2014年5月の観察日記

5月1日 恒温機の電源を落とした。
ここ数日、外気温が上がるにつれ、恒温機が冷房モードになっている時間が長くなっているようで、内部の温湿度計の湿度が90%にも達していたのだ。
この時期、高湿度になるにつれてコナダニが発生するようになってくる。
そこで昨年は恒温機を暑くなるまで切ったのだった。
今年も昨年に倣い、その方式で行こうと思う。
丁度今日が1日と言うことでキリが良いということもあったのだが。
5月2日 凶兆(?)を見た。
昨日、ケブカツヤオオアリの巣内を久々に見てみた。
女王の産卵はまだ始まっていなかった。
観察していて気が付いたことがあった。
幼虫が殆どいなくなっているのだ。
原因として思い当たる節が1つある。
ケブカツヤオオアリはどちらかと言うと昨夏巣内が恐ろしく結露した反省として蜜餌のメイプルを原液で与えることが多かった。
原液。
水で割っていない。
と言うことは水分不足なんじゃないかという疑念が出てきた。
昨年の記録を見ると5月中旬にハイペースで産卵していた。
その時の餌はメイプルの水割り。
メイプルと一緒に水が飲める状態だ。
水、足りなかったのか・・? 
5月3日 猪名川に出かけた。
クロナガアリは水曜日に脱翅メスが巣を掘っている所は見たのだが、結婚飛行している羽アリを観察したかったのだ。
到着した正午過ぎ、日が照っていたが暫くして空がかき曇り、冷たい風が強く吹くようになってしまった。
空の様子から雨が降ってもおかしくない状態だったが雨は降らずただ風が吹くだけという飛行には全くふさわしくない天気になってしまった。

有翅メスの死骸が落ちていた。
手に取るとかさかさに乾燥していた。明らかに今日飛んだものではない。

脱翅メスの死骸。
上のものとは全く違う場所で見つかった。

有翅メスの死骸にシワアリが集まっていた。

クロナガアリは昨日以前に飛んだようで、そこかしこに潜った穴があり、一部穴の出入り口をふさいでおらず脱翅メスが中に見える穴さえあった。
1つ、巣口に一瞬オスが見えたものがあったので、完全に飛びきったわけでもないようだ。
恐らく明後日の雨の後、飛ぶのではないかとみている。
5月4日 ここ数年の恒例としている服部川の水呑地蔵〜十三峠〜暗峠を歩いた。

近鉄服部川駅周辺にて。
写真ではそれほど雰囲気が伝わらないが山が近くに見えていた。

集落から山道に入ってすぐ辺りの風景。新緑が美しい。

この時期に見られるナナフシの赤ちゃん。

風景その2。これはスカイラインまで上がった後のハイキング道。

春のお約束、カミキリモドキ。今回はタンポポの花との組み合わせ。

イタドリに来ていたイタドリハムシ。

今年もここで鐘をつきました。

鐘つき台の一番先端から生駒山上遊園地方面を写した。

初めて見るシデムシ。調べるとどうもヨツボシヒラタシデムシのようだ。
鐘をついている時私の足元に飛んできたがすぐに羽根を開いて飛んで行こうとしていた。

イタドリがあったので、割って見ると、何やら姿が見える。

割って見ると、これ。この一帯ヒメアリばかりだった。
これ以外にも2,3か所ヒメアリを出した。今日、枝を折って一番多く出た・・

ハヤシクロヤマアリは活発に動き回っていた。巣口を写してみた。

何かの木本の花。種類ご存知の方がいらっしゃれば教えて下さい。

今日はよくオサムシを見た気がする。

暗峠の集落でジョウカイボンを見つけた。

いかにも何か入っていそうな枯れ枝を見つけた。
割ると出たのがこれ。ウメマツオオアリだと思う。
ケブカツヤオオアリの出た辺りでも枝を折って見たが何も出なかった。

神社でクロオオアリのコロニーを見ると羽アリが外を窺っていた。
まだ飛ぶまでもう少しっぽかった。
今日はアリ採集は何もしていない。撮影しただけだ。
それでも、新緑の中を歩くと体内の淀んだものをフレッシュな空気と入れ替えてくれるように思えて最高に気持ち良かった。
5月5日 常温飼育のクサアリモドキも活動を開始した。

