2014年6月の観察日記
6月1日 | クロヤマアリを求めて大阪城〜桜の宮公園付近を走って見た。 クロヤマアリの働きアリはごく普通に見つかる。 暑さのために生気づいて走り回っていた。 しかし、女王は一向に見つからない。 今日も暑く女王は飛んでいると思われたので、散々と走り回ったが一向に見つからない。 クロヤマアリの女王、ハードルが高い・・ |
6月2日 | ケアリの巣部屋を1つ増設し、餌場はタッパーを使った高さ、広さともに大きくなったものに交換を行った。 交換後、暫くして見るとアリが外をちょろちょろ。 チェックすると、空気穴のグルーガン接着の甘い所が一か所あり、そこから少し脱走している様子が見て取れた。 急いで穴をふさぎ、様子を見る。 うん、アリたちも落ち着いてきた。 小さなアリはこれがあるので、油断がならない。 巣部屋はこれで3つになった。 今は3つ目はかなりスペースに余裕があるが、じきに埋まるだろう。 どこまで増設することになるのやら。 また、これに伴いケアリは恒温機から出し、常温飼育に切り替えることにした。 一昨年、常温飼育でも全く問題なく増えて手ごたえがあったので今年はここで常温にすることにした。 |
6月3日 | トゲアリコロニーの幼虫はどうなったのかと言うと、成長を続けている。 この大きさの幼虫がごろごろしている。 ところで、これ、クロオオアリのオスなのかトゲアリの幼虫なのかどちらなのだろうか? 普通ならトゲアリでしょうと言いたいのだが、昨年にクロオオアリのオスだったと言うどんでん返しをお見舞いしてくれたのでね・・ そのクロオオアリのオスだが今日死んでいた。 働きアリが攻撃したのか不明だが観察した時にはオスアリの頭部がはねられていた。 |
6月4日 | 暫くチクシトゲアリの写真を撮っていなかった。 羽化が続いている。 コオロギをよく食べてくれるので、これからの高温に気をつけさえしたら維持できると考えている。 |
6月5日 | 一昨日、トゲアリを取り上げたばかりなのだが、再びトゲアリ。 幼虫の一匹が繭を張り始めたのだ。 昨年、オスの蛹ばかりという事態が起こったがあれより幼虫の大きさが一回り小さい。 そして、裸蛹ばかりだったのだが、今回は繭。 しかし昨年も繭を張り始めた幼虫はいたが繭が不完全で結局剥かれてしまった。 まだ油断はできない。 幼虫がいると言う図。 これで全部ではなく画面外にもう少しいる。 幼虫の大きさを見てもらおうと思い、画像にクロオオアリの働きアリやトゲアリの女王を一緒に入れている。 |
6月6日 | ケアリの巣部屋増設から時間が経った。 完全に通常営業に落ち着いている。 餌場も高さを確保したおかげで給餌が楽ちん。 落ち着いて観察できるようになっている。 観察してみると、巣部屋の一つは幼虫が満タンに近いくらい床の至る所にいる。 二つ目は繭が多い。 三つ目はこれから利用されるだろう。 今の所順調すぎるくらい順調だ。 |
6月7日 | ミールワームが成虫になっていた。 幼虫よりかたい外皮の部分が多いように思えるがケアリの餌場に殺して放り込んでみた。 数日後に見てみると硬い前翅や頭部を残してほぼ食いつくしていた。 クサアリモドキは個体数が多く勢いを感じるがケアリはそれ以上に働きアリの勢いを感じることさえある昨今だ。 |
6月8日 | 久々に痛恨をやった。 今日は晴れて暑かった。 昼頃に大阪城公園に出かけた。 弓道場の辺りで、クロヤマアリの有翅メスがいた。 確保。 しかし、状況的に傍にあった巣から出たばかりの有翅メスではないかとも思えた。 実際見ている傍で有翅メスが巣から1匹出てきた。 その辺りはクロヤマアリの働きアリがやけに騒いでいた。 どうも違うコロニーのクロヤマアリが1匹いたようでクロヤマアリの働きアリ数匹がかりで小突かれていた。 それを見ていると、アリに付きまとうように飛ぶ2匹の羽虫に気が付いた。 体長は2ミリあるかないかだろう。 クロヤマアリの腹部の半分ほどしかない。 目を凝らすと、それがハチであることに気が付いた。 