2014年4月の観察日記

4月1日 一昨日、クサアリモドキを取り上げてみたがその女王様を撮影してみた。

働きアリから口移しで餌を貰っている?撮影時は気が付かなかった。

腹部も肥大化している。産卵も始まっていてハニーワームを凄い勢いで消費する。
4月2日 ボンレス特集その1。
今日はヤマヨツボシオオアリの女王。

この種類では恐らく最大級の腹部の伸び。
産卵も始まり、肉餌も良く食べている。
今のところ、厄介な「症候群」の傾向はみられていない。
4月3日 ボンレス特集その2。
アメイロケアリの女王にしてみた。

クサアリでこれほど膨らむのは何度も見ているがアメイロケアリも中々のもの。
卵もどんどん産んでいる。
コオロギよりもミールワームがお気に入りのようである。 
4月4日 ボンレス特集その3。
これを取り上げないわけには行きますまい。クサアリモドキの女王。

本当に写真で見るシロアリの女王のように膨らんでいる。
同年に採集したクサアリモドキはもう1コロニー飼育している。
それがカートンを発達させているものだが、女王はそのカートンに隠れて確認できなくなっている。
上の画像のコロニーのように産卵していると思われるが、ハニーワームの消費量が全然違うのでここまで肥大していないかもしれない。
4月5日 ボンレス特集その4。
トゲアリである。

腹部はかなり大きく膨らんでいる。

卵塊もこのように大きくなった。
ただ、このコロニーの場合、これがトゲアリの卵かという点において疑問が生じているのが何とも悲しい。
卵塊は日に日に大きくなっているし、女王の腹部に数個卵がくっついているのを見ることはあるが、それでも・・ね。 
4月6日 このクロオオアリは昨年採集した女王アリだ。

女王は元気である。

働きアリと卵幼虫。
働きアリは2匹だが卵が多いので今のところ心配はしていない。

卵。いつ見ても美しいですね。 
4月7日 ケアリ。幼虫が育ち、繭を作り始めている。

働きアリと卵塊。卵塊は一か所ではなく、このように小さな塊に分けて置かれている。

育った幼虫。与えているのはミールワームのみだが順調そのもの。色艶も良い。

育った幼虫はこのような屑をかけられてそれを足場に繭を作る。

全てはこの女王アリ1匹から始まった。
お腹が肥大化することはないのだが、働きアリに囲まれていることが多くなった。
4月8日 今日はケブカツヤオオアリにしてみた。

メイプルを舐めているところである。

コオロギに集まった。
この大きさなら明日には食いつくされているだろう。

幼虫はまだ越冬モードを抜けていないようで、まだ薄い黄色をしている。
越冬モードを抜けると体色が白っぽく艶が出てくる。
4月9日 恒温機内のアリの様子が少し変に感じた。
具体的には普段よりアリたちがせかせかと餌場を何かを探しているような動きを見せている。
ふと思い立ち、石膏に水を含ませる。
石膏上の水に、アリたちが集まって飲んでいる。
恒温機の湿度は70%を示しているので、うっかりしていた。
この時期、恒温機内は乾燥気味になるが、湿度ばかり見ているとこういうことになるんだなぁと思った。
幸い、被害は皆無だった。 
これ、もし今日観察せずに一日放置していたら体の小さなアメイロアリ辺りは危なかったかもしれない・・
4月10日 アシナガアリ。
前蛹が見られるようになった。

前蛹は体の色が白っぽくなるので分かりやすくて良い。

育った幼虫を1匹取り上げてみた。
拡大してみると、頭部が見える。
普段は目だたないが、顎が見えたりしている。
4月11日 チクシトゲアリは繭が見られるようになった。