産卵開始。女王の腹部も大きくなり始めている。

越冬幼虫が次々と繭を作っている。

育った幼虫たち。
越冬幼虫は全てこのような育った幼虫あるいは繭になり、小さな幼虫はいない。
5月6日 猪名川河川敷にクロナガアリの観察に出かけた。
昨日は雨が降り、今日は晴れ。
文句なしの天気だと思っていると、河川敷到着後すぐに「ダメな」天気だと気が付いた。
冷たい風が強めに吹いているのだ。
しかもあまり止み間なく。
少し粘って見たが全く風が止む気配がない。
しかも、クロナガアリの巣を見てみてもとても静か。
一か所だけ、巣口から少し離れた所にオスアリの死骸が転がっていただけ。
生きた羽アリを目にすることはなかった。
先週、30日に確認した以外は明らかに当日飛んだと思える羽アリたちに今年は遭遇できなかった。
30日に脱翅メスを5匹採集したので、丸っきりボーズと言う訳でもないが、ここ数年飛行は見ていたのでやや消化不良である。 
5月7日 ムネアカオオアリは、現在7コロニー飼育している。
どれも一昨年2012年に新女王を採集したものだ。
そのうちの1つ。

・・・女王が死んでいた。
働きアリが心配そうに周囲を取り囲んでいるが、女王アリが動くことはないのである・・
繭と幼虫が残っているので、他のムネアカコロニーに導入することにした。
合掌。 
5月8日 アシナガアリ。3年目のものである。

少し前にオスが生まれそうだと書いたが、実際オスが羽化した。
面白いことは、3年目のアシナガアリはもう1コロニーいるのだが、こちらではオスが羽化しない。
与える餌も巣部屋の容器も同じ。
何によってオスを生んだり生まなかったりするのだろうか。 
5月9日 昨年の飼育記録を見ると、ケブカツヤオオアリは5月14日に産卵開始とあった。
5月10日にケブカツヤオオアリの写真を撮っているのだが、腹部の節が伸び始めていた。
翻って今年。
産卵はまだ。
腹部は小さいまま。
産卵するのかな?
以前飼育していたアメイロケアリのようにならないように願うしかない。
昨夏、巣部屋が結露が激しく女王の様子を殆ど観察できなかったのが今更ながら痛い。
そんな女王アリの様子を撮影しようと試みた。
陰になっている場所にいて撮影がしづらいので、少し刺激を与えて動いてもらおうと思った。
光で照らしてみても全く動かない。
触角も動かしていない。
少し前は別の場所にいたので生きてはいるはず。
そうして思った。
これ、寝てるんじゃないか?と・・・
5月10日 枚岡を歩いてきた。

神社そばで、サシガメが芋虫を捕食していた。
空気はさわやか、風も強めでその風が冷気を含むと言うどう考えても何も飛ばなさそうな天候。
羽アリ関係と言えばシロアリの脱翅個体を1匹見かけただけ。
それでも、全くの無収穫と言う訳ではなかった。

戦利品その1。別にタケノコドロボーをしたわけではない。
暗峠山上、大阪府と奈良県の県境付近には集落があり、そこの軒先で販売されていた。
これだけ大きなもので値段が300円!重かったですけどね・・

その2。その3とは別の塊。

その3。その2と同じもので、これはケブカツヤオオアリの幼虫塊だ。
山を登っている途中に如何にもなイタドリを折るとアリが出た。
最初「ミカドかぁ・・」と思った。
しかしちょっと待て、ミカドにしては少し体が小さいぞ。
そう言うアリは私的にはケブカツヤオオアリしか思い浮かばない。
折って見るとサテライトコロニーが出た。
有翅オスメスが少し入っていたが女王はいなかった。
撮影は失念していた。
幼虫を我が家のケブカツヤオオアリに養女として入れてみて何か変わるか見てみたかった。
そんなわけで塊を少し頂いてきた。
折った時に少し傷つけてしまったのか、この塊は湿り気があった。
餌場に入れるとすぐに働きアリが来て様子を見ていた。
明日にはどうなっているか楽しみだ。
5月11日 トゲアリコロニーでは幼虫が見られるようになっていた。

小さな幼虫がまとめて置かれていた。
やった!と言いたいが、このコロニーでは昨年羽化したのがクロオオアリのオスだったと言う「実績」があるので、トゲアリが羽化するまでは一切油断が出来ない。

