2013年9月の観察日記
9月1日 | 涼しくなり、結露がある程度なくなったので、常温クサアリモドキを眺めてみた。 今日のメニューはコオロギ。巣部屋に運び込んで、貪っている。 孵化したての小さな幼虫。彼らが今年中に羽化するかは結構微妙なラインだと思う。 成長した幼虫。幼虫が何か食べているので、眺めると、どうもコオロギの破片のようだ。 女王は壁面にいて、働きアリが周囲に纏わりついていて撮影できず。 卵は見当たらなかった。 別の部屋にあるのか、それとも産卵を停止したのか今日の観察では断定しきれなかった。 |
9月2日 | アメイロケアリで、まさかの光景がみられた。 「それ」はケアリの働きアリより一回り小さくかつ陰の部分にあるので撮影が難しかった。 なんと、繭が出来ているのだ。 昨日まで繭になりそうな幼虫の存在には全く気がつかなかった。 アメイロケアリが羽化してくるのだろうか。 |
9月3日 | オスの羽アリを沢山生産した昨年採集したチクシトゲアリコロニー。 オスを生産後、しばらく幼若個体を見なかったが、最近幼虫が見られるようになった。 小さな幼虫だが、数もそこそこ。女王は確認できなかったが、まぁ、大丈夫だろう。 |
9月4日 | 恒温機の温度を1℃下げて26℃に。 26℃に設定はしたが、温度次第でまた恒温機の電源を落とし、常温の形で冬を迎えさせたい。 まだ、今は少し暑い日もあると思うので、そのための保険のようなものと思っている。 でも、こんな形にしたら、恒温機の存在意義は、来年以降暑さよけの冷房専用になってしまうかもしれない。 |
9月5日 | 常温クサアリモドキは卵が見られなかったので、卵はすべて孵化したものと思っていたが、卵は少しだけだが残っていた。 卵の周りをクサアリモドキの働きアリが取り囲んでいる。 女王は壁面を定位置に決めているようで、殆ど動きがない。 その周りを働きアリが囲んでいる。 |
9月6日 | 昨日と同じ、クサアリモドキだがこちらは一昨年に女王を採集し立ち上げたもの。 一昨年採集のクサアリモドキは2コロニーいるが、今日取り上げるのは働きアリの数が少ない方のコロニー。 巣部屋の中に、カートンを作ったのだ。 このコロニーにはカートンの種になる様なものは、何も入れていない。 それなのに、これ。 もう一つのコロニーはこういうものは作っていない。 一体何を種にしてこれを作ったのか・・ アリたちはこのカートンの場所が居心地が良いらしくそこに居ついている様子が垣間見える。 |
9月7日 | 恒温機の電源を落としてみた。 夜、設定温度の26℃より明らかに気温が下がっているし、日中もそれほど上がっていないと(仕事から帰宅した時の室温で)判断した。 最近、恒温機内は過湿気味だったが、電源を落としていると乾燥気味になっていくだろう。 今後は乾燥に目をやらなくてはならないね。 |
9月8日 | 7日の夜に風人さんからメールが来て、箕面公園でアギトアリ観察会のお誘いを戴いた。勿論参加の返事。 午後3時に阪急箕面駅に集まったのは、風人さん、今回案内下さるパパラッチSさん、風人さんの研究室の後輩Mさん、そして私あにまりあの計4人だった。 早速、アギトアリポイントに案内いただく。 意外な場所にコロニーを構えていた。 私が7月に行った場所とは微妙にずれていたので、見つからなかったはずだ。 働きアリ。明るいうちはあまり出て来ないと言うことであったので、観察はそこそこに山を歩いてみた。 大きめの石をめくるとハヤシクロヤマアリのコロニーがあった。 繭が沢山あったが女王や卵幼虫は見つからなかった。 繭を運ぶ働きアリ。吸虫管を忘れていたので繭の回収は出来なかった。 箕面の滝のそばで、ニホンザルが出現した。 この辺りから日が暮れて夜戦突入。 パパラッチSさんにライトを借りて全員で灯りの下を照らしながら降りて行く。 若干ケアリ祭り。しかもこのケアリ、オスもメスも普段見ているトビイロケアリやカワラケアリより一回り大きいのだ。 