2008年4月の観察日記

4月1日 ヤマヨツボシオオアリは繭が結構増えてきている。写真はコロニーの一部。

結構な数といっても20ほどなのだが、それでも皆さん苦戦されている中、なかなかのいい感じではないだろうか?
しかし懸念事項もある。最近、コオロギの食いが悪くなってきているのだ。卵や小さな幼虫は少数ながらいるのだが、このアリもミカドオオアリのようにコオロギからミールワームに切り替える必要ありか?
4月2日 アシナガアリの女王なしコロニーを解体した。その際、蛹が15個ほど得られたので3つの育成コロニーに導入。
写真は一番うまくいっているアシナガアリコロニーの一部。蛹は今日導入したものでそれまでは幼虫と卵だけだったがこれで増えてくれたら、と思う。

このコロニーはなんとか波に乗ってきたという感じはあるが、後の2つがなかなか・・新女王からの育成の場合、働きアリの数がある程度に達するまで女王も働きアリも落ち着きがなく、ふとしたはずみで壊滅ということもあるので神経を使う。
4月3日 シワクシケアリが依然好調。コオロギをよく食べるし、この前紹介した色の濃い蛹はすべて羽化したようで今は色の薄い裸蛹と幼虫、卵がいる。どれもそこそこの数があって順調だ。
しかしこのアリは活性が鈍いというか・・なんというんだろう?地味なんですねぇ。
4月4日 クロオオアリの3年目コロニーは個体数がそれほど多くない割に肉餌への要求がすごく高いようで、コオロギを2日に1,2匹入れていたのだが、それでも足りないようで蛹を食べてしまった。小さな幼虫と卵たくさん。
肉餌への要求量がどのコロニーでも高まっていてコオロギの消費が激しくなってきた。
4月5日 天気が良く、桜も満開、温度もちょうどいい感じなので今年初めて枚岡公園に行った。
到着後、枚岡神社を抜けて梅林付近で石をひっくり返してみた。
アメイロアリのコロニーは簡単に見つかった。有翅虫のいるコロニーもあって飛行が近いんだなぁと思った。
写真は幼虫を運ぶアメイロアリの働きアリ。いくつかコロニーを発見できたが女王は見つからなかった。

下は別の場所で撮影したアメイロアリ。卵、幼虫とあるのに女王が見つからんのですねぇ・・

登山道を登っていくとハヤシクロヤマアリが巣口を修理していた。

また、そこかしこで餌を探しているハヤシクロヤマアリの働きアリがいた。

桜の切り株があって外皮がぼろぼろになっていたのでめくってみたらケアリの大群がいた。
くそ・・夏のクサアリモドキ用にとって置くんだった・・

クサアリも数は少ないが活動していた。しかし数は本当に少なく、活動開始にはもう少し、というところであるという印象を受けた。

ビロウドツリアブがスミレと思われる花の蜜を吸っていた。

クロオオアリはまだ活動していないようで姿を見かけなかった。その分、クロヤマアリ、ハヤシクロヤマアリが目立った。アシナガアリも活動を開始していた。今回も斜面崩しを行ったが今回は掘る場所が悪かったのかクロオオアリの繭部屋の残骸と思われるものが出ただけだった。
どうやら今年もアメイロアリは新女王からの育成になりそうだ。
4月6日 ヤマヨツボシオオアリでは大きな幼虫は大体繭になった。終齢幼虫が数匹いるくらいであるがこれももうすぐ繭になりそうな雰囲気だ。
問題はそのあと。ちょこちょこと卵や小さな幼虫が散見されるのだがそれほど多くない。
何かストレスがかかったらあっという間に産卵しなさそうな雰囲気すら感じる。
こういうところが難しいと皆さん仰る所以なのだろうか。
4月7日 トビイロシワアリでは、日に日に卵塊が大きくなっている。女王の産卵が本格化してるんだろう。そんな中、温室状態で過ごした幼虫のほとんどが未だにほとんど変化なし。一部前蛹になっているものはいるが、蛹にならない。
このまま蛹になるのか、死ぬのかどうなるか注視していきたい。
4月8日 シワクシケアリが依然絶好調。
コオロギをよく食べるし、この前色が黒かった蛹はすべて羽化したようで次世代の蛹がわんさか。幼虫がその分少しすくないが卵たくさん。
どうやらこのコロニーはある閾値を越えたようでコロニーに勢いが出てきた感じがする。
4月9日 オオズアリが最近元気がない。働きアリの数は少しずつ減っているし、卵も少ない。
幼虫、蛹はおらず。
このコロニーも他と同じように世話しているのだが、今年は温めた種類はクロナガアリ以外は何かおかしくなっている。
うーん、どうしたものか?
4月10日 ミカドオオアリはつい2日ほど前まで卵が2個しかなかったのだが、今日見てみたら一気に8個くらいにまで増えていた。
心なしか卵の濃いオレンジも薄くなって薄いオレンジ色の美しい卵になっている。
そのミカドオオアリコロニーでは繭が増えてきている。
しかし餌かえの時、明るい所に出すと餌場から撤収するくせに恒温機の扉を閉めて暗くなると蜜をなめたりコオロギをせっついたりするさまはこの種類が夜行性が強いと思わせる。
4月11日 クロオオアリ2年目コロニーでは幼虫が孵化し始めた。