女王アリ。腹部は大きいが卵はさほど多くない。
一昨年に導入したクロオオアリの働きアリが減っていることも一因にあるのだろう。
5月12日 常温飼育のクサアリモドキはとにかくメイプルの水割りをよく飲む。
夜に与えて数時間で殆ど飲み干してしまう。
餌場にはいつも働きアリが沢山うろついていて、メイプル水割りを与えると一気に群がる。
しかし、今の時期でこれなら真夏の時期はどれくらい飲むのだろう。
暑い分、朝と夕方に水割りを与えようか、今まで通り一日一回夜だけににしようか、少し悩み中である。
5月13日 昨夜は雨が降ったが、朝にはやみ、晴れて気温が高め。
見る範囲では風も強くない。
今日は結婚飛行に関しては「鉄板」だと思い、仕事終了後に枚岡に観察に行くことにした。
枚岡駅着は夕方7時頃だった。
大阪の今日の日の入りは午後6時52分と言うこと。
着いた頃はまだうっすらと明るかったのだが、歩いているうちに急に夜の帳が下りてきた。
昨年の9月に箕面を歩いた時、夜戦になり、ライトを持っていなかったので非常に困ったことを思い出し、今日は鞄にLEDライトを仕込んでいたのでそれで照らしながら歩き始めた。
神社を歩いてみるが死骸がない。
神社のクロオオアリを見てみるとやけに閑散としている。
飛んだのか?
更に歩いていく。
山の方から湿気を含んだ、緑の匂いをはらむ風が下りてきてとても心地よい。
しかし、何もいない。
死骸すらない。
ひとしきり歩いてみたが飛行後の脱翅メスや羽アリの死骸すら全く見かけなかった。
今日飛ばなかったらいつ飛ぶのだろう?
神社のコロニーは巣口が閑散としていたがもう飛んだのだろうか?
?マークが増えるばかりの観察になった。
5月14日 クサアリモドキはすっかり羽化ラッシュになっている。

色の淡い働きアリが次々と見られるようになった。

これでも一部です。
立体構造化したカートンの部位に繭を詰め込んでいる。
5月15日 ケブカツヤオオアリ。
まだ産卵しない。
産卵するのだろうか・・?

女王の周りには働きアリが集まっている。
土曜日に採集した幼虫たちは纏めて置かれず小さな塊に細分化されて置かれている。 
5月16日 4月30日に女王を採集したクロナガアリ。
5匹採集してひとまとめに放り込んでいるのだが、産卵が次々と行われている。

女王は5匹いるが、1匹だけ写った。
卵はこれでほぼ全て。画面外には1個があるだけ。
クロナガアリも複数女王で飼育をスタートさせると、安定している感じがあり、産卵数も多いので安心してみることが出来る。 
5月17日 関西集会その2当日。
先日の猪名川と同じく私とkuroyagiさんの2人での会になった。
神社からハイキングコースに入る。
昨年と異なり、毛虫が極端に少ない。
昨年、糞が止みまなく落ちていてパラパラと音を立てていた個所も至って静かだった。
山を歩いていて私には獣の声と思えていた音が実はキツツキが木を叩いている音だと言うことをkuroyagiさんに教えていただいたりした。
展望台着。
空気がとても澄んでいて普段なかなか見ることが出来ない大阪湾の橋やタンクもくっきり見えた。
更に上へ。
今回は昨年と同じコース、同じ集合時間だったがペースが速い。
そこで、万葉の路方面に進路を取った。
鳴川峠のレストハウスへは「胸つき八丁」と書かれている急な山道を通る。
ハイキング道で休んでいたオバさんに私とkuroyagiさんが親子と間違われる一幕もあった。
レストハウスの傍でチョウの幼虫がいた。

