2008年3月の観察日記

3月2日 アシナガアリの女王なしコロニーの働きアリの多くが蜜に溺れて死んでした。どうやら巣部屋が乾燥していたようで水を求めてきたものの粘性の高いメイプル溶液に飲み込まれたと思われる。はぁ、2日半目を離しただったとはいえ、悪いことをしたものだ。
クロオオアリの一昨年採集コロニーの卵、色が白くなってきた。今ではほぼ乳白色。
しかし、去年採集のものはまだオレンジ。個体差なんだろうか?
クロヤマアリで中齢幼虫を複数確認。順調なようだ。
3月4日 ヤマヨツボシオオアリ。餌、特にコオロギの食いもいいし、蜜もよく飲む。
しかし・・よく見てみたら皆さんの報告にあるように産卵数が極めて少ない。
孵化したてと思われる小さな幼虫が数匹と卵らしきものを1個確認してるのだが、他は採集した時の幼虫だ。
一見、すべて順調なのに、卵を産まないとは・・
3月5日 クロナガアリを恒温機に詰め込んだ。どうも最近、気温の上昇に伴い、容器内の温度が上がりすぎてるのでは?と思ったからである。
というのも産卵が止まったのだ。幼虫の数も予想していたよりは増えなかったし、現在一番勢いのあるコロニーでも働きアリの数は30程度。
クロナガアリをここまで飼育したのは初めてなので、どういうサイクルで一年を過ごすか手探りの状態だ。
温度を恒温状態に置けば産卵再開・・してくれるかな?
3月6日 イトウオオアリは産卵しているようだ。石膏のカスが容器の底にちりのようにへばりついて非常に見にくいのだが白い塊を発見した。
ヤマヨツボシオオアリだが、よく見たら接続用チューブに15ほどの卵と小さな幼虫を確認。
この接続用チューブの直径は5ミリほどなのだが、意外とこれが吉と出るかもしれない。
3月7日 トビイロシワアリとオオズアリの「温室」を中止した。
外気温が上がってくるというし、ピタリ適温を他の用途に(コオロギ400匹はちょっと多すぎたかな・・?要するに飼育ケースをもうひとつ)使いたいからだ。
トビイロシワアリは不思議なくらいなにも動きがない。幼虫は成長せず、女王は産卵せず、しかし腹部はボンレス。
オオズアリは餌やりを2日に1回にしたのがダメなのだろうか、少しずつ減っているし、幼虫も少ない。
明日、コオロギが届くので届き次第毎日餌の食いがいい種類は毎日与えるようにしていく方針だ。
3月8日 クロオオアリの去年伊那で採集してきたクロオオアリコロニーの卵はずっとオレンジだったが最近ようやく色の薄い卵が産み出されるようになってきた。
そして最初のほうの卵は・・というとくすんで縮んでいるのだ。たぶん孵化しないだろう。
この卵は一体何なんだろうか?栄養卵なんだろうか?それとも・・?
3月9日 クロヤマアリで1個、繭を見つけた。今までコオロギの供給量が2日に1匹だったのだが、いよいよ増やさなくてはならない。コオロギの供給量が少ないためか、卵はあるが幼虫が少ない。
オオズアリもコオロギの供給を毎日にした。今のところ、卵はあるがそれ以降のステージに進むものが極端に少ない。去年の夏はどれだけ増えるんだろうというくらい増えたが、コオロギ供給を少なくすると数が減る。
案外オオズアリも肉食が強いのかもしれない。
3月11日 むぅ。クロオオアリの3年目コロニーの越冬幼虫がなかなか繭にならない。
体内に糞があるのでまだもう少しだと思っていたらどんどん色つやが悪くなってくるし・・
このままだと食されちゃうのかなぁ・・
なんとか今年は増やしたいと思っていて、餌の食いもいいのだがいまいちエンジンがかからない。うーん・・
3月15日 3年目クロオオアリコロニーでようやく繭が1個できた。産卵は順調なので一ヶ月くらいしたら幼虫がそこかしこで見られるようになるだろう。
ヤマクロヤマアリは羽アリを生産するのだろうか?かなり大きめの幼虫が2匹ほどみられる。
注視していきたい。
クロヤマアリはどんどん繭になっている。この分だと今年も順調そうだ。
3月18日 ヤマクロヤマアリはやはり羽アリを少なくとも2匹、生産するようだ。
働きアリ程の巨大幼虫が2匹いる。
よく見たら少ないながらも普通サイズの繭や幼虫もみられるがクロヤマアリほどすごい増加率ではない。これがこの種類の特徴なんだろうか・・?
トビイロシワアリは産卵を始めた。幼虫はいまだ蛹にならないが、産卵したということは明るい兆しだ。
3月19日 アシナガアリの新女王からの育成コロニーの1つで働きアリが5匹になった。女王の腹部もボンレス極まりなく、産卵もそう多くはないがみられる。

