2015年9月の観察日記

9月1日 先日の蟻研、富士山で採集したツヤクシケアリの女王アリが死んでいた。
結局、新女王からの立ち上げに関して全く手掛かりすら得られないまま終わってしまった。
残念だけれど、また次機会があれば・・。
合掌。
9月2日 昨日、少し早い気もしたのだが恒温機の電源を切った。
ここ数日、特に朝方は28℃の設定温度以下に気温が下がり、日中も残暑と言えるほど暑さがないと言うことからこの判断をした。
今年は恒温機、およそ50日だけの稼働であった・・。 
9月3日 7月に新女王を採集したアシナガアリは働きアリが羽化してきている。

アシナガアリの働きアリは細長くあまり頑丈に思えない見かけだが、初期コロニーのものはそれに輪をかけて細長い気がする。

上とは別の働きアリ。羽化間もないのか、色が淡い。

女王アリ。毎度のことだけど、全体にピントが合った写真って難しいね・・・。
9月4日 クサアリモドキ。

育ったハニーワームは一通り使いきったので最近はコオロギにしている。 
9月5日 アギトアリを観察するために箕面に出かけた。

スズバチ?カリバチの一種だと思われるハチが休んでいた。

キイロシリアゲアリのオスは見られたが、メスアリを見ることは無かった。
飛んでいてもおかしくないと思ったが・・。

歩いているとケアリの有翅メスがちらほら見られる。どうもヒゲナガケアリのようだ。

このメスアリに一体何があったのだろうか。落とされた頭部が傍に落ちているのは不思議な気がした。

動く影が見えた。照らしてみると、アギトアリの有翅メスだった。やはり今年も飛んでいる。

見慣れない羽アリがいた。どうもカギバラアリの有翅メスのようだが、種類までが分からなかったので一匹持ち帰ることにした。

自販機にはオスアリが集まっていた。メスアリは少なく、全て有翅メスばかりだった。

夜8時頃になると、灯りに近い手すりにヒゲナガケアリの有翅メスがぽつぽつ止まっているのが見受けられるようになった。ここでも、有翅メスばかりだった。

ケシキスイの仲間っぽい。

クワガタ。枚岡でもそうだが、クワガタのメスは見かけるがオスは殆ど見た記憶がない。

3センチほどのムカデが良く走り回っていて、その1匹がメスアリを咥えていた。ちなみにこの後、フラッシュの光に驚いたのだろう、慌てて闇に消えた。別の場所で(撮影していないが)同じ種類と思われるそれほど大きくないムカデがアオマツムシをぶら下げるように食べていて驚いたりもした。

アギト。本日2匹目。

懐中電灯が、とある切り株を照らした時驚いた。沢山の有翅メスがたむろしていたのだ。
暫く見ていたが飛び立ちは見られなかった。

本日3匹目のアギトアリ有翅メス。
結局、脱翅メスはアギトアリで1匹見ただけだった(撮影できなかった)。
キイロシリアゲアリとヒゲナガケアリは飛んでいたがキイロシリアゲアリはメスアリは確認せず、ヒゲナガケアリは脱翅個体はいなかった。
ヒゲナガケアリは脱翅するのを期待して数匹持ち帰った。

おまけ
滝から駅に向かって歩いていると後ろから声をかけられた。
振り向くと、先日の蟻研でご一緒したTさんだった。ご学友と一緒にアギトアリを探していたと言うことだった。
ツイッターを見ると確かに行くと書いてあった(後から見た)。
少し話をして一緒にアギトアリを探したが、探索続行されるようだったので早めに辞去して駅前で夕食を食べて帰路に就いた。
9月6日  昨日、採集したヒゲナガケアリはどの個体も羽を落とさない。
羽をよじるようにしていた個体や見た所羽がぐらついているようなものを採集したつもりなのだが、変化なしである・・。 
9月7日 一昨日、採集したカギバラアリの種類の同定を試みた。
参照は「日本産アリ類図鑑」による。

件のアリ。触角が12節あるので、ダルマアリ属ではなく、カギバラアリ属だ。
ご覧のように、色は赤っぽい色で(赤褐色ね)、この時点で体色が黄褐色というヤマトカギバラアリをふるい落とした。