最初はエノキの木が傍にあったこともあり、ゴマダラチョウかオオムラサキの幼虫かと思ったがどうもジャノメチョウ系の幼虫のようだ。 
万葉の路を通り、暗峠。
今日は近鉄のハイキングイベントがあったらしく、暗峠周辺は過去に見たことがないほどハイカーがいた。
スカイラインまで上がったが何もいなかった。
昨年ケブカツヤを出したポイントは先週下見で訪れた所良い枝が無く見所がないと判断したのでパス。
お昼を食べたのは正午だった。
ここからは降りるだけなのだが、集落を歩いていると寺院への標識があった。
時間も早いし、行きましょうと言うことに。
最初少し坂がきつかったがしばらく道なりに歩くと慈光寺に到着。
とても静かなたたずまいの山寺であった。
シャクナゲが2株だけだが植えられており、それが咲いていた。
個人的印象では室生寺に似ているように思った。
バックすると元来た道に出るのだが、降りる道がある。
下りて行くと「ぬかた園地入口」のゲート。
地図を見ると少し大回りになるが枚岡方面への道もある様子。
下りて行くと2009年辺りに私が良く歩いていたコースに出ることが分かった。
山の上の方は空気がさわやかだが下りてくるにつれ空気がベタっと湿気ているのがわかった。
そんな折、草にクロオオアリのオスが止まっていた。

周囲を探したがこれ1匹だけ。
更に降りて行き、石をめくるとアメイロアリの脱翅メスが石の下に潜り込んでいたがすぐに別の隙間に潜り込んだ。
飛んでいたんだね。
枚岡神社に到着し、観察しているクロオオアリコロニーの様子を見る。
オスが巣口に出てきていた。

1匹しか写っていないが散々ストロボをたいた後のことなので1匹だ。
最初は5匹ほどオスが完全に巣から出ていた。

上の写真より少し前に写した。
こことは別の巣口には数は多くなかったがメスも姿を見せていた。
ここを見る前に別の場所でもクロオオアリの巣口をkuroyagiさんが見つけられたがその巣穴は羽アリが顔を出す前、働きアリが興奮気味に巣口にいたものだった。
それを見ていて2人の共通見解が
「明日(以降)だね。」
と言うものだった。

スカイラインでkurioyagiさんがタンポポの草笛を披露くださったり、休憩時に降ろしたkuroygiさんのリュックに少し大きめの毛虫が付いていたり(kuroyagiさんの大きなピンセットで退場願った)とアリ以外で色々と楽しい会だった。

まとめ:
・今年は毛虫が少ない。ただ、シャクトリムシが多い。
・毛虫は音が聞こえている?(kuroyagiさんが毛虫に「ハッ」と言う感じの声をかけると威嚇するもの、動きを止める者がいた)
・クロオオアリの飛行は始まっているようだが、本格飛行はまだっぽい。
・なるかわレストハウスへの山道は「胸つき八丁」と言うだけあり、急坂。夏に上るとばてるかも。
・慈光寺はとても雰囲気が良いので足を延ばす機会があればお勧めのスポット。

・・・あまりアリに関すること、書かなかったね・・
5月18日 昨日に引き続き枚岡公園。
今日は昼からの「出勤」になった。
午後1時半頃に駅到着。
歩いていくとクロクサアリの脱翅メスが1匹歩いていた。
昨日はクロクサアリも見かけなかったので、今日は見込みアリか?と思って歩きはじめる。
公園事務所付近でタケカレハっぽい巨大毛虫に驚きながら歩いていく。
昨日チェックした事務所付近のクロオオアリは子供か犬かに巣口を荒されていて全く静かになっていた。
特に変化がないのでまた暗峠を登り始めた。

側溝にいたマイマイカブリ。この時期に良く見かける。

ガードレール上でオサムシが芋虫かシャクトリムシを貪っていた。

何か動くものがいた。見てみるとムネアカオオアリの脱翅メスではないか!
改めて野外で見ると巨大なアリだね・・

車か、人に踏まれて絶命したムネアカオオアリの脱翅メスの死骸。

このクロオオアリは面白いことに木の幹から降りて来たのだ。
以前、「インセクタリウム」で酒井先生がトゲアリで木の幹から次々と下りてくるメスに遭遇された記事があったが、このクロオオアリも樹冠部で交尾を行い、それが下りてきたのだろうか。

午後4時半頃、結婚飛行の巣立ちを行っているさなかのコロニーに遭遇した。
次々と飛び立っていった。

こういう図、ずっと前にしたことがあったなぁと思い調べると2008年にミカドオオアリでやっていた。

同じメス。横を向いているだけなのだが、何か表情を感じてしまう。

羽アリが出る直前のコロニーもあった。

午後5時半頃にはクロオオアリの有翅メスに代わって脱翅メスが多く見られるようになってきた。
そのうちの1匹は私の首に飛んできて地面に置いてやるとすぐに私の目の前で脱翅してくれると言うサービスまでしてくれた。

