2013年10月の観察日記

10月1日 最近、すっかり取り上げていなかったトゲアリはどうなっているのだろうか。

相変わらず健在の1匹だけのオス。

女王アリ。
結局、今年はオスを1匹生産しただけで終了と言う悲しすぎる結果に終わることになった。昨年、女王アリを採集し、幼虫がすくすく育っていく時は順調そのもの・・
だったのだが、まさかオス「しか」産まないとは全く思わなかった・・
10月2日 「凶兆」・・悪いことの前兆、不吉なしるし。
いきなり、徒然見たいな導入の仕方だが、私にとっての凶兆はこれである。 

これは空気穴にクサアリモドキの働きアリがわんさか群がっているのである。
勿論、普段はこんな行動はとらない。
特にケアリ関係でこういう行動をとる時、それはすなわち「脱走」を意味する。
実際、給餌の際恒温機をあけると30ほどの働きアリが外に出ていた。
どうもこの空気穴の周囲をふさいでいるグルーガンの部分に穴が開いたようで、そこから脱走しているようだ。
とりあえず現場を押さえるのが一番。
そう思ってみていても中々出てこない。
一応周囲を固めては見たが、どうも不安だ。
10月3日 大失敗記である。
昨夜、スラダケさんから一昨日紹介したトゲアリコロニーのオスアリがトゲアリのオスではなく、クロオオアリのオスではないか、という指摘を頂いた。
そこで、今日、トゲアリのオスを画像検索してみて驚いた。
どう見てもトゲアリじゃない。
クロオオアリのオスだ。
そうすると、オスしか生まれなかったのも納得だが、問題は肝心のトゲアリが産卵していたのか、と言うことになる。
少なくとも蛹の段階に進んだものは、全てオスばかりだった。
トゲアリの女王は産卵していたのだろうか。
産卵の現場を押さえていないので、何とも言えない。
トゲアリの女王アリがオスしか産めないという説はひとまず否定になったが、そもそも、産卵するのだろうか。
腹部は大きいので、来期に期待したいが、クロオオアリの働きアリもこの1年で半分ほどに減った。
どうしよう・・ 
10月4日 ケアリ。至って順調で見ていて活気を感じる。

卵は少なくなったが若干量残っている。
殆どは孵化して幼虫になっている。

働きアリも増えて、賑やか。これが乾燥アカムシだけで維持できていることが信じられないくらいの活況ぶり。
10月5日  昨年新女王を採集したアシナガアリも順調である。