腹柄節を見てみる。ワタセカギバラアリの解説に「腹柄節は長さが高さよりも長く背面を緩やかな弧を描く」とある。イトウ、モリシタ両カギバラアリの図を見ても、少し腹柄節の形が違うように思える。
これから、私はこのカギバラアリをワタセカギバラアリと判断したが、いかがだろうか。
それにしても、腹柄節の拡大写真、もっとクリアなものが取れたら良かったね・・。
拡大するとどうしても粗くなっちゃう・・。
9月8日 土曜日に採集したヒゲナガケアリ。
どの個体も全く羽根を落とさないし、産卵もしない。
採集した時の羽を落とそうと身をよじっているように見えた行動は何だったのだろうかと思えるほど何も起きない。
・・厳しいかな? 
9月9日 今年はやけに涼しくなるのが早く、そのためかアリたちの幼虫も少なくなってきたように思える。
そこで、給餌の間隔を少し空けるようにした。
特にゼリーは少し間隔を空けた方が、食べつくしてくれてロスが少ないと考えたからだ。
こういう作業をやるようになると、今年のアリシーズンも終わりに近づいていると感じさせられる。 
9月10日 クサアリモドキ。これは今年のシーズン中に恒温機から常温の室内飼育に変更したコロニーである。

卵のある所だけうっすらと結露があるのだが、卵が沢山あるのはお分かり頂けると思う。
このコロニーの卵は以前から常温飼育しているクサアリモドキより沢山あり、コロニーの勢いと言うか餌への反応もこちらが今は良い。
それでも、かねてから常温のコロニーの調子が悪いと言う訳ではない。

こう言う色艶の良い幼虫が沢山いるのを見ていると何だか嬉しいような楽しい気分になる。
女王はカートンの陰にいるようで最近姿を見ていないが大丈夫と思う。
9月11日 ケアリ。

女王。腹部はボンレスではない物の大きいように見える。夏の間は良く産卵した。

蛹の一部。涼しくなり数も少し少なくなっているがまだ繭も、成長した幼虫も見られる。
9月12日  キイロシリアゲアリである。

働きアリとオスアリ。オスは働きアリと同じくらいの大きさしかない。
一時は沢山いたのだが、殺されたのか今ではそれほど残っていない。

女王のうち、1匹。働きアリが増えてくると単雌化すると言う話だが、我が家のものは女王が全く脱落せずに今でも多雌状態を維持している。
9月13日  久々にムネアカオオアリ。

女王は元気である。このコロニーはタッパー飼育だが特に問題ない。
餌はミールワームだったりハニーワームだったりコオロギだったりと餌の在庫状況に合わせてまちまち。
却ってそれが功を奏しているのかもしれない。
9月14日 クロヤマアリ。

昨年1匹新女王を採集し、その後働きアリがいなくなったコロニーに今年採集した新女王2匹を同居させた。
そのうちの1匹。
女王は3匹体制なのだが、全く増えない。現時点で働きアリは2匹しかいない。
繭が取れれば状況は好転するのだが、今の所そのような見込みは無く、苦戦が続く・・ 
9月15日  今年新女王を採集し立ち上げたアシナガアリ。

数日前にミールワームとメイプルを与えた。
餌を食べたためだろう、コロニーの状態が非常に良くなっているように思える。
でも、秋になったし、増勢するのは来年以降だね・・。
9月16日 ヒラズオオアリの最後1匹の新女王が死んだ。
今年も、飼育に関する手掛かりすら得られなかった。
タッパー空間が広すぎるのかと思い、チューブを入れてみたが入ってすらくれなかった。
・・・どうしたら良いんでしょう?
合掌。 
9月17日  箕面で採集したヒゲナガケアリのメスアリは全く羽を落とさないまま。
そうしてぽつぽつと死んでいく。
要するに、未交尾メスを採集したらしいのだが、今思えばあの羽を落とす時のような仕草は何だったのだろう。
普通に見るトビイロケアリと何か違いがあるのかと思って飼育しようと思ったが、肝心のメスアリが未交尾だと何も始まらない・・。 
9月18日 箕面で採集したケアリ。
卵を産んでは食べると言う悪循環に陥っていると、先日書いたのだが・・

育った幼虫と、

繭が1個見られる。
状況が好転する直前、メイプルを与えていた。
それから、急に育った幼虫が少しだが見られるようになり、繭出現に至った。
と言っても、働きアリが羽化するまではまだ油断できないのだが、目言おうルを与えた後に状況が好転したことは重要な示唆になった。 
9月19日  先日、働きアリが羽化したシリアゲアリだ。