写真は巣穴を掘っているクロオオアリの脱翅メス。

おまけ。最後に見つけたミドリカミキリ(の死骸)。
今年はミドリカミキリをよく見かけ、昨日に1匹、今日は歩いている時に1匹見かけ(撮影準備をしているうちに飛んで行った)そしてこれ。
今まで見かけた記憶がないほどだったのが、現時点で3回も見ている。
美しい種類。

今日はムネアカオオアリは1個体見かけただけだった。
ミカドオオアリ、ヨツボシオオアリ、ケブカツヤオオアリと言うこの時期に飛ぶオオアリの有翅個体は見かけなかった。
クロオオアリは熱心に探さなかったが10個体近く歩きながら脱翅メスを見かけた。
5月19日 キイロシリアゲアリはようやく羽化が始まった。

色の淡い働きアリが数匹いる。

もう1枚。
メイプルとミールワームを与えている。
5月20日 アメイロケアリ。
今日、観察すると働きアリが5匹羽化していた。

どの働きアリも羽化後間もないようで色が淡い。
昨年秋にアメイロケアリが少し羽化したがすぐにいなくなってしまった。
ケアリの働きアリがいじめるような行動を見せていたが今回はそういう行動は見られない。繭も沢山あり、幼虫も成長しているので今回はうまくアメイロケアリが増えて行ってくれるのではないかと思っている。

ケアリの働きアリがアメイロケアリの幼虫を世話している。
肉餌はミールワームを与えたりコオロギを与えたりしている。 
5月21日 コナダニの害について考えてみたい。
アリを飼育していると、大抵発生するコナダニ。
Wikipediaによると、菌類や細菌を食べているらしいとのこと。
しかし、私はこのダニが多く発生するとアリのコロニーに害があるのではないかと考えるようになった。
というのも、以下のようなことがあったからである。

2008年に採集したアシナガアリコロニーは容器が手狭になったので、薄型容器を巣部屋にしたものに移し替えた。
最初は極めて順調だった。
しかし、巣部屋の中にすぐにゴミがたまり、コナダニの発生が見られた。
その頃コロニーは巣部屋を放棄し、餌場に出てくるようになったが、すぐにそこにもダニが見られるようになった。
そうしているうちにあることに気が付いた。
まず、幼虫や蛹が極端に減りだした。
蛹を見ると普段折りたたまれている脚がバラけたようになっていた。
次に働きアリも死に始めた。
その死骸にはコナダニが。
これはまずいと容器を小さなタッパーに換え、元気な個体を選んでコロニー再建計画に着手。
最初の数日は働きアリで死ぬものが見られたが死骸はすぐに除去。
移し替えた後でも動きのおかかしな物も除去してようやく落ち着きを取り戻した。
今は産卵も再開され、特に問題はなさそうである。

私はダニが発生してそのダニが幼虫や蛹についてそれらを殺した後、成虫にも取りついて結果コロニー全体の勢いを弱化させたと考えるのだが、いかがだろうか。
5月22日 奇妙なヤマヨツボシオオアリ。
何が奇妙なのかと言うと・・

絶好調なのだ。 
ご覧のように幼虫がとにかく沢山。
数年来の増えないという評判を覆して余りあるほどなのだ。

女王アリ。春先より腹部が小さくなったが産卵は継続中。
卵塊はそれほど大きくないがコンスタントに卵がある状態。

繭を世話する働きアリ。
大型の繭はないが小さな繭が沢山。
ヤマヨツボシオオアリは飼育環境は今までと何も変えていない。
うーん、(嬉しい意味で)どうなっているんだろう?
5月23日 クサアリモドキにハニーワームを与えると、集った。

こういう風に集まってがっついて、卵や幼虫がどんどん育つのを見るのはまさに醍醐味と言えると思う。
もっとも、このコロニーは1日給餌をしないと餌場に斥候のアリがかなり出てきてしまうのだが・・
5月24日  枚岡に出かけたかったが、冷たい風が強く吹き、体調も少し不調だったので今日は出かけなかった。
クロオオアリやムネアカオオアリと言った春のオオアリたちもこの辺りではそろそろ終盤戦の模様だと思うのだが、それらは明日に持ち越しにした・・
5月25日  枚岡に午後出かけた。

