2016年3月の観察日記

3月1日 キイロシリアゲアリにした。

女王アリ。オスアリを生産したが、女王は1匹も脱落していない。

働きアリと幼虫。
冬の時期で成長は見られずほぼこのサイズで均一だ。
3月2日 クロヤマアリの女王アリには「小型」のものと、「大型」のものがいるように思える。
それについては何度かここで触れたことがある。
これが、単純な個体差なのか、それとも他の要因によるものなのか分からない。
ただ、小型のものでも蜜を飲むと大型のものと遜色ないくらいに腹部は大きくなる。
今まで小型の女王を脱翅後すぐに飼育してみたことは何度かあったが何れも子育て下手な個体ばかりだった。
サンプル数がそれほど多くないので現時点では確たることが言えないが、何かありそうだとは思っている。
調査法も今一つイメージできないでいる。何かとっかかりがあれば・・とは良く思う。 
3月3日 クロヤマアリの石膏にはシミ状の青っぽいカビが点々と生えている。
そもそも、こんな物に点々とカビが生えると言うのも不思議にも思えるが、アリにとっては害があると思う。
そこで、引っ越しを考えている間に春になろうとしている。
石膏を敷いた容器は良いと思うが、管理の手間を考えて透明カップにキッチンペーパーでも敷いた物を使ってみようかと思う。
「アリの社会」(東海大学出版会)の最後で取り上げられていた飼育法だが、簡便なので一度やってみようと思った。
過去のクロヤマアリの日記を読み返すと早い年には3月7日に産卵開始したとあった。
正直、産卵開始は時間の問題だ。
この週末に用意、引っ越ししよう・・。 
3月4日 昨年夏に箕面で採集したケアリの女王。
幼虫食いの癖がついてしまい、極めて厳しい状況だ。

幼虫らしきものが1匹いるが、正直生きているかどうかも良く分からない状況だ。
この夏に見られる茶色のケアリと秋に見られるヒゲナガケアリと思われる大型のケアリは一度採集してコロニーを作ってみたいが、まだ成功していない。
3月5日 アシナガアリの幼虫。

細かい毛が密生している。
冬の間、乾燥アカムシを与えていた。 
3月6日  暖かい日だった。
メイプルの水割りを与えてみると、大好評だ。

ケアリに水割りをティッシュにしみ込ませて与えると大盛況。
これだけ集まってくれると見ていてうれしくなる。
まだ肉餌はあまり与えていないがそろそろ与えた方が良いのかもしれない。
3月7日 昨日に引き続いてケアリにした。

暖かいためか、冬の間女王を取り囲んでいた働きアリの塊がほぐれて女王アリが姿を現した。 
3月8日 ここでは初登場になる。
昨年5月に新女王を採集したクロオオアリである。
登場させなかった理由は特に無いが、新女王の日記は何回かやっていたので重複気味かと思ったということはある。

働きアリは現在40匹。
1年目にしてはかなり優秀な数を生産したのではないかと思う。
昨年、クロオオアリはこの1匹の新女王以外は採集していない。
明日以降冷え込むと言うので、アリたちの「春モード」もしばしストップしてしまうだろう。 
3月9日 クロヤマアリの肉餌について悩んでいた。
ミールワームの欠片でも、働きアリが1匹のコロニーには量が多すぎると思う。
気づかれずに放置され、腐敗すると言う展開も予想できた。
悩んでいると、フライトレスショウジョウバエと言うものが目に入った。
ショウジョウバエなら小さいし、食いつきも良いと思う。
少し送料がついたがハニーワームと一緒に購入してみた。
クロヤマアリはそろそろ産卵を開始する季節。
上手く行けば産卵ラッシュで働きアリが沢山羽化すればコロニーの勢いが復活する・・
なんて甘い考えを抱きつつ投入。
今の所まだ気づかれていないようだ。
食べてくれるかな? 
3月10日 昨日、クロヤマアリにショウジョウバエを与えたことの続き。
今日、帰宅後に2コロニーに入れたショウジョウバエを見てみた。
全く食べられていないようだった。
産卵がまだ始まっていないので肉餌への欲求が少ないのだろうか。
クロヤマアリの産卵開始がおそらく我が家では(クロナガアリを除いて)一番早いと思う。
その時にどういう風になるか、だ。 
3月11日 クサアリモドキにハニーワームを与えると巣内に運び込んでいた。

