2013年7月の観察日記

7月1日 一昨年女王を採集したクロオオアリ。
最近まで今ひとつ波に乗り切れていない感じだったが、ようやくリズムが出来てきた。

働きアリと幼虫。
繭は大きくないが、数が多くなってきた。

山の中の幼虫を写してみた。
7月2日 恒温機を再稼働させた。
先月、暑い時期に一旦稼働させたが、その後暑さが落ち着いたので電源を落としていたのだ。
それでも、日中、夜間ともに少しずつ暑くなってきており、もうここいらで本格稼働させても良いだろう、と言うか稼働させなかったことで暑さによる死亡を防ぐ、その一点になった。
まだ、朝夕は涼しいが週末から熱帯夜予報。
恒温機内のアリたちは秋が来たと思うのだろうか。 
7月3日 先日、大阪城で採集したケアリ女王。
我が家に来て数日は全く卵を産まなかったのだが、最近産卵を始めている。

卵塊はこの大きさで一段落。
うまく働きアリ生産にこぎつけるか・・?
7月4日 昼頃、激しい雨が降ったが夕方には止んだ。
帰宅時、地面を歩くものがいて目をやるとアメイロケアリの脱翅メスだった。
周囲を見ると、そこかしこに脱翅メスがいる。
うじゃうじゃと言うほどではないが、探さずとも見つかると言うレベルだった。
とりあえず、3匹持ち帰ってケアリへの導入を行うことにした。
ゴールデンウィークに近くの神社のアリ相調査をして、オオズアリがいなくなり、代わりにケアリが増えていることを確認していた。
そのケアリが多く見られた石をめくってみたが雨の後のためか、アリ自体はそこには見られなかったがすぐそばに蟻道を作っているケアリを見つけて吸ってきた。
導入は例によってまず1匹殺したケアリを与え、匂い付け行動を確認後、もう1匹殺したケアリを与え、馴染んだ頃合いを見て生きたケアリを1匹導入して様子を見て行くというもの。
3匹のうち、1匹はあまり興味がないような感じ。
もう1匹は興味を示すもそれほど反応が強くない。
もう1匹がすぐにケアリを咥えて「はみはみ」した。

最後に紹介した女王に2匹目導入。最初ほど「はみはみ」しない。
そこで、生きたケアリを入れるとケアリが噛みついたがすぐに女王が噛みつき返し、頭の前に差し出すような形で咥えた。
しかしそのケアリ、窮鼠猫をかむではないが、触角に噛みついた。

興味を示すも、それほどではない女王。
ケアリワーカーに左中足を噛みつかれてそのケアリが噛みついた頭だけ残して胴体をちょん切られていた。

どうなるのやら・・

さて、この3匹目、ケアリに強く興味を示した女王と最初の2匹。見比べると色合いと体型が微妙に異なる。
前者は色が明るくやや細長く感じる。
後者は色が黒っぽく、体もやや丸っこい。
そこで、触角をレンズで見ると、後者はヒゲナガアメイロケアリであることが分かった。 
こうやって比較対象があると、分かりやすい。
7月5日 蒸し暑く、良い感じだと思うので、仕事終了後、枚岡公園の灯火巡りに繰り出した。
しかし・・
到着後、風がやけにさわやか。
そして、一通り巡ってみたが、アリの類は種類の分からないオスアリが1匹いただけで後は皆無。
自販機に来る虫の数もそれほど多いように見えなかった。
時間をかけて巡ったが結果はボーズだった・・ 
7月6日  昨夜はアリが飛んでいなかったが今日は朝からとても蒸し暑くアシナガくらい見られるかと思い枚岡。

道に落ちていたアシナガバチの巣。黄色い部分は繭の部分だろうか。
噛み破られたように見えるが、スズメバチの餌になってしまったのだろうか。

ヤブキリ?今日はやたらと目につき、歩いている時私の右腕にぶつかった時はほんとうに驚いた。今年は大発生しているのだろうか。

ヒラズの有翅雌が1匹だけいた。

側溝にいたゾウムシ。
一通り歩いたが羽アリは前述のヒラズ以外は皆無だった。
ただ、山道でケアリの繭を少し頂いた。アメイロケに導入しよう。
7月7日 朝から枚岡公園に出かけてきた。
昨夜、スコールがあったので、どうなっているのだろう・・と思って、出かけてみたのだ。

