2013年4月の観察日記
4月1日 | 今日から新年度が始まった。 そこでという訳でもないが、クシケの翅アリが誕生していたのでそれを取り上げた。 恐らくオスの翅アリと思われる。 有翅個体の蛹。こんな蛹がわんさかある。 今のところ、有翅個体の蛹が圧倒的に働きアリの物より多いが有翅オス、メスが羽化した後は働きアリ生産に移るのが通常のパターンである。 |
4月2日 | トゲアリ。 久々に撮影。 女王。腹部も大きく、産卵を継続している。 卵塊。ほぼ全景。 ホストのクロオオアリがミールワームの断片を齧っている。 今のところ、順調なのだが、先人の経験を読むととにかくトゲアリは成長がゆっくりだと言う。 その上、光や振動に敏感だとも。 まだまだ、スタートラインに立ったばかりだと思っている。 |
4月3日 | アメイロケアリは最近特に目をかけている。 今日、観察していると卵塊がやや大きくなっているではないか! 汚れた蓋ごしなので像が甘いが少なくとも4個確認した。 ちなみに、昨日同時刻に観察しているが1つだった。 ということは1日で3個産んだことになる。 ようやく、遅い春が来たのだろうか。 唯一の越冬幼虫もようやく繭になるようだ。 コオロギがお気に入りのようで、与えるとすぐに集まってくる。 これはコオロギを与えた直後、コオロギを物色している所。 |
4月4日 | 一昨年立ち上げたクサアリモドキコロニー2コロニーのうち個体数が多い方。 女王の居場所の加減で暗くなったが腹部が肥大化している。 幼虫群。これも一部。コオロギを食べるようになって劇的に良い方向に向いているように思う。 卵もどんどん産んでいる。世話をするのはクサアリモドキの働きアリである。 先日紹介した繭を紡ぐための石膏屑を集めた場所。 |
4月5日 | クサアリモドキ連荘。 今日は一昨年立ち上げたもう一つの働きアリの個体数が少ない方。 卵塊を世話するクサアリモドキの働きアリ。 ミールワームを齧る幼虫。 ケアリの数は少なくなっているがまだ残存している。 クサアリモドキの幼虫のそばにいて幼虫を世話している? |
4月6日 | 昨日夜に昨年女王を採集したクサアリモドキコロニーに巣部屋を1つ増設した。 増設後、最初数匹の働きアリが斥候部隊とも言うべきか、触角を震わせ、明らかに辺りを探りながら一通り歩きまわって働きアリが多い元の巣部屋に戻る。 30分くらいしたら徐々に働きアリの数が増えて行っていた。 ただ、あくまでもメインは今までの巣部屋を使うようで新巣部屋にはまだ30匹ほどがいるにすぎない。 これから増えると予想されるので、まぁ、最初はこんなものだろう。 |
4月7日 | 昨日、取り上げた増設巣部屋。 ケアリを入れるとかなりの確率で発生する「脱走」という事態がまたしても発生した。 恒温機を開けるとケアリの働きアリがちょろちょろ。 一通り回収したら30ほどいた。 どこから・・ と思ってしばし様子を観察したら、グルーガンの接着が甘い所があってそこから脱走していた。 慌てて補強。 一通りは接着時に確認しているが、結局こういう甘い所がいつも出て余計な手間が増えてしまうのだ・・ |
4月8日 | クサアリモドキの引っ越し作業に気を取られて気がつかなかったが、一昨日、一昨昨日で取り上げたクサアリモドキコロニーで繭が出来ていた。 お馴染みとなった幼虫に石膏屑をかけている図。 餌場に繭を持ち出していた。 |
4月9日 | 久々のキイロヒメアリ。 少しずつだが増勢中である。 安定しているのでぷりぷりの幼虫も常に一定数見られる。 女王はいつも壁面の陰になる部分にいるのでうまく写ってくれないが、元気である。 |
4月10日 | 昨年新女王を採集したアシナガアリコロニー。 今日は女王を中心に集まっていたので、そこを写してみた。 オーソドックスな図柄だがこういう構図って好き。 |
4月11日 | ケアリコロニーを写してみた。 太った幼虫。 羽化したばかりの働きアリ。 蛹。現在繭はなく、蛹はすべて裸蛹で存在している。 女王。最近落ち着きが出てきて多少の刺激であたふたしなくなったように思う。 |
4月12日 | トゲアリ。何と幼虫が孵化していた。 クリアな写真って難しいね・・ 女王。腹部が大きくなっているが産卵数はそれほど多いわけではない。 卵塊を運ぶクロオオアリの働きアリ。 |
