2008年7月の観察日記

7月1日 最近、写真が少なかったように思う。単純に撮影に割くだけの時間と、思ったような写真が撮れないこと、アリたちに動きがあまりないなど、言い訳をあげたらきりがないが、少々さぼり気味だったことは認める。楽しみにここを読んでくださる読者諸兄の方々には申し訳なく思う。
そんなわけで今日は写真。
アメイロアリで一番働きアリが多く孵っているコロニー。
写真を撮ってみて気がついたが、女王の腹部、パンパンですね・・
何度か書いたように思うが、アメイロアリももう少し大きかったら人気が出るだろうに・・
7月2日 イトウオオアリにオスが少数だが生まれているようで、餌換えの際、1匹、2匹ほど、石膏表面をちょろちょろしている。
イトウオオアリは冬の大災厄以来、壊滅寸前なのだが、オスを生む出すということはどういうことなんだろう。
まだコロニーとして余力があるとみるか、滅亡に際し、自分たちの遺伝子を残そうとしているのか・・
イトウオオアリコロニーは石膏を掘り進んだ巣の中にいてそこがまた石膏の削りかすで汚れてとても観察しづらい。
何とかしたいが、石膏を張っているアクリル容器、石膏をはがすとなると入れ物を破壊せねばならず、悩みどころだ。
7月3日 オオズアリにまたしてもオスが生まれた。一枚目はぼけてしまったが、二枚目は割とくっきり写ってると思う。



しかし、こうやってみたらオオズアリのオスは本当にハチのような形をしていると思う。
ところで、このオオズアリコロニーなのだが、決して大きくないのだ。
働きアリ(兵アリ含む)も3,40ほどだし、卵幼虫蛹もそれほど多くない。
ただ餌の食いは最近よくなっている。
これと同じようなことが恒温機のクロオオアリでも見られる。
トビシワも写真はないが常温に戻してしばらくして最近になってようやく個体数が増え始めた。
やはり冬、温めるのは一部の種類を除き一般的に良くないことなのかもしれない。
7月4日 午前中だけ時間があったので枚岡に行った。
飛行の最盛期にはクサアリモドキがよく見つかる登山道を中心に歩いたが全くいない。
最後にだめもとで公園事務所付近に行くと、飛んでいたようで新女王が見つかった。

観察したのは午前11時半ころだったが、そのころには死骸が結構多く見つかった。

結局、3匹の女王を見つけ、持ち帰った。写真はケアリの巣を探してうろうろしている新女王。

帰ってチューブにケアリワーカー数匹とともに放り込んだ。
最初こそ足をかまれるような攻撃行動が見られたが、夜には見られなくなった。
チューブ内で白くなっているがケアリワーカーと同居させた新女王。

順次ケアリを増強していく予定。
何とか成功してほしい・・
7月5日 クサアリモドキ女王が全滅。原因は温度なのか乾燥なのかはっきりしないが、一緒に導入していたケアリにも死亡個体が見られることから乾燥の線が濃厚になってきた。
はぁ・・去年と同じ轍を踏もうとは・・
幸い、まだシーズン序盤。やり直しは利くので明日にも採集に行ってこよう。

今日の写真は動きがなくなったヤマクロヤマアリ。
最近カメラのマニュアル撮影の練習を兼ねてアリを撮影している。

コロニーの様子。成虫ばかりで卵幼虫蛹はいない。
女王のアップ。ピントを合わせながらの作業だとこの辺が今の私の限界・・
7月6日 クサアリモドキが死んだのを受け、朝から枚岡。
公園到着は午前9時ころ。散策したがなかなかクサアリモドキが見つからない。
しかし9時半を過ぎたころから、急にあちこちで姿を見かけるようになった。
以下、クサアリモドキ新女王2連発。

