2012年12月の観察日記

12月3日 昨日のことだが、河内長野滝畑ダムに出かけた。
とりあえず、目標としてナワヨツボシオオアリを見つけようと思った。
イタドリを割るとすぐにチクシトゲアリの大きなコロニーを3つほど見つけた。
1つだけ、採集して山奥へと向かった。
「美味しそう」な枯れ枝は沢山あった。
しかし、意外なほど中に入っていない。
越冬中のアシナガバチはそれこそたくさん見かけたがアリというとヤマヨツボシオオアリ2コロニー、ミカドオオアリ2コロニー、シリアゲアリ2コロニー、ムネボソ沢山。
ヤマヨツは女王がいたが、スルー。
ミカド、シリアゲは少し割っただけで中を確認していない。
山奥でまたチクシトゲアリのコロニーを出した。
オスがいたが、お腹いっぱいなので贅沢ながらスルー。
シベリアカタアリやムネアカオオアリなんかいても面白そうだったが、その辺りは全くなし。
チクシの入っている枝の様子を写してみたが皆ぼけていてどうやっても使いものにならなかった。
他のアリに関しても、カメラ持っていたのに撮影していなかった・・
結果、チクシのコロニー1つだけゲットしてきた。
帰り、道すがら歩いているとイタドリの枯れ枝が沢山放置されている場所があった。
割るとチクシの新女王が1匹。
本当に「チクシに「憑かれた」」一日だった。
12月7日 夜、ふと恒温機を見ると設定温度が20℃、庫内温度表示が20℃になっていた!
これは一度電源が切れた後、再度通電した時の初期設定時の温度。
要するに一度通電が止まったということだ。
今日、夕方地震があった。
その影響だろうか?
庫内の温度計は18℃だった。
慌てて再び10℃に設定。
アリたちはやや動く程度であったので、温度が上がってそれほど時間が経過していないと考えられたが冷や冷やものだ・・ 
12月9日 一昨日の恒温機事件はどうも我が家のキッチンを電化したのに伴うようだった。
一旦停電して私が温度20℃に気がつくまで約5時間あったがその後10℃に冷やしても悪影響は見られなかった。
とりあえず一安心。

クロナガ。この時期ほとんど唯一動きがある種類で困った時の大明神的存在になっている気がする。

成長した幼虫。この大きさの幼虫がメインで蛹は現在見られない。

女王。至って元気で巣部屋の中を闊歩している。

ゴミ捨て場にて。皮、ちゃんと剥かれて捨てられていた。
12月13日 トゲアリ。今のところは問題なし。

容器を取り出した時にクロオオアリの集団の中を闊歩するトゲアリ女王。
腹部もやや大きくなった感じがあって栄養はもらっている?
12月16日 まさかのこの時期に、キイロヒメアリが新しいメスアリを誕生させていた。
少し前から蛹を確認して、撮影を試みていたが全くうまくいかずに結局羽化してしまった。
こんな寒い時期にメスアリを誕生させるとは驚きだ。
他の幼若個体を見てみたが今のところメスアリになるような大型のものは見られなかった。
写真を撮ってみたが、どうしても給水口の加減の陰になってうまく写真が撮れなかった。

辛うじてマシだった一枚。羽化途中のようでまだ動きも少ない。
12月17日 久々のオオズ。
越冬モードに入り、動きが少なくなってようやく巣部屋の蓋を拭くことが出来たので撮影。

幼虫を運ぶ働きアリ。

女王アリ。2匹のうちの1匹。下側に幼虫も写っている。

兵アリ。アズマオオズを見慣れているとオオズがやけに大きく見えてくる。
今年、オオズは殆ど発展していない。
私見ではあるがどうも23℃は低い気がするので、来年は常温で真夏の暑い温度も体験させたい。
12月18日 クシケ。越冬モードに入って団子状態になっている。