クロオオアリの有翅メスの腹部のない死骸があった。
手に取って見ると乾燥しており、今日飛んだものではなさそうだった。

この時期に良く見かけるエサキモンキツノカメムシ。
これは死んでいた。胸部のハート模様が可愛らしいカメムシだ。

側溝でツチバチ(?)が死んでいた。
側溝でクロクサアリの脱翅メスを見かけた。
すばしっこくてまともに撮影できなかった。

先週、羽アリが出てきそうだと書いていたコロニーはまだ羽アリが少し残っているようだったが、あまり多くないようだった。
飛び立ちを見せてくれたクロオオアリコロニーも様子を見てみたがこちらは飛びつくしたのか、至って静か。
先週の喧騒を見た身としては拍子抜けするほどだった。
上写真のクロオオアリコロニーの様子を見ていたがどうも飛ばないような雰囲気。
消化不良感があるが撤収になった。

ヨツボシヒラタシデムシ。
今年はミドリカミキリと並んで良く見かける甲虫になっている。

月曜日は雨と言う。
恐らくこの雨の後最後の飛び残りたちも飛んでしまうことが予想される。
今度の週末は・・残っているか微妙・・
5月26日  トゲアリコロニーに出現している幼虫。

育っているのだが、今一つクロオオアリかトゲアリか判断をつけかねている。
ミールワームやコオロギ、ハニーワームを与えているが幼虫が育っているということは良い兆候だよね・・?
5月27日 3年前に新女王を採集したクサアリモドキコロニー。
2コロニーいて私はそれを「(働きアリの)個体数の多い方」「(働きアリの)個体数の少ない方」と呼んで区別している。
今日は個体数の多い方のコロニーなのだが・・

メイプルを与えると餌場を徘徊していた多数の働きアリが一気に群がった。
鬼気迫るものを感じさせさえする。
本当にメイプルの液表面が全く見えないほど一気に真っ黒。
アリが苦手な人がこれを見たら卒倒するかもしれない。 
もう1つの「個体数の少ない方」はおとなしいんだけどね・・
5月28日 ハヤシクロヤマアリはようやく繭が出来始めているのだが、コロニーの様子を見ていてずっと感じるのは、「波に乗り切れていない」感じだ。
ハヤシクロヤマアリも条件が合えば一気に増えて行くと思う。
しかし、私の場合、どうもハヤシクロヤマアリはシーズン中に今一増やすことが出来ず、増える数よりも死ぬ数が多くなり段々数が減っていくと言うまさに「じり貧」そのものになってしまう。
クロヤマアリの時はそれほど悩んだ覚えがないのだが、何か違うのだろうか・・?
5月29日 ムネアカオオアリは羽化が続く。

クロオオアリは黒い体色そのままで羽化という印象が強いが、ムネアカオオアリは羽化したては色が淡い。
クロオオアリは小型〜中型の働きアリを多く生産し、ムネアカオオアリは大型の働きアリを生産し、構成員の数はクロオオアリよりは少ない。
エネルギー投資の振り分けを見ているようで面白い。 
5月30日 ケアリ。
増えてきたのは結構だが、餌場にパウダーを縫ってもすぐに突破されるようになった。
餌場を高さのある物に換えて巣部屋も増設しなくてはならない。
巣部屋は用意できているのでタッパーとその巣部屋に穴を開けてつなぐだけ。
今度の休みにでも作業しよう。
でも、kuroyagiさんの日記にあったがケアリは増え始めると凄いね。
5月31日  ここ数年、クロヤマアリの女王アリを探しているが見つけられていない。
先日、ふと思いついた。
この日記が始まった1996年に女王を採集した奈良の場所に行ってみよう、と。
当時、あの辺りはクロヤマアリが良く見つかったのだ。

今日は晴れて気温も上がった。
絶好のクロヤマアリ日和だと思った。
昼過ぎに到着、歩きはじめる。
ここをアリ目的「だけ」で歩くのは実は初めてだったりする。
結果は・・

0匹

だった。
見た目には変化がないと思えたが、どうもクロヤマアリ自体が減ったのか働きアリをあまり見かけない。
女王やオスも全く見かけなかった。
それにしても、1996年から18年経ったんだね。
歩きながら自分が浦島太郎になったような気分を味わうとは思わなかった。

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