2015年4月の観察日記

4月1日 今日はハヤシクロヤマアリにしてみた。

働きアリが女王をグルーミングしていた。
こちらはまだ産卵していない。
ハヤシクロヤマアリを採集してから一向に増えない。
微減になっている。
今年は増やしたいとは思うけれど、解決の糸口が今一つ見えていない。
4月2日 暖かい1日だった。
しかし、クロヤマアリ以外ではまだ産卵は始まっていない。
幼虫を見ていると、艶が良くなり体内に色が入っているので幼虫たちは各種とも越冬モードは脱した模様である。
来週には寒の戻りがあるとのこと。
これが産卵開始にどの程度影響するのかよく分からないが、各種の産卵開始はもうすぐそこだと思っている。
そうなれば更に肉餌に追われることになるだろう。
やっぱりシーズン最初に一気に勢いをつけたいと思うのだ。 
4月3日 産卵間近であるこの時期、一気に栄養をつけさせようとハニーワームを与えてみた。

クロオオアリに与えてみると、一斉に攻撃していた。
働きアリよりハニーワームの方が大きいがこれくらいなら制圧するだろう。 
4月4日 昨日、雨だった。
今日は気温が高い。
例年の記録からクロナガアリの飛行には少し早いかとも思ったが下見の意味も兼ねて猪名川に出かけた。
現地着は午後0時半頃だった。
ふと見ると、クロナガアリのメスアリもオスアリも飛んでいるではないか!
急いで撮影モードに入った。

巣口からオスとメスの羽アリが出てきた所。
到着時、殆どのコロニーで巣立ちの瞬間は終わっていたようで飛び立つ所はあまり見られず空中を飛び羽アリが多かった。

空中を飛んでいるアリも多い中、脱翅メスも見られ始めた。

上とは別の場所で徘徊していた脱翅メス。

葉にとまっていたオスアリ。

脱翅メスを襲う働きアリもそこかしこで見られた。

有翅メス2匹そろい踏み。
この後すぐ2匹とも飛び立って行った。

オスアリの死骸(?)を運ぶ2匹の働きアリ。オスは動いていなかったが生きていたのかもしれない。

有翅メスを働きアリが引っ張っていた。

交尾しているペアに別のオスが割り込もうとしていた。結局割り込みは出来なかった。

後方から写した。意外とこの2枚以外に良い写真が無かった。

2匹で巣穴を掘る脱翅メス。

時間の経過とともに、疲れたのか草の上でたむろするオスアリが目立ってきた。

有翅メスの死骸にたかるトビイロシワアリ。

殆どのコロニーの飛び出しが終わった午後4時半頃、1つのコロニーでメスの羽アリが数匹出てきて大空に飛び立って行った。

右翅だけ残ったメスアリ。

羽アリが飛んでいた時の様子を撮ってみた。もっとアリ密度の高い「アリ柱」もあった。
午後5時近くまで観察した。
今年は多数で穴を掘っている姿を見ることは無かった。
思ったのは、「交尾写真を撮影するのは本当に難しい」と言うことだった。

さて、アリを撮影していると、植え込みを撮影して、下を向いて歩いている人が目に入った。
同業者?と思ったらその通りであった。
WEBサイト「北摂の生き物」の管理人S氏であった。
同じアリを対象としていると言うことで、一瞬で意気投合。
交尾写真を写そうと、オスを繋げたまま飛んでいるメスアリをジバチを追いかける人よろしく二人で追いかけたりして楽しい時を過ごした。
4月5日 この前、同じような図を取り上げたが、再びクサアリモドキにした。

背伸びしている育った幼虫。

大きさの比較対象となる物を入れていないが、小さな幼虫の塊。
こちらも体内に色が入り、与えている肉餌を食べているようだ。
4月6日 クサアリモドキの女王が昨日あたりから腹部が肥大化してきているのが確認できている。

まだまだ膨らむ。まだ産卵は始まっていない。
4月7日 クロナガアリ。
巣部屋を増設して暫く経ち、新しい巣部屋にもすっかりなじんでいる。
最近、ある幼虫たちが目にとまっている。

働きアリとの大きさの比較。
そう、デカいのだ。明らかに。
このような幼虫が十数匹確認できている。
新女王の幼虫・・ですよね?