団子の様子。クサアリほどではないが密集している。

幼虫も見られる。団子の中にいるが、そこそこの数いる模様。

 クシケはずっと前に巣部屋を増設したが一向に移動せず、ゴミ捨て場兼墓場になっていると嘆いていたが、越冬モードに移行後急にこの部屋を使い始めた。
何がきっかけになったのかはよく分からないが、結果良ければ・・で納得することにした。
12月19日 キイロケアリ。動きがあまりないので最近取り上げていなかった。

女王は元気である。今さらだけど、全体にピントを合わせるのって難しいね・・

幼虫。数はいるが働きアリはそう多くない。ミールワーム断片とゼリーで維持している。
12月20日 昨年女王1匹から立ち上げたケアリコロニーのうちの一つ。
常温飼育だが、すっかり越冬モードで動きも少ないのだ。

女王。部屋の温度が高くないので動きも少ないが元気そう。 

小さな幼虫。成虫とこのステージの幼虫だけである。
12月21日 今年の夏、採集したクサアリモドキの女王のコロニー。
女王を1匹しか採集しなかったので、突然死が不安だったが今のところ元気に過ごしている。

ホストのケアリが沢山クサアリモドキの幼虫を取り囲む。

別の塊。この塊は凄く長細い形をしていた。
このコロニーの女王様は壁面がお好きなようで壁面にへばりついてそこにケアリが集まっていて撮影が非常にやりづらい。
何枚か写したが全然だめだった。
触角も動かしているので元気ではあるようだ。
12月22日 ハヤシクロヤマアリ。
初期コロニーを2コロニー採集したが2つとも無事に今年の生産を終えた。

2コロニーとも2匹女王がいる。
どちらのコロニーでも1匹の腹部が大きく、もう1匹の腹部が小さい。
1つ、勢いに乗りかけているコロニーがあるが来年以降どれだけ発展に持っていけるかが課題。 
12月23日  これは昨年採集したクロオオアリコロニー。
昨年採集した2匹の女王のうち1匹は今年の春に死んだのだが、こちらは元気に一年過ごしてくれた。

女王。この女王、左前脚が欠損しているが元気。

働きアリ。ほぼすべて同じサイズである。
今年はあまり紹介できなかったのはタッパー飼育で行っていたが夏頃壁面のパウダーが切れて普通に餌交換の時に上るようになり、撮影どころではなかったため。冬になり活性が落ちたのを見て引っ越しさせたことにより撮影ができるようになった。
12月24日 この前、キイロケアリを取り上げたが今日はアメイロケアリである。

働きアリ。ちなみにホストだったケアリの働きアリはすっかりいなくなった。
女王を写したかったが石膏屑を蓋に張り付けている部分にいてクリアな写真が全く撮れなかった。元気に動いているが、このコロニーには幼虫が全くいない。
アメイロケアリはホストの黒いケアリの働きアリがいなくなってから少し難易度が上がったような・・
餌の食いは悪くないが、いまいち羽化率が悪いように思う。
私の中ではアメイロケアリはクサアリモドキよりコロニー立ち上げが難しいと思えるので(6月の日記に書いたが「はみはみ」しても取り巻きを作らずに死ぬ個体が多いように思える。モドキのように繭を大量導入できたら話も変わると思うがアメイロケの飛行時期はケアリのコロニーには翅アリの繭ばかりで働きアリの繭が少ないというのも・・)
来年、何とか持ち直したい・・
12月25日 アメイロアリ。
今年1匹だけ採集したコロニーがいる。 

女王。スポンジの中に頭部を突っ込んで見えなかった。

働きアリと幼虫。この働きアリだけやけに色が薄いが最近羽化したとかそういうものではない。
12月26日 ヒメアリ。最近は巣部屋に籠って、部屋の温度が少し上がると少数個体がゼリーをなめる程度でおとなしく越冬モード。

コロニーの一部。本当に「ごちゃっ」。

一部を拡大。女王様も元気であるが今年は恒温機の中で過ごしたためか、増えがいまいち。来年は常温飼育で暑い時期にどうなるか様子を見たい。 
12月27日 ムネボソも動きは少なく、越冬中。
このアリ、増え方がゆっくりというか、何もかもがマイペースな印象を受ける。

