2013年8月の観察日記

8月1日 ケブカツヤオオアリは常温で飼育しているが、現在非常に観察がし辛くなっている。
その理由は、これだ。

向かって左側の部屋に女王やコロニー構成員の大半がいるのだが、ご覧のように結露が凄い。
この部屋には5月にアリを収容する時以来給水をしていないのだが、この有様。
一つ考えられるのはメイプルの水割りだ。
これを飲むことで、排せつ物が水っぽくなり、結果結露しているのではないか?と考えている。
餌場に水とメイプル(原液)を分けた方が良いのかもしれないね・・
8月2日 昨日、メイプルの水割りについて書いた。
そこで、今日は明日が休日で日中アリの様子を見ていられるので常温飼育のクサアリモドキに給餌の際、メイプルの原液と水を分けて与えた。
効果はてきめんだった。
最近見られないくらいアリが集まり、あっという間に与えた分を飲みほしてしまった。
ケブカツヤオオアリも同様。
いつも水割りにも集まってきてはいたが今日はその勢いが違った。
メイプルの水割りは、飲み水も同時に与えられると言う利点があるが、原液を与えると、こういう分かれになるんだなぁと思った。 
8月3日  ハニーワーム大繁殖。
ハニーワームはクサアリモドキやクロオオアリ、ムネアカオオアリを中心に与えている(特にチクシトゲアリではハニーワームよりコオロギの方が食いが良いような気がする)。
既に繭が出来ているので羽化も近いと思われる。
羽化すれば卵を産むだろう。
そのために品切れだった鯉の餌を買ってきて「培地」作りを行った。
馴染めば繭を放り込み、次世代育成の準備が出来ることになる。
それにしても、ハニーワームは卵、沢山産みますね・・ 
8月4日 アメイロアリ。
春の頃、少し乾燥させてしまい、それ以降コロニーの成長が鈍化してしまった。

今は安定しているが、増加は殆ど見られなくなってしまった。
羽化はしているが春先のような勢いがなく、越冬モードに入りかけているのかと思う。
8月5日  1日にケブカツヤオオアリの結露した巣部屋を紹介した。
あれから4日、原液と飲み水を分けて与えているが少しずつだが巣部屋の結露の程度がましになってきている。
と言うことは、やはり排せつ物が水っぽくなってそれが結局結露を招いていたと見るべきなのかもしれない。
まだ、確定した結論ではないので、現状報告にとどめておきたい。
8月6日 まずは、これをご覧いただきたい。

1枚目。

2枚目。
ケースの蓋に付いた細かな傷と、うっすらとした結露のために不鮮明な写真ではあるが、これは先月に採集したアメイロケアリの女王の写真である。
最近は餌交換の時に覗いても「アリ玉」の中に埋もれていてあまり見ることが出来なかったが、今日は久々に露出していた。
そして見たら、これ。こんなに膨らんだのは見たことがないので、声が出そうになってしまった。
肉餌は現状、コオロギよりミールワームの方が好みのようだ。
8月7日 クサアリモドキにメイプルを与えると、この様になった。

