2015年8月の観察日記

8月1日 ヒラズオオアリはうまく行っていない。
産卵しないか、しても1つくらい。
そうしているうちに、ぽつぽつと死んでいく。
何が悪いのか、全く分からない。
そもそも、この種類は新女王から働きアリを誕生させるのが簡単ではない部類なのだろうか。手詰まり・・。
8月2日  最近、ケアリコロニーで良く見られるのが、石膏床面でなく壁面や蓋に多くの働きアリがたむろする現象だ。
これ、一体何だろう?
暑さのためなのか、よく分からない現象だ。
8月3日  ケアリ脱走。
ベビーパウダーをアルコールで溶いた物を塗っているが、一部がそれを突破した。
どうも、給餌を怠ると働きアリが餌を求めて一気に暴発するらしかった。
慌てて餌をたっぷりと与えると今までの騒動が嘘のように大人しくなった。
それにしても、パウダーをアルコールで溶いた物は今一つだ。
普通にパウダーを塗っている方が手間もかからない気がする・・。 
8月4日 チクシトゲアリの有翅メスと働きアリの栄養交換。

今年もメスアリが数匹羽化した。
別のコロニーではオスアリが今年も羽化している。
雌雄の羽アリが羽化するのでペアリングを試みているのだが、交尾や興奮と言った展開が全く見られず、すぐに馴染んで終わりと言うパターンから抜け出せない。
8月5日 これを見て、思った。

どこまで増えるのやら・・
このケアリの女王は2011年に採集したものだった。
複数この年に採集したが結局1コロニーしか残らなかった。
しかし、この残ったコロニーの増勢の様は中々すごい。
餌をセーブして目茶苦茶に増えないようにしているつもりだが、それでも勢いが凄い。
クサアリモドキも中々のものだが、このケアリも負けてはいないと思う。 
8月6日 7月に採集したアシナガアリ。

幼虫が見られる。
働きアリ誕生は9月頃を見ている。
8月7日  5月に1匹だけ採集していたアメイロアリ。
今日、見てみると女王アリが死んでいた。
最近は卵はあるけれどそこから先が進まないと言う典型的ダメパターンだったが、無念。合掌。 
8月8日 クロヤマアリの調子が上がらない。
ケアリやクサアリモドキのように常温プラス氷枕にしたい気はあるがスペースの関係で果たせていない。
ハヤシの時もそうだったが現状維持のままだとじり貧になると思うのでどこかで常温化はしなくてはならないと思うが、過去に夏場に働きアリが沢山死んだことを思い出すと二の足を踏んでいる・・ 
8月9日  ハニーワームの話。
大量に幼虫がいる時と全くいない時の落差が激しい。
採卵して複数容器に分散し、それらを違う温度で管理できればいつも潤沢にワームがいる状態を作ることができるかもしれない。
しかし、スペースの関係でそれは果たせない。
我が家ではワームはどちらかと言うと中〜大型コロニー用で初期コロニーはミールワームにしているので、実際それほど消費量が大きいわけではなく悩ましい限りなのだ。
コンスタントに大中小のハニーワームが供給できれば良いと思うんだけどね・・。
8月10日 7月に採集したハリブトシリアゲアリの新女王が産卵した卵は孵化している。

・・これが限界・・
シリアゲアリの幼虫は他のアリの幼虫とはまた違った独特の形態をしていると思う。
8月11日  ケアリ。給餌を怠るとすぐに働きアリが餌場を大量に闊歩してくるので気が抜けない。

コオロギを与えると、こんな風に群がった。
乾燥アカムシを食べてくれるともっと給餌が楽になるんだろうけど、餌場に入れても一瞬触角で触るだけで放置なのだ。
やっぱり新鮮な虫の餌が良いのだろう。
8月12日 クロナガアリ。最近取り上げていなかったので取り上げてみた。