コロニーの一部を拡大。
ミールワームと蜜餌だけだがうまく維持できていると思う。
ちなみにこのムネボソコロニーは多雌である。

女王その1。

女王その2。
この2匹以外にも複数いる割に増えないんですよね・・
12月28日  ムネアカ。働きアリの数に若干の差があるが越冬中のトラブルもなく、今年は終了。

働きアリと幼虫。この幼虫だけ1匹、やけに大きいのだ。
恒温機の温度を下げた時に、蛹まで育たないまま越冬モードに入った物なのかもしれない。

越冬幼虫。このコロニーの分はこれだけ。

女王様。10℃前後なので完全に凍えるようなことはなく動く程度は出来る。

腹部の節。ボンレスと言わないが伸びている。
12月29日 チクシトゲアリ。これは今月初めに河内長野で採集したもの。完全に一か所に集まっている。

こんな風に密集。アリ玉ほど完全な球状ではないが、なかなかの密集具合だ。
12月30日 トゲアリはアリ玉っぽい物の中に潜り込んでいた。

クロオオアリが多くないのでクサアリのような完全な玉にはなっていないが、以前ミカドでやった時よりはずっと馴染んでいる。
クロオオアリの方からの威嚇も全くなく、安定感が出てきた。
突然死しなくても、このアリは幼虫の成長が遅いとかデリケートだと言う話は他の方のサイトなどで書かれているので、どの辺までうまくいくことやら・・
ちなみに明日は例年通り「2012総集編」実施します。
12月31日 今日で2012年も最終日。 
ある意味恒例行事の1年のアリ日記総集編としてお送りしたい。

1月4日に河内長野に出かけた。

この様な雪の降る中、轍、足跡ともにない、全く誰も来ない山の中を歩いてきた。

シベリアカタアリの女王。しかし、この数日後、不注意で脱走してしまい、行方知れずになってしまった・・

また、この日にチクシトゲアリの変わった色の働きアリがいるコロニーも採集できていた。

恒温機を1月9日に稼働。17日に23℃に設定完了し、飼育作業スタート。

一番早くに産卵を確認できたのが亜高山帯で採集したヤマクロヤマアリだった。
しかし、ヤマクロヤマアリは4月頭に崩御されてしまうことになる・・
そして1月末に真冬の枚岡公園で枝折り。
ヒラズ、シリアゲ、コヌカ、ウメマツオオアリを出すのだ。
ちなみに真冬の枚岡探索はある意味フィールドの新規開拓に当たるのかもしれない。
なぜなら今まで全く冬には行かなかったのだから(2011年2月末に行っているが)。

クサアリモドキは好調で、大きく肥大した腹部を見せてくれた。

また、餌についても少し変化を持たせ、今年は卵餌とハニーワームに挑戦した。

ハニーワームを貪るアシナガアリ。

タッパーに作った卵餌。特にトビイロケアリのコロニー増勢に寄与したように見えた。

3月に入り、ひょんなところでルリアリコロニーゲット。

肉食の強さと体の割に強い蟻酸を見せてくれた。

4月。最小級の「危険物」をお迎えした。今のところ脱走は起きていない。

この時期の枚岡でお約束的なウロコアリ集団。

そしてこの時期の主役、クロナガアリ。うまく飛行時期に観察に行く余裕があって楽しむことができた。

月末の連休に八尾市水呑み地蔵から十三峠を経て暗峠を歩いた。新緑の中を歩くのは最高に気分が良かった。

ここでアズマオオズアリ2コロニーをゲットできた。

5月。アメイロアリからスタート。

ヨツボシオオアリの飛行の瞬間なんかも撮影できた。
脱翅メスを1匹採集でき、繭まで行ったのだが結局うまくいかなかった・・

そして予想外の珍客ケブカツヤオオアリだったが、産卵した物のこれまたお亡くなり・・

クロオオアリは脱翅メスを2匹だけ採集した。

今年はムネアカによく遭遇した。山の上の方ではムネアカの方が優勢なのかもしれない。

そして、デカクサ。トビイロケアリの繭があったので導入したり、アメイロケアリコロニーを見つけたので導入したりしたがうまく行かなかった・・

6月は始めに小田原にて蟻研会長の近藤先生のお宅訪問があった。写真は撮らなかったがとても楽しかった。
フィールド観察はクロヤマアリを求めて、大阪城公園、城北公園を中心に散策した。

城北公園で多く見つかったトビシワ。朝早い時間に行けば優良ポイント?