餌場でミールワームの欠片にわらわらと集まってきた。

女王アリ。丸っこくて働きアリとは体型が違うところが可愛らしい。
10月6日 午前、枚岡を歩いてきた。

樹上性オオアリの脱翅メス。この時期に、まだいるんだと思った。この1匹だけだったが。

椋ヶ根橋の欄干にいたトンボ。
 
公園事務所付近にて、ハリブトシリアゲアリの有翅メスが1匹だけいた。

ヒラフシアリ。いつ見ても、小さい。

側溝で、アシナガアリが何かの実を運んでいた。

クロナガアリも活動を開始していて、そこかしこで小さな種子を運んでいるのを見かけた。
キイロシリアゲアリは見かけなかった。
昨夜、気温が高かったのであるいは・・とも思ったが・・
10月7日 先月箕面で採集したクサオオアリの脱翅メス。
卵を産み始めているのだが、少し面白い展開になっている。
先日、ふと乾燥アカムシのごく小さな欠片を放り込んだ。
クサオオアリは刺激を与えたくないので、数日放置して容器をあけてみると、欠片が跡形もない。
どうも食したようで容器の底に少し汚れが見られる程度だった。
これは、と思い、本当に小さな欠片を思い立った時に放り込んだ。
メイプルも与えてみたが最近はあまり飲まない。
というか、知らん顔。
ずっと入れておいたら飲むかもしれないが、メイプルで溺死は避けたいので飲まないなら即撤去にしている。
それなのに、メスアリの腹部は大きく膨らんできている(ボンレスではないが)。
これは、新女王の育成において非常に面白い、且つ手軽な餌が見つかったのではないかと思えた。
10月8日 例年だと、この時期に恒温機の温度を下げて行って越冬モードに入らせるのだが、今年は常温飼育なので、アリたちの活動はまだ続いている。
ここ数日、気温の高い傾向が続いているので、アリたちも餌をそれなりに食べる。
この分だと、11月になっても給餌をまめに行う必要があるかもしれない。 
10月9日 ケブカツヤオオアリは餌を与えると、働きアリが出てきて食べるのだが、コロニー本体の方はと言うと、至って静か。
冬眠してると言うか、ともすれば死んでるんじゃないの?と思うくらい静か。
多少の刺激には動じない。
大物なのか、それとも実際何か問題が起こってるのか(特にそういう兆候は見られないが)見ていて少し寂しくもあり、安定感があると解釈して安心して見られると言うか・・ 
10月10日 大抵の種類が産卵を停止している中、安定して産卵継続しているものがある。
アシナガアリだ。
例年、アシナガアリは最後まで産卵を続けているが、温度条件さえ良ければアシナガアリはずっと産卵をしているのかもしれない。
産卵する期間がどちらかというと限られている感があるクロヤマアリやハヤシクロヤマアリとは何かメカニズムが違うのだろうか。
10月11日  ケアリは卵が少なくなってきているがまだ卵がある。
それにしても、見ていて賑やか。
幼虫の艶も良いし、来年以降さらに発展しそう。
また巣部屋を増設しなくてはならないかもしれない。
10月12日  10月なのに、暑い日が続いている。そのためか、クサオオアリの幼虫が2匹ほど成長している。
乾燥アカムシを食べているようで、幼虫に色が入っている。
来週末から急に気温が下がる予報になっているが年内に働きアリは羽化出来るのだろうか。 
10月13日 クサアリモドキ。一昨年立ち上げたコロニー。
個体数の少ない方のコロニーの様子。

小さな幼虫。恐らくこのまま越冬モードに入りそう。

写りが悪いが大きく育った幼虫もいる。
これとは別の、もう一つの一昨年立ち上げたクサアリモドキコロニーでは大きく育った幼虫も多くいるし、繭も沢山ある。

同じように世話をしているが、この2コロニーの差異は面白い。
10月14日  クサオオアリは2匹の幼虫が繭に成長した。

白いのは湿度保持のためのティッシュである。

女王と卵。幼虫は他にいない。
一見、安心できそうだが、昨年ヨツボシオオアリでは繭を一つ生産した所でメスアリが子供喰いに走ってしまった。
まだ、油断できない。
10月15日 トゲアリはどういう訳かまた産卵が始まった。

クロオオアリの働きアリが卵を咥えている。

もう1枚。
最近まで、卵は一切見られず、もうだめかなぁと思っていたが、少し嬉しい。
ただ、この卵がクロオオアリの卵なのか、トゲアリの卵なのかが現段階では不明。
詳細が分かるのは恐らく来年だろう・・ 
10月16日 アメイロアリもおとなしくなってきた。

女王。拡大して気がついたが腹部が縮んでいる。卵は周囲に見られるが今年の生産も終わりに近付いているのだろう。

働きアリ。女王の腹部は小さくなったが、働きアリはこのようにパンパン。
アメイロアリは今までずっとメイプルの水割りとミールワームの欠片で維持している。 
10月17日 ハヤシクロヤマアリ。とうに今年の生産は終了している。

顔。 
10月18日 チクシトゲアリ。オスやメスが羽化した辺りに繭がなくなっていたのだが、最近また繭が沢山見られるようになった。

気温が下がってきたので、羽化出来るのだろうか。
卵はなくなっている。
10月19日  アメイロケアリ。

ケアリの働きアリに囲まれた女王。

小さな幼虫は沢山いる。
少し前に書いた羽化したアメイロケアリの働きアリ。
ケアリの働きアリが小突いたり引っ張ったりしていたので、少し心配していたが、姿が見えなくなっている。
中々上手くいかないが、小さな幼虫が沢山いるので、来年に期待。
10月20日 アギトアリは変化なし。
女王は生きているが、産卵しない。
餌は食べているっぽいが、そこから先のステージ(=産卵)が見られないと言うのは、単純に季節が冬に向かっている故なのか、それとも他の理由によるものなのか・・
良く分からない。 
10月21日 アメイロケアリを給餌の際、容器を動かすと、暫くしてこんなものが見られた。

