2016年5月の観察日記

5月1日 午後、枚岡を歩いた。
風が強く、飛行には適さないと思ったが現状視察的な意味だった。
枚岡神社そばのヨツボシオオアリの♂羽アリが数匹と働きアリが外に出て風や気温を窺っているようだったが飛ぶ雰囲気は無かった。
飛ぶとしたら明日以降だろう。
アメイロアリやクロクサアリも全く見かけなかった。
昨日、自宅そばでヤマトシロアリが飛んでいたようで羽を落とした王或いは女王が見られたのでひょっとしたら・・と思ったがこれも空手だった。
まだ、5月は始まったばかりだ。
しかし、今年のクロナガの例もあるし、上手く飛行の時期に観察できるか不安を感じている。
5月2日 明日から連休だ。
枚岡を歩いてみようと思うが、特に目的は定めていない。
今年はアリの飛行に遭遇できるだろうか。
クロナガの時にも思ったが、自然のものが相手なのでこちらの思い通りに動いてくれないことも当然あり得る。
だから、もし休日に大飛行の日が当たれば至福のひとときとなるだろう。
どうなりますかね・・・。 
5月3日  夕方から天気が崩れる予報だったので、一日出かけられなかった。
そして実際夕方4時ころから雨が降り出した。
この時期の新緑は非常に気分に良いので何とか歩きたかったが、天気には勝てない・・。 
5月4日  北摂、るり渓を歩いた。
非常に風が強く飛行しているアリは一切見かけなかった。
歩いて思ったのは渓流沿いの道にはアリが非常に少ないということだ。
案外、上の車道沿いの方が何か見つかったのではないかとすら思った。
結局、特に収穫はなかった。
北摂のあたりは今のところ成績がいまひとつなので「当たり」の場所を見つけたい。 
5月5日  枚岡を歩いた。
今日はアメイロアリの飛行日だったようで、日向ではオスアリが走り回り、メスアリも見られた。
側溝のあたりでもう少し粘ればもっと採集できたかもしれないが、とりあえず2匹採集。
アメイロアリは昨年1匹しか採集できずそれが子供食いに走ってしまい、ダメになってしまった。
まずは働きアリを生産することから始めたい。
5月6日  4月30日に、自宅近所でシロアリの飛行があったようで、羽を落としたアリが見られた。
風人さんからヤマトシロアリの飼育は意外と難しいと以前伺ったのだが、試さないわけには行かない。
昨年は全く拾えなかったので今年はリベンジの機会を得たわけだ。
今のところ、見た目は変化がないが、あまり触りたくないのでティッシュの陰に卵がある可能性はある。
5月7日  今日も枚岡を歩いたが天気がいま一つで当然の如く何も飛んでいなかった。
美味しいところが見られず、「ボーズ」で枚岡を後にした。
まだ、シーズンは始まったばかり。
そうは分かっていても、「完全ボーズ」というものは少し疲れるものだ。 
5月8日  枚岡を歩いてきた。

シロアリが数匹いた。私の目の前で羽を落とした。
自宅そばで採集したので今日は採集しなかった。

何らかの原因で死んだ有翅メスに交尾を試みる2匹のアメイロアリのオス。

ヨツボシオオアリのオスが1匹だけいた。

もう1枚。
山の上の弘法の水辺りでもこれと同じと思われるオスアリがクモの糸に絡まっていたが、メスアリは見かけなかった。

美しいハチがいた。
寄生バチと思われるが、セイボウの仲間?
メタリックグリーンで美しかった。

午後4時ころに、オスアリが少し外に出てきているクロオオアリコロニーがあったが、飛ぶ雰囲気はなかった。
5月9日  ハニーワームを貪るクサアリモドキを見ているといつも思うことがある。
制圧した後すぐの頃と働きアリが群がり始めたころとではハニーワームが明らかに縮んでいるのだ。
これは恐らく、体液を働きアリが飲んでいるのだろう。
その後で、肉の部分を齧るのではないかと思う。 
5月10日 クロヤマアリに繭が出来ている。

これは女王2匹で働きアリ1匹の超零細コロニーなのだが、繭が現在6個ある。
繭のそばにあるのはフライトレスショウジョウバエの食べ残しだろうか。

女王と働きアリ。
繭が羽化したらこの働きアリの負担も少しは減ると思うが、繭の後が卵しかない状況だ。
卵幼虫蛹が存在する状態にもっていきたいんだけど・・。
5月11日
卵である。
そして、それを産んだのが・・

