2011年2月の観察日記

2月1日 高野山で去年の夏に採集したケアリ。Q1で飼育していたものは女王が死んでしまったがQ2で飼育しているものは順調に生育して繭ができ始めた。

一部。数か所に分けておかれているが10個ほどある。

別の繭の山。

卵。幼虫は少ないが、卵の数が多いので働きアリが羽化したら餌を与えたらすぐに勢いがつきそうな感じはするが、ケアリとの相性があまり良くないので、どこまでいけるか・・
2月2日 チクシトゲアリ。女王の腹部の節が伸び、それが飴色になっていてとても美しい。

ゼリーとメイプルを与えてるがこの腹部の色を見る限りではメイプルの方を飲んでるのかな・・?

卵。それほど多くはないが少しずつ増えている。
2月3日 アシナガアリ。少し前から前蛹ができていたがようやく昨日くらいからぽつぽつと蛹になり始めた。

ぼけてしまったが蛹。蛹になったばかりのようで白っぽい。

女王。すこぶる元気で卵もどんどん産んでいる。

幼虫の山。現在、ローチ(羽化寸前の大きな幼虫)3匹を毎日完食している。
2月4日 いつもと趣向を変えて私のアリ観察用具の話。
結構色々な所で言われているが私もアリの観察にはカメラのマクロレンズを使っている。
ちなみに私の場合のレンズはcoolpix990に接続可能な「レイノックス MSN-200マクロスキャンクローズアップレンズ」というらしい。
文字通りcoolpix990のレンズなのだが、どうも写した写真が気に入らなかったのでどうしようか・・と思っていた折、これでアリを観察してみたらとてもいい感じに見える。
そのままでは暗いのでLED懐中電灯を照らしてアリを観察している。
本当は顕微鏡で観察したらもっと面白いと思うが今のところ顕微鏡は持っていないし、私の巣部屋は割と大きいのでなかなか顕微鏡は難しいんじゃないかと思う。
少なくとも、市販の虫眼鏡よりはお勧めの一品だ。
ただ、どのマクロレンズがいいかは各人の飼育容器環境や視力などに大いに左右されると思うので「目に合う」レンズを探していただきたい。
2月5日 キイロケアリ。至って順調だ。

卵塊。産卵開始から数日たっているがそれほど一気に増えてるというわけではなく少しずつ塊が大きくなっている。

越冬幼虫のうち、半分ほどはすでに繭になっている。

女王。特に問題なく産卵している。腹部もそれなりに大きいので安心してみていられる。
このコロニーはずっと肉餌はミールワームなのだがそれでも十分に飼育できている。
2月6日 今日はとても暖かかった。予想最高気温は14℃。天気は晴れ。
そこで収穫は度外視して枚岡公園に出掛けた。

梅林ではまだほんの少しだが花を咲かせている梅もあった。

樹の芽も少しほころんでいるようだ。

中にはもうこんなに葉を広げ始めているものも。
肝心のアリだが、椋ヶ根橋付近を中心に色々折ってみたが全く姿が見られなかった。
観察して思ったが地面も枝もかなり乾燥していた。
大阪は確か今年に入って0.5ミリしか降水量がないそうでもし、枝にアリが入っていても乾燥に強いと思われる樹上性種でないと生存は厳しいかもしれなかった。
それと、かなり枯枝、枯れ木の類が撤去されていて全体的に小奇麗になっていた。
とりあえず、今日の収穫は0だった。

最後はこれ。このうろの中に数年前からニホンミツバチが巣を作っているのだ。
シーズン中はハチの出入りが激しいのでなかなかここまで近づけないが今日は近づけた。
今日は暖かかったので割と出入りはあった。2月でも暖かい日は活動するようだ。
2月7日 クサアリモドキでは越冬幼虫の蛹化が始まった。