最初は白いが羽化が近づくと褐色に変わってくる。
4月12日  北摂、一庫(ひとくら)ダム周辺に出かけてきた。
予めお断りすると、アリの写真は少ない。

能勢電鉄山下駅を降りて集落を歩いていく。
ハイキング道があるのは知っているが、ダムへの案内はない。
だから最初凄く大回りをすることになった。

この標識が出現するのは郷土館付近。
最初は郷土館を目指すと良いことが分かった。 

桜を見ながら・・・と言いたいが桜吹雪が盛んで大方散ってしまった桜もある。

ベニシジミ。タンポポで蜜を吸っていた。

ようやく、はっきりとした道が見えた。

アケビと思しき花が咲いていた。

山はまだ新緑にはもう少しと言う感じだった。

少し歩くと一庫ダムに到着。

一庫ダムの管理事務所付近は桜が植えられていてそれらは桜吹雪盛んだったが、一部このような花が残ったものも見られた。

高架橋は国道。車両専用で歩行者が通れない。この上から見る景色は絶景だと思うが、無念。

枯れたイタドリがある一角があった。
割ると、これが出てきた。ナワヨツボシオオアリと思われる。
しかし、サテライト。数個出したが全てサテライト。まさに「魔界」。

オオカマキリが生息しているようだ。孵化が終わった古い卵のうがあった。

ダム湖の上から山々を望む。

一庫ダムと一庫公園は隣接しているかと思っていたが実際は2キロちょっと離れているらしい。
時間も早かったので、一庫公園に行ってみることにした。

絶景。
実際に見るととても雄大。

スミレが咲いていた。

兵庫県から大阪府に入る。
国道に沿って歩いているがこの国道は福知山や亀岡への道になっているらしく、交通量は意外と多い。

アブラナ科の植物が花を咲かせていた。

イチゴも花を咲かせていた。
昨年、同様の花を撮影した時に見られたカミキリモドキは見られなかった。

歩くことしばし、ようやく一庫公園に到着。

国道から入るとすぐに入口になっている。

テングチョウに混じって見たことがない、色の黒めのチョウが飛んでいた。
撮影できたのが、これ。ミヤマセセリだ。

アリはハヤシクロヤマばかりが目に付く。
一部ケアリなんかもいるのだが、ごく少数。

公園内は気温が低いのか桜がまだ残っていた。

テングチョウ。活発に飛びまわっていた。

桜満開の様子を見れるとは思わなかった。上に出てきたダム管理事務所の桜は吹雪だったのに、ここのものはまだ吹雪にはなっていなかった。3キロも離れていないんですけどね。

一庫公園には駐車場が2つある。駐車場の1つは満車だった。
有名スポット?

再び、一庫ダム管理事務所まで戻り、能勢電鉄山下駅へと向かう。
その道すがら、対岸の木にカラスが巣をかけていた。

川沿いの斜面は緑が萌えようとしている。様々な色の濃淡が見られて良い感じになっている。

人家付近で、このようなガの羽根が一枚転がっていた。
この時期にこのような羽根を持つガ、いましたっけ・・?

まとめ:
・一庫ダム付近は緑が濃い。
クロオオアリは見られなかったが、新女王の時期にここを訪れると如何にも、というような個所は幾つかあった。
・一庫公園へは歩いても十分行ける距離ではあるが、車があった方が良いかと。
特に夏場は歩いて行くのはきついかも(日を遮るものが少ない)。
・一庫公園内、「出会いの谷」から「丘のゾーン」に入るが、階段の段数がとにかく多いので少々参った。
・アリはハヤシクロヤマアリが目立ったがそれは時期的に他のアリが活動を開始していないことも考慮に入れたうえで、特に「丘のゾーン」付近は夏場は面白そう。
・一庫ダム管理事務所付近にはイタドリが見られる個所があるがアリが入っている密度はそれほど高くないように思えた。
ただ、この場所は手入れが行き届いており、枯れ枝は綺麗に掃除されているので枯れ枝自体が多くない。それでも、斜面に転がっているような物を割ると面白いかも。
4月13日 クロナガアリ。
冬の頃はネタ不足でよく取り上げたが例年この時期は他のアリに隠れてしまっている存在だ。

卵塊。寒い時期が終わる辺りから急に卵を産み始めた。
孵化したての幼虫も見られる。

上とは別の卵塊。
順調に見えるかもしれないが、毎年この時期にある「症状」が見られる。
それは越冬幼虫が死んでしまうと言うもの。
成長した幼虫が黒く死んでしまい、それが食べられるのと時期を同じくして産卵が始まる。栄養不足なのか、加温による不具合なのか良く分からない。 
4月14日 アシナガアリ。これは3年目のコロニーの物だ。

蛹が出来始めている。

もう一つ。
写ったのは働きアリの蛹だが、形的にオスの蛹っぽいものが出来始めている。
3年目でオスの生産になるのだろうか?
また羽化したら写真を載せたい。

最後は働きアリと卵、幼虫。 
4月15日  昨日はケアリのコロニーに給餌をしなかった。
そして今日、ふと巣部屋を見て驚いた。
何に驚いたかと言うと、これだ。

その1。

その2。その1と似ているが別の塊。
繭が夥しくでき始めているのだ。
そして卵もどんどん生産されている。
このコロニーの女王も3年前に採集したものだが、いよいよ本気で増え始めたのかも・・
4月16日 アメイロアリ.。働きアリの羽化が始まっている。

淡い黄色をしていて美しい。もう少し大きければねぇ。

色の薄い成虫が色づいた蛹を運んでいるところ。

蛹と大きさを比較するために卵と小さな幼虫を一緒に写してみた。
蛹も小さいが、卵は・・小さすぎる。

女王と色の淡い働きアリを写してみる。
アメイロケアリもそうだが、女王と働きアリは色が全く違う。
4月17日 昨日、アメイロアリと言う黄色のアリを取り上げたので、今日はキイロシリアゲアリにしてみた。