駅から徒歩0分でケアリの有翅メスを発見。周囲には脱翅メスも見られ、「祭り」が予想された。 

ヒラズオオアリ。今日1日で3匹ほどしか見当たらなかったが、ちゃんと飛んでいるようだ。

いつも見回っている街灯の下の地面には羽が落ちており、ケアリのメスやアシナガアリのオスが見られた。また、トビイロシワアリの脱翅メスも見かけたが撮影しようとしたら穴に入り込んでしまった。

樹上性オオアリのイトウオオアリもしくはウメマツオオアリの有翅メス。今日、複数見かけたが脱翅したものはおらず、すべて有翅だった。

山を歩き、アメイケアリ用にケアリの繭を少し頂く。あまり多くは採れなかったがそれでもどんぶり勘定で100近くは採取できた。

そんな中、見つけたクサアリモドキ。
この個体は右前翅以外の羽が残っている。
クサアリモドキの有翅個体は殆ど見たことがないので、新鮮だった。

ハリブトシリアゲアリ。有翅個体で1匹だけ見かけた。

アシナガアリの脱翅メスが3匹、立て続けに見つかった。
この女王も歩いていると、すぐに分かる。見た目は他の種類と比べて丸みが強い。

ハラビロカマキリその1。どういう訳か良く見かけた。

ハラビロカマキリその2。上のものより成長していて大きい。

アシナガアリがケアリを襲っている光景が見られた。
この光景は何回か取り上げているがアシナガアリが一番良く見られる。

ハナムグリの仲間と思われる。花の欠片を食べていた。

トビイロシワアリの脱翅メスが同じトビイロシワアリに襲われていた。
7月8日 先週女王を採集したアメイロケアリとヒゲナガアメイロケアリはどうなったのか。
アメイロケアリは2匹の女王のうち、1匹が脱落してしまった。
もう1匹もケアリワーカーとずっと一緒にしているがケアリワーカーの威嚇がやまない。
かつて、YASUさんが書いておられたが、アメイロケアリのホストは普通のトビイロケアリなんだろうか?と思うほど馴染まない。
ヒゲナガアメイロケアリ。
こちらは対照的に順調そのもの。
金曜夜に、馴染んでいるっぽいので、ケアリの働きアリを次々に入れて行ったが全く威嚇行動も攻撃もなかった。
そして、土日に枚岡公園で採集してきたケアリの繭を入れると、そこから働きアリが生まれてきている。
まずは一安心・・なのだが、まだまだ先は長い・・ 
7月9日  ・・と、「順調そのもの」と書いた、ヒゲナガアメイロケアリだが、今日見てみると、女王が死んでいた。
アメイロケアリのパターンは大体いつもこんな感じ。
馴染まず、死ぬか、馴染んでも謎の突然死、あるいは馴染んでも産卵開始辺りで死亡。
相性が悪いとかそういう言葉は使いたくないが、どうしても「相性」と言う単語が頭をよぎる・・
7月10日 トゲアリ。予想通り、オスが羽化した。

羽化したてなのか、翅が白っぽく、とても美しい。
一瞬サムライアリのオスを思い浮かべてしまった(勿論そこまで真っ白ではないが) 
7月11日 クシケアリ。女王が2匹いたが、春に1匹が死に、今日もう1匹が死んでいた。
タフなアリだったという印象で、温度管理が出来、刺されないように(と言っても私は飼育しているものには刺されたことがないが)気をつければ飼いやすい種類だったと思う。
合掌。 
7月12日  連荘で何だが、訃報その2。
6月に大阪城で採集したケアリ女王。
繭まで子供を育て、働きアリの羽化が楽しみだ・・
と思っていた矢先、女王が死亡。
一昨日メイプルの水割りを与えてお腹が大きくなっていたのに・・
なんだかなぁ。
合掌。 
7月13日  枚岡公園を歩いてきた。
個人的には今日は乾燥気味で面白くないかも、とは思っていたが、折角のお休み、家で腐るのもどうかと思って歩いてきた。
結果から言うと、ヒラズオオアリの有翅メスを自販機で1匹、そしてこれを2匹見ただけだった。