この前採集したアメイロアリだ。
今のところ順調だが、このまま脱落個体なしに働きアリの羽化まで行けるだろうか・・。
5月12日 昨日、雨が降った。
今日は晴れて気温もそこそこ。風も弱め。
これは!と思い、仕事終了後に枚岡に足を伸ばした。
電車を降りた時、すでに7時前だった。例年のパターンから急に夜の帳が下りてくるということは知っているので(一応懐中電灯は持参していたが)、足早にポイントを見ていく。
・・・おかしい。やけに静かだ。
女王アリはおろかオスアリの死骸すらない。
今日が本命ではないということなのだろうか。
神社の観察している巣口も賑やかな様子はなかった。
明日以降ということなのだろうか。
今日は何か見つかると勇んで出かけただけに少々拍子抜けだった・・。 
5月13日 シベリアカタアリには最初ショウジョウバエを与えていた。
しかし、非常に食いが悪く餌場に放置されたままということも多かった。
そこで、ミルワームの切片を与えてみた。
凄く受けが良い。
ハエは万能餌だと思っているが、今回に限ってはミールワームに軍配が上がりそうな気配だ。 
5月14日  観察会当日。
10時半に枚岡駅に私を含めて7人が集まった。
天気は快晴。
風も弱くアリの飛行が見込まれる天気だった。
登り始めてアメイロアリのオスが色々なところで屯しているのを見つけた。
しかし、メスアリは見つからず。結局今日はアメイロアリのメスアリは全く見つからなかった。
クロクサにしては少し大きいのだが、クサアリモドキには早すぎるよくわからないクサアリの脱翅メスを見かけたがスルーしてしまった。
今思えば持ち帰ればよかったのかもしれない。
今回は参加者が7人という大所帯のためにそれぞれ話をしながらゆっくりと登る。
展望台で下界を見ながら様々な話をしたり、昼食時にセイボウ(この前紹介したもの)を皆で見ながら歩いて行くが、特に収穫はない。
暗峠を越えて竹ポイントで少し竹を割るとミカドが出たがサテライトだった。
スカイライン沿いでケブカツヤオオアリのサテライトが出た。
あの特徴的なメスアリを見てもらって少しほっとした。
その後、暗峠でイタドリを折るとケブカツヤオオアリのコロニーが複数出たがすべてサテライトだった。
今回はこれ以上の見せ場はないかなぁと思っていた。
公園事務所付近のクロオオアリが今にも飛びそうに羽アリが屯しているが見ている前では飛ばなかった。
椋ヶ根橋でキイロヒメアリを探した。
最近、ここではキイロヒメを見ていなかったのでいるかどうかわからなかった・・が風人さんがすぐにコロニーをゲットされた。
キイロヒメは風人さんのリクエストだったのでよかったと思ったがすぐにそれを引き当てた「引きの強さ」には驚かされた。

実はこの時、椋ヶ根橋の欄干でこのような光景が見られていた。
いま一つの画像だが、ヨツボシオオアリのメスアリが結婚飛行を始めたのだ。
ヨツボシはもっと昼間に飛ぶと思っていたのでびっくりした。
そしてこれが全ての始まりだった。

椋ヶ根橋で採集している面々の様子を見た後、再びヨツボシオオアリの様子を見に行くと大きな羽音とともに私の足もとに何か飛んできた。
何とムネアカオオアリのメスアリだった!
交尾しているかわからないがとりあえず採集した。

そして、このような光景が続々とみられるようになった。鳥?にやられて瀕死のクロオオアリ。脚がわずかに動いていた。

ムシヒキアブがクロオオアリを捕まえて体液を吸っている間に誰かが踏んで両名とも息絶えていた。
死んでしばらく時間が経過したようでアリが集まり始めていた。

アブに捕まったか鳥か何かの襲撃を受けたかで死亡したムネアカオオアリ。今日はムネアカオオアリは神社への道でこのように息絶えた個体をよく見た気がする。

クロオオアリを捕まえたムシヒキアブ。これを見ると毎回アブに先にアリをヤられてとても残念な気分になる。

そして、クライマックスは神社の参道だった。
ミカドオオアリ、ムネアカオオアリ、クロオオアリが次々に見つかったのだ。
ミカドオオアリは羽を落としたものはいなかったがムネアカオオアリは目の前で翅を落とすところを見せてくれたし、参道を歩く大きなアリの姿が参加した方々の目の前に次々と現れた。
2006年にこんな光景を見たがまさにあれとよく似た感じだった。
最初は割と大人し目の会だったが最後で大盛り上がりになった。
駅のホームに着いたのは午後6時を過ぎたころだった。

