2012年2月の観察日記

2月1日 チクシトゲアリ(2010年秋採集)のコロニーでは繭ができはじめた。

結構コロニー自体の活気も良く、良い状態だと思う。

働きアリのお腹も大きい。ハニーワームとミールワームを与えて餌の嗜好性を見ているがどうも今のところミールワームに分があるような・・
2月2日 クサアリモドキもお腹が大きくなってきているがまだ産卵は見られない。

働きアリが団子になっていて撮影し辛かったが何とか1枚。
2匹女王はいるが2匹ともこんな大きさだ。
産卵が始まったら一気に産卵しそう・・
2月3日 ハニーワームを与え始めて少し時間がたった。 
とりあえず現況を書いていきたい。
2006年5月10日の日記に芋虫系の餌はとてもアリに受けがよく良い餌なんじゃないかと書いた。
ハニーワームはまさに芋虫だが管理面で手間がかかりそうなので今まで敬遠していた。
ただ、今年は色々な餌の種ごとの大まかな傾向だけでも良いので知りたいと思い入手した。
ハニーワームは2センチほどの大きなものだ。
それに対して凄く受け入れているのはアシナガアリ(大コロニー)とミカド(大コロニー)だ。
特にアシナガはかなりの嗜好性を示している。
それでは他はどうかというと・・実はかなり微妙なのだ。
2010秋採集のチクシトゲアリは割と食べる。
しかし他のハヤシクロヤマアリ、クシケ、クサアリモドキやアメイロケはいまいち。
クサアリモドキとアメイロケは明らかにミールワームを好んでいる。
下手したら殺すだけで殆ど手をつけないということもあるくらいだ。
それとハニーワームは意外な厄介な習性がある。
糸をはいて巣を作ることでアリが気がつかない事例が多発。
その巣は次の日に様子を見た時に剥がしているがどうも・・・
ハニーワーム。
栄養の塊にしか見えないし、実際そうなのだろうが思うほどうまくいっていないような印象だ・・
もっとも、与え方がうまくないのかもしれない。
ハニーワームの与え方についてどなたか良い案があれば教えてください・・
2月4日 一昨日(2月2日)、クサアリモドキのお腹が大きくなってきたと書いた。
それが急速に腹部が膨張してきたのだ。

2日でここまで膨らんだ。
卵は産んでもよさそうなものだがまだ確認できない。

幼虫。色は入っているがまだ均一にこのサイズ。ケアリワーカーの頭部を比較のために写しこんでいる。
今はとにかく蜜餌よりも肉餌という感じだ。

ちなみにこれは働きアリの数が多く、幼虫の多いほうのクサアリモドキコロニーだがこんな大きさの幼虫塊がこれを入れて合計3つほどある。
ということは・・順当にいけば羽化してくる数も結構凄いことになりそうだ・・
2月5日 アシナガアリ。ハニーワームを良く食べて調子が良い。

ハニーワーム直食いする幼虫。数が多いので1日で食いつくしてしまう。

働きアリ。腹部も大きく元気だ。このコロニーの働きアリはどの個体も大型で体格もがっしりしている。

幼虫を1匹拡大。終齢幼虫だが、色艶は良い。ただ、蛹になる様子はまだ見られない。
2月6日 去年初夏採集のクロオオアリ。2匹女王を採集して2匹とも働きアリを誕生させた。
1匹は常温で、もう1匹は恒温機で飼育している。

女王。お腹が膨れて産卵も少しだが始まっている。
今のところミールワームがお好きなようだ。 
2月7日 アメイロケアリ。少し見辛いが活況のようだ。

女王。黄色いアメイロケの働きアリに囲まれている。

働きアリ。お腹も大きく、良い感じだ。
アメイロケアリもミールワームを良く食べている。
ハニーワームはいまいち・・?
2月8日 昨日に続いて黄色いアリシリーズ。
今日はキイロケアリ。この種類も産卵を開始した。

卵塊その1。拡大したら小さな塊でも割と卵の個数がある。

卵塊その2。こちらのほうが若干大きい。女王も元気であるが他のケアリほどばかばか増える印象は少ない。割と小ぢんまりした個体数で収まっている印象。別に肉餌を切らしたとかそういうわけではないが・・?
2月9日 去年夏に採集したアシナガアリ。活動開始で餌を食べている。

女王と働きアリ。働きアリは初期コロニーらしくか弱い。それでもちゃんと仕事をこなしている。

働きアリを大きくしてみた。大コロニーの大型働きアリとはやはり体格が違う。
2月10日 1月に単独採集したチクシトゲアリ。
温め始めて卵をうみ始めた。

卵がぼけてしまったが今のところ5個ほど卵が見られる。
チクシの単独女王からの育成は何度か挑戦したことがあったがいずれも産卵せずに死んでしまったのでこれが初めての育成になる。
どう展開していくか・・
2月11日  クサアリモドキ。猛烈にお腹が膨らんで産卵を始めた。

大きなお腹の割にすばしっこく走るので撮影に苦労し、なかなか良い写真が撮れなかったがとりあえず1枚。

幼虫。色艶は良いがなかなか成長しない印象がある。肉餌は与えているつもりだが不足してるのか・・?

