2013年12月の観察日記
12月3日 | 恒温機を稼働させていない。加温しているクロナガアリ以外はすべて常温の飼育になっている。 今は、乾燥に気をつけているくらいである。 肉餌としてハニーワームを与えても殆ど食べなくなった。 春までこの状態が続くのだろう。 少し手持無沙汰感があるが、春までは、暫くアリたちにもお休みをして貰おうと思っている。 |
12月9日 | ケブカツヤオオアリはすっかり越冬モードに入っている。 巣部屋を上から写した。この塊がコロニーの全構成員である。 部屋を温めると、周囲が少しほぐれてメイプルを舐めに来るものがごく少数いるが、この塊はほぼ変化がなく維持されている。 |
12月15日 | 9月に箕面で採集したクサオオアリはどうなっているのかと言うと、 変わりなし。 幼虫3匹だけ。あまりにも心もとない状態だ。 どこからメイドさんを連れて来ないと、立ち上げは厳しいかなとか思い始めている。 でも、導入するとして、どのアリをメイドさんにしようか、大きさ的に比較的抵抗がなさそうでわしわしいるウメマツオオアリかなぁと思ったりもするが、出来れば独力で頑張ってほしいとも思う心もあって、結論を出せていない。 腹部を大きく写してみた。 良く見ると、細かな点刻がみられる。 特徴的な白い帯も大写しにしてみると、また趣が違って見えて面白い。 |
12月19日 | 以前から、疑問に思っていることを書いていくことにする。 夏の伊那で、スラダケさんと少し話をしたのだが、ヤマアリの多雌は如何にして成立するか、ということがずっと引っ掛かっている。 ヤマヨツボシオオアリのように巣内交尾するようにも思えない。 かといって、クロナガアリのように複数メスで巣を掘ると言う話も聞かない(ずっと前に土生さんがハヤシクロヤマアリで見かけたらしい、とスラダケさんからその時聞いた) ところが、前述の内容と矛盾があるが、私はかつてクロヤマアリで単雌コロニーを多雌コロニーにしたことがあったのだ。 高校生の時。 私はクロヤマアリを縦型の巣箱(土を入れたもの)で飼育していた。 今のように情報交換の場もなく、全て手探り。 そんな時、手に入れたクロヤマアリの女王アリ1匹が新しくコロニーを立ち上げた。 その翌年だったと思う。 ふと思った。 ここに、クロヤマアリの新しい女王を入れたらどうなるんだろうか、と。 入れた。 働きアリが非常に少ない零細コロニーだったが、働きアリは攻撃らしきものをしていたがそれほど苛烈なものではなかった。 そして徐々に攻撃性は和らぎ、やがて同居した。 そうして女王を2,3匹の多雌コロニーにして飼育したことがあった。 大学入試の勉強をしている時にこのコロニーがあった記憶がないので、その後滅ぼしてしまったと思うが、なぜ滅ぼしたのかは記憶にない。 この体験、今から思えばアカヤマアリのコロニー立ち上げの謎にも通ずるような気がするのだが、クロヤマアリやハヤシクロヤマアリの多雌の成立にヒントになるかな、とか思う反面、野外のコロニーは働きアリの数も多く、そんな中新しい女王が入る余地があるのだろうかとも思う。 しかし、現にクロヤマアリやハヤシクロヤマアリの多雌コロニーは割と普通に見つかる。 これって一体どういうことだろうか? ふと、今日越冬中のアリたちの様子を見ていた時、思った。 |
12月21日 | 常温飼育のクサアリモドキ。塊を作っている。 恐らく女王がいると思われる塊。これだけ塊の密度が高いように思う。 多少のことでは塊がほぐれず、結局女王の健在を確認できず。 ま、恐らく大丈夫だろう。 幼虫も数か所にまとめられ、それを働きアリが囲んでいる。 ハニーワームを与えても殺しはするがいつまで経ってもしがんでいるだけ。 今は蜜と飲み水だけの維持になっている。 |
12月22日 | 19日にハヤシクロヤマアリから多雌の成立過程の事を書いたが、それにちなんで今日はハヤシさんにした.。 働きアリ。 女王その1。 女王その2。 女王の1匹はほぼ常にもう1匹の女王より腹部が大きいのだが腹部が縮んできた。 明日辺り少し給餌しよう。 |
12月23日 | 全てのコロニーに給餌・給水。 どちらかと言うと、この時期は肉餌よりも給水の方に重きを置いておく方が良い感じ。 といっても、アシナガアリのように冬季でもある程度の肉餌なら食べている節のあるものは肉餌を低頻度で与えた方が良いのかもしれない。 また、今日はアリの蜜餌の容器に使っているキャップも水洗い後、カビ取り剤で清掃した。 カビ取り剤は塩素が入っているので大丈夫かと言われそうだが、良く水洗い後、良く乾燥させておけば今のところ不具合は発生しないと見ている。 |