「アリの巣の生き物図鑑」にクロヤマアリに寄生するハチの写真があった。 まさか、ね・・と思いながら見ていると、小突かれていた働きアリが1匹の働きアリに触角を咥えられて引きずられ始めた。 少し弱っていた。 その時、2匹のハチのうち1匹が引きずられているアリの腹部にとまり、腹を曲げた(ように見えた)。 1秒ぐらいそれをやった後また飛んだ。 この2匹のハチは明らかにアリに付きまとっていた。 撮影しようにも、小さすぎ、動き過ぎ、挙句の果てにカメラを持っていないと言う痛恨の極みで撮影叶わず。 別の場所で、クロヤマアリの脱翅メスを1匹見つけた。 女王の負担を減らすために繭がほしいと思った。 引っ越しをしているような、働きアリ同士で咥え合うものは見かけたが幼若個体を咥えたものがいない。 参ったなぁ、と思っていると、午後4時半頃に黒いアリの行列を見つけた。 サムライアリだ! どんぶり勘定で100から200個体が列をなして移動していく。 10メートルちょっと歩いて、茂みの中のクロヤマアリの巣に入って行った。 すぐに繭を咥えたサムライアリがぞろぞろ。 10個ほど繭を頂いてきた。 2009年にサムライアリを大阪城で見かけたことがある。 それと同じコロニーか分からないが、その時見かけた場所とそれほど離れていなかった。 アヤシゲなハチと、サムライアリ。 超シャッターチャンスがありながらカメラ持参せずのためにふいにしてしまった。 クロヤマアリは有翅メスを3匹捕まえた。 1匹だけ左前翅がない。 暫く様子見だけど、あまり期待していない。 繭は脱翅メスに与えた。 |
6月9日 | 昨日捕まえたクロヤマアリの有翅メス。 3匹いるのだが、そのうちの1匹が羽を落とし始めた。 1枚目。 2枚目。 腹部がやや大きくなっているが、これはメイプルを飲ませたためにこうなっているのであり、最初はとても痩せていた。 これから、どういう展開になるか予想できないが、まず最初は落ち着いて産卵開始してくれる所からスタートである。 |
6月10日 | 昨日は、持ち帰った後に羽根を落としたクロヤマアリだが、今日は脱翅メスの方。 サムライアリの行列から頂いた繭を入れているが、その繭から早くも働きアリが羽化し始めた。 掲示板の方で話題になっているが、この脱翅メスの方が昨日取り上げたものよりも少し大きめだ。 腹部の膨らみ具合もこちらの方が大きい。 この違い、一体何なのだろうか。 |
6月11日 | 日曜日に大阪城で採集したクロヤマアリの有翅メス3匹のうち1匹は脱翅したと9日に書いたが、今日また1匹脱翅していた。 4枚とも完全に落としている。 良い感じ。 |
6月12日 | 昨日脱翅を確認したクロヤマアリだが、早速産卵していた。 現在3個。 ちなみに9日に脱翅を確認した方はまだ羽が1枚残っていて卵も産んでいない。 私見だがどうも「小型」のクロヤマアリは一筋縄ではいかない感がある。 高校の時だったと思うが「小型」のクロヤマアリを採集したことがあった。 腹部が小さかったので変だなぁと思ったので、覚えているのだ。 そのメスアリは土を入れた容器に入れても巣を掘らず、うろうろするだけ。 サムライアリのメスアリを見たことがなかった私はこれをサムライアリのメスだと思ったほどだった。 この行動における違い、これは一体・・? |
6月13日 | 春に幼虫を野外で採集して導入したケブカツヤオオアリ。 導入した幼虫が繭になった。 入れた幼虫の数自体が多くないので繭も多くない。 写真では盛況なんですけどね・・ 働きアリ。 女王は石膏をくりぬいて掘った小さな隙間に入ってしまった。 健在は確認しているが産卵しない。 今年はダメかもしれない。 腐らず、来年に期待。 |