これを見て、「アリのスープ」という表現が頭に浮かんでしまった・・ 
8月8日 クサアリモドキ。今日、観察していると、幼虫に2タイプあるように見えるのだ。

向かって左側の丸々とした幼虫。体内の内容物はピンクに近い色。
向かって右側、左のものより細長く、内容物は黒。
内容物の色は食べたものの差なのか(と言っても最近はコオロギしか与えていないのだが)、太っているのと痩せている?細長い幼虫の差は何だろうか。
肉餌はふんだんに与えているのだが、最近どうも食いがいまいちのように思える。
そもそも、小さな幼虫の成長が鈍化しているのだ。
この高い気温ならあっという間に育つと思っていたが・・
8月9日 凄まじい暑さが続く。
常温のクサアリモドキたちも、帰宅後には餌場の飲み水を入れた容器の辺りに多く出てきている。
室温34℃と言うのは過酷なのだろう。
と、思いつつもスペースの関係でこれを安定した温度が見込める恒温機の中に移動できないというジレンマ。
氷枕で女王部屋を冷やすことで女王へのダメージは無いようにしているつもりだが、暑さ対策という点において、今夏ほど頭を悩ませるのは過去数年なかった。
いろいろ試行錯誤はしているが、どれも思うような成果を上げていない・・ 
8月10日  クサアリモドキに氷枕作戦を実施しているが、面白いことに気がついた。
氷枕を巣部屋の上に設置して暫くすると、餌場から働きアリが殆どいなくなる。
氷枕の下にたむろしているのだ。
・・暑いんだね。 
8月11日  とてつもなく暑い日。
所用で、帰宅が夜になってしまった。
朝、出る時に氷枕を設置していたが帰宅時には融けていて、餌場を働きアリが狂走に近い勢いで走り回っている。
慌ててクーラーを入れる。
1時間ほどで落ち着いたが、ふと気がついた。
他のアリではここまでパニックになっていないのだ。
常温はウメマツオオアリ、クロオオアリ、ケブカツヤオオアリ、クロナガアリがいるのだが、何れも通常営業に近い動き。
オオアリとクサアリという違いなのか、それとも別の要因なのか・・ 
8月12日 アメイロケアリに10匹ほどだが、小さな幼虫がいるのを見つけた。
産卵開始が7月17日とあるので、約4週間の卵期間だった。
卵は沢山あるので、どんどん孵化してくるだろう。
この分だと、年内には羽化が見られそうである。 
8月13日 昨日取り上げたアメイロケアリの幼虫。
少し結露が少ない場所に幼虫がいたので撮影を試みた。

ケアリの集団からごく一部、頭部が見えた。
ケアリの頭部の大きさと比較していただけると小ささがお分かりになるかと思う。

卵塊。大きな塊のほかにこのような小さな塊が数個見られる。
8月14日 ケブカツヤオオアリには最近ハニーワームを与えている。

このハニーワームは春に購入したものが羽化して産卵し、それが孵化して育った2世代目だ。
女王や多くの働きアリがいる部屋は結露で相変わらず良く見えないが、昨日女王は生きているということだけは確認できた。 
8月15日 ケアリコロニー。思ったほど増えず、昨年とほぼ同じ数での推移になっている。

繭と卵。最近、肉餌は乾燥アカムシを与えているがこのコロニーは良く食べてくれる。
他、乾燥アカムシをよく食べてくれるのはキイロヒメアリくらいかな・・
8月16日 いよいよ、明日、明後日と伊那集会だ。
出かけている間、給餌が出来ないので全てのコロニーに給餌、給水を行った。
伊那集会の様子はまた帰宅後に報告したい。
8月17日 楽しみにしていた伊那集会当日。
私とkuroyagiさんは大阪梅田の高速バスターミナルから、風人さんは京都深草バス停から高速バスに乗ることになっていた。
出発して暫く、順調順調、と思っていたが、甘かった。
大阪の高槻辺りから渋滞。ノロノロ運転が大津辺りまで続き、伊那市バス停に到着したら当初の予定より1時間ほども遅れていた。
到着後、時間が中途半端と言うこともあって、土生さんの事務所でお喋りしていた。
いるまえかわさんが持って来られたアリの同定大会を行ったり(ケブカアメイロアリっぽかった)、同じくいるまえかわさんが持って来られたイトウオオアリ、カワラケアリのメスを見ながらのお喋り。
陽も沈んできて、温泉の後BBQと言う話になり、高遠町の「さくらの湯」に出かけた。
この温泉はアルカリ性が強いようで石鹸水のようにぬるぬるとしていて肌には良さそうだった。
2006か2007に、ここに行った記憶がある。
その時は蟲さんと話していたらアメイロケの有翅メスが落ちてきたのを覚えているが、この日は何も落ちて来なかった。 
その後、事務所に戻りBBQ。
以下、その様子を少し。

BBQ用の火を起こしている所。

暫くすると火が起こりました。

火を起こして一番最初に遊びに来たのはエンマムシであった。

火の勢いが強くなって火の粉が舞うほどに。

シン・ハンさんが持って来られた泡盛。

肉を焼く蟲氏。

クジラのお刺身(!)。解凍直後であったが脂気があって美味しかった。

土生氏の事務所の近くには「お宝ホイホイ」なる自販機群があり、今回もそこに出かけることにした。
お宝ホイホイまでは歩いて数分だが周囲は田んぼ。

稲穂が出てきている。フラッシュのため明るく写っているが実際はほぼ真っ暗。

月は出ていたが、雲が多く星は見えなかった。

道もこのように暗いし、

田んぼも暗闇に覆われている。
少なくとも大阪市内ではあまり見られないほどの光源の少なさであり、その分お宝ホイホイに期待が高まった。
しかし・・カワラケアリの雌雄の羽アリが数匹来ていただけで、アリはほとんどおらず。
蛍光灯からLEDに変わっていることも原因のようだった。
最近、雨が降っていないと言うことだったので、乾燥気味と言うのもダメだった一因になるだろう。