幼虫をアップにした。小さい口が見えている。
4月8日 写真は無しである。

昨日、今日と寒の戻りがあった。
一カ月ほど前と同様に餌場のアリたちは少ない。
餌の消費も少ない。
一旦エンジンがかかり始めてこの状態に戻ると少し手持無沙汰になってしまった。 
4月9日 クロヤマアリ。

働きアリが卵塊を咥えている。

正面から。
4月10日 ケアリでも産卵が始まっていた。

これでほぼ全部。画面外には数個あるだけ。
陰に置かれていたので、確認が遅れた。
卵塊は今はこの大きさだが、女王に勢いがつくと凄いペースで産むことは知っている。
どこまで増えてくれるのやら。
4月11日 ハヤシクロヤマアリでも産卵を確認した。

今のところ、この3つだけ。
それでも、産卵してくれたことが嬉しく感じられる。
4月12日 北摂、能勢妙見山を歩いてきた。
妙見山は数年前から目をつけていたフィールドだ。
妙見山のブナ林が気になっていたのだ。

能勢電鉄妙見口駅からロープウェーまでは歩いて20分ほどの距離がある。それまでこのような集落の中を歩いて行く。 

里山と田んぼ(畑?)。

山頂はまだ桜の花が残っていて木々もまだ芽吹きが始まって時間が経っていない印象だった。

ブナ林のあるコースを選択。降りていく。道は広くないが暖かい時期はそこそこアリが見られるんじゃないかと言うポイントがある。今日は肌寒い天気だったためかハヤシクロヤマアリとアシナガアリしか見かけなかった。
ただ、漫然と歩いていたのでブナ林をいつの間にかスルーしてしまっていた。範囲的にそう広くないのだろうか。

今日はアリを見ると言う点については残念だったが、ロープウェーの駅付近でチョウ屋さんっぽい大きめの捕虫網を手にした10人ほどの集団も見かけたし、虫自体はいるポイントだったと思う。
昨年の一庫公園もそうだが、真夏に来ると面白そうだと思う。
その後、猪名川に寄ってみたが全く何もいなかった。
羽アリを見かけることもなく、クロナガアリの巣口も静か。
気温が低めだったが猪名川のクロナガはもう今年は終わったのかもしれない・・
4月13日 クロオオアリで卵を1個咥えている働きアリを見かけた。
撮影を試みたがどうしてもじっとしてくれず、撮影が叶わなかった。
クロオオアリが産卵を始めると、いよいよ春本番が来たなぁと思わされる。 
4月14日 クサアリモドキの女王の腹部が膨らんできたと6日に書いたが、あれから8日、どうなったかと言うと・・

順調に膨らんできている。

まだまだ膨らむのは毎年確認している。これだけ膨らんできているのだが、まだ産卵は確認していない。例年、産卵が始まると一気にすごい数を産むので、きっとまだ「準備期間」なのだろう。
4月15日  チクシトゲアリの女王がグルーミングをされていた。

腹部は大きくなってきているが、まだ産卵は始まっていない。
ここで取り上げていないが、ウメマツオオアリ、ムネアカオオアリ、キイロシリアゲアリ、ヤマヨツボシオオアリで産卵を確認している。
4月16日 トゲアリも越冬モードは抜けた模様である。

幼虫もツヤツヤしている。取り立てて大きい幼虫はいない。ほぼ同じ大きさの幼虫たちが見られる。

女王アリ。腹部も大きくなってきた。そろそろ産卵が始まりそうだ。
4月17日 クロヤマアリの卵は微増を続けているが、一気に増えると言う感じではない。
コロニーの様子を見ていると良い感じに見えるので、何かにきっかけで一気に産卵してくれそうではあるが、よく考えるとこの女王たちは昨年採集したもので働きアリの数が多くない。
その辺りが影響しているのだろうか。
ミールワームの欠片も食べているか食べていないか良く分からないほどしか食べていない(時たま内部が空になっているのでまったく食べていないわけではないようだ)
卵だけしかないが、5月に入れば幼虫が見られるかな? 
4月18日 枚岡公園を歩いてきた。

