願った。

腹部が大きくなっているのは、メイプルを飲んだからである。

卵。うーん、やっぱり増えていない・・。
8月11日 枚岡を歩いてきた。

石をめくるとウロコアリがいた。

明りの近くで見つけたウメマツオオアリの脱翅メス。左触角が欠損していたためか、持ち帰ったがお亡くなりになった。
他の収穫は石をめくると見つけたハヤシクロヤマアリの繭数個と幼虫十数匹であった。
ハヤシクロヤマアリの方はクロヤマアリにメイドさんとして導入した。
羽アリ関係は殆ど見かけず、寂しい結果であった。 
8月12日 アメイロケアリのコロニーで卵を咥えているケアリの働きアリを見た。
数はまだ多くなく、十数個程度なのだが、一瞬姿が見えた女王も腹部が肥大化し始めている様子なので、まずは一安心。
ケアリの働きアリの数が多く、メイプルもハニーワームもすごい勢いで消費している。 
8月13日 恒温機は、今年も日中のみの稼働にしている。
夜は私がエアコンをつけるので却って熱を排出してしまうからだ。
恒温機に入らない種のうち、クサアリモドキとアメイロケアリには巣部屋の上に氷枕をのせて凌いでいる。
氷枕を乗せると涼を求めるんだろう、天井部に多くのアリが集まる。
やっぱり、暑すぎるのは好みではないとこれを見てると思う。
8月14日  クロナガアリは元気にしている。
この種は、飼育管理が非常に楽なのが好感触だ。
餌は週に1回くらいで良いので水にさえ気を付ければよい。
以前の日記をご覧いただければお分かりになると思うが、カゼクサの種子を大量に与えたことがあった。
巣部屋にため込むのが見ていて面白かったからだ。
しかし、結果大半の種子がかびてしまう結果に終わった。
そこで、週に1回、粟を与えることにした。
他の種はこまめに給餌すればよいのだが、この種だけは少し違う。 
8月15日 先月、女王アリを採集したケアリがいた。
そのコロニーに、アメイロケアリに入れたケアリの繭を数個入れたら、働きアリが羽化して女王アリの手伝いを始めた。

この働きアリは採集した繭から羽化した働きアリだが、卵は女王アリが産んだものだ。

繭。すべて女王アリの産んだ子の繭だ。

保湿用ティッシュの陰に隠れてしまったが女王アリ。
傍のケアリと比べると体色がやや異なる。

導入したケアリ。数匹しか入れていないが、この女王のヘルプさんとして本当に役立っている。
8月16日 6月に女王2匹を採集したトビイロシワアリである。

卵幼虫蛹が増えてきた。

働きアリも10匹ほどだが安定感が出てきた。
8月17日 クロヤマアリは、数年ずっと恒温機で夏を過ごしていた。
しかし、これに入れることでアリたちがかなり早くに「秋」を感じてしまい、その結果少しずつ働きアリが減っているのではないかという疑念が生じ、今年は恒温機をやめにした。
今のところ、当初危惧していたような働きアリの死亡は起こっていない。
むしろ、ケアリほどではないが活気を感じるほど。
働きアリは今年も大して増えなかったが、来年以降の参考にしたいと思える収穫だった。 
8月18日  アメイロケアリには卵塊が見える。
見える・・のだが、飼育容器の先代の住人だったクサアリモドキが作成したカートンの隙間に女王も卵塊も収容されている。
そのため、撮影が非常にしにくい。
女王に至っては最近、カートンの陰に引きこもって姿を全くみていない。
少し、消化不良の気もするがアリが産卵に専念できるような環境を作るのも必要か、と自分を納得させている・・
8月19日  暑い時期だ。
帰宅時に、部屋の中の温度計を見ると35℃になっていた(午後8時頃だ)。
そんな日に、まさかの恒温機の電源入れ忘れ。
慌てて恒温機内のアリとシロアリの様子を見る。
見たところ、異常はないようだ。
それにしても、危なかった。
特に高温に弱いシロアリとアシナガアリのことを考えると血の気が引いた。
8月20日 クロヤマアリ。先日、繭を導入したコロニーである。

・・・おおぅ。女王が死んで餌場に打ち捨てられていた。
この女王は昨年大阪城で採集したもので今年の初めには女王が2匹いた。
しかし、今年に入って女王が1匹死んで、そして今日…。
合掌。 
8月21日 アメイロケアリの卵塊を撮影できた。

女王は相変わらず姿を見せてくれないが元気なのだと思う。 
8月22日 ナワヨツボシオオアリ。幼虫が見られるのだが・・

この1匹と卵が数個だけ。
・・・厳しいぞ・・。
ウメマツオオアリから繭が入れられたら良いのだが、こちらは繭が極めて少ない・・。
8月23日 久々にクサアリモドキの日常。