与えたのは一昨日だが、気温が低いせいかそれほど食が進んでいるようではないようだ。

お馴染みの幼虫たち。
もうすぐ、旺盛な食欲を見せてくれるだろう。
そうなると、餌を与えても与えても足りなくなる錯覚を覚えるほどになる。
3月12日  夜に、クロヤマアリの様子を見ると女王3匹のコロニーで女王アリが卵を1個咥えているのを確認した。
もう1つのコロニーではまだ卵を確認できなかったが、今年のアリシーズンも開幕したと言える。
過去の日記を読み返すと、私の飼育環境だとクロヤマアリは大体この時期に産卵を開始するようだ。 
シーズン開幕だ。
3月12日 昨日、産卵を確認したクロヤマアリ。
今日、見てみると卵が増えていた。

昨日の夜は1個だったが1日でこれだけ増えた。

と、その横では3匹いる女王アリのうち1匹が何故か虫の息だ。
昨日の夜の時点では全く問題無かったのだが今朝には動きがおかしくなっていた・・。
3月14日 アシナガアリにした。

幼虫が齧りついているのは乾燥アカムシだ。
これを食べてくれると給餌の手間が非常に省けて楽なのだ。

働きアリと幼虫。

働きアリ。

昨日、取り上げたクロヤマアリの女王アリは結局死んでいた。
復活してくれなかった。
原因が良く分からない。
合掌。
3月15日 久々にチクシトゲアリにした。

女王アリ。元気のようだ。チクシトゲアリは女王アリと働きアリの大きさにそれほど違いが無いのでいつも女王を探すのに苦労する。

働きアリと幼虫。
幼虫はそれほど多くないが存在はしている。
産卵開始までもう少し・・。
3月16日 昨年、6月20日にクロヤマアリの巣を観察していると寄生蜂に遭遇したことを書いた。
その時、私はコバチの仲間ではないかと思ったが、どうもあれはElasmosomaの一種だったようだ。
ふとした偶然でこのハチの事を知り、検索してみると私の見たものと飛び方や行動がそっくりの動画があった(https://www.youtube.com/watch?v=GYGdEoaMYWs)。
動画は外国のもののようなので、私が見たものと種が同じかまでは分からない。
このハチ、珍しいのだろうか。
と言うのは、大阪城公園にはクロヤマアリが多く生息しているがこのハチを見たのは1か所だけだったからだ。
今年、良い写真撮れるかな・・。
そして出来ればだが、寄生されたクロヤマアリを飼育してどのようなことが起こるのか見届けてみたい気もする。 
3月17日 12日にクロヤマアリの産卵開始の報告をした。
しかし、もう1つのコロニーではまだ産卵を確認していない。
この産卵を確認していないコロニーは女王が1匹だ。
与えたショウジョウバエは食べてくれているので、問題はないと思うが女王が1匹だと何かと気を揉む。
3月18日 クロヤマアリの産卵を開始している方は働きアリが1匹しかいない。
だから、あまり産卵を多くされても世話が行きとどかない危険がある。
そう考えていると、卵の増加ペースが鈍化した。
嬉しいのか、悲しいのか・・。 
3月19日 夕方、飲み会があって帰宅してすぐにあることに気がついた。
クサアリモドキの働きアリがちょろちょろ歩いている。
2週間ほど前にクサアリモドキの巣部屋を増設したがそこからだと思われた。
しかし、こういう常として中々脱走個所を特定できない。
取りあえず出ていた働きアリは回収したが脱走個所をふさがないと本当に「平和」は訪れない。
ただ不幸中の幸いは時期が春先でアリの活動がそれほど活発で無かったと言う事、。
真夏ならもっと脱走されていたかもしれない。
この連休中に場所を特定して塞がないと、宜しくない・・。 
3月20日 昨日のクサアリモドキの脱走は、グルーガンで接着した所にところどころ甘い所があり、そこから脱走していた。
問題は、そういうのが複数個所あり、「塞いでも塞いでも脱走される」と言う点だ。
クサアリモドキが脱走する時は空気の流れを感じるのか隙間のある近辺に壁面に集まるので、どの辺りかは分かるのだがそこから先は小さな隙間を出てくるアリを現行犯で確保しないとその問題個所が分からない。
もう少し、完全解決には時間がかかるかもしれない・・。
3月21日
今日は、クロヤマアリ。
ショウジョウバエを巣内に運び込んだ。
この働きアリがいるコロニーではまだ産卵が見られない。
早く産卵して欲しい所だ。 
3月22日 昨日、産卵していないクロヤマアリの事について書いた。
今日、帰宅後に様子を見ると卵を2個確認することができた。
これで、2コロニーとも産卵を確認できた。
ショウジョウバエも食べてくれているようでまずは一安心だが、働きアリが1匹だけのコロニーは心配の種。
繭、蛹が大量に手に入ればこんな問題も一気に解決できそうな気がするのだが不幸にもそういう場所に遭遇できていないのでコツコツ増やしていくしかないようだ。 
3月23日 ケアリ。

