2014年1月の観察日記

1月1日 皆さま、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
さて、今年、2014年の目標発表の前に2013年の目標達成度を大まかに見てきたいと。
2013は念頭に「飼育コロニーの増勢」「飼育管理に手間のかからない餌の発見」を挙げた。
まず、「飼育コロニー増勢」から。
増勢と言えるほど増えたのはキイロヒメアリくらいで後は現状維持程度。ハヤシクロヤマアリは恒温機を電源を切ってから活性が上がったのが大きな今後のヒントになったが、それは今年の課題に引き継がれた。
大まかに見てトータル
−25点(滅ぼしたコロニーも多く、結果飼育「種」の「多様性」が低くなる結果をもたらしたので)。

次、手間のかからない餌。
これは「ハニーワームをある程度養殖でき」、「コオロギを売っているお店が少し離れた所にオープンした」事により、送料が0になり、適当な数を買えるようになった。
コオロギは食べ残しのカスが問題になるがミールワーム一辺倒から脱せたと言うことでまぁ、
85点
にしておきましょうかね。。
ハニーワームも食いの良いものと今一つなものとがあって匙加減が難しいのですがね。

さて、2014目標。
昨年に続き「飼育コロニーを手厚く」と言うことにしたい。
特に昨年夏の暑さでバテたことにより、初めて給餌がしんどいと思うほどになってしまった。今年はこのような事が無いようにしたいかと。
また、クロヤマアリの新女王が簡単と言わずとも比較的容易に見つかるフィールドの開拓。
あと、(出来たらですが)シベリアカタアリ、もしくはルリアリに手を出したい。
この2種は消化不良感が有って飼育管理の手順を上手くやればもう少しうまくやれたんじゃないかと言う想いがある(あくまでも採集に行く気が起これば、の話だが)。
こんなところで、2014年の目標としていきたい。
今年も一年よろしくお願いします。
1月6日 元旦辺りは暖かい日もあり、蜜餌にぽつぽつ出てくるアリたちもいたが、ここ数日は寒く部屋を暖めて暫くしてからわずかばかりのアリが蜜餌を飲みに来る程度。
大半は巣部屋の中でじっとしていて、見た目的にいまいちぱっとしない時期になっている。
恒温機も稼働させずとも冷やせる最低ラインの10℃前後まで下がっているようで、給餌に関しては気を回さなくていいので管理面では楽とも言えなくもない。
うーむ、宙ぶらりんだ。 
1月11日 久々に河内長野、滝畑ダム周辺を歩いてきた。
チクシトゲアリの生息地を訪れてみたが、今年は至って有用なイタドリの枯れ枝が少なく、成果皆無。
そこで、山道を進んでいくことにした。

斜面からは雫が垂れている個所が何か所もあり、その雫が凍りつき昼間にも拘らず融けずに残っていた。ある意味「樹氷もどき」と言えなくもなかった。
道は、少し濡れていた。
数日前、雨が降ったがこの辺りでは雪が降ったようで、山の奥では融け切っていない雪が薄らと残っている所さえあった。
そのためか、イタドリを割っても成果が思うように出ない。

最初はミカドサテライト。規模はごく小さなものだった。

次に見つけたムネボソアリ。気温が低いせいで鈍く動く程度だった。画像を大きくして気がついたが卵が写っている。

今日の主役、ヤマヨツボシオオアリ。いつもほど多くは見つからなかったがコロニー数は一番多く見つけた気がする。

2006年初めの集会でムネアカを出したポイントがある。
そう言えばここでムネアカ出したこと有るなぁと思い割ると、出た。

女王もいたが、完全に仮死状態でピクリとも動かなかった。
この様なムネアカの初期コロニーはこの近くでもう1つ見つけた(恐らく奥に女王もいたと思うが確認はしていない)。

枝を折ると出たのがこれ。
俯瞰した写真なので分かり辛いがナワヨツボシオオアリだ。
密集具合と言い、これは女王がいる!
と思ったが、サテライトだった。
このナワヨツボシオオアリの写真を撮影した辺りは枝を折って黒いオオアリが出るとヤマヨツでもウメマツオオアリでもなく全部ナワヨツボシオオアリだった。
しかし、そのどれもがサテライト・・
5,6回ほどこのような体験をし、ようやく「あ、サテライトね。はい、次。」
と言う「悟り」が開けた。

タッパーにあけ、目を凝らすも大型働きアリはいれども女王は皆無・・
他、シリアゲ団子も出したが撮影をしていなかった。
山奥に歩を進めるにつれ、空気が冷たくなっていくのが分かった。
ふと、背中に温湿度計を入れているのを思い出し、出してみた。
撮影時間は午後3時40分頃。

3℃・・
奥まで歩いて行くが、道が上りになるにつれ、急にイタドリがなくなり、針葉樹ばかりの風景になってきた。
時間的なものもあり、引き返す。
勿論、目についたイタドリを折りながら。
そうして、まさにヤマヨツではないヨツボシの女王がいた。
枝を折ってみたが女王1匹だけ。
2009年秋にナワヨツと思われるヨツボシの初期コロニーを出したことがあった。
その時は誤って腹部をヒットしてしまい、採集しなかったが今回は完品。
でも、この時期で幼虫働きアリともにゼロと言うのはいわゆる創設に失敗した「訳あり」の個体なのかもしれない。
これだけ採集して帰路に就いた。

