2007年9月の観察日記

9月1日 7月に採集したアシナガアリを久々(というか初めて)ふたを開けて観察してみたら中齢幼虫が見受けられた。今日は都合の関係で写真は載せられないが、いずれのせたいと思う。
採集して一カ月以上・・この種類の育成の難しさがわかってきたような気がする。
9月2日 トビイロシワアリなのだが、コオロギを与えるとコオロギが5ミリほどの大きさのせいだろう、完食気味。卵餌だけではどうも不具合があるのだろうか、この種類は冬も加温して育成していく予定である。
以前飼育していたトビイロシワアリは冬の間も有翅メスを生産していて、幼虫がごろごろ見られた。ただ悔しいことに結露がひどく、働きアリの生産を行っているかは確認できなかった。
今年はその辺も明らかにしたい。
9月5日 ちょっと不調で間が空いてしまいました。
久々の写真。
まず1枚目。不鮮明ながらアシナガアリ新女王と幼虫。
この分ではあと1ヶ月くらいで成虫が見られるかな?

育ってる幼虫は2匹であと7,8個あると思われるものは卵である。この2匹を優先して育てるようだが、こんなのじゃ今年の働きアリ生産は2,3匹が関の山ではなかろうか・・?
2枚目。コオロギに集まるトビシワ。最近、すごく食いが良く、5ミリくらいのコオロギを完食する。

つぎ。これまたコオロギに集るオオズアリ。これもまたコオロギの食いが極めてよく、毎日1匹を平らげている。兵アリも9匹に増えた。

その兵アリで1匹、面白いものを見つけた。それが下の写真。腹部がボンレスに近い。貯蔵役を果たしてるのだろうか?

最後。卵餌に集まったシワクシケアリ。時々、卵餌を与える程度なのだが、与えた時はこのように群がる。こういうのを見ていたら気持がいい。
9月6日 クロナガアリは5コロニーいるのだが、小型容器で飼育しているものはいずれも溢れんばかりに働きアリがいて、餌やりに苦労するようになってきた。
そこで、現在では2つしかないのだが少し大型の巣部屋とえさ場の分離した入れ物に引っ越しさせた。

今のところ、えさ場にたむろしているがいずれ巣部屋に入ってくれることを願う。
そうしたらミールワームや卵餌も試しに与えてみよう。
しかし、写真、ボケてますね・・もっと練習しなきゃなぁ。
9月7日 去年採集のクロオオアリ、もう今年の生産は終わったかと思っていた。しかし、コオロギを与えるようになって急に幼虫が成長をはじめ繭が何個か出来ているし、産卵もある。

ぼけてますが、卵と幼虫。幼虫は数個体だが、卵が10個ほどある。

繭。10個ほどあるので今年中にあと10個体ほど増えるだろう。
9月8日 今日はキイロシリアゲアリ。このコロニーは5月に石の下にいたものを採集した規模からみて去年の秋に飛行したと思われるもの。
今夏、毎日見てきたが女王の腹部は常に大きかった。

もう一つのキイロシリアゲの女王は腹部がしぼんだままであるのに、この差はいったい何なのだろうか?個体差?
このコロニーも常温飼育だったが夏を乗り切ってくれ、働きアリも最初採集した時より大分増えた。こちらはコオロギではなく切断したミールワームを与えている。
9月9日 最近出番が少ないウメマツオオアリとイトウオオアリなのだが、実は石膏の下を掘り進んでいて観察が困難なので出番が少ないのだ。
しかし、入れ物を下から見てみたらウメマツオオアリでは夏の間停止していた産卵が再開されたのが見えるし、イトウさんも壮大な地下都市の中にはそれほど多くないものの幼虫や繭がある。
うーん、石膏の下にもぐってなければ面白いんだけど・・
9月10日 トビイロシワアリは一時期えさ場に出てきていたのだが、こういう場合の常、巣部屋が乾燥していたようで加湿したら元に戻って行った。
今度は苔の生えていない部分に(4月から特に加湿していないのに、湿気が抜けなかったようで一部緑色が・・)卵幼虫を持ってきているが、それでも元の居場所がいいのか、女王4個体のうち2個体が石膏に苔の生えたもといた場所に居座っている。
しかし、意外に増えなかったなぁ・・冬温めてうまくいくだろうか。
9月11日 石膏巣に移したクロナガアリはなかなか自分たちで移動せず、乾燥のためか働きアリが死に始めたので吸虫管で移動願った。今のところコロニーの数に対してやや入れ物が大きいという印象は否めないがそれでも増えてくれたらいいと思う。
下はそんなクロナガの写真。マニュアルモードで撮影したのでこれが限界・・

ちなみにこの写真、拡大して写るという(マクロレンズではない)レンズをはめて撮影。1000円ちょっとの品物だが、うーん・・
9月12日 今日はアメイロアリ。石膏ではなく、メラミンで保湿しているのだが、夏に常温でおいていたら蒸れたのか黄色いカビが続発。3コロニーをダメにしてしまった。
それでも2コロニーが何とか生き延びて現在にいたる。転機は常温飼育を止めて22℃で維持するようになったあたりからカビが生えなくなったように思う。
写真はそんな一コロニー。