働きアリと前蛹。
蛹はまだ見当たらなかった。前蛹や幼虫は数が沢山いる。

女王と働きアリ。
体色は両方とも黄色っぽいが大きさは全く違う。
4月18日 アメイロケアリも繭が続々とでき始めている。

育った幼虫に石膏屑をかけて繭を作るのを助けている。
ケアリで良く見かけるがこちらでもこれが出現した。

そうしてできた繭。数は多くないが増えてきている。
以前飼育していたアメイロケアリは石膏屑を蓋にくっつけてしまい、観察し辛くなった所に肉餌、特にミールワームを食べなくなってしまって結局女王が死んで滅亡した。
ハニーワームを与えて少し持ち直し気味になっていたので、アメイロケアリが増えてきたらハニーワームにするのが良いかもしれない。 
4月19日  気温が低い予想だったが昨日が午前雨が降り、今日が晴れたので猪名川河川敷に出かけた。
天気は問題なく晴れだったが、気温がやや低く、冷たい風が時々強く吹くと言う天気。
暫く様子を見ていたが全く羽アリは見かけなかった。
クロナガアリの女王が巣穴を掘った痕は盛り土状になっているのだが、それがあったとしても昨日の雨で流れてしまったのだろう。
今年は初めてこの場所に出かけたので先週以前がどういう状態だったかは知る由もない。
それでも、気象条件を見る限りでは飛んだとしてもかなり限定的で飛ぶとするなら今度の木曜金曜辺りではないかと見ている。
丁度土曜日にまた出かけるのでその時に様子を見ることにしよう。
4月20日 久々に「アリの花」(と私が呼ぶ)の写真を撮ってみた。

ハニーワームを食べている。
コオロギを与えたり、ハニーワームにしたりミールワームにしたりしている。
今日はハニーワームだった。
 
女王アリ。
長らくアリ団子の中心にいて直接その姿を確認できることは少ないのだが、今日はその姿を撮影させてくれた。
4月21日 常温で飼育しているクサアリモドキ。
幼虫は越冬モードを抜けている。

働きアリと幼虫を写した。幼虫はツヤツヤしている。
女王の産卵はまだ始まっていない。 
4月22日 恒温機のクロオオアリは繭が出来ている。

働きアリと一緒に写した。
タッパーに入れただけの簡素な容器で飼育しているが産卵も良く行われている。

幼虫と繭。

このコロニーは、一昨年採集した新女王から立ち上げた物だが、中型の働きアリが生産され始めた(この画像だと分かり辛いかもしれません)。
メイプルとミールワームメインで飼育している。
4月23日 昨日に引き続きクロオオアリの巻。
今日は今年4年目になるクロオオアリである。
このコロニーには1匹だが大型の働きアリがいる。

頭部が大きく、良い感じの働きアリ。
野外で見る最大級のものとはまだ比較にもならないが、こういう働きアリが生産されたということはそれだけコロニーの栄養状態が良かったんだろうと思う。

産卵も始まっている。
これからもっと増えて行くだろう。
4月24日 ハヤシクロヤマアリの調子が上がらない。
卵はあるが、ある程度以上数が増えず、幼虫の孵化もまだ。
毎年、この状態。
恒温機の電源を切る時期になると調子が上がること、恒温機購入前の記憶をたどると春産卵が始まると問題なく増えていたことから24℃でも低いのだろうか。
他の種類は早い遅いの差はあるが幼若個体が育っている。
これは恒温機から出した方が良いのかもしれないと考え始めた。 
4月25日 恒温機で飼育しているアリたちのうち、働きアリの羽化が確認できたのはアメイロアリとケアリである。
ケアリは昨日1匹働きアリが羽化しており、今日にはもっと羽化が見られると思っていたが今日は色の薄い個体はいなかった。
昨日、撮影しておけばよかった。 
4月26日 関西集会当日。
今日は私とkuroyagiさんの二人での会になった。
猪名川河川敷を歩く。
天気は晴れ。
雲が全くなかった。この時は。
歩いてみるが、クロナガアリの飛行の気配は全くない。
そうしていると、kuroyagiさんが何かを掘っている。
それは野蒜(ノビル)であった。
クロナガアリの気配がないので私も掘ってみることにした。
面白い。
そうしていると、野蒜の大群生地を見つけた。
正午辺りまで野蒜を掘った。
ジップロック一杯の野蒜を掘った。
昼ご飯を食べた後、クロナガアリが飛んでいそうな箇所を歩いてみた。
小さな蚊が無数に飛んでいたがクロナガアリは全く見かけなかった。
巣口でたむろしている様子も見られなかった。
午後2時頃には少し雲が出てきたので撤収。
さて、このままだとあすへの展望もなく、月曜の雨以降にクロナガが飛ぶかと思っていた。
しかし、だ。
午後2時頃、雲が出てきていた。
電車に乗った時は何もなかったが、その後スマホの降水状況を知るアプリで確認すると、午後4時頃フィールドの辺りは夕立とも思える雨が短時間降ったらしい。
明日は晴れ予報、気温もそこそこ。
と言うことは後は風次第では飛ぶかも・・?
明日、日曜日で良かったと心底思った。
今日はアリの画像はない。歩きながら撮影したものをおまけ的に。