4月13日 | 枚岡公園を歩いた。 ハヤシクロヤマアリに混じってクロオオアリも少数活動を開始していた。 スミレに来ていたハチの一種。 タンポポにいたキリギリスの仲間の幼虫。恐らくタンポポの花粉を食べていると思われる。 クサアリも盛んに行列していた。 行列は木に登って行ったが、降りてくる働きアリの一部がこのように腹部を大きくしていた。何の蜜を呑んでいるのだろうか。 恐らくハエの仲間だと思われる。大型のメスっぽい個体はあまり元気がなかった。 コンクリートの塊をめくるとハヤシクロヤマアリが暖を取っていた。卵は見かけたが女王はいなかった。 |
4月14日 | 猪名川にクロナガアリの様子の下見に行ってきた。 今日は風が強く、気温もさほど高くないということで、飛行は期待していなかったが、全くその通りの結果になった。 すなわち、巣口に羽アリの姿は見られず、働きアリの姿ばかりが目に付いているという感じだった。 イネ科の植物(?)の種子を運んでいる。 タンポポの種子を運ぶ。綿毛がついたままだったが、気にせずに運んでいた。 今週は半ば頃までは温度が高くなりそうだがそれ以降週末にかけて寒の戻りがありそうだ。 次の週末も多分飛ばないような感じの気温予想。 飛ぶとしたら今度の週末以降、すなわち20日以降であるとみている。 |
4月15日 | 昨年女王を採集したクサアリモドキコロニーの餌場が最近急に汚れてきたので掃除を行った。 格闘することしばし、ようやく綺麗になった。 石膏屑が大半だと思うが一部コナダニの発生も見られたので一気に掃除することにしたのだ。 綺麗な餌場は見ていて気持ちが良いが作業自体は骨が折れた・・ |
4月16日 | 昨年採集した新女王からのクロナガアリコロニー。 卵と、小さな幼虫。 この働きアリは幼虫が齧りついている粟の実を運んでいる。 卵、小さな幼虫、蛹はまとめて置かれている。蛹も色が付いているものも多く、順調。 女王のうちの1匹。 育った幼虫が上の卵置き場から離れて置かれている。 |
4月17日 | アズマオオズアリは至って通常営業中である。 女王。卵は最近壁面に集められていて床面に置かれなくなった。 そのため、撮影が難しくなったように思う。 巣内に運び込んだ肉塊に群がる。肉塊の上に乗っている個体と何だか目があったような・・ |
4月18日 | 昨年秋に採集したキイロシリアゲアリ。 様子を見てみると・・ 遠目にはこんな感じである。 卵塊。幼虫、蛹は見られないようだ。 |
4月19日 | ヤマヨツボシオオアリは昨年増えもしなかったが減りもしなかった。 今年に入り、加温して最近繭が見られるようになった。 辛うじてという情けない写真だが一枚だけ。 繭は複数個あり、幼虫も育っている。 女王も産卵を続けているが、ヤマヨツさんは中々ご機嫌取りが難しいのは今までの経験上分かっているのでこれからも目をかけてやりたい。 |
4月20日 | 午後から雨予報。 そんなわけで午前に猪名川を歩いてきた。 と言っても、飛行を期待してのことではない。気温が低かったから。 目的は週の真ん中頃の気温が高かった頃にクロナガアリは飛んだのか?という疑問を解消すべく、女王が潜った痕の盛り土の有無を見たかったのだ。 結果から言うと、盛り土は全く見当たらなかった。 土の状態もかなり乾燥していてクロナガアリの新女王が好む湿り気には程遠かった。 そこで、今日の観察だけで言うと週半ばの高温の時期には飛ばなかった、あるいはごくわずかしか飛ばず、有翅個体はほぼコロニー内に残っているのではないかと見た。 飛行の時期の目安だが、来週末以降だとは思う。 ただ、来週半ばに降る雨の後の気温、風によると言う注釈がつくが。 現段階で29日が気温24℃という予報が出ている。 この辺りがアツいのではないかとも思うが、今日は飛ぶだろうと思いつつ出向くとスカという経験も結構しているので、中々難しい・・ |
4月21日 | ムネアカ。大きな幼虫が出現している。 繭を張り始めている大きな幼虫。 上とは別の幼虫。働きアリの顔と比べてもかなりデカい。 働きアリのお腹はボンレス状態。 女王様。美しいアリだ。 |