艶々してていいですね。

身づくろいしているところ。
歩いていたら、なんとアメイロケアリのメスが歩いている!あわてて採集。
撮影しようとしたが、あまりに素早くうろちょろするので撮影は諦めた。
クサアリモドキは午前10時ころになると眠りから覚めたものが出てきたのかどうかわからないがそこかしこで見られた。ただ大規模ではなく、まだ大規模飛行まで時間があるという印象。
おまけ画像。オケラ。あまり見る機会のない昆虫だが、こうやってまじまじと見たらちょっと可愛いかも・・ちなみにこの画像の個体は死んでいた。

もう一枚。接写したミミズの死骸にたかっているアミメアリ。フラッシュが反射してしまい、やたらキラキラした写真になった。


帰ってアメイロケアリをチューブに入れ、ケアリを入れたらすぐにかみついた。

そうした後、ケアリコロニーに導入した。この前と違いすぐに馴染んで栄養交換をしきりに受けていた。
写真は早速取り巻きを作ったアメイロケアリ女王。

クサアリモドキもえさ場にケアリ幼虫大量とともに導入したらいつの間にかコロニーに入り込んでいた。ただこちらは若干攻撃が見られるので、注視していきたい。なんとか2つともうまくいってほしいのだがねぇ・・
7月7日 昨日、導入したクサアリモドキ。クサアリモドキとアメイロケアリは酷暑期には37度前後まで上がる室温を避けるため、23℃設定の恒温機に入れている。
昨日は攻撃を受けたり、振動したりしたらすぐにうろうろしていたが、今日になってみたら、多少入れ物を動かしてもどっしり構えている。怪我もないようだ。
あとは栄養をもらって腹部が大きくなるのを待つだけだ。
これに伴い、昨日採集したクサアリモドキのもう1匹の女王は家のそばのケアリの蟻道上にリリースしておいた。この女王が侵入できたかは来年以降、クサアリモドキが家のそばで見られるかでわかるだろう。
下2枚はそんなクサアリモドキの女王。入れ物の関係でやや白っぽいが、健在なのは確認していただけると思う。

馴染んだ今日のクサアリモドキ。多少の振動にもびくともしない。これはいい感じかも・・?
7月8日 アシナガアリ。3コロニーいるが、一番幼虫を取ってきたコロニーの女王。

別のコロニーではオスが生まれている。不鮮明だがオスの写真。

そんなアシナガアリ3コロニーだが、共通の心配事がある。
コオロギの食いが極めて悪く、食べてるの?というくらいなのだ。
毎日新鮮なコオロギを与えているのだが、あまり食べている気配がなく、幼虫は内容物がなくなっているようで白くさえなっているコロニーもある。
これが何によるのかさっぱり分からない。ただ、最初の頃から餌の食いが悪かったので、この傾向はもう少し続くかもしれない。
3コロニーともこのまま壊滅とは・・考えたくもない。
7月9日 今日はシワクシケアリ。相変わらず、すこぶる順調で先日巣部屋を一つ増設した。今のところ新しい巣部屋へはあまり居つかないがそれでも幼虫を運びこんできている。

卵も御覧の通り。

とにかく順調なのだが、最近コロニーの成長が止まったような気がする。
しかし、えさの食いは今の時点では他のどの種類よりも良く、安心してみていられる。
ただえさ場の関係で餌換えの際いつも数匹の脱走兵が出るのには相変わらず閉口・・

寄生種2種。アメイロケは全く問題ないようだ。腹部もボンレスとは言わないが大きく、つやつや。働きアリの取り巻きに囲まれて産卵を待つだけ。1匹はみはみしただけでこんなになるのね・・

問題はクサアリモドキ。馴染んだと思っていたのだが、どうなんだろう。攻撃はまれにしか受けなくなっているが栄養交換している現場はみたことがなく、今日、若干弱っているような仕草があったので針の先につけた蜜を与えておいた。
繭があるが導入後繭になったもので、23℃設定の環境では羽化まで2週間はあるだろう。
羽化個体が出てきたら栄養交換もするんだろうけど・・