羽アリはオスもメスも健在である。

働きアリと幼虫。
粟の実と乾燥アカムシしか与えていないが全く問題ない。
8月13日 先月採集したアシナガアリ。

幼虫の成長は早く、もう蛹が見られる。
蛹の数は少ないが羽化したら女王アリの負担が減って産卵モードに入ることを期待している。 
8月14日  ヒラズオオアリ。
今日見るとまた1匹女王が死んでいた。
これで残りは1匹だけだ。
この1匹は卵を2つだけ産んでいるが、これだけしか産まないとも考えられない。
とすると、女王にとって居心地が良くないと言うことなのだが、どういう所が居心地が悪く感じているかがさっぱり分からない。
そこで、ここをご覧の方でヒラズオオアリの新女王からのコロニー立ち上げをされた方がいればぜひともご意見を頂きたいと思います。
どういう飼育条件でコロニー化されたのか教えて頂けないでしょうか・・。
でも、そもそもヒラズを飼育している方っているのかなぁ・・? 
8月15日 先月、箕面で採集したケアリの新女王は産卵はするものの、そこから先が進まない。
どうも食べているとしか思えない。
我が家にいるケアリから繭を失敬できると良いのだが、夏にケアリは増えてどの巣部屋の中にも働きアリが沢山。
繭を失敬しようと蓋でも開けようものなら・・。
大災害が予想されるので、見えるけれど採れないと言う状態になっている。 
8月16日  肉餌はコロニー規模の小さなものはミールワームだが、大きめのものはコオロギを与えたり、ハニーワームを与えたり、ミールワームにしたりと結構バラツキがある。
これは単純にハニーワームが餌昆虫の在庫に寄る所なのだが、正直冷蔵庫にある鶏肉、牛肉、豚肉と言った肉の欠片に興味がないわけでもない。
しかし、これらの肉には恐らく輸送のための防腐剤や抗生物質が含まれているかもしれず、それらがアリたちに害をなさない可能性もないので今の所与える予定もない。
他の方のサイトを見てもこれらをメインに与えている所は見ない気がするが、同じような認識でいらっしゃるのだろうか。
8月17日  クロオオアリは今年かなり増えた。
恒温機から出し、タッパーから石膏の巣部屋に移してから目に見えてコロニーの調子が上がった。
ハニーワームを多めに入れたのも効いたようだ。
もう既に巣部屋が手狭気味。
しかし、もうすぐ秋が来ると新しい働きアリの生産も鈍化しそう。
そうすると、冬の間に増設したらいいか・・と言うナマケ心が・・。
8月18日 ヤマヨツボシオオアリの女王アリ。腹部が大きく膨らんでいるのだ。

肉餌をセーブしたので現状維持になった。
増えないと言われていたが今年、私の所では肉餌をもっと与えていたら増勢したと思う。 
8月19日 アシナガアリの蛹。

目に色が入った。 
8月20日 クサアリモドキにした。

小さな幼虫と働きアリ。

働きアリ。恒温機のコロニーより、常温放置(真夏の昼間は氷枕を置いたが)の方が調子が良い。常温の方が活気を感じる。
8月21日 明日から、蟻研だ。
そのために、全コロニーに給餌を行った。
特に、先日脱走したケアリは入念に給餌をし、パウダーを塗った。
出かけている間は更に餌場に蓋もして完全防御にする予定。
これで、大丈夫・・だよね? 
8月22日 蟻研初日。
移動して終わったという印象だが、夜のラウンジでのめいめいの会話はとても盛り上がった。
今年の宿舎は少し規則が厳しく、ラウンジは23時消灯、部屋での飲食禁止と言うことなので、23時にお開きになった。
蟻研大会は今回で2回目の参加になるが、この雰囲気、好きだなぁ。 
8月23日  蟻研2日目。
朝から夕方まで色々な講演があった。
個人的に一番面白かったのは、アシナガアリの結婚飛行についてのものだった。
深夜から明け方の時間に巣口に羽アリが出てきて飛び立つというものだった。
アシナガアリは新女王は見かけるのだがいつ飛行するのかよく分からなかったのでまさに「痒い所に手が届いた」のだった。
8月24日  蟻研最終日である。
今年のエクスカーションは、富士山須走口五合目、標高2000メートル付近だった。

バス停付近。ちなみに、バスではなく車で上った。

富士山周辺に多いフジアザミと言うらしい。

エクスカーションの様子。

すぐ、ツヤクシケアリが見つかったという声がした。
これはバットにあけた土の上にいた働きアリ。撮影していないが蛹は明るい黄色だった。

ホタルブクロ?