有翅メスが多かったがこのように脱翅しているものも見られた。 一匹だけクサオオアリの脱翅メスが見つかった。フィールドで女王を見るのは初めて。 交尾しているケアリのつがいを撮影してみたが、これ以外は使いものにならないほど悲惨な写真ばかりだった・・ キイロシリアゲアリも多くはなかったが飛んで来ていた。 そして、とうとうアギトアリの有翅メスが現れた。羽のためかかなり大きく見える。 ヒメカマキリが来ていた。この個体はメスのようで腹部が大きかった。 上とは別のアギトアリ有翅メス。 キイロシリアゲアリは交尾している個体もいるがどうしてもオスにピントが合いませなんだ。 最初のアギトアリ生息地を訪れると働きアリが歩いている。夕方訪れたときとは個体数が全く違う。 パパラッチSさんの話では夜には昼の10倍くらいの個体数がうろつくようになると言う。 この働きアリが何を咥えているか現場ではとうとう分からなかったが、こうやって拡大すると何かの幼虫のようだ。 脱翅したメスアリも見つかったが最初全く区別がつかなかった。 ただ、慣れてくると胸部の大きさですぐ区別がつくようになった。 オスアリも1匹採集して有翅メスとお見合いさせることにした。 箕面駅前で皆さんとご飯を食べ、電車に乗ったのが10時20分。 帰宅したら11時30分であった。 とにかく楽しい会合でした。招待下さった風人さんとアギトアリ生息地を案内下さったパパラッチSさん、風人さんの研究室の後輩Mさん、ありがとうございました。 |
9月9日 | 昨日採集してきたアギトアリのペア。 一日暗い環境において様子を見ているが交尾した気配がない。 うーん、難しいね。 |
9月10日 | アギトアリのオスの写真を撮っていなかった。 そのオスは今日見てみると、もうすでにこと切れていた。 写してみたが、どうもうまく写ってくれない。 それでも、これを前知識なしで見せられたら、まずアリだとは思わないだろう・・ |
9月11日 | クサオオアリのメスが1つ卵を産んだ。 昨年、ヨツボシオオアリを飼育したが、その時は繭まで行ったが繭を食べてしまい、じり貧になってしまった。 一応、採集した翌日、月曜にメイプルを飲ませているが・・ |
9月12日 | ペアリングを試みていたアギトアリは数日翅を落とさずダメくささ満載だったが、ここにきて右前翅を除いて急きょ脱翅した。 そう言えば、オスの腹部の先が少し割れているようにも見えていたが、数日翅を落とさなかったので確証が持てなかった。 日曜日に脱翅メスを1匹持ち帰っているので、これでメスアリは2匹と言う勘定になった。 |
9月13日 | クサオオアリ卵2つ。 クサオオアリ亜属は3種類、すなわちヨツボシオオアリ、ケブカツヤオオアリ、そして今回のクサオオアリで3種類とも「飼育したことがある部類」には入る。 しかし、働きアリ生産までこぎつけられたものは・・ゼロ。 飼育経験値の絶対量が少ないので、何とも言えないがどうもデリケートな気がしている。 今回は成功させたいなぁ・・ |
9月14日 | アギトアリ。 餌として殺したコオロギを与えていたが食べているように見えなかった。 夕方、アリに給餌している時にふとこれとよく似た顎を持つウロコアリがトビムシに近付いて一瞬で挟み込むと言う習性を思い出した。 そこで、小さなコオロギの幼虫を軽くたたいて入れてみた。 すると、脱翅メスが追いかけるようにコオロギの後を追いかけ、顎でばちん。 その後取っ組み合いながら針を刺して大勢は決した。 コオロギは口をぴくぴく動かすだけになっていた。 コオロギを制圧直後の写真。 と、言うことはアギトアリは死んだ餌は獲物として認識しないのだろうか。 余談だが、コオロギの後ろから近づいて顎で挟むのを見ていた時、私の頭をカマキリの狩りが浮かんだ・・ |
9月15日 | 久々にキイロシリアゲアリ。 昨秋採集したもので、最近働きアリが少しずつ増えてきたので引っ越しさせた。 餌場に放置して予定だと石膏の巣部屋に移ってくれるはずだったが、スポンジから離れない。 暫く様子見だね。 |