ハリブトシリアゲアリの有翅メス。近辺で立て続けに2匹見つかったが、他の場所では全く見かけなかった。偶発的に飛んでしまったのだろうか。

タマムシ(の死骸)。
死んでいてもとても美しい昆虫。これを見つけられただけでも今日歩いた甲斐があるというもの。
そして、ケアリの繭、蛹をまた採集してきた。
これはアメイロケアリに導入している。
夕方、私の辺りでは降雨はなかったようだが空気がひんやりしていたので、そう遠くないところでスコールがあったと思われる。
もし、山の方にスコールがあれば明日の朝は何か飛ぶかもしれない。 
7月14日 アメイロケアリ。ケアリの蛹を導入してから状態が安定してきた。

そんな女王様。タッパーに入れているが普段は働きアリの集団に入り込んでいる。

腹部を大きくしてみた。節が少し伸びた?

ケアリの繭と蛹。アメイロケアリの女王を支える貴重な戦力だ。
この反対側にこれの半分ほどの大きさだがもう一つ蛹の山が置かれている。
7月19日 一昨日のことだが、アメイロケアリで産卵を確認した。

卵は現在数個。撮影時には働きアリが繭の下に隠したのか、見つけられなかった。
女王の腹部はクサアリほどではないが膨らみ、元気に動き回る。
また明日にでも枚岡で繭を採って来よう。 

女王をもう1枚。名前通り腹部が飴色がかっている。
7月20日 枚岡公園に出かけた。
とりあえず、ケアリの繭を戴き、アシナガ、クサアリモドキの状況を見たかった。

クサアリモドキのメスアリはうじゃうじゃではないが、そこそこ歩いていた。
また、撮影は叶わなかったがクロクサアリのメスアリも見られた。
クロクサアリとクサアリモドキを見ると、改めてクサアリモドキの体格の良さが目に付く。

ウメマツオオアリもしくはイトウオオアリの脱翅メスとオス。
面白いことに、このオスアリ、メスをずっと触角で叩いて、会話しているようだった。
山を歩いて思ったが、今日は空気が異様に爽やかで、ケアリの繭を吸っている時でも汗の出方がまるで違った。
今日、アリが少なかったのはこの気象条件が影響したのではないかと思った。
ちなみに、アシナガアリは全く見かけなかった。
7月21日  朝から箕面公園に出かけた。

ケアリの有翅メスが最初にお出迎え。

ヨツボシ系の脱翅メスの死骸。時期的にナワヨツボシオオアリか?死骸は干からびてひていつ飛んだかはよく分からなかった。 

ラミーカミキリ。

アメイロケアリの死骸。新鮮な状態だった。

アシナガアリの有翅メスアリ。

ケアリの脱翅メスはそれほど多くはなかったが、見つかった。

今年も、街灯の下でシリアゲアリの団子が見られた。有翅メスが多かったが、一部脱翅メスも混じっていた。

一見テントウムシ。しかし、実はクロホシテントウゴミムシダマシだと思われる。

ふと、見慣れないアリが目にとまった。最初、ウメマツ系かと思ったが、やけに黒色が濃く、スマートなのだ。

別の場所で、大型働きアリを見つけたこのアリが何なのか分かった。
クサオオアリだ!1枚目にも特徴的な腹部の白色部が写っていたが、撮影した時はそれに気がつかなかった。

さらに、もう1枚。
箕面にこのアリが生息していることは知っていた。
しかし、実際に見たことはなかったので(昨年歩いた時は全く見なかった)感動した。
コロニーはどこにあるのか分からなかったが、良いものが見られた。

アシナガアリは見つかるが、有翅メスばかり。

コガネムシの仲間が交尾していた。光加減で緑っぽかったり、金色っぽかったりと美しい種類だ。

ノコギリカミキリ。ゴツさではカミキリムシの中でもかなり上位の迫力があると、個人的には思っている。

緑色をしているがミドリカミキリの系統だろうか?

ハエがアシナガアリの有翅メスの死骸に集まっていた。腹部切断面から体液を吸っている?

最初、アリだと思ったが、良く見るとクモだった。食べているのはクモ?