あれ?去年のクサアリモドキも一昨年のモリシタケアリも導入した時は働きアリしかいなかったな・・導入、どうやったのか、全く覚えていない。
特に一昨年のモリシタケアリは産卵までこぎつけていただけに導入のノウハウを思いだしたいのだが・・
7月10日 クサアリモドキが死んでしまった。朝見たら死骸がぽつんと・・
昨日から歩き方がおかしく気にはしていたが、復活することなく死んでしまった。
去年の失敗例から見て、失敗するにはパターンのようなものがあるように思う。
1.コロニーには多少の攻撃を受けるだけで侵入成功する
2.しかし、栄養交換やグルーミングが一切見られない。
3.3日ほどして死亡
というパターンである。
去年、ある程度うまくいきかけたクサアリモドキは確かチューブでお見合いさせてそれを増強させるというやり方だったというのを思い出した。
しかし、一連の失敗がケースが広すぎることにより女王のフェロモンがいきわたらず働きアリに自分を女王と判断させられなかったのなら、もっと狭い容器で一緒にしなくてはと思うのだが、たしか一昨年のモリシタケアリはタッパーに放り込んでおいただけで馴染んでいたことから考えて、この仮説、どうなんだろうか?と思ったりする。

ちなみに、もう1種の寄生種、アメイロケアリは産卵はみられないが元気である。
23℃設定の恒温機のためだろうか、一昨年みたいに急速に腹部が膨らんで産卵するというようなことはみられない。常温に戻したいが、私の部屋は酷暑期には室温が35℃くらいまでに上がってしまうので、万一を考え恒温機にしている。
この分では産卵しても働きアリの羽化は来年かもしれない。
7月11日 クサアリモドキ女王が死んだのを受けて枚岡へ。神社わきの自販機にアシナガアリのオスがいた。写真は撮り損ねたがハチにそっくりだと思うと同時にもう時期なんだぁと思った。
ケアリが飛行を行っていたが、例年この図を載せているように思うが、アシナガアリによってかなりのケアリ新女王が襲われていた。

別の場所ではクモを襲っていた。この時期、アシナガアリは本当に活発で、枚岡公園ではごくふつうにみられる。

登山道にはジャノメチョウがいた。

クロヤマアリも少数ではあるがケアリ女王を襲っていた。

その場所の近くで念願のクサアリモドキ女王!他にもいないかと探してみたが、この1個体だけであった。家に帰り、巣部屋に落ち着いていたケアリには悪いとは思ったが、一旦全員を吸虫管で吸い取り、えさ場へ。えさ場から巣部屋に移動し始めたところでクサアリモドキ導入。
最初は落ち着かなかったが、2時間ほどしてみたら巣部屋に入り込んでいた。

さて、問題はここからである。この前のクサアリモドキもここまでは問題なくいったのだ。
しかし、最終的にはなじんでいなかったんだろう、3日で死んでしまった。
ケアリワーカーで1個体やたらと攻撃的なものがいたので排除した。
しかし、いつになったらグルーミングや栄養交換になるんだろう。
クサアリモドキは去年始めたばかりで経験値が絶対的に不足しているので、コツとかご存知の方がいればご教授願いたいものである・・・
7月12日 クサアリモドキなのだが、以前と同じようになかなか完全に馴染む気配がない。
そこで、強硬策に出た。
昨夜、クーラーの加減か、観察の時に当てた光加減かケアリが石膏巣にあった蛹や幼虫をえさ場との連結チューブに詰め込み始めた。
これはチャンス!と思い、クサアリモドキも詰め込み、濡れティッシュで両端を封鎖。
それが下の写真。