働きアリは4匹。
メイプルやミールワームを与えても食べているのか分からないくらいだが、状態が良いようなので食べてくれたのだろう。
9月20日  涼しくなった。
それでも、常温飼育のクサアリモドキとケアリの食欲は中々のもの。
毎日メイプルを与えないと餌場を沢山の働きアリが歩き、壁面をよじ登ろうとする。
満腹状態だと壁面に挑戦する個体は少ないので、壁面に働きアリが多くなってきたら給餌の目安にしている。
一度突破されると恐らくパウダーを徹底的に塗らないと脱走が止まらないように思う・・・。 
9月21日 アリを飼育していると、「コロニーの様子が好転した」と思える瞬間がある。
個体数において今まで現状維持だったコロニーが急に増えだす時にそれを感じるのだ。それは餌の食べ方だと思う。
好転すると、急に餌をがっつくようになる。
現状維持の時は「いつも通り」の食べ方なのに、好転すると食べ方が変わり、働きアリがいつもお腹をすかせているように餌場をうろつく。
そして、餌が行き渡ると幼虫が育ち、女王はたくさん産卵するようになる。
当たり前のことを書いたとも思うが、状態の良いコロニーと言うのはそういうものだろうね。 
9月22日  今年採集したアシナガアリは女王の産んだ初子は全て羽化した。
その後、第2陣が今幼虫や蛹になっている所だ。
アシナガアリは、他のアリと異なりどうも低温でも少しだが産卵しているのではないかと過去の経験から思っているのだが、そうすると肉餌を与える必要があるのだろう。
これから冬になって行く。
初期コロニーの個体数は少ない。
冬は活動が落ちる。
食べ残しというロスが夏以上に出そうだが、やむを得ないかもしれない。 
9月23日 久々に枚岡を歩いてきた。

大きめのアブがいた。

トビイロシワアリがミミズに集まっていた。

大きさと時期から見て恐らくトフシアリのオスだろう。
今日、飛んだものではないようだ。

ハリブトシリアゲアリ。まだ、飛んでいる。

シジミチョウ。止まっている花はハギっぽいマメ科の植物。花のつぼみに腹部を曲げて産卵するような仕草をしていた。

これ、何ですか?1匹だけで歩いていて、写した中でこれが一番マシだったと言う・・。

あのー、今日は「9月23日、秋分の日」ですよね・・。なぜ、この時期にクサアリモドキの脱翅メスがいるんですか?1匹だけ歩いていた。潜り込んでいたケアリのコロニーを追い出されたのだろうか。想像は尽きない。

トゲアリの新女王アリが1匹歩いていた。かなり大きめのアリだ。

今日はキイロシリアゲアリの女王団子を見に行くつもりだったが、キイロシリアゲアリは見つからなかった。
トフシアリもメスは全く見当たらず。
9月24日 昨日、午後に大阪城にクロヤマアリの繭を探しに出かけた。
6月に有翅メスとオスの繭があった場所だ。
コンクリートをめくってみたが、引っ越しされたようでクロヤマアリは全く見当たらなかった。当然、繭も見当たらなかった。
はぁ・・繭が沢山手に入ればクロヤマアリの状態が一気に良くなるのは分かっているんだけど、繭が、蛹が手に入らない・・。 
9月25日  チクシトゲアリは、今頃が飛行時期なのだろうか。
餌場に出てきて落ち着きのない羽アリが増えている。
ここ数年、チクシトゲアリのペアリングに挑戦しているが、全く成功への糸口がつかめない状態になっている。
明るい室内に透明容器に入れたのだが、すぐ馴染んでそのまま・・。
と言うパターンだ・・。 
9月26日 昨年、採集したクロヤマアリの女王が1匹死んだ。
このコロニーは久しく働きアリがいないと言う状態に陥っていたが結局持ち直さなかった。
合掌。 
9月27日 キイロシリアゲアリには一時期オスが沢山いたが、ほぼいなくなった。
餌場に彼らのものである羽の残骸が打ち捨てられている。
飛行の時期を過ぎれば用無しと判断され、殺されたのだろうか。
それとも、単純に寿命が来たのだろうか・・。 
9月28日 クサアリモドキ。

カートン。女王はこの陰にいて、最近殆ど見ていない。

繭の山。もう、気温が低くなってきているのにまだこれだけの山が残っている。

卵塊。これ、越冬幼虫になるのだろうか・・。
9月29日 凶日だった。
何故かと言うと、19日に紹介したシリアゲアリ、一昨年採集したクロオオアリ、3年前に採集したムネアカオオアリの「女王だけ」が死んでいたのだ。
働きアリは至って通常営業。
死骸に寄り添う行動も見られる。
なぜに女王だけ・・。
合掌。 
9月30日 昨日女王の死を確認したムネアカ。
働きアリが一番多いコロニーなので、トゲアリのホストとして「最後のお務め」をして貰おうかと考え中。
この前、トゲアリを1匹見かけたのでまだまだ時期的に可能性はあるのだが、トゲアリの難しさも体験したので若干躊躇いもある。
しかし、このままだとムネアカは無駄になってしまうので、何とか女王を確保しようとこの週末以降、トゲアリをゲットしに枚岡かな・・と思ったりしている(今度の日曜は私用のため無理だけどね)。 

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