今日、私はムネアカオオアリ2匹、翅が丸ごと残ったミカドオオアリが1匹、翅が1枚だけ残っているヨツボシオオアリを1匹採集した。
そして、ムネアカオオアリはすぐにフィルムケースの中で羽を落とした。

最後になりましたが、参加された皆様、お疲れ様でした。
皆様のおかげで私一人では気がつかない面白い発見ができ、皆様から面白いお話をたくさん聞かせていただいてとても楽しませていただきました。
ありがとうございました。
5月15日 今日も枚岡を歩いた。
歩き始めてすぐにミカドオオアリの脱翅メスを採集した。
物陰に隠れてしまいそうだったので撮影する暇がなかった。
そして、登り始める。

ムシヒキアブ。何を捕まえているのかと思って覗きこむと小さなハチを捕まえていた。

ヨツボシオオキスイ?

ムネアカオオアリは今日も見つかった。この個体は枝の下に潜り込んで隠れたつもりになっている。

上の集落付近で見つけたジョウカイボン。 

アマガエルがいた。

板鳥の葉の上で交尾していたハエのカップル。

ときどき見かけるキンカメムシ系と思われた幼虫。後でツイッターでアカスジキンカメムシの幼虫だと教えていただいた。アカスジキンカメムシがいるとは・・枚岡は奥が深い。

ムネアカオオアリが落とした翅。近くにこれを落とした新女王は見当たらなかった。

ムネアカオオアリのメスアリが飛び立とうとしていた。近所を探したがこの1匹だけだった。

少し賑やかなクロオオアリもいたが、がらんとした巣口が多かった。かなり飛んでしまったのだろうか。

ムネアカの脱翅メスは昨日ほどではないが見つかった。
体が大きいので目立つ。

まさに「ムネアカ三昧」だった。見かけた数自体はそれほど多くないが新女王やオスはほとんどムネアカという感じだった。

不用意にクサアリの行列に踏み込んだムネアカの脱翅メスが襲われていた。
クロオオアリはごく少数飛び立ちを見たが、ほとんどの巣口は大きく開いた巣口に対し出入り口のアリはほとんど姿が見えない状況だった。
そういうコロニーはもう飛んでしまって殆ど羽アリが残っていないとみてよいのだろうか。
最後に、昨日とほぼ同じ時間に神社の参道も歩いてみたが何もいなかった。
そう考えると、昨日は運がよかったのだろう。
5月16日 ムネアカ。

これは土曜日に採集した個体。
メイプルを飲ませたので腹部が少し大きい。
ただ、土曜日に採集した女王はまだ産卵していないが、昨日採集した女王2匹がすでに散乱開始しているのがなんだか不思議だ。 
5月17日 土曜日に採集したミカド、ヨツボシ、ムネアカ。ミカドオオアリは翅を落とさず、ムネアカとヨツボシも産卵していない。
ムネアカは少し変だ。
何か落ち着かないような感じを受ける。
日曜日に採集したムネアカは産卵を開始しているので、明日になっても産卵しなければ容器を変えて様子を見てみよう。 
5月18日 ムネアカは全ての個体が産卵を開始した。
ところが、ミカドとヨツボシは全く産卵していない。
土曜日に採集したミカドはまだ翅を落とさない。
日曜日に採集したミカドは脱翅しているのに、産卵しない。
土曜日に採集したヨツボシは最初から3枚の翅を落としているのに、容器の上の方にとどまって産卵しない。
この2種はやっぱりちょっと癖がある・・。
5月19日 ケアリはすこぶる順調である。

繭を作る幼虫は1か所に集められて繭を紡いでいく。

女王アリも元気で、どんどん産卵している。

裸蛹も多くみられる。繭になるものと、裸蛹になるものとは何が違うのだろうか。

働きアリ同士の栄養交換。
5月20日 ヤマヨツボシオオアリ。

繭沢山。ハニーワームを与えている。
5月21日  枚岡を歩いた。

スミナガシ。近くに寄って撮影できた。

ぶれてしまったがヨツボシオオアリの有翅メスが1匹いた。

側溝にヘビがいた。ヘビはよくわからないが、ジムグリ?
(※後日、スラダケさんからこれはマムシだというご指摘をいただきました)