それから1日たった。観察の限り、攻撃行動はほとんど見られなくなっているが、若干威嚇行動のようなものがまだみられる。それに女王の周りに働きアリが取り巻いたり、グルーミングや栄養交換も見られない。
当面封鎖して様子見だ。女王の体力が尽きるか、ケアリが馴染むかという兵糧攻めみたいな様相を呈してきた。
7月13日 クサアリモドキ用の封鎖だが、今朝見てみたらティッシュの一隅が食い破られて、中のアリが石膏のほうに流出して、幼虫たちをすべて運び出してしまっていた。
やむなく、封鎖を解除したが、やはりいまだにかみつく個体がいる。
幸い、大半のアリはクサアリモドキが近づいても無視なので針の先に蜜をつけて与えるという方法でクサアリモドキの体力維持を図りつつ馴染むもしくは今ある繭が羽化するのを待つことにした。しかし、なぜにこんなに馴染まないんだろうか。
このクサアリモドキ、実に落ち着きがない。まぁ、封鎖後は蛹が置かれているチューブに居座ることが多くなったが。繭が羽化したら少しは変わるんだろうけど、それまでこの女王の体力がもつか・・心配だ。
7月14日 アメイロケアリ。採集してすぐにケアリをはみはみしてにおいを身につけ、コロニー侵入直後から盛んに栄養交換やグルーミングを受けている。
この種類、昨日まで23℃設定の恒温機に入れていたが、一昨年の日記を見たら採集から2日でおなかがパンパンになったと書いてある。
一方、こちらは腹部がかなり大きくなってきて、もうすぐボンレスになりそうなのだが、産卵もまだ。温度が高いほうがいいのかと思い、今日から常温にした。
下はそんなアメイロケアリの写真数枚。

働きアリに取り囲まれた女王。

手厚い世話を受けている。産卵が待ち遠しい。

クサアリモドキ。一向に進展がない。グルーミングする個体が出てくるわけでもなく、非常に苦戦している。ケアリの種類が違うのか?だとしたら厄介なのだが・・顕微鏡がないので、細かい同定ができず、トビケかカワラケで悩んでいる。
もし、カワラケなら、なじまないのもわかるように思うのだが・・

今日はさらにもう1種。トビイロシワアリだ。
この種類、最近ようやくエンジンがかかってきたようで幼若個体が増えてきた。
しかしある閾値をまだ越えていないようで加速度的な増加にはなっていない。
ただ、餌の食いはすごく良くなった。

コオロギに食いつく働きアリ。

蜜を飲む働きアリ。最近、暑いので蜜を換えてやるとのどが渇いているのかわらわらと集まってくる。
7月15日 クサアリモドキがあまりになじまない。ひょっとしたら採集場所の関係もあってカワラケ?かとも思ったので、家のそばにいるトビイロケアリの働きアリを採集してきて導入してみた。
最初、問題なく入ったように思ったが、やはり攻撃を受けている。
攻撃はそれほど激しいものではないが、触角や足にかみついたり引っ張ったり・・
以前、クロクサアリを採集したことがあった。
クロクサアリはご存じのとおりアメイロケアリに寄生する種類なのだが、チューブで少しずつなじませていたら30ほどの働きアリは従えた。
今回は正規のホストであるトビイロケアリなのに、なぜだめなのか、さっぱりわからない。
五里霧中という状態だ。
7月16日 クサアリモドキは相変わらず馴染んでいない。コロニーから離れた場所にいたようだ。
攻撃も入れ替える前より受けているような気がする。
ふーむ・・どうしたものだろう。幸い、女王はまだ元気で動き回っているが、栄養交換できなければ死ぬのは時間の問題なので、なんとか救済というか受け入れてほしいのだが・・

最近、寄生種の動きが激しく、取り上げられていなかったクロナガアリ。
これは今年採集のものだ。卵が少量みられる。女王が多いのでかなり安定している。

もう一つ、別のコロニー。こちらもきわめて安定していて、タッパーという簡易飼育装置の中ながら順調である。
7月17日 ウメマツオオアリがどうやら成長に必要な臨界点というかある閾値を超えそうだ。
最近、石膏の上にいる働きアリが増えてきた。どうしたんだろうと思うと石膏の内部に繭や卵がたくさんある上に使っていない餌場容器との連結チューブ内にも繭や幼虫、卵を詰め込んでいる。
このコロニーは去年の春採集なのだが、最初採集した個体数が少なかったためだろう、なかなかエンジンがかからなかったが、いよいよ本格始動なのかもしれない。