クサアリモドキで、真冬に良く紹介していた「アリ団子」。
2010年の初めにクサアリモドキ以外の社会寄生性ケアリはこんな団子を作るのだろうかと書いていたが、どうもこの様子だと冬には団子を作りそうな気配。
アメイロケアリの働きアリはいなくなったが、繭が数個。
後は小さな幼虫ばかり。
・・・来年だね。 
10月22日 夏の終わり頃、大量に発生したハニーワーム。
幼虫が沢山いるのは知っていたが、最近になってまた小さいのからそこそこの大きさまで成長してきた。
飼料を上から見るともぞもぞしている。
今度の日曜にも空き容器に餌を作ろう。
ハニーワームはオオアリ系に特に受けが良いのだ。 
10月23日  クサオオアリは繭が2つと書いたが、今日覗いてみると1個に減っていた。
昨年、飼育したヨツボシオオアリの脱翅メスも繭を1つ作るまでは順調だったがそこから子供喰いに走ってしまった。
まだ、分からないが、とにかく厳重警戒である。
乾燥アカムシの給餌は続けているんだけど・・ 
10月24日 クサオオアリは繭を食べてしまった後、成長した幼虫1匹も食べてしまった。
小さな幼虫と卵が数個。
カンフル剤としてメイプルを与えてみたが気がつかないのか、知らん顔。
うーむ・・ 
10月25日  朝夕は冷え込むようになってきた。
恒温機は動かしていないが、ようやく秋を感じてきたようでアリたちの動きが鈍くなってきたように思える。
蜜餌はまだ摂取されるが、肉餌は少し消費ペースが落ちてきた。
今冬は恒温機を動かさないつもりなのだが、そうすると内部が乾燥気味になることが予想される。
上手く凌ぎたい。 
10月26日  時期外れとも言えるが、ハニーワームが活況すぎるくらい活況。
餌をほぼ消費してしまったので、今日は餌を作っていた。
少し寝かせて週半ばには使えるはずだ。
ちなみに、ハニーワームの飼育はリンクにあるtenさんのブログの方法に従っている。
非常に重宝させてもらっている。
10月27日 アギトアリ。腹部が膨らんでいるのだ。

2匹のうち、1匹。腹部は大きいが、産卵はしていない。
気温も下がってきたので、産卵は来年かと、思っている。 
10月28日 昨年新女王を採集したクサアリモドキは私のベッドの近くに巣部屋を置いてある関係で、何かと観察しやすい。
今年、よく登場したのはその事情もある。

ハニーワームを食べている。
クサアリモドキはハニーワームがコオロギよりはお気に入りのような感じを受ける。
ハニーワーム、さまざまなサイズを適宜提供できれば理想的なのだが、中々そうも行かず、少しジレンマだ。
すなわち、いるときは大量に、いないときは全くと言っていいほどいない(卵の時期のこと)。容器を増やせばいいだけなのだが、そこまで手間をかける気にもなれず・・ 
10月30日 ケブカツヤオオアリが我が家で一番冬モードに入っているように思える。
少し前から幼虫は成長をやめ、巣部屋の中でアリたちがまとまって動きが少なくなった。
餌場には少しだけ働きアリが出ているが、巣部屋中心部は殆ど動きなし。
もう冬なんだね。 
10月31日  今日で10月が終わる。
まだ、繭や蛹が残っている種類もあるが大半が幼虫の成長もストップし、近づく冬を感じさせる。
今年は恒温機を稼働させていないので、恒温機とは言うものの実際は単なる「保管庫」のような位置づけになっている。
例年、この時期に温度を下げる作業が完了しているが、この変化がどう影響するかはまだ分からない。
今年は1月末から起こしているので、もうそろそろ今年は店じまいかな・・ 

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