4月22日 | 数日、寒い日が続き恒温機も一時期は冷風が吹いていたのが暖房モードに逆戻り。 冷風が吹いていたと思われる頃は容器に給水しなくても餌を交換している間にうっすらと結露したものが、今は逆。 給水しないと明らかに喉が渇いている様子。 早く気候が安定しないかと思う日々であった。 |
4月23日 | ヒメアリ。 今のところ脱走もなく、おとなしくしてくれている。 上蓋に張り付いていた女王と卵塊。卵塊はこれはごく一部。 コロニー内の様子。沢山の幼虫がいて、それを世話する働きアリも多くいる。 ただ、アリの体が小さいのでスペース的には小さな空間に収まっている。 |
4月25日 | 突然だが、クイズを出したい。 この画像はあるアリの幼虫がフタホシコオロギを食べているところである。 この種類を答えよ。 答え。 クサアリモドキの幼虫だった。接写しすぎて潰れているいまいちな写真であったが・・ ちなみにこれは一昨年立ち上げた2コロニーのうち働きアリが多い方のものである。 女王。このコロニーの女王だけ腹部が大きい。他の2コロニーの女王は腹部も縮んだのだが・・ 繭山の一角。小山のごとく積み上げてあった。 卵塊。ほぼ全景。 繭を作るために石膏屑をかけている所。 こうみると、各ステージごとに場所を変えていてあたかも成虫生産工場とでも呼んでも良いようなさまざまな作業が場所ごとに行われている。 |
4月25日 | ケアリコロニー。特に問題ないのだが、増え方が昨年よりやや鈍い感じがする。 女王。働きアリが囲んでいる。 幼虫。色は問題ないが数がそれほど多くない。 卵塊と働きアリ、裸蛹。 小さな幼虫の世話をしている働きアリ。 |
4月26日 | 今日は、昨日ほど温度は上がらないが良い天気と思っていたら、昼過ぎから雷雨模様で気温も下がってしまった。 雨はありがたいと思う反面、この雨で恐らく昨日飛んだクロナガアリが潜った痕も流れてしまうのではないかとも思い、返す返す25日が休日だったら・・と思い一日過ごすのだった。 |
4月27日 | ようやく、待ち焦がれた週末。しかもゴールデンウィークというおまけ付きの特別な週末が来た。インターネットで25日に猪名川でクロナガアリが飛んだのは確認済み。 今日の目的は明日の会合のための下調べと現時点でクロナガコロニーにどの程度翅アリがいるかということを知りたかったのだ。 すぐにクロナガアリのメスアリが掘った穴を見つけた。このような穴は周囲で数個見つかった。 恐らくメスアリが潜った後、蓋をしたと思われる土の塊。 クロナガアリの巣穴は見つけるも、「祭りの後」という印象でどれも閑散としている・・ そんな中、一つにぎやかなコロニー発見。遠目で写しているので分かり辛い写真になっているが黒い部分がすべてクロナガアリである。 ただ、これの中に羽アリがそれほど多くなかったのは気になった。 その後、午後2時頃に急に曇り空になり冷たい風が吹いて羽アリは引っ込んでしまった。 最初、潜った巣穴を見つけた付近をメスアリが歩いていた。イネ科雑草によじ登っていたが羽は落ちている。地上を歩くのは良く見かけるがこんな風に羽を落としたメスアリが草をよじ登るのは珍しいと思った。 葉っぱにたたずむクロナガアリのオスアリ。1匹だけ見つけた。 今日は、気温が低いとも言えるが印象として25日にかなり飛んだのではないかと思える現地状況だった。 正午頃、気温、風全く問題ないと思ったが飛んでいる羽アリを今日は全く見かけなかった。逆にいえば、25日に観察に行けていたらかなりの群飛が見られたのでは・・と思うが、飛んだと言う以上のことは不明。 今年は飛んでいるアリを見かけることなく、終わってしまうのか・・? |