12月28日 | アメイロアリ。数日前まで石膏の巣部屋にいたが、今日観察してみると餌場に出ていた。石膏が乾燥したためと思われる。 女王。壁面でじっとしていた。 女王のそばにあった小さな幼虫の塊。 働きアリ。大きく写すと、改めて美しさが分かる。 最後はごちゃっとしたものをば。 |
12月29日 | 昨年新女王を採集したクロオオアリ。 ムネアカオオアリのように大型の働きアリを生産することもなく、均一化した大きさの働きアリを生産して今年は店じまいだ。 幼虫を咥える働きアリ。幼虫の数はそう多くないが、来年の発展に期待。 女王を写したかったが、給水用スポンジの陰に隠れてしまったので働きアリを1匹クローズアップしてお茶濁し・・ |
12月30日 | クロナガアリ。このコロニーは昨年女王を採集したもの。 幼虫を咥える働きアリ。 女王。例年より、ヒーターに接する距離が遠く、温度が上がりにくいのだが、そのためか産卵は現在は見られない。 丸々と太った幼虫。乾燥アカムシと粟玉しか与えていない。 アカムシを食べている幼虫なのだが、いまいちクリアじゃないね・・ 幼虫を写していたら周囲にいた働きアリのうち、1匹やけに腹部の大きいのが写りこんでいた。前述のとおり、アカムシと粟玉しか与えておらず、蜜餌の類は一切与えていないのに、だ。 明日は2013年の総集編。 |
12月31日 | 長いようで短くもあった2013年も今日で最後。 恒例となった再掲写真を交えて今年を振り返って行きたい。 1月は12日に大阪南部、河内長野にある岩湧山に登った。 アリに関して収穫は殆どなかったが、「歩きたい」という欲求を十分すぎるほど満たしてくれた。ええ、本当にもう、十分すぎるほどに。 こんな巨大霜柱(もはや霜柱と呼べるのかという疑問もあるが)も見られた。 恒温機は今年は1月29日に稼働を開始した。 加温開始直後、私がインフルエンザに罹ってしまい、数日世話が出来ない日もあったが、産卵や子育てが本格化する前だったので被害は少なくて済んだ。 2月9日に恒温機を23℃管理に設定。これで、恒温機内は「春真っ盛り」になった。 その頃のアシナガアリコロニー。幼虫の色艶がとても素晴らしい。 ハヤシクロヤマアリの卵も写していた。しかし、働きアリが初めて羽化したのは5月になってからだったりする。 アメイロケアリのコロニーは肉餌に苦労していたが、ハニーワームをがっつくようになって、少し光明が見えた。 ある意味お約束化したこの写真も載せましょう。 3月。空気が暖かくなり始める頃。 トゲアリコロニーで産卵があった。これを見た時は狂喜したものだが・・ 月末には常温のクロオオアリで産卵を確認した。 ヒラズオオアリ。この頃は調子が上向くかと思っていたが・・ 4月。本格的な春到来。これに伴い、野外活動を開始させた。 クサアリモドキは絶賛産卵中だった。 キイロヒメアリも活動開始。この頃はまだ大人しかったのだけど、まさか夏に脱走常習犯になるとは思いもしなかったのだ。 猪名川河川敷で見つけたクロナガアリのメスアリが掘った痕の土塊。 あまり高頻度で見つかるものではなかったが、少しは見つけられるようになった。 4月28日には関西集会その1が行われた。 まさにその日にクロナガアリの飛行に遭遇。「アリ柱」も立ち、企画した者として胸をなでおろすことしきりだった。 その翌日、4月29日に水呑み地蔵〜暗峠と言う春を満喫するコースを歩く。 気持ちいい空気を満喫していたら、まさかのケブカツヤオオアリに遭遇できたのだった。 5月。1年で最高に気分の良い季節。 その気分の良さも相まって、北摂に出かけた。 水を張ったばかりの水田。日本の原風景と言える風景を見ながら三草山に登った。 三草山で見つけたトゲアリコロニーのいる木の洞。 この日は帰り道を間違え、能勢町〜猪名川町に入り、能勢電鉄日生中央駅まで歩く羽目になったのだった・・ また、この月に恒温機の電源を落とし、常温飼育に移行と言う例年にない事をやってみた。 5月18日に関西集会その2。山の上でケブカツヤオオアリのサテライトと初期コロニーを出した。 もう少し、山を堪能したかったが、今年はいつにないほどのマイマイガが大発生しており、幼虫の毛虫がぼとぼと落ちてくるのでそれに辟易してしまい、これ以降は7月まで枚岡に行くことはなかったのである。 6月に入り、ケブカツヤオオアリの女王の腹部がパンパンになり、産卵もどしどし行われていた。 