まだ2匹ほどだが、写真のように石膏屑をかけられた幼虫がいる。
越冬幼虫は軒並み大きく成長しているのでもう少しで繭になるだろう。
卵の数も一気に増えているわけではないが日に日に数が増えているので割と順調だと思う。
2月8日 ヨツボシオオアリ。相変わらず肉餌をよく食べる。

ローチを襲う働きアリの一団。

同じ一団の別のショット。

3番煎じだけど・・ギ酸攻撃をしている働きアリ。

餌場に陣取っている働きアリ。去年と配置というか居住形態が変わり、どの巣部屋にも万遍なくいるようになった。一つの部屋当たりの密度は減ったが蜜餌の交換が特にしづらい。

ヨツボシも繭ができ始めた。まだ白っぽい。

去年巣部屋にしていた部屋にいる働きアリたち。この部屋が一番個体数が少ないが、といってもどの部屋にも幼若個体が配置されている。
2月9日 クシケ。幼虫が成長してきている。

働きアリと幼虫。1日で中型ローチ1匹を食べている。

前蛹もでき始めた。

幼虫と前蛹。幼虫の数はそれほど多くないが卵が産みだされているのでじきに普通のコロニー様態に戻るだろう。
2月10日 一昨年採集したクロオオアリ。今では1匹しか残っていない。

その女王。働きアリは2匹いるがその働きアリは去年の夏に繭を導入したもので自前の働きアリがいない。
去年はクロオオアリにとっては厄年だった。
繭を入れても順調なコロニーの女王だけ死んでいき、結局残ったのが一番零細コロニーだった女王だ。
しかも、現在まだ産卵していない。
腹部はごらんのとおり大きいが、ダメなのか?
2月11日 とても寒い日で大阪でも朝、雪が積もった。
しかし恒温機内は23℃で一定だ。
今日はオオズアリ。

幼虫を運ぶ働きアリ。

働きアリを一匹アップにしてみた。
また、このコロニーには1匹、兵アリになると思われる大きな幼虫が出ている。
写真を撮ってみたが見事なくらいぼけていたので写真はまた次の機会にでも・・
2月12日 アメイロアリ。今では4コロニーになり、そのうち1つだけ働きアリがいない状態だが(女王が幼若個体を世話している)他は特に順調に「春モード」になっている。

働きアリの陰になっているが卵が見える。割と順調に産卵しているようでそれほど一気に卵塊が大きくはならないが少しずつ大きくなってるような印象だ。

羽化後それほど時間がたっていないと思われる働きアリ。そこそこみられるので羽化も順調に進んでいるようだ。

女王と働きアリ。女王は少しぼけてしまったが腹部もそれなりに大きく、ミールワームの断片もよく食べているので特に不安要素はない。

羽化後時間のたった(たぶん去年羽化した)働きアリ。結構色は濃い。
2月13日 キイロケアリは越冬幼虫が大体繭になった。

こんな感じ。越冬幼虫は越冬時より少し数が減ったが繭になった分に関しては問題なさそう。

卵塊。どかどか産んでいる。
2月14日 チクシトゲアリも繭を作り始めた。

この個体、面白いことに壁面で繭を作り始めた。野外のやり方に倣ったのだろうか。糸を結構出しているのが見える。
2月15日 去年の秋、枚岡で採集したミカドQ1、W1コロニー。
このコロニーは最近恒温機に入れていたら女王の腹部が凄く膨らんできた。

肉餌はとにかく食べるが、まだ産卵は見られない。
今いる越冬幼虫もそれほど多くないのでとにかくまずは産卵が第一目標になってくる。
ちなみに、レマニも昨日から恒温機に入れた。
2月16日 アシナガアリ。久々に幼虫の直食いの様子が見られた。

アシナガアリは越冬幼虫の大半が蛹になって最近少し肉餌の欲求は落ち着いた。
それでも卵が生産されているのでまたじきに肉餌がたくさん必要になるだろう。
2月17日 クサアリモドキ。実はちょっと苦戦なのだ。