大分働きアリも減ったがこの分だと無事に来年を迎えることができそうだ。このコロニーは今、卵餌のみで維持しているのだが、ミールワームを与えてみようかな・・卵を最近見なくなってるし。
9月13日 春に枚岡公園の石の下から出したケアリコロニーの女王が死んでしまった。
このコロニー、卵餌で溺れたりする者もいたりして思ったより増えず、夏前に幼虫を導入したりしたが現在働きアリは5匹ほどという寂しい所帯だった。
私とケアリの相性はあまり良くないようで、トビイロケはうまく飼えた試しがない。
ほかの人は簡単に増やしているのに、なぜこうなるんだろう?
9月14日 ヤマクロヤマアリを取り上げる。
このコロニーは越冬準備に入ったようで蛹もすべて羽化し、働きアリと女王だけである。
下はそのコロニーの女王。色艶加減がまたほかのヤマアリとは違った美しさだ。

さて、このコロニーを冷却しようと思うのだが、発泡スチロールの箱に氷を入れたもので囲ってしまおうか、それとも出血覚悟で低温管理のできるワインセラーにしようか悩んでいる。
9月15日 イトウオオアリに先日青山高原で採集してきてカマキリの餌に・・と思っていたのだが、不幸に死んでしまったバッタ(クルマバッタだろうか?5センチほどのバッタ)を与えた。
2日で2匹与えたが、一日目は見事にばらばらになるまで食いつくし、2日目は腹部を中心に食っていた。
このコロニーは夏場幼虫を育てているのかよくわからなかったので卵餌のみで乗り切らせたが、飢えていたんだねぇ・・
9月16日 チクシトゲアリの元気がない。依然として小さな幼虫は30匹ほど見受けられるのだが、成長しないのだ。コオロギを与えているのに、いったいなぜだろう?ひょっとしてもう越冬モードとか?
そうしている間に働きアリがぽつぽつと死んでいく。働きアリはまだ数はいるが要注意な種類の様相を呈してきた。
9月17日 クロナガアリは石膏ではなく、メラミンで飼育しているものが3コロニーあり、少し元気のない女王2のコロニー以外は働きアリもどんどん生まれて活況だ。
そこで、今日は石膏蟻巣に移し替えた。
他にも今日は時間があったので伊那で採集したクロオオアリ働きアリ7匹のコロニーと枚岡で採集たムネアカオオアリ(働きアリ1匹)のコロニーにも引っ越し願った。
クロオオアリはすんなり餌場から巣部屋に移動したがムネアカオオアリが移動しない。どうしたものか・・
9月18日 昨日引っ越しさせたクロナガアリは1コロニーはまだ餌場に到達していないのか、巣部屋の中に種子はそれほどみられないがもう1コロニーは種子を運び始め、幼虫がそれを齧る姿が見受けられる。

そしてうれしいニュースが。7月採集のアシナガアリで1コロニーだが蛹になるものが出現した。

ほかの2コロニーでも前蛹になっていてもうすぐ蛹になると思われる。しかし、どのコロニーでも成長させているのは3,4匹であとは卵。少し少なすぎやしないだろうか・・
9月19日 クロヤマアリは夏場、あれほど屯していた餌場からほぼ撤収した。今は石膏の巣のほうに殆どがいて餌場には5,6匹がいるくらい。餌の交換はしやすいのだが、何が彼女たちを餌場からっ撤収せしめたんだろう?
恒温機内なので温度とは考えにくい。ということは湿度・・ということになる。
そういえば冷やし虫家の説明書に夏場は内部の湿度が100%近くになるとあったが、それと関係してるのだろうか。
9月20日 今までなぜか取り上げてこなかった伊那で採集したクロオオアリ。2匹女王を採集したのだが、1匹は暑さのためか死んでしまったがもう1匹は生き残り、現在働きアリが6匹いる。

孵化したばかりの幼虫が10匹ほど団子になっているほかに、表面が乾燥してるのだろうか、やけに色の濃い卵が2個。孵化するのだろうか?

しかし、女王、働きアリの腹部も大きいし、餌の食いも結構いいので来年以降期待が持てるかもしれない。私の今までの実績からいってクロオオアリの初年度は働きアリが10匹行ったことがないので「それなり」の飼育ということだろうか。これも冷やす予定なのだが、どれくらいの期間冷やしてくれようか・・
9月21日 7月に採集したケアリコロニーでようやく繭が一個できていた。
このコロニーは100均ショップで購入したクリーム入れ(円形で3段重ねのやつ)に入れていたのだが、その2段目に入居している。数日前、その上と下の段に石膏を張ったことで暗くなったのがよかったのだろうか、急速な成長だ。
これから涼しくなる季節、どこまで増えて越冬態勢に入るかがカギだ。
9月22日 アシナガアリ。4日前にヨーロッパイエコオロギの終齢幼虫の死骸を1匹放り込んだ。
これは昨日の写真なのだが、ほぼ食い尽くしている。面白いのは働きアリがずっとせっついていて幼虫の上にはあまりコオロギの残骸がないということ。アシナガアリは案外肉食が強いのかもしれない。