アメイロケアリ。腹部はボンレスとは言わないがかなり大きい。常温にも慣れたようであるが巣内を思い出したように走る。産卵が始まったら落ち着くとい思われるが・・

クサアリモドキ。正直、絶望的状況。攻撃が一向に止まない。長野でなにがしかのクサアリを持って帰ろうと(採集できたらの話ですが)画策しているが、無理だった場合、また枚岡に行かなくては・・
7月18日 クサアリモドキが死んでしまった。あれだけ馴染まなければ仕方がないのだが・・
朝見たら死骸がぽつねんと・・しかしクサアリモドキは難しい。午前採集がだめなら夜間の採集に行かねばならないのだろうか。

アシナガアリ3コロニーとも復調の気配。オスアリが生まれてからしばらく肉をまったく食べていないような状態だったが、最近ようやく幼虫に色が入ってきた。
この分なら、なんとか増えてくれるかな・・
7月19日 伊那オフ会初日。大阪を午前8時半に出たが、途中で渋滞につかまり、到着したのは午後2時過ぎだった。バス停まで土生さんが迎えに来て下さった。
事務所に着くとすぐにアキラさん、ウインドノットさんが到着された。
土生さんの事務所は増築されていて、広い事務所にいたエゾアカヤマアリやクロヤマアリ、ニシムネアカオオアリやカラフトクロオオアリについて話題は尽きることはなかった。
夕方7時前、蟲さんが到着されるので、迎えに行った後、食材を購入、BBQ。
この日は天気が良く、月もよく見えた。

土生さんの事務所の近くには自動販売機が4台、連なって置かれている場所があって、そこが「お宝ホイホイ」になっているのだが、この日は涼しかったせいだろう、モリシタケアリの有翅メスが1個体来ていただけだった。一応脱翅に期待して採集した。
翌20日は乗鞍岳。事務所からでも車で2時間かかるうえ、山頂まではシャトルバスもしくはタクシーしか行けないという場所だ。
夜1時ころ散会。明日へと胸が躍った。
7月20日 昨夜採集したモリシタケアリは交尾していなかったようで朝見ても羽を落とさなかったので、リリースした。
さて、今回のメイン、乗鞍岳。現在はマイカー規制が入っているので、途中の1900メートル部分までしか登れない。
事務所を午前6時頃出発。到着したのが8時前。すでにバス乗り場にはたくさんの人が待っていた。
そうしたらタクシーの運転手さんが声をかけてくれた。聞くと、料金もほぼ一緒だし、時間的融通も利くので、タクシーにしたのだ。
上っていくと木の高さがどんどん低くなっていく。さらに立ち枯れした木も見られた。寄生植物(名前、聞いたんですが、忘れちゃいました・・)のせいだとも聞き、寄生植物に驚かされた。
上にいくにつれて雲の中に入ったらしく、視界が10メートルもない。

わかり辛いがこの下には高山植物群落が広がっているのだ。
タクシーを降りたのは標高270メートルの畳平というところであった。

さすが2700メートルもあると雪が残っていた。結構な分厚さだった。これが8月に入ると少しの間だけ融けるのだという。

マツもこの環境ではこのくらいの高さにしかならない。

タクシーを降りて視界が良くなるのを待ったが1時間ほどしても少し好転しただけ。そこで、周囲でアリ探しを開始。
最初は何も見つからなかったが、石をひっくり返したら出ました!クロキクシケアリ。

ごらんのとおり、胸が赤い。

また、石の下からは脱翅メスも数個体見つかった。写真は手のひらに乗った女王。

大きさはトビシワ女王よりやや大きい程度だった。背後からの写真、撮っていたと思ったらない・・
コロニーの一部。

登山道に入る。写真は雪に穴をあけている蟲氏(笑)