6月14日 | 朝、淀川河川敷にある城北公園に行った。 昨年は行かなかったので2年ぶりだ。 河川敷の様子。 少し水が多いように思えた。 一昨年にトビイロシワアリが見られたポイントを見て回る。 ・・・何もいない。 昨日、にわか雨があったようで土が少し湿っているが、ダメ。 涼しい風が吹いていたがそれのためだろうか。 トビイロシワアリが集まっているポイントがあった。 目を凝らしてみたがなぜ集まっているのかよく分からなかった。 午後になり、大阪城公園に移動。 シデムシがいた。大阪城はスズメやハトが多いのでその死骸に集まっているのだろうか。 午後3時半頃に野球場辺りで立て続けにクロヤマアリの有翅メス2匹とオスを1匹見つけて採集。 ちなみに今日採集したクロヤマアリは1匹が羽根を1枚だけ残した「小型」メスでもう1匹は羽根を落としていない「大型」メスだ。 撮影したかったがちょこまか走り回って採集優先にすると撮影が・・ また、その後弓道場傍でクロヤマアリのオスを更に1匹採集した。 その近所でトビイロシワアリっぽいオスアリがオオズアリにちょっかいをかけられていた。 クロナガアリに似ている気もするが、時期的にトビイロシワアリだろうね・・ さて、先週クロヤマアリのメスアリを3匹採集した。 そのうちの1匹が羽根を落としていなかった。 同居させてみた。 すると、その後約1時間後に見てみるとメスアリが羽根を全て落としていた。 10年前、掲示板でキノッピーさんと言う方がクロオオアリかムネアカオオアリで有翅メスをオスと一緒にしたらすぐ羽根を落としたと言うの報告されたのがこの事例の最初だったと記憶するが、こうやって目の前でそう言うのを見ると「何か」あるのではないかとも思う。 脱翅促進と言う意味でのオスの導入は面白いと思った。 |
6月15日 | 今日も大阪城に出かけた。 野球場付近で一匹クロヤマアリの有翅メスがいた。 手で捕まえ、フィルムケースに落とそうとした時、ぶーんと飛んで行ってしまった・・ それ以外は、今日の見せ場はなかった。 それにしても、今年はクロヤマアリの羽アリに縁があるなぁ。 今まで有翅個体すら殆ど見たことがなかったのに・・ |
6月16日 | 8日に捕まえたクロヤマアリで、まだ産卵していなかった「小型」のメスアリが1個卵を産んでいた。右の羽根は残ったまま。 そして、土曜日に採集したクロヤマアリ2匹のうち1匹が脱翅。 4枚とも羽根を落とした。 もう1匹は脱翅していない。 オスは今日2匹とも死んでいた。 さて、普通ならここで今日の分は終了なのだが、今日はもう1つ。 トゲアリコロニーで裸蛹が出現していた。 普通なら裸蛹はあまり良くない傾向だと思っているが(すぐに食されるイメージがある)、アリがトゲアリかクロオオアリかを見るには丁度良いと思い、撮影した。 むぅ・・肝心のトゲのある個所が陰になってしまった。 幼虫を見てみると、成長した幼虫には体の真ん中辺りからお尻にかけて黄色っぽい毛が生えている。 確かクロオオアリの幼虫は毛が少なかったように思うが、ひょっとして昨年はスカだったが今年は復活劇が見られるかなと思い始めた。 |
6月17日 | ヤマヨツボシオオアリ。 例年になく、好調で大型の働きアリが羽化していた。 大型働きアリを正面から写した。 今までと管理の方法は変わっていないはずなのだが、どういうわけか散々私を悩ませた症候群も全く見られず、好調そのもの。 メイプルとミールワームを与えているが、餌場に餌を入れるとわらわらと。 |
6月18日 | ケアリはとにかく勢いがある。 コオロギの死骸を入れて暫くすると、こうなる。 メイプルをなめている。明朝には全部なくなるだろう。 巣部屋。増設した方。 当初から使用していた方の巣部屋。 働きアリの通り道以外、びっしりと卵幼虫蛹が並んでいる。 女王アリ。毎日卵を産んでいるのを見る。 |
6月19日 | 4月末に採集したクロナガアリはどうなったかと言うと・・ 蛹が出来ている。 白い蛹、美しいですね。 |
6月20日 | 大阪城で採集したクロヤマアリを写した。 繭が写っているが導入したものでこの女王の実子ではない。 卵。かつての記憶と記録から大体1ヶ月で羽化するはずなので、来月半ばあたりには初子が見られるはずだ。 |
6月21日 | 今日はアメイロケアリにしてみた。 卵塊その1。 卵塊その2。 アメイロケアリの働きアリの羽化が続き、巣内に黄色いアリが増えてきた。 繭の山。アリが白いのはパウダーを塗ったため。 女王。春よりは腹部が縮んでいるが、産卵は継続中。 最近は小さなコオロギを与えている。 |