もう1枚、同じアングル。

コオロギの断片を貪る働きアリ。はて、こんなに肉、食べましたっけ・・?コオロギは過剰なくらい与えていたつもりなんですが・・

こちらは変わって元気のないチクシトゲアリ。
元気はないといってもコオロギの死骸を放り込むと少数の働きアリが元気よく噛みついている。

もう1枚は女王。どうも最近産卵が止まっているようだ。これが一時的なものであることを祈りたい。

うーん、コオロギ、もっと頻繁に与えるべきだったか・・しかしほかの種類は産卵してるしなぁ・・恒温機に入れたのがまずかったのかなぁ?
9月23日 チクシトゲアリ、狂走。
昼頃、何気なく容器を見たら常温飼育の容器内を猛烈にぐるぐる走り回っている。
静かなのは女王とそのお付きの10個体程度で死骸も増えていた。
あわてて恒温機内に入れたのだが、幼虫の姿がどこにも見当たらないし、チクシトゲアリは今年もだめかもしれない・・
この種類、そんなに飼育が難しいとは思えないのだが・・
9月24日 キイロシリアゲアリの女王には2タイプあるように思えてならない。
腹部が小さく、黒っぽいのと腹部が大きくオレンジ色の2系統あるように思える。
下は少々わかりづらいが最初の腹部が小さいほう。

正面の写真が撮れたらよかったのだが横からの写真でご勘弁を。
腹部の先端に行くにつれて色が濃い。
下2枚は腹部が大きい女王の写真である。




春にキイロシリアゲアリのコロニーを暴いたときがあったのだが、その時は色の濃い女王と薄い女王が混在していた。不幸にも1匹しか採集できず、同居はかなわなかったのだが、これは女王の年齢によって色が変わってくるのだろうか?
色の薄い女王のほうは1年目と思われる働きアリ10匹もいないもので、色の濃い女王は何年目かもわからないほどの大きなコロニーのものだった。
どうなんだろうか?
9月25日 今日は中秋の名月らしい。我が家でもススキと団子を供えた。

7月に枚岡で採集したケアリ女王にようやく繭が4個できた。

このコロニー、つい最近まで卵は多いものの一向に幼虫が見られなくなったのだが、クリームケースの上下の部屋に石膏を張り、その関係で応接間に移したとたん、成長を始めたのだ。
この分ではもうすぐ羽化が見られるだろう。
9月26日 クロナガアリの1コロニーで中々えさ場に出てこないで心配していたのだが、そこは自然の妙、今日見てみたら働きアリが4匹ほど餌場に出ていていつの間にか運び込んだ種子が少数だが巣部屋の中に収納されていた。

これは5月にコロニー採集したアシナガアリ。

この4カ月ほどでこんなに増えた。産卵もどしどしされているし、幼虫、蛹もたくさん。とにかく順調。オオズアリと順調さでは双璧だ。
そのコロニーは非常に食欲も旺盛で3日前に放り込んだヨーロッパイエコオロギの終齢幼虫の死骸が今ではこのとおり。

コオロギの終齢幼虫がいなくなり、若齢のものに入れ替わったのでこの分では一日1匹では足りないかも・・
9月27日 イトウオオアリは石膏の下にもぐっている。潜っているといっても容器を下から見たら「地下都市」が丸見えなのだが、餌場と連結させている形状の関係で中々裏を見ることはなかった。
今日、見て驚いた。卵幼虫蛹、合計100以上はどう見てもある。それらが石膏をくりぬいて作られた「巣部屋」内に収まっていて、アリたちも密集している。アリはたぶん密集してるほうが落ち着くのだろうが、これは増えそうだ・・幼虫が少ないのだが、卵がとにかく多い。その生みの親の女王は脱翅雌にまぎれて全然わからないが、健康であることは間違いないようだ。
9月28日 ああ、またやってしまった。トビイロシワアリの石膏がいつの間にか乾燥して女王2匹と幼虫が死んでしまった。幸い働きアリと蛹と女王2匹は無事なのであわてて給水したのだが、石膏というのは白い色で乾燥してきてもいまいちよくわからない。それに今回は餌として卵餌から給水もできるようにしていたのに・・である。
トビイロシワアリは結露するくらいのほうが却って安心なのかもしれない。
9月30日 アシナガアリが古い石膏巣に引き上げた。
新しいほうがカビが目立ってきて(移住しやすいようにと導入するとき水分を混ぜたのが凶とでたようだ)その上、シワクシケアリでも見られるものだが、食べ残しだろうか、黒い屑というかカスが蓄積されてきている。
うーん、これを外に出してほしいのですがねぇ・・しかも新しい石膏はバリアセラを希釈せずに撒いたくらいなのにカビですか・・

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