種類不明のカゲロウが多く見られた。こんな時期にもいるんですね。

アリに関してはこれが唯一の見せ場。ケブカツヤオオアリのサテライトを見つけた。
メスアリはいたがオスは見当たらなかった。腹部が大きい。

暗峠のてっぺん付近で見られる棚田にはまだ水が入っていなかった。

新緑が美しい。

アリはハヤシクロヤマアリが活発に動いていたが、それ以外はまだ若干活発さに欠ける気がした。クサアリの行列もまだ大人しめだった。
まだ4月中旬ですしね・・。
4月19日 昨夜雨が降ったが日中は止み、薄日が差す。
気温もそこそこ。
猪名川に出かけた。

ごく少数羽アリが飛んでいた。
メスは2匹だけ飛んでいる姿を見かけた。
「アリ柱」が立つと言うほどではないがオスも僅か飛んでいた。
巣口を複数見たが飛び立つ喧騒を見せる巣口は無かった。
巣穴をほる脱翅メスも見かけなかった。
飛んでいる数それ自体がかなり少なかったのだろう。
恐らく4日にかなりの数飛んだのではないかと思われた。
そう考えると、上手く飛行日に遭遇できたことは幸運だった。
4月20日 今日は4月20日である。2週間前は桜が満開だった。

そんな時期なのに、ケアリではもう繭がちらほらでき始めた。
恒温機は動かしていないし、私が部屋にいる時にハロゲンヒーターを入れたくらいしか加温していない。それなのに、繭ができ始めた。
・・・早くないですか?
4月21日 昨日、ケアリの繭の事を取り上げたがクサアリモドキでも繭を作らせるために育った幼虫に石膏屑をかけるようすが見られた。

もうすぐ、繭が見られるだろう。
幼虫も沢山おり、今年はどれだけ増えるのか今から少し心配になってきた・・。
4月22日 今日もクサアリモドキにした。
恒温機に入れている2コロニーは女王がカートンの陰にいて見えないが常温飼育を通してきたものはそういうものを作っていないので女王が良く見える。

女王の腹部も大きくなっている。産卵は一昨日辺りから始まったがまだ卵の数はそれほど多くない。 
4月23日 トゲアリとケブカツヤオオアリ以外は産卵を始めた。
ケブカツヤは・・。ダメっぽい。この時期なのに、腹部が小さく痩せている。
一昨年は絶好調だったし、越冬幼虫も沢山いた。
それが春が来たら幼虫はいなくなり、女王は産卵せず今に至る。
春、予想より早い時期に肉餌を与えていなかったのが敗因なのだろうか。 
・・・厳しい・・
4月24日 トゲアリ、まだ産卵しない。
幼虫の体内に色が入っているし、コロニーの様子も問題ない。
ただ、個体数が多くないのでそれが不安要素ではある。
一昨年、原因不明のクロオオアリのオスしか生まれなかったという事態が結構今になって効いてきた気がしている・・。
4月25日  関西集会の日である。
場所は当初猪名川河川敷を予定していたのだが今月の初めにかなり飛んでしまっていることが分かっていたので場所を北摂、妙見山に変更したのだ。
当日、集まったのは私、風人さん、kuroyagiさんと風人さんの研究室のお仲間3人だった。
4つあるコースのうち、どのコースにするかすら全く決めていないと言う行き当たりばったりな会。私も妙見山は先々週に少し歩いただけで前知識は殆どない。
上りは私がこの前下りてきたコースを行くことになった。

ロープウェー傍でアメイロアリのコロニーがあった。女王や新女王は全くいなかった。オスと働きアリばかりのコロニーだった。
この近くで、クサオオアリやウロコアリ、カドフシアリが立て続けに見つかった一角があった。それでも上りは意外とアリは少なかった。
一番の見せ場はマムシとヤマカガシを風人さんが首根っこを捕まえた瞬間だったかもしれなかった。それにしても、マムシとヤマカガシは距離にしてほとんど同じと言って良い場所で見つかった。ヘビも本当にまさか自分が捕まるとは思っていなかっただろう。