9月16日 | ハニーワームは成虫になり、ガとなって容器の中を走り回っている。 そして、蓋に産みつけられた夥しい卵。 これ、孵化したらまた恐ろしい勢いで餌を食いつくすのだろう。 それ以前にその孵化していい塩梅の大きさになるのがいつなのかという問題がある。 これから気温が下がる。 今年中にもう1世代行くのだろうか・・? |
9月17日 | クロナガアリ。 この種類は給餌が楽で本当に飼いやすい。 餌場に餌となる粟の実とアカムシを与えると働きアリがわらわらと出てきて回収を始める。 毛むくじゃらの成長した幼虫。 幼虫を運んでいる働きアリ。 餌を与えて一気に集まってくるのを見るとなんだか嬉しくなってしまう。 クロナガアリは粟と乾燥アカムシで維持している。 |
9月18日 | 一昨年新女王を採集したケアリ。 去年と比べてコロニー規模は同じくらい。シーズン初期、増えなかったこととその間に働きアリが死んだのも多かったので復調に時間がかかってしまった。 これは、壁面にいる女王アリの周りを働きアリが取り巻いている所である。 幼虫と働きアリ。このコロニーには肉餌は乾燥アカムシしか与えていないが順調。 他の種類では乾燥アカムシはあまり食べてくれないがこのコロニーだけはどんどん食べてくれるので助かる。 上とは別の幼虫集団。 卵や繭は少なくなり、幼虫が目立つようになってきた。 越冬モードへの移行も近そうだ。 |
9月19日 | 久々にムネアカオオアリ。 メイプルを飲む働きアリ。これくらいならすぐに飲みほしてしまう。 このコロニーには1匹、大型の働きアリがいる。まだ、2年目なのに、である。 女王アリ。働きアリに囲まれているが、ケアリのように密集はしていない。 小さな幼虫。卵はすでになく、産卵は停止している模様。 餌はメイプルとコオロギが基本だが、夏の間ハニーワームが大量に育ったので一時期ハニーワームを与えていた。 そろそろタッパーが手狭になったので大きなタッパーに引っ越しさせた。 ムネアカオオアリはクロオオアリより数は少ないが働きアリが中サイズの物が多い。 それに対してクロオオアリは小型の働きアリを沢山生産している。 これが種差なのか他の要因が絡んでのことなのかは分からない。 |
9月20日 | アギトアリの脱翅メスの胸部を写してみた。 アギトアリは脱翅メスと働きアリの大きさにあまり違いがないので、胸部で見分けるのが手っ取り早い。 最初、大きさに違いが少ないという点で見るアギトアリが働きアリか、脱翅メスか分からなかったが、パパラッチSさんに教授いただき見分けがつくようになったのは前述の通り。 この胸部、暗闇でフラッシュをたいて撮影すると若干赤みが強く反射するように思えた。 ちなみに、産卵はまだ。 いつ、産卵するのだろう。 |
9月21日 | 恒温機は、最近電源を落としている。 だから内部も外気温とほぼ同じ気温になっているはずだ。 最近は日中は暑い日もあるが、朝夕はかなり涼しくなってきた。 例年は恒温機の温度を手動で下げていたが、今年は自然任せ。 この方がアリたちにとっても負担が少ないんじゃないか、と思うようになった。 |
9月22日 | ウメマツオオアリは堅調そのものである。 メイプル水割りを飲む働きアリ。 ちなみにこのコロニーは2007年に猪名川河川敷で採集したもので、我が家に現存するコロニーでは一番古いものである。 ウメマツオオアリは乾燥にも強いし、餌も割と何でもよく食べてくれる印象を持っている。 ただ、脱走癖があるので、きちっと蓋のできる容器に入れないと、部屋の中をアリが常に歩きまわる状態になってしまう。 |