卵。小さな幼虫も写っているがこれは越冬したもので最近産卵されたものが孵化したものではない。
とにかく肉餌を凄まじく消費している。スタートダッシュには成功した感じなのであとはいかに増勢させていくかがカギになる。
2月12日 ヤマクロヤマアリの幼虫の孵化が始まった。

孵化して間もない幼虫が卵塊の間に見られる。ちなみに別の場所にもう一つ卵塊がある。ミールワームを良く食べてくれるのでこの勢いで増えてほしい。
2月13日 久々のオオズアリ。

働きアリの蛹。越冬時、幼虫だったものがこのような蛹になっている。

働きアリ。兵アリもいるがこちらを写してみた。

卵塊の一部。産卵も盛んで卵が増えてきている。それに伴い、餌場を走る働きアリも増えてきている。
2月14日 ハヤシクロヤマアリ。なかなか産卵せずにやきもきさせられたが産卵が始まった。

何枚も写したがどうもこれ以上卵が写っている写真が撮ることができなかった。

女王。至って元気。

働きアリ。腹部も大きく、特に問題は見られない。
2月15日 クサアリモドキのお腹ってどこまで膨らむのだろう。
今まで何度も大きなお腹の状態は見たが今回はケアリワーカーの数が多いためかとにかく膨らんできている。

なんだか日に日に少しずつ節が伸びてるように思う。でも、ネットを調べるとこれ以上に膨らんだクサアリの女王の写真なんかもあるのでまだまだ伸びるかもしれない。

卵も増えてきた。産卵は割と一気に産んでいるようで観察しようと覗くと女王の腹部先端には卵がいくつかついている。撮影や給餌で撹乱して女王が走り回るので写真の女王腹部先端には卵がないのだ。
2月16日 以前から思っていたことがある。チクシトゲアリはコオロギが好みなんじゃないかということだ。

コオロギを餌場に入れてすぐに働きアリが出てくる。
ハニーワームやミールワームではあまりこういうことはないが、コオロギの場合は初期コロニーでも働きアリがすぐに出てくる。
ただ、コオロギの場合、食べかすがどうしても出てしまう。
これが細かい屑で掃除に苦労する。
2月17日 アメイロケアリで見事なローヤルコートが見られた。

女王を完全に取り囲んでいる。黄色と褐色がかった黒色の対比が見事なコントラストだ。

越冬幼虫がそれほど多くなかったので繭は少ないが幾つか見られる。
アメイロケアリは観察がしづらく卵はあるのは確認しているがどれくらい産卵しているか完全に把握できていない。
2月18日  チクシトゲアリ(2010秋採集のもの)。産卵が順調。

卵塊を咥える働きアリ。これ以外にも卵塊があって卵は順調に増えてきている。
割と餌を食べているし、問題なく維持管理できていると思う。
2月19日 卵餌を作ってみた。
レシピは以下の通り:
寒天:「無漂白寒天」2本(グラムの表記がなかった)
水:250ミリリットル
卵(卵黄):1個
メイプルシロップ:卵の体積と大体同量
砂糖:大匙1
卵以下はkuroyagi氏のレシピに、寒天と水分量は「蟻の自然誌」の「バタカーの人工飼料」から引っ張ってきた。
正式な「バタカーの人工飼料」はこれにミネラルとビタミンの記述があり、動画でこれを作っておられたフランスの方はこれの代用として花粉を使用されていたがそのコメントに花粉やミネラルがどの程度有用か疑問視するコメントもあったのでそこは切り捨てた。
結構粘性が高く、卵液を入れてもすぐに凝固した。
今回、液体ではなく凝固したゼリー状にしたのは卵液は以前試したことがあった時溺死個体が多く出た。
確かイトウオオアリクラスでも溺死個体が出たので小型種には液体は厳しいと思い、固めてみた。