事務所に戻り、酒宴続行。事務所には光に引き寄せられて数種類の昆虫がやってきたが、そのうちの一つ。キリギリス系の昆虫。種名までは分からなかった。
私は日付が変わる頃に寝床に行って寝袋をかぶったがどうも暑く、寝たか寝ていないか分からないような感覚だった。
事務所にはクーラーがついていたので、今思うと寝袋って必要だったのかなぁと思ったりする。
8月18日 朝、5時過ぎに起床。既にkuroyagiさんは起きておられて、こうやん氏と事務所で談笑されていた。
聞くところではkuroyagi氏は午前2時頃に酒宴がお開きになるまでお話しされていて、起きたのが午前4時頃だったと言う・・
事務所付近をkuroyagiさん、こうやんさん、風人さん、私とで散策を始めた。

事務所付近の植え込みにあったマリーゴールド群。

事務所付近の様子。田園風景の夜明け。とても静かだった。

ススキの開いた穂が近づく秋を感じさせた。

アカツメグサ。こんな時期にも咲いているとは思わなかった。

恐らくスイバと思われる植物の葉にいたハバチの幼虫。

少しわかり辛いが、稲穂が重くなって頭を垂れている。もうそろそろ収穫だと土生さんが仰っていた。

稲穂の間のカマキリ。胸部の色を見る限りではオオカマキリだろうか。稲穂の間に止まるカマキリと言う昔から撮りたかったカマキリショットのうちの一つが今回達成できた。

歩いているとまさかのハヤシクロヤマアリの有翅メスがいた。前日、BBQの席でスラダケさんと話をしていて、その中で今年はクロヤマアリやハヤシクロヤマアリの羽アリを見かけなかったとこぼしたがまさかこんな時期に・・
その後、カマキリの幼虫が恐らくハヤシクロヤマアリの有翅メスと思われる虫を食べているのを見かけた。撮影したが、ピンボケで使いものにならなかった。

クロオオアリの死骸を物色するクロヤマアリ。

その後、2007年に行ったムネアカのいる竹林に出かけた。
ただ、この環境は竹の伐採が入ったらしく、以前ほど竹は見られなかった。

それでも、枯竹が少し見受けられ、何気なくそれを一つ割ると、ミカドのコロニーが出た。
このコロニーには女王がいたが、どういう訳か女王の左の脚がすべて(前脚、中脚後脚)がなく、歩きづらそうにしていた。

朽木を崩すと出てきたタマムシの幼虫。タマムシの幼虫自体初めて見た。

そして、今回少なくともこうやん氏とkuroyagi氏が大の苦手だと言うことが発覚したカマドウマ。

石をめくるとハリアリが出た。何の種類か全く分からなかったが、たまたまそばにいたスラダケ氏がノコギリハリアリと言う。あのジムカデを食うと言う種類だ。こんなもの、初めて見た。