9月23日 | アリの餌について書きたい。 私は、アリの餌として蜜餌はメイプルシロップ、肉餌はハニーワームもしくはコオロギもしくはミールワームを与えている。 蜜餌はメイプルがここ数年基本になっている感はあるが、栄養面を考えると黒砂糖の水割りも面白いと思う。 ただ、これは黒砂糖を水で割る皿に入れてそれを水で割るという手間があるので原液でも飲ませられるメイプルと比べると利便性において劣るかもしれない。 肉餌はミールワームがある意味無難な餌だが、コオロギも十分汎用性が高い餌だと思っている。 今年は私の家から少し離れたところに爬虫類ショップが出来て、高い通販のコオロギを買う必要がなくなって非常に重宝した。 特にチクシトゲアリはコオロギを好む傾向が見受けられるので、チクシトゲアリの維持はメイプルとコオロギで支障はないと考える。 ハニーワームは今年春に購入したものが世代を繰り返して現在3世代目が卵から孵化した所。 8月頃、ハニーワームが恐ろしい数孵化してコオロギよりもそちらを消化させないとまずいくらいだった。 コオロギと違い、跳ねないので非常に簡便。 ただ、大きくなったものはそれなりに大きなコロニーあるいは大型の種類でないと食べきれないと言うことはあった。 クサアリモドキやクロオオアリ、ムネアカオオアリはハニーワームの方が好みだった? コオロギと違い、食べかすがあまり出ないのも魅力だが、ちと維持に手間がかかる。 番外編では乾燥アカムシ。 クロナガアリとケアリに与えているが、とにかく与えるのが楽。 ぱらぱらと餌場におくだけで良い。 刻む作業が不要で、他の種類もこれを食べてくれたらもっと手間がかからないのだが・・ 余談としてコオロギに与えると共食い予防にもなるだろうから結構重宝している。 ゼリーは今は特に使っていないが、寒い時期にまた湿度保持剤の役目を期待して与えると思う。 |
9月24日 | アメイロケアリを観察すると、1匹働きアリが羽化しているではないか! 壁面で身づくろいしている。 ケアリの働きアリより一回り小さい。 もう1枚。繭はそれほど多くなく、年内に羽化するのは多くても十数匹だと思う。 ただ、アメイロケアリにせよ、クサアリモドキにせよ、寄生ケアリで年内に働きアリを羽化させたのは今回が初めて。 感動もひとしおであった。 |
9月25日 | ケアリ。 この色艶が、乾燥アカムシだけで得られているとは本当に驚きだ。 最近、ケアリコロニーには乾燥アカムシ以外の肉餌は与えていないが、すこぶる順調。 卵もあるし、蛹もあり、羽化も見られる。 |
9月26日 | アズマオオズアリ。 最近、産卵がなくなり、どうしたんだろうと思っていたら、女王が死んでいた。 働きアリや兵アリが取り巻いているが息絶えた女王は復活しなかった・・ 夏以降、どうも不調気味だったが最近になって卵幼虫蛹がなくなって要観察だったが、だめだった・・ |
9月27日 | 現在、全てのアリたちは常温での飼育になっている。 日中、まだ若干暑い日もあり、乾燥させないように気を使う。 空気がカラッとしている分、気を抜くとすぐに給水用の蜜キャップもかぴかぴになってしまう。 今までだと、この時期は恒温機の物は過湿気味になっているので、この心配は恒温機組は除外できたが・・ |
9月28日 | クサオオアリ。卵を産んでいる。 メイプルを飲んで数日、腹部はやや大きいがそろそろまた再給餌したほうがいいかもしれない。 それにしても、産む卵、少ないね・・ |
9月29日 | 久々に枚岡公園を歩いてきた。 しかし、どうもアリの気配が薄い。 羽アリの類は一切見当たらなかった。 辛うじて見せ場らしいもの。 芋虫の欠片に集まるトビシワ。 見せ場を探して歩いてみたが、どうも夏バテならぬ秋バテなのだろうか、ここ最近悩まされている疲労感がひどくあまり歩きまわることが出来なかった。 結局早々に帰宅してベッドに横になる羽目に・・ |
9月30日 | アギトアリは全く産卵しない。 餌に関しても手探り感が強く、正直かなり苦戦の匂い。 蜜餌はなめているのを確認しているし、ミールワーム&コオロギもそれなりに食べていると思うが、今ひとつ手ごたえに乏しい。 うーん、としか言えない展開になってきている。 |