周囲に咲いていた高山植物。イチゴみたいな花の形してますね。

これ、タンポポですよね・・?こんな高地に咲くとは驚きだ。

言い忘れていたが、登山道の途中から岐阜県に変わっている。このあたりはライチョウがいるというお知らせ。

登山道にも雪が残っている個所が。

別の場所で咲いていた植物。ここまで来たらもう何が何の種類やらさっぱり・・

氷河のような雪とそれが融けてできた池というか水たまりというか・・・とにかく見たことがないスカイブルーだ。

少し離れた場所から。今度はガスが少なく、くっきりした写真になった。

隣にあった池というか湖。こちらはグレーに近い色をしていて、先のスカイブルーと好対照。
湖を2つ見る方向から。日本にこんな光景の場所、あったんですね。

そして、ここにもクロキクシケアリの脱翅メス。土生さんがオスを見たと言っておられたので結婚飛行があったのかもしれない。

斜面の雪渓でスキーやスノーボードをする人たち。

と、急に陽が差してきた。私は薄手の長そでカッターシャツに薄い長そでジャンパーという格好だったが、少し暑く感じるくらいだった。
そうしたら、それは斜面にいた!
一昨年、駒ケ岳で観察しようとしたが人が多すぎて断念した、タカネクロヤマアリだ。
一個体見つかると、その周辺で数個体が見つかった。

胸部が少し茶色い。大きさはクロヤマアリの小型ワーカーくらいでとてもすばっしこい。

身づくろいしているところである。

姿勢を変えた所。

さっきとは別の個体。ジョウイカイボンらしき昆虫の死骸を運んでいた。

もう一枚、別の個体。蚊を運んでいた。

その後、山を降り、エゾアカを採集しに行った。エゾアカは本当に簡単に見つかり、塚をすくってタッパーにあけるのだが、女王が一向に見つからない。
かろうじて一個体見つけたが吸虫管を持っていなかったので、手づかみで・・と思っていたら失敗して物陰に隠れて採集ならず。
ここではケアリの繭大量だけの収穫になった。

この日の夜は蒸し暑く、お宝ホイホイにたくさんの羽虫が飛んできていた。
そこで4匹のモリシタケアリの脱翅メスを採集。コロニーに導入するも攻撃を受けるので、少数同居させて様子を見ることにした。
モリシタケアリがケアリと出会うとケアリが威嚇行動が見られたので大丈夫かなぁと思いつつもこの日は遅かったので、ここで終了。モリシタケアリの結果は翌日に持ち越しになった。
7月21日 モリシタケアリは馴染んでいた。栄養交換をする個体までいて、安心できそうだ。ただ、採集してきたケアリコロニーの成虫ワーカーがあまりに少ないことに気がついた。
当面、羽化してきたものを導入していくという形になりそうだ。

朝、アキラさんがクサアリモドキの女王を見つけて下さった。空からオスが落ちてきたので小規模ながら飛んでいたようだ。
この日は蟲さんの要望のアシナガ採集に行った。そのフィールドは山の壁面の排水用パイプに巣を作っているということだった。
そこで行くと確かにパイプを土で埋めたものが見受けられる。
蟲さんが土をほじくりだすと有翅メスが出てきた。

また、同じ場所でアカヤマアリの奴隷狩りが見られ、たくさんのアカヤマアリが道を歩いていた。



クロヤマアリに反撃されているアカヤマアリ。常勝というわけでもないらしい。

アカヤマアリに接写してみた。本当に美しいアリだと思う。

クロヤマアリの巣に大挙して入っていくアカヤマアリ。すごい迫力だった。

繭を持ち帰っているアカヤマアリ。

昼食をとり、一昨年にも行ったお墓のある小さな祠のような場所へ移動。
そこはクサアリが大量におり、いたるところで行列していた。

ヤスデ?をなめるクサアリ。何か蜜でも出しているのだろうか。

クモの死骸と思われる物体をむさぼるクサアリ。

この場所で、アキラさんが竹を割るとミカドオオアリが出た。サテライトだろうと言いながら割り進んでいくとどんどん幼虫が小さくなって卵が出てきた。
あれ?女王は・・?と思うと私の足元を歩いているではないか!踏みつぶさなくて良かった・・
このコロニー、とにかく大きく、最低でも300入るように思えた。さらに繭がたくさんあってぜんぶ羽化したらすごい数に・・
蟲さんがそばでヤマトアシナガアリの巣を掘っていたが、そこでミカドの女王様が歩いていたので、導入した。
観察したかったが、ここでタイムオーバー。
バスの時間が迫っていたので伊那を後にした。