働きアリのお腹は大きい。メイプルを飲んだからだろう。

もう1枚。

幼虫たち。

今日の女王陛下。
働きアリが取り囲んでいる。
3月24日 冷え込んだので、アリたちは餌場に出て来ず巣部屋に引きこもっていた。
3月末とはいえ、まだこういう日もあるので本格的にアリたちの活動を見ることができるまでもう少しの我慢である。
3月25日 クロヤマアリに与えているショウジョウバエは食いが好評だ。
与える量が調節できるので(適当な数を入れるだけ)食べ残しも少ない。
働きアリが1匹のコロニーだとミールワームの切片でも大きいんじゃないかと思う事があるが、これならハエ自体の大きさも小さいし見た目にも食べた様子が分かるので良いと思う。 
3月26日  先週から今週の初めにかけて私を悩ませたクサアリモドキの新設した巣部屋からの脱走事案は解決したっぽい様子だ。
最後に塞いだ個所は1ミリあるか無いかという程度のものだったが、小型の働きアリがそこからちょろちょろと脱走していたのだ。
そこを塞ぐと、すぐ働きアリがあまり壁面に集まらなくなった。
おそらく、空気の流れが変わったのを感じたのだろう。
当面は、一安心・・と言ったところだ。
3月27日 クロヤマアリで産卵を確認したが、他の種類ではまだ産卵の確認は出来ていない。
産卵が確認できないと、コロニー自体の動きもまだ乏しいと言うことでもある。
明後日以降、一気に暖かくなる予報になっているので、女王の産卵の準備も整って行きそう。
そうすると給餌に追われると言うことになるだろう。 
3月28日 クロナガアリである。

幼虫。

卵と小さな幼虫。

オスアリと働きアリ。

メスアリ。
粟の実と乾燥アカムシしか与えていないが、よく増えてくれている。
1週間に1回ほど給餌している。
3月29日 ヤマヨツボシオオアリ。
目立って増えてはいないが、幼虫も見られるので「ヤマヨツ症候群」は今の所出てきていないように思える。

女王アリ。1匹だけだが、昨年は産卵を続けてくれた。
今年、増えてくれるかな・・。この女王アリにかかっている。 
3月30日 クロオオアリの幼虫は成長を始めたようだ。

幼虫の艶も良い。
ハニーワームを与えている。体内の色はハニーワームの欠片だろうか。
3月31日 暖かい日だった。
クサアリモドキとケアリが餌を探していたのだろう、餌場に働きアリが多く徘徊していた。
クロヤマアリで産卵が見られたが、他の種ではまだ確認できていない。
さてさて、次に産卵を確認するのはどの種になるのだろうか。
毎日、巣部屋を覗いては卵を探している・・。 

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