クロクサの女王がいたが、どうも思っているものより体の色が濃いし少し大きい気がする。いわゆる「デカクサ」の女王だろうか。

綺麗なガがいた。

ナナフシの幼虫がいた。

アシナガアリがムネアカオオアリの脱翅メスの死骸を運んでいた。
状況からみて、ムネアカは今日飛んだものではなく、昨日以前に飛んだものが死んでそれを運んでいたと思われた。

カミキリムシ。種類はよくわからない。

寄生バチが脱出したアゲハの蛹があった。

ジョウカイボン。

イチゴ。

アワフキムシの泡。

ニワハンミョウかなぁ。

羽音がしたので見に行くとクマバチがいた。どうも飛べなくなっているようだった。

キリギリス系の幼虫。

ホタル?よくわからない。

再びジョウカイボン。

日光浴中。

これは驚いた。まさかのアカスジキンカメムシ。

もう1枚。図鑑でしか見たことのないこの種類を今日目にするとは思わなかった。

クロオオアリの巣口を見たが巣口に羽アリが屯することはなかった。
オスの羽アリが1匹、入口付近のトンネルを歩いて行くのを見ただけだった。
枚岡のオオアリはやはり先週の土曜日辺りに終わったのではないかと思えた・・。
他のオオアリ類も見かけなかった。
アメイロアリもオス、メスとも全く見かけなかった。
こちらも終わったのかもしれない。
5月22日 大阪城にクロヤマアリの様子を見に出かけた。
いろいろと見て回ったが、クロヤマアリの有翅オス、メスともに見かけることはなかった。
昨年紹介した寄生バチも見かけなかった。
今日は視察ということで、来週以降に持ち越しだ。 
5月23日 ヨツボシオオアリとミカドオオアリ。
翅は落としているのだが全く産卵しない。
過去にこの2種は飼育したことがある。
何れも働きアリの羽化には至らなかったが産卵はした(卵幼虫を食べてしまうというスパイラルに陥ったのだ)。
しかし、産卵をしなかったということは今までに一度もなかった。
何が悪いのか分からなくなってきた・・。 
5月24日 久々にシベリアカタアリにした。

蛹が見える。最初、ショウジョウバエを与えていたがどういうわけか極めて食いが悪かった。徐々に幼虫が減ってダメもとでミールワームのかけらを入れると食べてくれた。
そして何とか持ち直しつつある。
3匹いた女王も元気で卵も少し増えてきつつある。
5月25日 ケアリは働きアリの羽化が始まっている。

羽化したての働きアリは美しいと思う。

蛹の山の中を歩く働きアリ。
5月26日 この前、採集したアメイロアリにした。

1匹、成長した幼虫がいる。
他も大体こんな感じ。
成長した幼虫はもうすぐ蛹になりそうだ。
5月27日 14日に採集したミカドとヨツボシのその後。
ミカドは卵を3つ産んだ。
しかし、ヨツボシは全く産卵しない。
ミカドにしても以前飼育した個体はもう少し産卵していたはず。
今の段階でこの状況は・・厳しいかもね・・。
5月28日
繭を咥えるクサアリモドキの働きアリ。
クサアリモドキも繭が沢山出来ている。 
5月29日 クロヤマアリの幼虫。

よく太っている。

卵。

身づくろいをしている。
クロヤマアリは働きアリの数がまだ少ないが少しずつ増えてはいる。
5月30日 昨年の夏に箕面公園で採集したケアリの女王がいた。
この女王、子供を食べてしまうという良くない傾向が続いて、ダメかと思っていた。

卵はたくさんある。

そして・・女王の下に働きアリがいるではないか!
2匹確認できた。
採集して10か月。
ようやく初子が羽化した。 
5月31日 昨日、箕面ケアリで採集後10か月で2匹、働きアリが羽化したと書いた。
しかし、今日見てみると1匹の働きアリが死んでいた。
原因は不明。
そんなわけで働きアリは1匹だけになった。
1匹でも全くいないよりはずっとましなのだが、状況は相変わらず厳しい・・。 

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