このコロニー、今ではW1と風前の灯なのだが、何とか復活してほしいものだ。
4月12日 クロナガアリが飛んだという報告を聞いて、温度が少し低いが猪名川へ実地調査を兼ねて行ってきた。
クロナガアリが去年大挙して飛び立った場所に巣口らしいものは見つからなかったが、去年も雑草の隙間に開口していたので何とも言えない。その場所は少年野球のグラウンドに隣接しているのあまりヨロズのことができないので早々に撤収してトビイロシワアリの巣にいる謎のクモを採集しに行った。しかし、トビイロシワアリとアリツカコオロギは簡単に見つかるのに、クモは一匹も見つからなかった。
竹を割ってみた。ヒメアリが2コロニー出たがウメマツオオアリやルリアリといった面白い面子には出会えなかった。
しかし、帰る間際、土に半分埋まった枯竹を割るとケアリがわらわら出てくる。
そこで7月のクサアリモドキ用にととんとんとタッパーにはたき落とす。
思ったより多くの働きアリがいて150から200はいるだろう。
収穫はこれだけだったが、よしとしよう。
4月13日 曇天であったが、昨日より少し蒸し暑く感じたので再度猪名川。
クロナガアリの巣は見つけたが、まだ巣口を大きくしている段階のようで羽アリの姿は全く見えなかった。
写真は巣口を守っているらしき門番アリ(こういう表現が適切かは微妙であるが)。
マクロレンズで撮ったらアリの顎まで写った。
4月14日 アシナガアリ3コロニーのうち、1コロニーでようやく働きアリが10匹を超えた。
少し安定感が出てきたように思う。
他のコロニーはどうかというと働きアリが1匹と3匹。苦戦中である。
写真は一番順調なアシナガアリコロニー。蛹が見える。色の白いものはこのコロニー自前のものである。
4月15日 気温が上がるというのでクロナガアリ目当てで猪名川に行った。
到着直後、静かなので飛ばないかなぁと思っていたら生息地についてびっくり。
ウンカのごとく羽アリが乱舞している。
そんな中、巣立ちの写真を数枚一気に。





地上の喧騒。



飛び立とうとしているメスアリ2匹。

初めて撮影に成功!交尾の写真。

身をよじって羽を落としている新女王。

新女王を襲うクロナガアリの働きアリ。どうみても襲っているようにしか見えなかった(1匹が腹柄節にかみついていた)

巣を掘る新女王。探し回ったがうじゃうじゃで巣を掘っているのは見つからなかった。

転がっていたメスアリの死骸。よく見たら腹部がへこんでいる。鳥にでも襲われたのだろうか?

そうして採集した新女王が21匹(羽つき1匹を含む)。
つい採集しちゃった・・
4月16日 クシケアリの肉餌への欲求には驚かされる。コロニー規模の割にはかなり肉餌を欲しているようで2日で3匹のコオロギをたいらげた。このコオロギは大体1センチほどのヨーロッパイエコオロギの幼虫なのだが、一昨日与えた時、久々にわらわらと群がってきているのを見ることができた。
なんだ・・見ていないときに群がって食べてたのね・・
写真はコロニーの一部。