今回の参加者:私、土生さん、アキラさん、蟲さん、ウインドノットさん(19,20日のご参加)
今回も実に実り多い旅になった。関係諸氏の皆様、本当にありがとうございました。
7月22日 昨日採集したミカドオオアリだが、女王が帰り際に1匹入れて2匹だと思っていたがもう1匹いて現在3匹女王がいる。
はて?ミカドって多雌だったかな?
容器に移し替えたが、とにかくすごい数!

モリシタケアリやクサアリモドキは恒温機に入れておいた。クサアリモドキも羽化した働きアリを従えて今のところ順調っぽいが、寄生種は何があるかわからないので神経を使う。

長野に行っている間にアメイロケアリの女王が死んでしまった。
ケアリワーカーは元気なのに、昨日、帰ってきたら、瀕死・・
暑すぎたのか?
7月23日 伊那でアリを採集してきたのはいいが、冷やし虫家に完全に収まりきらなくなってしまった。
そこで移動を行った。
1月に採集したミカド、イトウオオアリ、ウメマツオオアリ、3年目クロオオアリコロニー、さらに伊那で採集したクサアリモドキのみ常温にした。
アメイロケの死亡は痛いが、夜、ちゃんと冷やせば何とかなるのではないかという予測の下、今回の移動を行った。

ミカドオオアリはえさ場を居住場所にしたようだ。2つつないだ石膏巣には1つに少しばかりの卵と幼虫を運び込んだだけ。もう1つの石膏巣はゴミ捨て場と化している・・
こうされると非常にえさ替えがし辛い。困ったものだ・・
7月24日 モリシタケアリの女王とクサアリモドキの女王はうまくなじみ、少数ながら働きアリを従えてグルーミングされたり、栄養交換を受けている。
写真はケアリワーカーにグルーミングされるモリシタケアリの女王。

腹部も分かりづらいと思うがかなり大きくなっている。記憶が正しければこの個体が一番最初にケアリワーカーと栄養交換したものではなかったではないかと思う。

今度は今回の伊那で採集したミカド。写真は採集した直後の女王。ミカドのこの色の節はなかなか美しい。何の蜜を飲んでいたんだろうか。

今回採集したコロニーの規模がどの程度だったかはこの写真を見てもらえたら早いと思う。
これはケースの半分を写したもので、単純に考えてこの2倍の蛹があるということに・・
7月25日 クサアリモドキ。順調に働きアリを従え、女王の周囲には従者が数匹、常に取り巻いている状況だ。

もう一枚。同じ女王。角度を変えてみた。

今日になって、この女王、急に一か所に居座って多少のことでは動かなくなった。
女王の貫録が出てきたのだったらいいが、今日、部屋のクーラーを入れる時間が遅く、蓋を開けたら結構中が蒸れていた。まずい、早い時間からクーラーを入れて温度を調整しないと・・
7月26日 クロヤマアリでは蛹も幼虫もなくなって、越冬モードに入った模様。
去年は秋口まで蛹があったことを考えたら、やはり早めに加温したことが影響しているんだろう。もう少し楽しめると思っていたが、少々がっかり。

と、えさ替えをして、ほっと一息と思ったら、なんということだろう。
クサアリモドキがひっくり返っている。

1時間前までは全く何ともなく働きアリを従え、、今日は昼からクーラーをつけていたので暑さが原因とも考えられないのだが、何だか息も絶え絶えだ。
働きアリが盛んにまとわりついているが、これと関係があるのだろうか?
この女王、順調に腹部も大きくなり始めていたのに、なぜだろうか。攻撃的な個体でもいたのだろうか?まったく原因が分からない。
ちなみにモリシタケアリ女王3個体は全く問題なく腹部を大きくさせてきている。
7月27日 クサアリモドキが死んだのを受けて、午前中、暑くなる前に枚岡公園へ。
時期が時期だけにもう何もいないかと思っていたが、アシナガアリが飛んでいたようで女王が少数見られた。
写真は巣穴を掘ろうとくぼみに頭を突っ込むアシナガアリの新女王。今日は3個体しか確保できなかった。