コロニー。一見、問題がなさそうだが、実は卵塊がこの大きさのまま大きくならないのだ。先日紹介した繭もいつの間にかなくなってしまった。
繭を紡ぐ幼虫がいるのでどうやら肉餌不足と判断したが、幼虫の数の割にすごい量の肉餌が要るのだろうか。
とにかく肉餌増量キャンペーンで様子見。
2月18日 オオズアリ。最近、すごい勢いで産卵を始めた。

卵塊が写っている。実際はこれ5つ、いや下手したら10個分くらいの大きさの塊になっている。

少し不明瞭だが蛹も出始めた。兵アリの幼虫も育っていて栄養状態は悪くないとみている。
2月19日 チクシトゲアリだ。ゼリーとメイプルを与えているがどうもメイプルの方が好きのような印象を受ける。

メイプル水割りを飲む働きアリ。腹部が膨らんでいる。

コロニーの様子。産卵量はそれほど多くないが安定している。ただ、チクシトゲアリは何かバランスが崩れるとあっという間に壊滅してしまうので結構気を使う。
2月20日 クロヤマアリ。最初の頃、産卵ペースがゆっくりだったが最近ペースが上がってきて働きアリの口いっぱいの大きさの卵塊が4つほどになった。

女王。腹部が少し節が伸びている。肉餌は今はミールワーム中心。

働きアリ。こちらも節が伸びている。
2月21日 アシナガアリ。沢山蛹があるが色付く蛹が出てきた。

羽化が近づくともっと色が濃くなる。

幼虫塊。一時よりは減ったがそれでもたくさんいる。

お約束の直喰いの幼虫の図。
2月22日 去年のお盆、高野山で採集したケアリQ2コロニーでようやく働きアリが生まれた。

卵塊の世話をする羽化後間もない働きアリ。

さっきとは別の個体。本当に羽化したての個体で体も白い。

女王2匹のうちの1匹。体が赤っぽい。もう少ししたら細かく同定してみたい。
2月23日 アメイロアリ。今、一番順調な種類の一つだ。

働きアリを1匹アップにしてみた。こうやって見たら結構毛が生えてますね。

女王の陰にかくれたが卵の塊。孵化したての幼虫も見える。

コロニーの様子。スポンジ飼育だがまめに給水はしてるので今のところ壊滅するのはない。
ミールワームも断片を2日に1回の交換で済むので意外と手間がかかっていない。
2月24日 以前、紹介したクロオオアリは何だかダメくさい。
一向に卵を産まないのだ。
腹部はそれなりに大きいのだが、卵が一向に産み落とされない。
むむ・・
2月25日 ムネアカオオアリでは産卵された卵から幼虫が孵化し始めた。

体内に色が入ってるのでミールワームを食べているようだ。

卵と幼虫。卵は本体の塊が枠外にあるのでこれで全てではない。繭は1個になってしまった。
ミールワームはふんだんに与えているがどうもこのコロニーはローチをあまり食べてくれないので少し厄介だ。
2月26日 クシケ。越冬幼虫は蛹になってきた。

卵もそこそこ産まれている。
この種類も最初の頃ローチをかなりいい感じで食べていたが最近あまり食べなくなったのでミールワームにした。
ローチは案外好みが分かれるのだろうか。
2月27日 ヤマクロヤマアリ。数日前から産卵が始まっている。

産卵数はそれほど一気に増えてこない。コロニー規模がかなり小さくなっているので重点的に目をかけている種類だ。

卵の方に焦点が合った写真。この種類も我が家にきて今年の夏で4年になる。何とか復調させたいが・・
2月28日 アシナガアリ。意外なことにオスが生まれた。

頭が働きアリに隠れてしまったが羽化したてのオスアリ。とても弱弱しく見える。

そしてこんなものも。どう見てもオスの蛹だ。

働きアリの羽化も始まった。色づいた蛹がかなりあるので一気に増勢してくるだろう。

戻る