2012年8月の観察日記

8月1日 ヒラズはなぜか増えない。
昨年秋に採集したオスを生産したコロニーはオスを生産したらすぐにコロニーの活力がなくなってあっけなく壊滅した。
女王のいる初期コロニーを採集して飼育しているがなぜか増えない。
餌は食べているが普段チューブに籠って様子も見辛いが最低限のサイクルは回っているのだが、増えない・・
8月2日 アズマオオズ(大コロニーの方)は相変わらずよく肉餌を食べる。
本当に呆れるくらいの食欲で、体は小さいのに数で圧倒してしまう。
アカムシを与えたら細かい砂粒のようなものが出るが、これは一体何だろう?
クシケに与えた時も同じようなものが出ていたが・・ 
8月3日  先月に枚岡で採集したクロオオアリコロニー。
最初、肉餌をあまり食べてくれずに困ったが最近ようやくミールワームやコオロギを食べてくれるようになった。
特にコオロギは翌日に見たら足や頭の残骸しかないくらいだ。
でも、兵アリもいるコロニーなのに、働きアリの数が少ないのは変な話だと思う。 
8月4日  クサアリモドキは産卵を始めた。10個ほどだが、一昨日見た時は確認できなかったので、昨日あるいは今日に産卵を開始したと思う。
女王の腹部も膨らんできたがまだまだ膨らむだろう。
今回、この女王に対してはケアリの繭をとにかくたくさん投入しているので最初からロケットスタートが切れるはずだ。
8月5日  京都の貴船に行ってきた。
歩いたのは叡山電鉄貴船口駅から貴船神社の奥までの道沿いだ。

ガードレールにいたナナフシ。腹部が大きいのでメスなのだろうか。今年はよくナナフシに遭遇する。 

トイレの壁にいたケシキスイの仲間?

今日もシリアゲアリの有翅メスが多く見られた。

ツユムシ系の幼虫?

今日もシリアゲアリの団子が見られた。先週の箕面ほど数はいなかったが、壮観。

ヒグラシの死骸にアミメアリが集まっていた。

ガードレールにシリアゲ2匹。

貴船口駅そばのトイレ付近でアシナガアリの有翅メスが1匹いた。

貴船神社の奥から川の下流に向かって写真を写した。雰囲気だけでも。
8月6日 アシナガアリの大コロニーはあまり増えなかった。
現在、餌部屋一つ、巣部屋5つで飼育しているが、面白いことにこの5つで引っ越ししているのだ。
汚れ(というか食べ残し等のゴミ)が溜まってきたら別の巣部屋に移る。
あまり中のゴミを外に出すことはしないようだ。
掃除してやってその部屋に給水したらまた使ってくれる。
結構見ていて面白い。 
8月7日  去年枚岡で採集したケアリ女王のコロニー。
タッパーから引っ越しさせて暫く経つが順調である。

孵化したての小さな幼虫。

蛹。繭もある。
まだ、それほど一気に増えると言うほどではないがじわじわ増えている感じ。
このコロニーはタッパーから移す時常温に移したが今のところ悪影響はないようだ。
8月8日  今年、1匹だけ採集したクサアリモドキ。
腹部が膨らんで卵も増えてきた。

女王は今は腹部はこの大きさだが、まだ膨らみそう。ちなみに春から温めていた昨年から飼育しているクサアリモドキは2コロニーとも女王の腹部は縮み、今年は店じまいの様相。

撮影の際、働きアリが餌場の方に卵塊の一部を持ってきていた。これと同様の大きさの卵塊が現在4つほどある。
8月9日 先月コロニー採集したクロオオアリコロニー。

小さな幼虫群。

働きアリを写してみた。どの働きアリもお腹は節が延びている。
8月10日 アズマオオズの個体数が多い方のコロニー。勢い、かなりのもの。

メイプルを与えたらすぐにこんな風。

兵アリ。特徴的だ。

コオロギの死骸に集まっている働きアリ。遠目に見たらコオロギの死骸がオレンジ色の細かい物で埋め尽くされるように見える。

コオロギの腹部側に噛みついている。

幼虫を世話している。

幼虫。本当にたくさん・・
8月11日 ハヤシクロヤマアリは結局現状維持のままシーズンが終わりそうだ。

2コロニー飼育しており、どちらも女王は2匹。そのうちの1匹。こちらは腹部が小さく、コロニーの中心からやや離れたところにいたが撮影の際、撹乱したためにここに落ち着いたのだろう。