大阪城で見つけたクロヤマアリのオスアリの死骸。大阪城での脱翅メス採集は今年もかなわず。

ところが、大阪城公園内でアメイロケアリの脱翅メスが多くいるポイントがあった。
数匹「はみはみ」していて期待させつつも、導入はうまくいかなかった(ケアリとなじまなかった)。探すべきポイントは分かったので来年、もしこの場所でいればリトライしてみたい。

7月。生駒山の上の方でクロオオアリのコロニーゲット。吸虫管で吸っていると多くのハイカーさんに奇異の目で見られ、久しぶりにこそばゆい感じを味わった。

ハヤシクロヤマアリ有翅個体との遭遇はこの1匹だけだった・・でも、銀色、美しい。

月末、新規開拓で箕面公園。予想外のシリアゲアリの群だった。

8月は頭に京都貴船。ここでもシリアゲアリがいたが、それ以外は時期的な物なのか、あまり面白い発見はなかった・・

9月、枚岡公園でキイロシリアゲアリの女王団子をみることができた。

これには驚いた。トビナナフシ。

10月。連休に大阪と京都の県境の天王山に上る。

如何にもという雰囲気の場所は多くあったが収穫は無し。竹林もタケノコ生産のためか凄く手入れが行き届いていてアリは殆ど見られなかった・・

恒温機温度を下げていたし、もう採集には行かないと思い始めて月末。
この決意をひっくり返させたのがこの個体だった。
結局翅は最後まで落とさないままお亡くなり。

11月。先のトゲアリに触発され、枚岡でトゲアリ探し。

ようやく1個体見つけた。
そこからクロオオアリの導入を行い、今に至る。

12月は最初の日曜日に河内長野滝畑ダムでチクシ祭りを体験。
個人的にはナワヨツ辺りを狙っていたし、今までこんなにチクシに遭遇しなかったので戸惑うばかり。一番個体数の多かったコロニーだけ採集して後は元に戻しておいた・・
枝からのぞくチクシの写真、どうしても上手く撮れず写真なしの寂しい体験記。

動きもない・と思っていた中旬頃にキイロヒメアリにまさかの新女王が生まれていた。

以下おまけ。

卵餌を食べるヨーロッパイエコオロギ幼虫。本当に何でも食べてくれた。
卵餌は内部に水分を含有しているようで食べながら水分補給もできていて暖房環境ではうまく行ったが、冷房環境に変わると結露からカビや水滴の温床になってしまった。

ヤマトシロアリ。一昨年採集して木片と一緒に放り込んでいた物がまさか兵アリを生産するコロニーになっていたのには驚くばかり。

ヒメウマノオバチ?こんな物を見つけたのは当然初めてで、死骸とはいえ、こんなのまで!というのが正直な印象。

クロスズメバチ。今まで見たことがなかった枚岡で今年はよく見かけた。
トゲアリ採集の時に如何にも女王と思える腹部の大きな個体を見かけた。
近くに巣があったのかもしれない。

こんなこともやりました。

淀川にかかる、線路と歩行者・自転車用の道路が一つの鉄橋で共存している橋。
報道では、近いうちに線路(JRおおさか東線)の複線化工事により、歩行者用部分はなくなるそうな・・?

「豪華3点セット」。オオアリとアシナガアリで見かけたが何故こんな集団になるのかよく分からない。

例年より増量でお送りした2012総集編。
こうやって見たら今年、色々やったね・・
それではみなさん、よいお年をお迎えください。

戻る