ポピー?それほど多くはないが一部集まっている個所があった。

タンポポに来ていたミツバチ。

おまけ
掘りだした野蒜。
ジップロックに入れていたので匂いも漏れない・・
何てことはなく、リュックの中ににおいが充満。
それがリュックの外に漏れ出す臭害になってしまった。
外を歩いているだけならまだしも、これで電車に乗れば大惨事。
慌ててスーパーでタッパーを購入する運びとなった。
帰宅後、茎と根を包丁で切除し、水洗いしながら皮をむくと真っ白な鱗茎が。
今日は水洗いで湿ってしまったので空気乾燥の後、明日以降醤油に漬け込むことにした。
4月27日 昨日降ったと思われる雨の後、クロナガアリが飛ぶかどうかを見るために猪名川。
到着時は正午頃。
最初、河原を見て思ったこと。
雨の割にやけに土が乾いているなぁ、と。
歩きはじめる。
全く何もいない。
今日は昨日より少し風があった。
それが影響しているのかと思ったが、クロナガアリの巣口と思しき穴を見ても出入りがない。
まだ、本格的に飛んではいないと思うがあまりにも静か。
それでも、午後1時頃、オスの羽アリ10匹ほどのみで構成されているごく小さな集団が飛んでいた。
メスが飛んでいるのを見ることはなかった。
明日から水曜木曜辺りまで天気が崩れる予報。
飛ぶとしたら天候回復後。
観察に行けるのは今度の土曜日。
今度の土曜日観察できたと書くか、出来なかったと書くか、どちらを書くんだろうか。
4月28日 これは、常温飼育のクサアリモドキの餌場の隅に作られたゴミ捨て場である。

ゴミ捨て場と言っても、実際は働きアリの死骸が大半。
ミールワームの中身が食いつくされた殻もここに捨てられている。
繭の残骸はまだ使用されていない巣部屋の一つに放り込まれている。
働きアリが増えてくると、この巣部屋を使用してくれることを期待している。その時にうまく繭の残骸も餌場に出してくれると嬉しいのだが・・
4月29日 クサアリモドキの餌は現在ハニーワームを与えている。
この餌は食べ残しのカスがほとんど出ないので大変重宝している。
食いつきも問題なし。
ただ、この前コオロギの後脚が餌場に入り込んだことがあった。
その後脚を見ていて本当に美味しそうに幼虫に与えている様子が見られた。
そうだ、後脚は本当に美味しそうに食べてくれるんだと言うことを思い出した。
コオロギは何度か書いたことがあるように思うが、食い残した後、どうしても粉末状のカスが出てくるのだ。
これがたまるとコナダニの発生源になり、見た目もよろしくない。
そんなわけで蓋を開けて掃除することが出来ないクサアリモドキにはハニーワームを与えるようになったが、どうしたものだろうか。
4月30日 夕方遅く、わずかな時間であったがクロナガアリの観察に出かけた。
昨日は一日雨。
今日は雲が多めながら晴れ間ものぞいたが風がややあった。
ダメもとで訪れてみたが、すぐにクロナガアリの脱翅メスが見られ、今日飛行があったことが分かった。

うじゃうじゃと言うほどではないが、探さずとも見つかるレベルで歩いていた。

脱翅メスが2匹で巣穴を掘っている。

さて、観察しているうちにとても不思議な光景を見かけた。
これはクロナガアリの脱翅メスが2匹で巣穴を掘っている所。
クロナガアリの働きアリが写っているが、この働きアリ、何と脱翅メスの巣穴掘りを手伝っているのだ。
脱翅メスと一緒に巣穴を掘っている。
敵対行動は全く見られなかった。
どう解釈するべきなのだろう?

殆どは1匹か2匹で巣穴を掘っているのだが、1か所だけこのように集団で巣穴を掘っている所があった。見ていてボリューム感がある。

有翅メスが1匹死んでいた。
なぜ死んだのだろう。

オスが止まっていた。日中来ることが出来れば面白いものが見られたかもしれなかった。
土は相当湿っており、脱翅メスたちも掘るのに苦労はしている様子はなかった。
実際観察していたのは30分ちょっとだったが、飛行の様子以外を見られたという点において、「効率の良い」観察が出来たと思う。

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