やけにカラフルなハチの死骸。寄生蜂に似ているように思うがそれ以上は分からない。

アメイロケアリの脱翅メスが歩いていた。この個体以外にもう1匹すぐ近くを歩いていた。

クサアリモドキの有翅メス。地面を走り回っていた。

クサアリモドキ脱翅メスの死骸を運ぶアシナガアリ。ケアリメスを襲う図は何回か載せたが、クサアリモドキを運ぶ図は珍しかったので1枚。

上の有翅個体とは別のクサアリモドキ。丁度飛び立とうと翅を震わせているところで、この後飛んで行った。

箕面には最近アリ界を騒がせているアギトアリが生息していると言う。
しかし、今日歩いた範囲ではアギトアリとの遭遇は果たせなかった。
まぁ、クサオオアリを実際に見ることが出来たのが最大の収穫だった。

最後にお口直し。箕面の滝。
7月22日 アメイロケアリはようやく卵を見えるところに出してきた。

ぼやけた写真で申し訳ない。
卵塊は少しずつ大きくなっている。

女王。腹部がまた大きくなっている。

ケアリの蛹。色が濃いものが多く、毎日白いアリが見られる。

繭。これで全部。どちらかと言えば裸蛹が多い。
7月23日 常温のクサアリモドキは氷枕(ジェル状のもの)で女王のいる部屋を冷やす方法で夏を過ごさせている。
今のところ、彼らの生活に置いて問題は見られないが、別の所で問題(と言うほどでもないかもしれないが)が発生した。
それは撮影だ。
氷枕を置いている辺りに大きな結露が出来た。 
また、帰宅後クーラーを入れているが、そうしても小さな結露。
・・・撮影できない・・
7月24日 一昨年女王を採集したクロオオアリコロニー。
良く見ると、大型働きアリが1匹確認できた。

最大サイズとは言えないが、そこそこの大型だと思う。
コロニーサイズは決して大きくはないが、このような大型個体を生産するんだなぁと思った。 
7月25日 恒温機は現在27℃に設定している。
これまでなら23℃だったことを考えると高めなのだが、今のところ障害らしいものは出ていない。
心配だったアシナガも元気である。
冷風の27℃と言うのが良いのだろうか。
以前、暖房の25℃だった時、アシナガアリは明らかに高温障害らしい症状を呈したことがあった。
それに恐れをなして毎年23℃だったのだが、少し考えを改めさせられている。 
7月26日 春に購入したハニーワームが最近猛烈に成長していて、ケースの中をうにょうにょしている。
余裕のあった餌も一気に食いつくしてしまった。
ケースの余裕がなかったので、注文することになった。
まぁ、コオロギの負担を軽減し、味を変えると言う意味で少しハニーワームを重用することにした。
7月27日  午前、枚岡公園を歩いてきた。
しかし、ケアリ、アシナガアリは全く見られなかった。
ケアリは朽木を崩すとオスとメスの羽アリがいたのでまだ完全に飛びきっていないようだが、もうそろそろアシナガアリやケアリは店じまいなのかもしれない。 
7月28日  アメイロケアリは産卵の勢いがついてきた。

卵塊。ほぼ全部だが、ごく少数画面外に小さな塊を見かけた。
ミールワームとメイプルの水割りで維持しているが食欲が凄い。
女王の腹部も大きいのだが、「アリ団子」を作ってしまい、なかなか思うように撮影が出来なかった。
7月29日 アシナガアリ。最近全く取り上げていなかったので、取り上げることにした。

餌のコオロギを運び込んだ。

小さな卵。良く見ると孵化したての幼虫も見える。

また別の卵塊。卵幼虫蛹と各ステージ見られる。

女王。いつ見ても働きアリと体型が違って丸っこい。
7月30日 アメイロケアリはようやく女王の撮影が出来た。

クサアリモドキの女王を彷彿とさせる膨らみっぷりだ。

もう1枚。観察中にも小さな卵を産み落としていた。
メイプルもミールワームも恐ろしく良く食べる。
7月31日 クサアリモドキの大きなコロニー。
最近、肉餌の食いがいまいちでどうしたんだろうかと思っていた。
幼虫は沢山いるし、卵も一時期ほどではないがある。
ただ、どうもそれらのうち、幼虫の成長が止まっているような感じなのだ。
小さな幼虫は沢山いるがこの暑い時期なのに、成長がストップしているようにも思える。
夏眠なのか、それとも越冬幼虫化したのか、よく分からないが、予想外の展開だ。 

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