ちなみに他の2コロニーはいまだに働きアリが2匹程度と苦戦している。産卵は見られるので肉餌を中心に注意していきたい。
3月20日 クシケアリが順調だ。活動活性は鈍いのでどわっと餌に群がるというわけではないのだが、ひそかに食べているようでコオロギも1匹を2日で完食するし、幼虫は今少し少ないが、卵と蛹がたくさんある。

色づいた蛹がたくさんある。

不鮮明ながらクシケアリの卵塊。この分では今年は増えそうだ。
しかし私には未だにクシケアリの女王を野外で見つけても女王と認識するだけの自信がない・・だって大きさも形態もほとんど変わらないんですもの・・・
3月21日 トビイロケアリが絶不調。
入れ物を交換してから10匹いた働きアリがわずか2匹に・・
卵がたくさんと繭が2個あるので何とか持ち直してほしいが、私とトビイロケアリはどうも相性が悪い。
これが私の怠慢なのか、それとも他の理由なのかは今のところわからない。
3月22日 クロナガアリは産卵が終了した模様。しかし幼虫は少しではあるが蛹になるものもいる。
3コロニー飼育しているが2コロニーは順調だが1コロニーは働きアリが10匹前後とやや苦戦。しかし餌の食いはいいし、それほど心配していない。
しかしクロナガアリは本当に飼いやすいアリだなぁと思う。
蜜も虫餌も殆どいらず、小鳥のえさだけで飼育できるのだから。
3月23日 ヤマヨツボシオオアリだが、繭になるものが出始めた。現在5,6個繭がある。
白色で美しい繭だ。
冷やし虫家で恒温飼育しているが、細い連結用チューブに卵と小さな幼虫が少数いるし、細々と命脈を保つことができるかも?
しかし、このアリは本当に産卵数が少ない。野外採集のときはあれだけわんさか働きアリが出てくるのに飼育環境だと増えない。
このアリもそれほど珍しい種類ではないと思っているが案外飼育難度は高いのかもしれない。
3月24日 ミカドオオアリも繭を作り始める幼虫が出てきた。
ただ、卵の数が2個と極端に少ない。ひょっとして幼虫の育成に蛋白源が使われすぎていて女王の分まで回っていない!?
だとしたらコオロギの増量も考えなくてはならないが・・
3月25日 ウメマツオオアリがひそかに順調な気配。
この種類、普段は石膏をくりぬいて作った「巣部屋」にこもっていて中はひっくり返さないと見えないのだが、スペースの関係か子育ては石膏表面で行っている(卵は石膏の下にあるが)
見えにくいですが、わかりますかね・・?
3月26日 ミカドオオアリだが、先に紹介したように繭が見られるようになってきた。白くて美しい繭だ。

コロニーの様子。

写っていないが、幼虫が採集した時にそこらのサテライトからかき集めたのでかなりの数がいる。コオロギもよく食べるし、蜜もよく飲む。
女王は腹部はボンレスではないものの元気だ。
3月27日 先にヤマヨツボシオオアリで繭ができたと書いたが、写真がやや不鮮明ながら撮ることができた。

このような繭が現在10個ほど。小さな幼虫もちらほら見られる。案外うまくいっている・・?
3月28日 アシナガアリの以前紹介したコロニーとは別コロニーが順調になってきて、現在働きアリ6匹。
今月初めに順調と紹介したコロニーはあの後働きアリが死に、現在2匹。もう1コロニーは働きアリ4匹。しかし野外条件でこんなに少ない働きアリ数でやっていけるんだろうか・・?
今年、女王が多く手に入ったら多雌実験もしてみたいと思っている。
写真はミールワームに頭を突っ込む幼虫。この食べ方はいつ見ても面白い。
3月29日 クロオオアリ2年目コロニーの卵塊の中に、小さな幼虫が2,3匹いるのを発見した。
現在働きアリは2匹と超零細コロニーだが去年は同じクロオオアリで働きアリ1匹から越冬までに20匹程度にまで復活させたので大丈夫だろう。
肉餌の需要がますます高まってきた。
3月30日 ヤマクロヤマアリも繭が見られるようになった。先日、出現していた巨大幼虫は死んだようで茶色くなって委縮していた。何が悪かったのかわからない。
さて、この繭なのだが、やけに小さいのだ。この分では小型働きアリしか生まれてこないだろう。
同じ傾向がクロヤマアリでもみられる。肉餌は十分なはずなので羽化したら大きくなるんだろうか?不思議だ。
3月31日 ミカドオオアリは案外餌のえり好みをするのかもしれない。
というのも、数日前までコオロギをよく食べていたのだが、最近急に食いが悪くなった。
そこで試しに脱皮したての白いミールワームを与えたらかみついて襲っていた。
他のアリではこんな現象はないのだが、もしミカドオオアリがこうやってえり好みをするとしたら面倒なことになりそうだ・・

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