有翅メスを掴んでいる所を撮影させてもらった。大きさはアシナガアリのメスアリと大体同じ1センチほどだ。

エクスカーションの風景2。

2000メートルですよ。

この時間、ガスと言うか、霧と言うか、雲はまだ上の方にあった。

小富士方面へ。一転して樹林地帯。アリはかなり少なく、クシケアリが少し見られただけでムネアカやケアリと言ったこういう環境を好みそうなアリは見かけなかった。標高が高い故だろうか。

大規模に水の流れた跡があった。

雰囲気のある岩。

小富士着。
ご覧のように、植物が極めて少ない。地面は溶岩が砕けた礫で、歩いていてもぼろぼろと斜面ごと崩れて脚を取られそうになる。

唯一花が咲いていたオンタデには多くの昆虫が来ていた。ハナカミキリも見られた。
種類を聞いたが忘れてしまった・・。

オンタデ。こういう風に咲いていた。

お昼は東富士山荘できのこそばを食した。きのこのボリュームが凄かったが美味しく完食。

記念写真用だろうか。

さて、3日目は私が見た範囲ではヤマクロヤマアリ、ツヤクシケアリ、シワクシケアリとされているクシケアリを見た。
小富士で、ツヤクシケアリの脱翅メスを2匹見つけた。1匹は別の参加者に差し上げたが、もう1匹はなり行きで私が持ち帰ることになった。
正直、蟻研のエクスカーションでお持ち帰りする気は無かったが、面白そうと思いなおし持ち帰った。
8月25日  富士山で採集したツヤクシケアリとされるクシケアリの女王である。

まだ、産卵はしていない。どうなるのだろうか・・。上手く働きアリを生産してくれるのだろうか。 
8月26日 今年の夏に新女王を採集したアシナガアリで働きアリが生まれた。

初期コロニーの働きアリは、本当に華奢ですね。 
8月27日  これまた夏に採集したシリアゲアリでも働きアリが1匹羽化した。

今の所この1匹だけ。
それでも、働きアリをちゃんと生産してくれた事に拍手。
8月28日  今年は肉餌をかなり抑えめに与えた。
そのため多くの種で現状維持と言うレベルになった。
特に一気に増えそうなクサアリモドキは心苦しくも肉餌を抑えて規模は現状維持にとどめた。
こういうやり方が正しいのかはよく分からない。
それでも、飼育のスペースや時間に制約があるので止むを得ないかなぁと思ったり・・。
8月29日 先週の蟻研でいるまえかわさんがアギトアリを持ってきておられた。
それに触発されて、今日の夕方から箕面のアギトアリ、そしてあわよくば一昨年のようにクサオオアリやケアリを拾いたいと思っていた。
しかし、出発直前に天気予報と雨雲の様子を見ると、どう見ても日没直後辺りから雨になる。
出かける準備はしていたが、泣く泣く来週に延期。
天気と喧嘩しても仕方ないしね・・。 
8月30日 ツヤクシケアリの女王は産卵しない。
少しの振動でも落ち着きなく走り回る。
ツヤクシケアリって新女王1匹から育成された方はいるのだろうか。
ネット界隈でいくつか飼育記録は見るのだが、コロニー採集されたものであるような・・。
そもそも、富士山の標高2000メートル地帯で採集したものなので、今年産卵するのかも微妙なのだ。
こういう手探り感、個人的には面白いが、もう少し飼育に関する情報が欲しい所でもある。
8月31日 7月に箕面で採集したケアリの女王を写した。

腹部に陥没個所があるが、卵は良く産む。
しかし、本当にそこから先に進まない。
卵だけ。幼虫すらいない。
撮影後、腹部が小さくなっているのでメイプルを与えた。

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