今年はクロヤマアリフィールドを求めて鶴見緑地、大阪城に行ったが、今年も結果は出なかった。 クロヤマアリフィールドに巡り合えるのはいつになるのやら。 7月。まさかのアメイロケアリ、ヒゲナガアメイロケアリの飛行日に遭遇。 探さなくとも女王が見つかると言うアリ好きにとっては(恐らく)歓喜の瞬間に遭遇。 アメイロケアリ2匹、ヒゲナガアメイロケアリ1匹女王を採集したが、結局アメイロケアリの女王1匹だけが残った。 産卵を開始したばかりのアメイロケアリの女王アリ。アメイロケアリは久々の挑戦だ。 枚岡で遭遇した翅が残っているクサアリモドキのメスアリ。 もう1枚。腹部の藍色が気に入っている1枚だ。 そして、箕面でクサオオアリに遭遇。今年はクサオオアリに縁がある年だった。 今年3年目のクロオオアリコロニーで中型働きアリが生まれたのもこの月だった。 8月。とにかく暑い夏。暑さには強いと自任していた私自身がヘバるほどの強烈さだった。 そのために野外観察もあまり出かけられず、例年より少しショボくなってしまった。 アメイロケアリの女王がクサアリ並みに膨らむのに、驚かされた。 アメイロケアリの自前飼育でこんなに上手く行ったのは初めてで手ごたえを感じる日々だった。 伊那での集会がお盆明けにあり、久々に伊那を満喫してきたりもした。 その伊那で初めて見たノコギリハリアリ。写真でしか見たことが無かったのでびっくり。 そのオスにまたびっくり。本当にアリらしくない姿だった。 9月。夏の暑さからのダメージはまだ残っており、撮影する気力が湧かないと言うダメダメな秋だった。 そんな折、風人さんから箕面アギトアリ観察会のお誘いを受けたのだった。 アギトアリ。デカさにびっくり。 有翅メスは翅のためか、かなり大きく見えて本当にこんなのがいるんだ、と想いも新たにした。 その箕面で、夜に見つかったケアリの女王。普段見るものより大きいので今から思えば採集しておけば良かった。 クサオオアリ脱翅メス。これが今飼育しているメスアリである。 飼育しているムネアカオオアリでは中型の働きアリが生産されるようになった。働きアリの数はそれほど多くないのに、だ。見ていてボリュームがある。 月末近くになり、7月に採集したアメイロケアリの働きアリが羽化した。 しかしどうもこの後食べられたのか、姿を消してしまったのだ。 昨年から飼育していたアズマオオズアリ、女王が急死。がっくりであった。 10月。恒温機のアリたちのとっての長い活動期にようやく終わりの気配がみられるようになってきた。 夏の頃にあれほど膨らんでいたアメイロケアリの女王もすっかり腹部が縮んでしまった。 アリたちの餌の食い方も少し落ちてきたのだ。 恒温機は真夏の頃には稼働させていたが、秋の初めにはまた電源を落とし、常温飼育にしていた。 そんなアリたちで一番早く越冬モードに入っていたのはケブカツヤオオアリだったと思う。 このアリは真夏に巣部屋が結露で見辛い状態だったが秋に空気が乾燥気味になり、蓋を交換して中が見えた時にはもう卵や成長した幼虫、繭は無くなっていたのだ。 11月。もうシーズン終了間際に、アギトアリがまさかの産卵開始。 長い顎で器用に卵を咥えるのに感動した。 キイロヒメアリも蓋を掃除したらとにかく増えていた。増えすぎ、脱走常習犯と言う意味で「飼いきれないかも」と思い始めた自分がいたりする。 シーズン初めには女王3匹だったが、この頃見ると女王が4匹に増えていた・・ 12月。クロナガアリ以外は全く動きが無くなり、シーズンオフ到来。 河内長野に散策に行こうかと思ったのだが、忙しくて果たせず。 以下、おまけを少々。 この花、春の初めに枚岡で見かける。綺麗な花を咲かせるので名前を知りたいが、まだ糸口をつかめずにいる。 タンポポとカミキリモドキ。この組み合わせ、春が来たと思えて好き。 この花、ガマズミですか? カナブン。この個体は若干緑がかっている。 アオカナブン、見たいなぁ。 9月の箕面で灯火の傍にいたヒメカマキリ。久々の対面だった。 7月枚岡にて。このコガネムシ、夏に見かけるが色が金色がかっていて美しい。 これも種類が良く分からない。 タマムシ。美しいですね。生きてるのが見たいよ・・ 最後に箕面の滝。お口直し的な意味で。 以上、2013年を振り返った。 こうやって見ると出かけていないと言いながらネタ的には豊富だったなぁと思ったり、それなら真夏に出かけていたらもっと面白いネタがあったかも、と思ったりもする。 来年、2014年の目標は明日、元旦に行う予定。 それではみなさん、良いお年を! |