採集した時、幼虫の内容物はネズミ色だったのだが、今、コオロギメインの餌だとやや赤い色である。いったいあのネズミ色は何を食していたのか、気になるところだ。
4月17日 ウメマツオオアリが静かながら順調の様子。写真にはうまく写らなかったが小さな繭が10個ほど、石膏の上に置かれ、コオロギの食いも良好。
女王は石膏の内部にいて撮影できないが卵や小さな幼虫がそこそこ見受けられるので大丈夫な雰囲気。
写真は石膏の上で子育てしているウメマツオオアリ働きアリ。
幼虫は写ったのに蛹が・・・
4月18日 ヤマクロヤマアリ(レマニ)が繭がだいぶ増えてきた。飼育して思ったことはクロヤマと違い繭を分散させておくこと。それと増加率がクロヤマほど急ピッチではないようだということ。
まぁ、これはコロニーサイズがそれほど大きくないことに由来しているのかもしれないが。
4月19日 クロヤマアリは蛹がどんどん増えている。どういうわけか、裸蛹が多く、繭はそれほど多くない。



女王も元気そのもの。

このコロニーを飼育し始めて大体1年だが、最初からコロニー採集でロケットスタートを切れたのは良かったと思ったりする。
4月20日 ヤマクロヤマアリの羽化を働きアリ確認した。
そうこまめにチェックしているわけではないが、若干働きアリが増えてきたような感じだ。
ただ、体がどうも小さい。幼虫の色つやもいいのだが、なぜなのか・・
4月21日 クロオオアリ2年目コロニーで繭が一つだけだができていた。
このコロニーは前にも書いたようにW1と非常に心もとないのだが、その割にはコオロギの食いもいいし、なんだか安心してみていられる。
それに引き換え3年目コロニーは・・肉餌は十分に与えてるつもりなんだけど・・
4月22日 クシケアリは産卵も順調で働きアリの顎いっぱいの卵塊がある。

白っぽくなってしまったが、羽化したばかりの働きアリ。

こういう個体が毎日数匹ずつの割合でみられるので増勢の雰囲気濃厚である。
4月23日 アシナガアリのうまくいっているコロニーで働きアリがいよいよ15匹になった。
こうなるとなんだか活気が出てきたように思え、餌の食いも少しではあるが量が多くなったように思う。
W3のコロニーは嫁に出したので今私のもとにあるアシナガコロニーはこれ以外ではW1のコロニーだけ。このコロニーが蛹が1個だけ、あとは卵約10個という非常に心もとない構成だ。
肉餌の食いもそれほど良くなく(幼虫がいないからかもしれないが)心配だ。
4月24日 今、飼育しているアリの中で一番個体数が多いのはダントツでクロヤマアリなのだが、そのコロニー、餌場を常に働きアリが巡回するような行動をする。
そんなところにコオロギ何かを与えるとあっという間にわらわらと集まってきて、蜜を与えたらリング状に集まってなめ尽くす。
ある意味アリ飼育の醍醐味かもしれない。
4月25日 15日に採集したクロナガアリは現在3コロニーいるのだが、その何れでも産卵を確認した。
個数はまだ3,4個程度だが、女王が5匹なので一気にスタートダッシュをかけられるかもしれない。
小鳥の餌ならペットショップで手に入るので非常に重宝している。
4月26日 アシナガアリのW15コロニーは波に乗ってきたようで産卵数も増えているように思える。
少なくとも初期の不安定な状態は乗り切ったように思える。
写真はコオロギの幼虫のかけらにかじりつくアシナガアリ幼虫。

こういう食べ方、本当に特徴的で見ていて面白い。
4月27日 ヤマヨツボシオオアリで働きアリが1匹羽化した。小型働きアリだ。

コロニーの様子。

写っていないが卵や小さな幼虫もそこそこあって、それらは連結用チューブに入れられている。このチューブ、直径5ミリほどなのだが、案外この種類はこの程度の細さがお気に入りなのかもしれない。
4月28日 ヤマクロヤマアリが久々に繭を一か所に集めていた。

死亡数も今のところそれほど多くないのでこのままいけば秋には割と個体数が増えることが期待できる。
4月29日 おや?トビイロシワアリの幼虫が少し変だ。
個体数が減って色が変わっている。
具体的には成長しきった感じから成長さなかという感じの幼虫である。しかも前より数が半分くらいに減っている。
これは越冬した幼虫を食べてそれを春産卵したほうに投資したとみるべきなんだろうか?
ちなみに前蛹もなくなっている。
これも不思議な現象だ。
4月30日 ヤマクロヤマアリの繭を目分量ではあるが数えてみたら大体50個ほどであった。
ということは少なくとも50匹はコロニーの構成員が増えるということだ。
このアリ、コロニー規模がそれほど大きくないためかどうも増え方がゆっくりだ。
採集した時のような大群になるという雰囲気ではないが、これもクシケアリのようにある閾値を越えたら爆発的増加に転じるのかもしれない。

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