まとめ:
・チクシトゲアリは今回は全く見かけることはなかった。生息場所のイタドリが掃除されていたのが痛かった。
・ヤマヨツボシオオアリは今回も多く見つかった。有翅メスは見かけたがオスは今回見かけなかった。
・ムネアカオオアリ初期コロニーをイタドリから出した。前に出した時同様、女王は仮死状態だった。
・シベリアカタアリは一昨年は見かけたが今回は姿を見かけなかった。
・ナワヨツボシオオアリは「サテライト魔界」だった。
・久々に「枝からごちゃっ」を体験でき、枝を折る時の「何が出るかな?」と言うある種の宝探しのワクワク感に近い物を味わえたのが最大の収穫かも。
・防寒はきちっとしていたので寒くはなかったが露出している顔が冷えた。また、手袋していないと私のような冷え症には辛い。
1月13日 一昨日河内長野での唯一の収穫、ヨツボシ系の脱翅メス。
撮影していなかったので、撮影してみた。

一見、ヨツボシオオアリに似ているがやや小さい気がする。

腹部。ヤマヨツボシオオアリより、腹部の紋がはっきりしている。
ナワヨツボシオオアリの脱翅メスの画像はヨツボシオオアリほど多くないが、どうもヨツボシとは感覚的に違う気がする。
便宜上、この女王は今後ナワヨツボシオオアリと呼ぶことにする。 
1月14日 この前、河内長野でムネアカオオアリを出したが、飼育している分のムネアカはと思って調べると9月から全く取り上げていなかった。

容器を取り出して、撮影準備をしている間に女王がのそのそと動き始めた。
頭部は働きアリの塊に隠れてしまったが、健在は確認できた。

働きアリ集団の一部。
暖かい時期なら蓋をあけただけで大騒ぎになるが、この時期は至って静か。
メイプルの水割りを入れているが、果たしてどの程度飲んでいるのか・・?
1月15日 すっかり寂しくなったトゲアリ。
女王が数少なくなったクロオオアリを従えて越冬中である。

クロオオアリに囲まれていて中々くっきりとした画像が撮れなかった。
昨年はなぜかトゲアリが羽化せず、羽化したのはクロオオアリのオスアリだけ。
訳が分からない。
1月16日 ケアリ。越冬モード真っ最中。

幼虫の塊を積み上げてその周りに働きアリがいる。
クサアリモドキでもこういう図が見られるが、こちらは女王の周りをアリ玉になって取り囲む様子はない。 
幼虫の大きさはこの大きさ以外には存在していない。
1月19日 ケブカツヤオオアリは、完全に団子で少々部屋を暖めても一切動きがないので、蓋をあけて接写を試みた。

ご覧のとおり、濃密な団子。
女王もこの中心にいると思われる。

団子の周囲にいた働きアリを写してみた。
名前の通り、毛深い。
1月20日 室内で飼育している(恒温機に入れていないという意味)クサアリモドキを見ていると大きな幼虫がいたのだ。

周囲に比較対象がないので分かり辛いが、この周辺にいる幼虫は明らかにケアリで見られるような初齢、中齢ではなく、終齢の大きさなのだ。
しかも、これは1匹や2匹ではなく、(団子の下にいる分があるので正確な数は分からないが)そこそこの数いるようなのだ。
勿論、普段見掛ける小さな幼虫の塊も見られる。
恒温機に入れてある2コロニーはこのような大きな幼虫はおらず、小さな幼虫ばかりで団子を作って越冬している。
何か違いがあるのだろうか?
不吉な結果を招かなければいいのだが・・(2011年初めの例があるからね)
1月27日 一昨年女王を採集したアシナガアリ。
特に変わりなく越冬中。

常温飼育で、気温も徐々に下がっていったはずなのに、卵や孵化したばかりの幼虫が見られる。
野外でも冬季に卵があったりするのだろうか。

女王。丸っこくて愛きょうたっぷりだ。 
1月28日 昨年、チクシトゲアリにオスとメスの羽アリがそれぞれ別個のコロニーで羽化したことを取り上げていた。
その顛末を書いていなかったので、事後報告ながら。
オスとメスを取り出し、オス3匹、メス1匹を同じ透明容器に放り込んだ。
オスは普段から慌ただしく動く様子だったので、期待が持てた。
しかし、同居させてすぐに彼らは馴染んでしまった。
後はひたすら何もない。
オスはうろうろと歩きまわり、メスは壁面にじっとしたまま。
こうして、交尾実験は失敗に終わったのだった・・ 
1月29日 チクシトゲアリの話題を昨日取り上げたが、写真を撮ったのはいつだろうと思い、調べるとこれまた昨年10月から写真を撮っていなかった。

女王は餌場壁面にいて撮影がうまくいかなかったが、元気であることは確認した。
1月30日 アメイロケアリ。特に動きはないが女王がアリ玉から出てきたので撮影してみた。

女王が歩くと、ケアリの働きアリも一緒に移動している。女王が立ち止まると、周囲をすぐに取り囲む。
昨日、肉餌と思い、乾燥アカムシを与えてみたが全く食べている気配がなく、餌場に放置されていた・・

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