もう1匹。こちらは腹部がやや大きい。少し前までもっと膨らんでいたが栄養貯蔵役なのか、卵巣が発達しているためかはちょっとよく分からない。

働きアリ。繭も写っているが思ったほど増えず。

繭を運ぶ。ハヤシクロヤマアリは現在ミールワームで維持している。
8月12日 ヤマヨツボシオオアリ。いつの間にか小さな幼虫ばかりになった。
症候群が出ているかまだ見極めが出来ていないが時期的に越冬モードに移行した可能性も否定できず、何とも言えない。
餌は食べてくれているが、なんとも・・ 
8月13日  ケアリを見ていたら女王の腹部から卵が一つ出てきた。

なかなかくっきりした写真にならなかったが何とか一枚。 
8月14日 去年採集したクロナガコロニー。

色づいた裸蛹。

成長した幼虫。ちゃんとコロニーのサイクルは回っている。
卵もあるし、女王も元気。そしてオスアリも4匹いるのを確認した。
8月15日 今年採集したアシナガアリの新女王は順調に卵を産んでいる。

卵を世話している。丸っこい形がヤマアリやオオアリの細長い形とは違う。
例年のコースだと9月末に働きアリの羽化が見られると思う。
8月16日  クサアリモドキは腹部がこれ以上ないくらいに大きくなって卵をどかどか産みだした。

女王。腹部に特にケアリの働きアリがまとわりつく。

卵を咥えている。ごく一部。

ケアリの繭。今回、このクサアリモドキの女王には集中的にケアリの繭を放り込んだ。
クサアリモドキの女王が死んだ時の保険としてのもう1匹別のクサアリもどきを採集するが今年はしなかった。
その理由は最初からいつもより多い働きアリを得たクサアリモドキ女王がどれくらい卵を産むのか、また、腹部がどれほどのびていくのかを知りたかったのだ。
ちなみにこの繭は先月採集したがまだ羽化が続いている。
8月17日 久々にクシケ。順調である。

幼虫。コオロギを与えたり、ミールワームを与えたりしているがよく食べてくれる。

色づいた蛹。
クシケは順調だと書いていたが、増設した巣部屋には一向に移動しない。
個体数は殆ど一定のまま。観察していたら1匹の働きアリを数匹で足を引っ張ったりしているのを見てるので殺しているのかもしれない。
だとしたらどうしてこのような行動が生じるのかよく分からない。
巣部屋は移動しやすいように餌場との連結チューブより径の大きなものを使っているのだが・・
8月18日  クサアリモドキ。これは昨年立ち上げたものである。

女王。すっかり腹部も縮んだ。産卵は停止していて、繭も見られない。 

小さな幼虫の世話をするのはクサアリモドキの働きアリ。ケアリワーカーは中心から離れて巣部屋の隅をまとまりなくうろついたり、餌場に多くみられる。
8月19日 約1カ月ぶりに枚岡公園を歩いた。

ハリブトシリアゲアリの脱翅メスが歩いていた。翅アリは有翅メスが1匹、脱翅メスがこれを入れて2匹だけしか見かけなかった。

ヤブキリのメス。結構大きめの昆虫で目立つ。 

ヒラズオオアリの脱翅メス。この時期でも飛んでいる?見かけたのはこの1個体だけだったが・・

フキバッタの一種。

山道を降りていたらふとそばの草の葉にこれがいた。ミカドオオアリ有翅メスだ。
明らかに時期外れ。この1匹だけしかいなかったが何かの理由で飛んでしまったのだろうか。

神社を歩いていたらまさかのクロヤマアリ有翅メス。これも1匹だけでちょろちょろと走り回っていた。最初ハヤシクロヤマかとも思ったが体つきや色合いがどう見てもクロヤマなんですよね・・
8月20日 キイロヒメアリ。現状維持というくらい意外と増えてきていない。

卵と小さな幼虫が写っている。働きアリの蛹の腹部も写っている。

働きアリ。小さい。ちょこちょこと動き回って可愛らしい。

コロニーの様子。女王は2匹。
8月21日 今年、シリアゲアリの団子を見つけ、箕面で2匹脱翅メスを採集した。
タッパーにスポンジで飼育しているのだが、全く卵をうまず、どうも落ち着きがない。
あたかも有翅メスで未交尾メスを見ているような錯覚すら覚える。
産卵してくれないと何も始まらないのだが、こればかりはメスアリの「機嫌」次第なので何とも言えず、やきもきさせられている。
8月22日 一昨年春にヤマトシロアリのペアーを採集してこれだけが残っている。
ただ、恒温機容量の関係で中々大きな入れ物に移せず、とりあえずコロニーが維持できているという感じの最低限の観察しかしていなかった。
今日、大きな入れ物に移し替え、餌となる赤松材を放り込んだ。
その引っ越しの際、写真を写してみた。