こんな感じ。寒天なので結構固く「ざくざく」という擬音語が一番近いような固さ。
反応はこんな感じ。

ヒラズ。

シワクシケ。

クサアリモドキコロニーのケアリ。

アメイロケアリ。
すべてのコロニーに与えたわけではないのでまだ完全に反応を把握したわけではないが今のところ順調な滑り出しっぽい。
一気に群がるというような感じではなく少しずつ食べていくと言った印象を受けた。
卵黄を使っているのでこれをそれなりに食べてくれたら栄養状態はより良くなるんじゃないかとも思う。
2月20日 昨日与えた卵餌。今日様子を見てみた。
ヤマヨツ、ヒラズ、シベリアカタアリ、、クシケ、ヤマクロヤマアリはほぼ完食。何にも残っていない。 
クシケでは面白い場面が見られた。

卵餌を細かく砕いて巣内に持ち込んでいるのだ。群がっているので食べている瞬間なのかもしれない。

幼虫。色艶が良いし、大きく成長してきた。
2月21日 今年初めに採集したチクシトゲアリコロニー。このコロニーは比較的女王の周りに働きアリがきれいに取り巻いている姿をよく見かけるように思う。

こんな感じ。働きアリの変わった色合いのものはもうこれ以上色彩が変わらないのだろうか。

これだけアップにしたらこの種類がチクシトゲアリだとは信じられないほど飴色だ。
2月22日 アシナガアリではようやく前蛹が見られるようになった。

体が乳白色になり、腹部がくびれている。

幼虫を運ぶ働きアリ。
2月23日 昨年枚岡で採集したケアリ新女王。
順調に増えてきている。

女王と働きアリ。働きアリは本当に小さく、すばしっこい。

女王の腹部、アメイロケのように飴色だ。なぜこんな色になったのだろう。

これは上のコロニーとは別コロニー。このコロニーの女王様、どういうわけか他のコロニーと同じ間隔で給餌しているのに、最近凄く卵を産み始めた。繭もこのコロニーが一番多い。なんだか一気に増えてきそうな感じを受ける。
2月24日 クサアリモドキの幼虫は最近成長して体内に色も入って成長モードに入ったようだ。

ケアリワーカーは大きさ比較のために入れた。幼虫の大きさは揃っていてどの個体もこの大きさだ。
ミールワームやコオロギを食べている。コオロギの足を齧っているのを良く見かける。

クサアリモドキの卵の世話をするケアリワーカー。卵の量はもちろんこれだけではなく、画面外にたくさんある。
2月25日  シワクシケアリ。これも今は問題なく維持管理できている。

女王。身づくろいしてたのだろうか。女王は2匹いるが2匹とも元気だ。

ワーカー。こうやって拡大したら頭胸部が皺だらけなのがわかる。
2月26日 久々にヤマヨツさん。今のところ例の「症候群」は現れていないように見える。

女王。産卵もそれほど多くないがしているし、今は現状維持で何とか。

働きアリ。ヤマヨツはヨツボシやナワヨツより腹部の紋があまり明瞭ではない感じがする(個体差があって明瞭な個体もいるが)
2月27日 ここ数日、クサアリモドキの腹部が少し小さくなった。
それに伴い、凄い数産んでいた卵の増加量も少し鈍化した。
以前から時折話題になったのだがクサアリって産卵期と称すべき猛烈に産む時期と小康状態の時があるように思えてならない。
もちろん、これは飼育環境でのことで野外ではこういうサイクルがあるのかもよく分からない。
でも、もしこういう二つの状態があるとしたらグンタイアリとなんだか似てなくもないなぁと思ってしまったりもする。 
2月28日 アメイロアリ。越冬中に結露で数が減ってしまったが最低限のワーカーは残ってくれて産卵が始まっている。

卵塊。拡大しているが本当に小さい卵だ。

働きアリ。お腹が大きく栄養状態もよさそうだ。
2月29日 アメイロケアリは卵はある。
しかし、どういうわけかその塊が一向に大きくならない。
これは産卵していないか、産卵しても食べているかのどちらかだと考える。
雰囲気的にはどうも前者っぽいような感じだ。
でも、幼虫もそれほどいるわけでもないし、肉餌も食べていないわけでもなく普通なのだが、いまいち卵という形でのフィードバックがない。
アメイロケアリは容器内の石膏屑を蓋にくっつけてくれたおかげで非常に観察し辛い場所があるが、卵は女王のそばにあることが多いことを考えたらやはり今見えてる分が総量なのだろう。
とりあえず今度の休みにでも餌場の大掃除をしてやりたい。 

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