山頂の広場から遠くを望む。
山頂付近ではミヤマセセリやテングチョウが多く見られた。アリは面白い物は出なかった。
協議の末、リフトに乗ってもう少し上まで行き、そこから少し歩いた所にあるコースにしようと言うことに。
こちらのコースの方がアリは多い感じだった。
石の下でハヤシクロヤマアリの女王が4匹いるコロニーが出たり、アズマオオズアリの大きめのコロニーが出たりした(研究室の方が採集されてました)。

とある石をめくると、ハヤシクロヤマアリのコロニーがあり、そこにアリスアブの蛹があった。これには一同驚いた。

上とは別の個体。同じコロニーだが隣の石をめくった所。結局このコロニーには3匹の蛹があった。ちなみに触ると少し硬かった。

風人さんが石をめくるとアシナガアリコロニーがあった。その中に何かある。何だろうと石の上に置き、皆で覗きこんでいると、kuroyagiさんが一言。
「マダニじゃないの?」
次の瞬間、空気が凍った。
こんなに大きくなるんですね。

良く見つかったセンチコガネ。
山道の途中、水が道の方にしみ出てきている所があり、テングチョウが沢山地面にとまって給水している。近づくとそれらが一斉に飛び立つという光景も見られた。
麓に降り、野蒜が少しはえている個所があったので皆さんと少し収穫してみたが私は成果が出ず全て「ぷちっ」っと葉の部分しか採れなかった。
今回、殆ど未体験と言えるコースを選んだわけだが結果的に良かったと思う。
猪名川で粘っても恐らく枝折りくらいしかすることが無かっただろうから。
あれだけ有志がそろえば私一人では見過ごしそうな石や枝ももれなく調べることができたと言う感じだろうか。アリスアブはあんな所にいたのも驚きだった。
楽しい会でした。
4月26日  突然だが、キイロヒメアリを今度「お嫁に出す」ことにした。
昨日の関西集会でキイロヒメアリを探している方がおられ、最近その小ささゆえ私の手に負えないと思い始めていたのである意味渡りに船だったのかもしれない。
生息地の枚岡公園、椋ヶ根橋周辺はこの前歩いた時少し地面が乾燥しているように思えた。
一昨年までは目立たなかった下草が昨年は急に繁茂しだした。
管理手順か何かが変わったのだろうか。
そのためか手頃な枝が見つけにくくなっているように思える。
椋ヶ根橋周辺は今度ゆっくり枝を調べてみたいと思っている。 
4月27日 クロオオアリで繭を1個見つけた。

この飼育容器、分厚いせいか今一つで写真がいつも以上にダメ。。
産卵も続々されている。
タッパーから石膏に変えてから良くなったと思う。
4月28日 昨年末、12月30日に ベビーパウダーをアルコールで溶き、それを餌場の壁面に塗布したと書いた。
逃走防止のためだが私見を書いて行きたい。
持ちは良いと思う。塗り直す必要があまり感じられない。
ただ、メインの脱走防止効果はどうかと言うと、少し疑問符をつけざるを得ない。
パウダーのみの場合、脱走はほぼ完全にシャットアウト出来ていた。
ただ、塗布の際パウダーをかぶったアリが幾ばくか死んでしまうという弊害があった。
パウダーをアルコールで溶いた物を塗った場合、手間は全然かからない。
ただ、脱走が少し見られる。
私が見ている時は脱走しようとしているアリは全て餌場に落ちていたが実際少しアリが外を歩いていると言うのを目にするとやはり完璧性に劣る気がする。
どうでしょう?他にこれ、使っている方がいらっしゃるならばご意見下さい。
4月29日 クロナガアリは最近女王の幼虫ばかりだったので働きアリの幼虫も写してみた。

これは女王の幼虫のいるコロニーとは別のコロニーのもの。
卵幼虫蛹と全てのステージが見られる。
春になって気温が上がるとともに産卵が進んだ気がする。
今年は以前のように春になって幼虫が死ぬことは無く殆どなかった。
4月30日 昨年、4月15日にケアリで繭が沢山ある画像を取り上げていた。
昨年は遅めながら加温していた。
今年は無加温でいるのだが、少しずつ繭が増えてきている。

繭の集まり。まだ「山」と言えるほどの数は無い。
肉餌の消費が凄まじくなって来た。昨年の繭山の状態は恐らく2週間ほどで現れるのではないかと思っている。

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