繭山の中を歩く働きアリ。

上とは別の働きアリ。
女王は元気だが、今年も肉餌の給餌を少し控えたので現状維持のコロニーサイズに収まりそうだ。
8月24日 キイロシリアゲアリ。

女王たちは至って元気だ。

働きアリが増えてくると、女王の「間引き」が起こるという話だが、我が家の女王たちは平和そのもので共存している。

昨年、見られたオスアリはまだ見られない。
ミールワームの欠片とメイプルの水割りのみで維持できている。
黄色の美しいアリで、飼いやすい方ではないかと思う。
8月25日 蟻研初日。
当初の予定では、河内長野駅3時台発のバスに乗車予定だったのだが、仕事に都合がつき1時台のバスに乗ることができた。
(南海の車内で私の隣に会長とYさんが座られたのにはびっくりした)。
初日は、オリエンテーション後、すぐに研究発表が行われた。
普段、この手の話題には触れる機会が少ない私にとってはとても興味深いものばかりだった。
夕方からバーベキュー大会になった。
しかし、凄まじい夕立が来た。
開始当初は、今にも止みそうだったのだが午後7時を過ぎたあたりから雨、風が激しくなり、雷鳴も轟く天気に。
そんな訳で、屋根のある場所にて懇親会を兼ねたBBQとなった。
私の方はと言えば、M先生に声をかけられ、自宅近くのアリ相調査を勧められ、大阪城のクロヤマアリの話(大きな女王と小さな女王の話)をすると、A先生をM先生が引っ張ってこられ、話を聞いていただいた。
また、アマチュア(のはず)のMさんは10年ほど前に私を枚岡で見かけたと仰っていた。
BBQが終わるころには雨も殆ど止んでいたので濡れることもなく宿舎へ帰り、お風呂タイム。
その後、交流会と言う名の酒盛りが日付が変わるころまで続いた。 
8月26日  蟻研2日目。
1日研究発表と総会だった。
とても有意義なお話が沢山聞けて楽しい1日だった。
2日目の夕食は食堂で食べるというシンプルなスタイルだったが、その後早い時間から交流会が。
これまた日付が変わるまでお話をし、K会長の唄が披露されるなど楽しい宴が続いたのだった。
また、昨日のM先生との話で採集するのに小さなバイアルが見つからないという話をしていると。Fさんがバイアルを10個ほどくださった。
また、昨日知り合ったMさんに小型のピンセットもいただいた。
何だか、貰ってばかりで恐縮してしまった。 
8月27日  蟻研3日目。
今年の会場はかつて私が財布を落とした河内長野の奥地だった。
人数と車に余裕があるというので、目的地まで車で行くことができた。
私は車窓から財布を探してみたが、やはり見つからなかった(と言うより、見つかれば凄すぎるとは思っていたが)。
私は枝折りをしてシリアゲアリやナワヨツボシオオアリを出して、希望される方に差し上げたりしていた。
昼食のお弁当を食べて午後1時頃にエクスカーション終了。
河内長野駅まで送っていただいた。
ちなみに今回もカメラを持って行っていないので写真はない。
とても楽しい会でした。
皆様、ありがとうございました。 
8月28日  蟻研から帰宅したが、アリたちは至って元気だった。
木曜の朝、出発前に多めに給餌していたしね。
そして、今日はアメイロケアリだ。

女王アリ。本当は、真上から撮影したかったが、女王の真上に大きな結露の水滴があってこの角度からしか撮影できなかった。

卵塊。まだ、幼虫は見られないが今年中に孵化までは見られるだろう。
8月29日 5月に採集したミカドオオアリのこと。
女王が死去したムネアカの繭を入れていたが、先日自前の働きアリを1匹生産した。
そして、先日の蟻研でミカドの繭を数個入れていた。
そこからミカドの働きアリが羽化して女王をヘルプしてくれている。
うん、とりあえず危機は脱したかな・・
ちなみに、画像は写真撮影しようとすると働きアリの脱走が見られるような小さな容器なので撮影叶わず・・
また、引っ越しさせて画像載せます。
8月30日 チクシトゲアリでは、今年もオスアリが誕生している。

メスアリが発生しても、交尾条件が分からない・・。
同居させても、馴染んでしまって全く交尾行動が見られないまま終わってしまう・・
8月31日 22日に書いたナワヨツボシオオアリは幼虫が繭になった。

働きアリが誕生してくれたら女王の負担も少しは減るはずなので、この繭から働きアリの誕生が待たれる。

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