働きアリのアップ。こうやって見ると、特徴的な体型だ。

辛うじて写っていたオスアリ。コバチの仲間にしか見えん・・・

蟲氏が捕まえているのは、ヒバカリと言うヘビである。

そして、山を降り、伊那名物ローメンを食した。とても美味しく、大盛りをたいらげてしまった。

そうこうするうちに出発の時間が近づいてきた。岡谷駅からのバスしか帰路は取れなかったので、そこまで電車で行こうと思っていたがスラダケ氏が車で送って下さった。
一応、私の収穫としてはこうやん氏から頂いたクサオオアリの有翅、脱翅メス数匹であった。
帰りのバスでサービスエリアに着くたびに自販機を見てみたが、ケアリのオスが数匹見られた以外は何もいなかった。
大阪梅田に着いた時は夜の10時半。
家に着くと11時を回っていた。
とにかく、楽しいの一言に尽きる会合であった。
関係各氏の皆様、どうもありがとうございました。
8月19日 長野から帰ってきて、アリに給餌を行った。
幸い、全コロニーとも異常はなく、元気に過ごしていた。
土日と餌を与えていなかったお腹の大きくなっていたアメイロケアリも、腹部は大きいまま産卵は続いていたようだ。
ほっと、一安心。 
8月20日 暑い日が続く。
常温飼育のクサアリモドキも最近少しばて気味のようで、昼を過ぎてからエアコンをつけてもらわないと少し心配なくらいになっている。
また、一時期ほど肉餌の食いが良くなくなっており、「夏バテ」なのか、コロニー自体が越冬モードに近付いているのかの見極めが難しい・・ 
8月21日 ハヤシクロヤマアリは、完全に今期の生産を終了した模様。
巣部屋の中には成虫以外のステージは見られなくなった。
このハヤシクロヤマアリは、恒温機の電源を落とした6月辺りから調子が上がってきた。と言うことは、以前書いたように思うが、23℃と言う温度は少し低すぎたのではないか、という仮説に力を与える結果になっているともいえる。
そうすると、恒温機の設定温度を何℃にするのか、という問題が発生し、それはおそらく来期の悩みの一つになってくると思われる。 
8月22日  アメイロケアリは孵化が続くが、幼虫の成長が非常に遅い。
先日紹介した大きさから殆ど変わらないまま、幼虫の数は増えてきている。
と言うことは、今年中の成虫の羽化は見られないのだろうか。
8月23日  ケブカツヤオオアリは常温飼育なのだが、最近眠っているようにコロニーの中心部が静かなように思える。
結露のためにはっきりと見えないのだが、餌を与えた時に働きアリが出てくるがコロニー中心部は本当に静か。
女王は生存しているが、これで大丈夫なのかな・・?
8月24日  3年前の晩秋に採集したチクシトゲアリ。
コロニー規模は決して大きくは無いのだが、何と有翅メスアリを1匹生産したのだ。

不鮮明な写真だが、メスアリ。
昨年採集したコロニーではオスが大量に羽化しているので、ペアリングが出来たら面白いかもしれないと思いつつ、ペアリングに関する有効な案が思い浮かばない。
交尾用ケージをどうしようか・・と、考えている間に時が過ぎてゆく。
8月25日  アメイロケアリを写してみた。

殆どこの大きさの幼虫ばかり。孵化が続いていて日に日に数は増えているが、あまり成長していないようで、この大きさ以降が殆ど見られない。

卵塊。一部のみ取り上げているが、この奥にずっと続いている。

上とはまた別の幼虫塊。とにかく小さく、ルーペがないと観察がしづらい。
8月26日  急に涼しくなった。
そして気がついたことがある。
常温のクサアリモドキが明らかに活性が上がっているのだ。
肉餌へのがっつきようが酷暑期とは目に見えて上がっている。
暑かったのだろう。
来期、暑さ対策を本腰入れて考えないと・・・ 
8月27日 ケブカツヤオオアリのコロニーの結露が少し除去できたので、撮影。

女王。働きアリもそうだが、野外でこれを出した時の第一感は「小さなミカド」と言う感じだ。

幼虫。すべてこの大きさで一定しており、卵は見当たらなかった。

働きアリ。拡大すると、毛深さが分かる。
8月28日 キイロヒメアリは順調なのだが、コロニー部分の結露のために撮影がかなわない。
ところが、それ以上に厄介な問題が生じていた。
ケブカツヤオオアリの餌場にいつの間にか働きアリが数匹たむろしているのだ。
恐らく、タッパーの隙間から抜け出し、餌の残りがあったケブカツヤオオアリの餌場に居ついたのだろう。
ケブカツヤオオアリのコロニーにダメージは無かったが、初めて「飼いきれないかも」と思い始めた自分がいる・・
8月29日 この前、アメイロケアリの幼虫が成長していないと書いたが、どっこい成長しているものがいた。

数匹だが、明らかに成長している。これが、多数派になるのか、彼らが気まぐれなのかはまだよく分からない。 
8月30日 久々のケアリ。今年は思ったほど増えなかったがそれでも今期の始まりよりは若干増えた。

卵塊を運ぶ働きアリ。小さいがとても美しい卵。

その卵を産んだ女王。特に問題ない。

繭と働きアリ。
このコロニーは乾燥アカムシをどんどん食べてくれるので、非常に肉餌に関しては楽だ。
8月31日 昨年新女王を採集したアシナガアリコロニー。

女王。春先ほど腹部が大きくないが、特に問題はない。

ミールワームの切片を餌場に入れると、すぐに巣部屋に運び込んだ。
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