6月22日 | チクシトゲアリコロニーには今年もオスが羽化している。 これは2010年秋に採集したコロニー。 面白いことに、このコロニー以外ではオスの生産はない。 もう1枚。 |
6月23日 | 再びチクシトゲアリ。 昨日とは別のコロニーで有翅メスが1匹生まれていた。 昨年、1匹メスを生産したコロニー。 今のところこの1匹だけである。 2つのコロニーで世話に何ら差はないのだが、オスとメスに分けて生産したのは面白い。 ちなみに昨日紹介したコロニーはオスばかりでメスはいない。 |
6月24日 | 夜、我が家の食卓に珍客が訪問した。 1枚目。 2枚目。 ちょこまかと走ったり、羽根で少し飛んだりと、とにかく落ち着かない。 羽根の色から寄生ケアリ、アメイロケアリを疑った。 ちなみに触角に毛が無いのでヒゲナガアメイロケアリではないと思われた。 ただ、オスアリに関しては情報が非常に不足している。 もし、この種類じゃないの?というご意見あればお願いしたい次第である。 ちなみに我が家の近所にはアメイロケアリや寄生ケアリのコロニーは全くない。 どこから飛んできたのだろうか。 日が暮れた辺りから蒸し暑い夜になってきた。 恐らく外は「アリ日和」になっているのではないかと思ったりする。 |
6月25日 | 最近は肉餌はコオロギにしていた。 ハニーワームが卵から成長するまで、十分な大きさになっていなかったためだ。 そのために、カスが出るのが残念なコオロギだったのだ。 ようやく、ハニーワームが育って与えることが出来る大きさになった。 最近、コオロギを食べていたアリたちにとっては少し味わいが変わって良いだろう。 チクシトゲアリだけはコオロギ続行。 ハニーワームは昨年何度か与えたがどうもコオロギの方が好みっぽい感じだった。 この辺り、大きすぎるハニーワームを与えてしまったためか、本当に好みに差があるのかはまだ詰め切れていない。 他にもミールワームなんかもいて、これはどちらかというと小型種用になっている。 |
6月26日 | トゲアリにトゲアリっぽい裸蛹が1つあった(16日に載せたもの)。 昨日の段階では目に色が入って「おっ?良い感じ」と思っていた。 甘かった。 今日、観察してみるとその蛹は消えていた。跡形もなく。 幸い、繭は続々と出来ているのでこのまま問題なくいけばトゲアリが羽化しそうだ。 問題は、トゲアリが何個体羽化するか。 クロオオアリはかなり寂しくなってきている。 出来れば早めに続々と羽化してきてほしいのだが、メイドさんのクロオオアリが少ないのでどれだけトゲアリを羽化させられるかが問題。 そう思うと、昨年の足踏みは痛かったなぁ・・ |
6月27日 | トゲアリコロニーで裸蛹が見当たらないと言うことを昨日書いたのだが、何と言うことはなく今日には姿を現した。 どうも繭の山にまぎれていたとしか思えない。 こんな感じで色が付いてきた。 裸蛹の割に食われていない。 私の部屋に侵入する蚊という不届き者を成敗した後の死骸を優先して与えているのが効いているのだろうか。 |
6月28日 | ケアリ。何をしているのかおわかりだろうか。 これはメイプルを飲みほした後、メイプルの糖分が皿に残っているようで、硬くなっているであろう糖分を齧っているようなのだ。 この後、メイプルを与えた。 |
6月29日 | 4月30日に採集したクロナガアリコロニーで働きアリを確認した。 今は数匹の羽化だがこれからまた羽化するだろう。 初めて粟玉を与えた。 |
6月30日 | クロヤマアリ。 脱翅した女王のいるコロニーの一つ。 幼若個体。これで全部。卵2個と前蛹1個。 クロヤマアリは神経質で卵を産んだ後こういうじり貧的展開になる女王が多かったように記憶していたが、改めて本領を見せられた気分になった。 女王。撮影時に撹乱して走り回り、メイプルの傍でとまった所を1枚。 今さらだが、繭を失敬できて本当に良かった・・ |