アシナガアリ新女王の死骸を運ぶアシナガアリ。雰囲気ではどうやら先週くらいから飛んでいてそろそろ飛行も終わりかな?という印象だった。

キイロスズメバチが何か虫の死骸らしきものをかじっていた。

そして公園事務所付近でようやく見つけた!クサアリモドキ女王!

周辺で2個体ゲット。この辺ではアシナガアリも普通に見られるのだが、公園事務所付近ではアシナガアリの羽アリは全く見られなかった。
ケアリもそこそこ飛んでいたが、スルーした。
収穫。アシナガアリ脱翅メス3個体。クサアリモドキ脱翅メス2個体。

アシナガアリは帰って女王2,1に分けた。2のほうはいわゆる「多雌実験」である。

クサアリモドキは昨日女王が死んだコロニーに入れたらあまりにあっけなく受け入れられて、今では腹部を大きくさせている。ボンレスになったら写真載せます。
もう1個体は新たにタッパーに繭と少数の働きアリを入れてコロニーを作って見たが、なじむまでもう少しというところである。
7月28日 クサアリモドキの女王1個体は完全にコロニー馴染み、頻繁に栄養交換やグルーミングを受けている。そうしていたら、お腹がボンレスまでもう少しというくらいまで大きくなってきた。

モリシタケアリはボンレスにはなっていないが、クサアリモドキのおなかの急激な膨張ぶりには目を見張るものがある。産卵が楽しみだ。
もう1個体のクサアリモドキは見たところ攻撃はされていないが、栄養交換やグルーミングはそれほど受けていない模様。ただ、羽化したての個体を中心に若干グルーミングを見かけたのでもうすぐ馴染んでいくと思われる。

伊那で採集したミカド巨大コロニー。彼奴ら、蛹を次から次へと食べている。この前写真に写したが半分ほどに減ってしまった。昆虫ゼリーを与えているが、あまり食べている雰囲気がない。蛹、たくさんあるのだが、餌になってしまうのかと思うと勿体ない・・
7月29日 モリシタケアリの女王の腹部が一番大きな物のコロニーで産卵を確認。産卵数は5,6個程度だが、寄生後1週間で産卵を始めたことになる。
モリシタケアリはすべて23℃設定の恒温機に入れているが、暑い日の日中には27℃くらいまで上がるというこのアバウトさがよかったのだろうか。
ほかの2コロニーの女王も腹部がそこそこ大きいので産卵間近だと思われる。
7月30日 何ということだ!順調そのものだったクサアリモドキ女王が夜になってケアリワーカーから攻撃されていた。見たところ、攻撃しているのは1匹だけのようだったが、触角にかみついていたのがダメージになったのか、女王は半死半生・・
やむなく最後の1匹の女王を導入。この女王は予備としてケアリ20ほどと同居させていたのだが、腹部はそれほど大きくなっていなかった。
導入したコロニーは割と働きアリもいるので、何とか馴染んでほしいが、馴染んだ後は割と簡単だというクサアリモドキでなぜこんなに苦戦を強いられるんだろう・・
7月31日 クサアリモドキも恒温機に移した。常温ではケアリワーカーが活性化しすぎて女王を攻撃したりするのではないか?と思ったからだ。
今のところ、腹部はそれほど大きくなっていないが、ケアリワーカーとも仲良くやっているようだ。ただ恒温機に入れたら観察が夜間と早朝しかできなくなってしまう(昼間に恒温機を開けたら内部温度が上がってしまうので)。これで大丈夫とは思うが、このクサアリモドキが文字通り今年のラストチャンスである。

戻る