4月28日 | 関西集会当日。 改札前に集まったのは、私ことあにまりあ、kuroyagiさん、風人さん、風人さんの研究室のお仲間のKさんの合計4人であった。 まずは昨日のうちにチェックしておいたクロナガアリが潜った痕を掘り返す作業から始めた。 大体このような感じの所を掘った。 100%完全にクロナガアリがいたわけではなかったがそれでもいくばくかゲットできた。 この土の塊をスコップで掘るとクロナガアリの新女王アリが発掘できた。 発掘終了後、暫く周囲を歩いたが羽アリは全く飛んでいなかった。 とりあえずお昼ごはんを食べ、河原で枝折り。 ルリアリ、ウメマツオオアリ、オオハリアリを見ることが出来た。 その最中、kuroyagiさんが大きなアオダイショウに遭遇され、大きな声を出すという一幕もあった。 午後1時頃からクロナガアリの巣口の幾つかで羽アリが入口を窺うになった。 また、少数だが飛んでいるクロナガアリの羽アリを見かけるようにもなった。 そして、少し歩きまわると、羽アリが多く飛んでいる場所があった。 そのすぐそばでKさんがまさに羽アリが飛んで行くところ、「祭り」の真っ最中のコロニーを発見された。 飛ぼうとして風を見ている?メスアリ。 草を登っているオスアリ。 上とはまた別のメスアリ。 この時間、場所によっては多数のオスの「アリ柱」と呼ぶオスの集団が飛びまわった。 その中にメスが突っ込むように飛んで行き、オスをお尻に付けたまま飛んでいるように見える個体も見えたが交尾の決定的瞬間は撮影できず・・ 午後3時を過ぎることから地上に脱翅メスが見られるようになった。 巣穴を掘っているメスアリ。これは単独で掘っていた。 そんなわけで、今日の集会は大成功だった。 クロナガアリは25日にかなり飛んでいると思ったがまさかあんなオスの集団を見れるほど規模の大きめの飛行に遭遇できるとは思わなかったので喜びもひとしおだった。 おまけ 帰宅後、鏡で顔を見ると陽に焼けて真っ赤でお風呂に入るとピリピリするほど。 この時期の日射を甘く見てました・・ |
4月29日 | 猪名川も考えたが、今日は信貴山〜生駒の暗峠を歩いてきた。 水呑地蔵でナナフシの赤ちゃんを発見した。 水を飲んでいるのだろうか? スカイラインまで上がったところでアシナガアリがハヤシクロヤマアリの死骸を運んでいた。 ハヤシクロヤマアリがハエの死骸を運んでいる。 季節はまさに新緑の季節。とてもすがすがしい。 在来種のタンポポとイチゴの花。 歩いて行くと、八尾市から平群町に入るようで、境界を示す標識があった。 このような標識がある。結構面白い物がこの先にあるのだ。 ここがその「鐘の鳴る展望台」。写真右の方で鐘をつくことができ、さらにその階段の先は展望台になっている。 その展望台から写した風景。一面の新緑がとても美しかった。 また、この付近でタンポポに来ていたカミキリモドキも撮影できた。 このカミキリモドキはイチゴの花に来ていた。この近辺のイチゴの花で3匹くらい見つけた。 ところどころイタドリの枯れ枝が転がっており、枝折りを行う。これはその一つから出たミカドオオアリのサテライト。大型の働きアリもいたが女王はいなかった。羽アリもいなかった。 ヤマヨツボシオオアリも昨年同様に見つかる。決して密度が高いとは言えないが生息はしているようだ。 女王は2匹いた。そのうちの1匹。 他にもヒメアリ、ムネボソアリ、アズマオオズアリサテライト、ウメマツオオアリサテライトを見ることが出来た。 スミレ。少し大型だ。 午後1時過ぎに暗峠に到着。この時点で電光掲示板の温度が26℃。かなり温度が高かった。 道を降りながら、ふと枯れたイタドリの枝がぶら下がっているのを見つけた。 たいして何も出ないだろうと思いつつ、枝を折るとアリが出た。 それが下の写真(帰宅後移し替えたものであるが)。 何と、ケブカツヤオオアリのコロニーだった。 全く考えもしない展開にびっくり! そう言えば昨日帰りの電車の中で風人さんとこのアリのことを少し話していてフィールドで見かけても見分ける自信がないと言っていたが、ウメマツオオアリよりやや大型飴色というか茶色がかった体色、頭でっかちとも言える体型で見分けがついた。 ちなみにこの種類のコロニーを見つけたのは2004年秋に伊那で土生さんが切り株の皮の下にあったのを発掘して以来。 働きアリすら普段全く見かけないのに・・ ちなみに白っぽいのは移し替えの際に使用したパウダーである。 |
4月30日 | 昨日採集したケブカツヤオオアリ。 巣部屋に全員が移り、落ち着いた。 コオロギの脚を美味しそうに齧っている。 写真を取って拡大したら確かに毛深い。 中型働きアリと小さな幼虫。 ミカドオオアリとウメマツオオアリのちょうど中間くらいの大きさというのが正直な感想だ。 |