知らない間に兵アリがいた。ただ、これ1匹だけみたいだったが。

働きアリ。何を食べてるのか腹部が赤い。

大きい働きアリと小さな、生まれて間もないと思われる働きアリ。

上とは別の小さな個体。普段アリを見慣れていると小さな働きアリと同じ形をしたものが動き回っているのには少し違和感・・
肝心の生殖虫であるが、どうも材内部にいるようだ。1枚目の兵アリが写っているそばに小さな穴があってそこから小さな幼虫が見えていたので、おそらくここだと思われる。
しかし、わざわざバラしてまで見ることもない(バラす時に怪我をさせかねないし、これ以上のストレスもかけたくないと思った)と思い、これ以上の観察はしていない。
2010年に採集した時、最初ティッシュで飼育したが全くうまくいく気配がなかった。
そこで、シロアリがいた桜の倒木の樹皮をばらして与えたら凄くうまくいったのだ。
と言っても、他のペアーは死んでいたのでこのコロニーは運よくうまくいったにすぎないかも知れないが。
今年も1ペアー採集したがティッシュでリベンジを果たしてみたが、今のところオスメスだけなのでティッシュを諦め桜樹皮を数欠片放り込んだ。
8月23日 昨年採集したケアリ女王から立ち上げたコロニーのうちの一つが凄く勢いが出てきたのだ。

ミールワームの断片を放り込むと働きアリがわらわらと・・

そんな働きアリの一匹を拡大。
8月24日  先月採集したアシナガアリを見てみたら幼虫が育っていた。 

数こそ多くはないがちゃんと成長している。

上の写真の女王の右上の幼虫を拡大。大きさから見て終齢っぽいか?
8月25日  7月にコロニー採集したクロオオアリを引っ越し。タッパーだったのを石膏の巣部屋と餌場がついた入れ物に移した。

巣部屋に放り込んだ働きアリ。

ただ、大半は餌場にいる。理由は石膏巣ではなく、餌場に最初放り込んだがそこから撤収しないのだ。

ハニーワームを放り込んだら殺した。現在、積極的に食べてる様子はないが、水曜日にこのサイズを入れたら金曜日に跡形なく食べつくした。 
8月26日 昨日紹介したクロオオアリは、今日観察したら餌場を引き払い、石膏巣に移動してくれていた。
正直、これは私にとって少しリスキーで、乾燥した餌場を引き払わずにいたら乾燥と暑さで悪影響が出る可能性があったので昨日引っ越し、今日にらめっこという形にしたかったのだ。 
今、餌場にはハニーワームの残骸が転がっていて、2匹の働きアリが齧っている以外何もいない。
巣部屋の女王以下、すべての個体も元気。
上手く行った。
8月27日 ヒメアリ。春に採集したものだが、採集して暫くしてコロニーが全体的に凄く静かになってしまった。
最近では巣部屋から出て来なくなって越冬状態かと思えるほどになっていた。
今日、給水のチューブの穴から脱走兵を見つけた。1ミリもない隙間から出入りしていた。幸い、早くに見つけたためか数個体のみの確認だったが、穴をふさぐついでに少し室温で様子を見た。
驚いた。餌場を働きアリがわらわらと歩いている。

ミールワームを物色中の働きアリ。面白いことに、部屋が明るい時に巣部屋から出てきて部屋を暗くしていたら餌場には殆どいなくなった。
案外高温を欲しているのかもしれない。今日から室温で飼育することにする。 
8月28日 昨日、引っ越しさせて室温飼育に切り替えたキイロヒメアリ。
帰宅後、ふと見ると働きアリが容器の外側を2匹ほど歩いていた。
すなわち、脱走が発生しているということだ。
どこから?と思い様子を見たら仰天だった。
普通に蓋をしている容器の蓋の部分(隙間なんてあるように見えない)から狭そうに身をよじって脱出していた。
出ては入りの繰り返しだったので脱走被害は少なかったが(昨日の数と比べて殆ど増減はなかった)急いでグルーガンで巣部屋の蓋部分を固めた。
うーん、ある意味凄すぎる。餌場は開け閉めするのでパウダー必須になるだろうね。過剰気味にしなきゃだめか? 
8月29日 2008年採集のアシナガアリ大コロニー。
最近、働きアリが次々死んでそこにあっという間に黄色いカビが生えてくる。
以前、壊滅させたクロヤマアリとよく似た症状。
アリを飼育していると種類にかかわらず大抵この黄色いカビを目にする。
どういうカビなのか、気になるが・・
死骸は毎日取り除くもかなり厳しいかもしれない・・
8月30日  先月採集したシリアゲアリが相変わらず。
今まで、シリアゲアリの脱翅メスは何度も採集しているが卵を産まないというのは初めてで少々戸惑う。
何がおかしいのか・・ 
8月31日 この前、常温飼育に切り替えたキイロヒメアリ。
今日、見ていたら餌場でミールワームに集まっていた。

切断部に集まっている。殻の内部にも食い入っているのがいるのかもしれない。

働きアリ同士の栄養交換。

壁面にいた女王。相変わらず腹部が大きい。 

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