2007年5月のアリの観察日記

5月1日 ウメマツオオアリが石膏巣のほうに引っ越してきた。今まで居住空間にしていた餌場の環境が特に変わったわけでもないのに、なぜか今は半数ほどが石膏巣のほうにいてさながらサテライトの様相を呈している。
ミールワームをよく食べているようだし、卵もたくさんある。もう少し暖かくなってきたら繭になるものも出てくるだろう。今年どれくらい増えるか、楽しみだ。
5月2日 クロナガアリの全てのコロニーで産卵が始まった。
下はクロナガアリの卵。ほかの種類と違ってクロナガアリの卵は丸っこい。

もう一つはクロオオアリ。繭、幼虫、卵とも少ないが餌の食いも上々だし、女王の腹部も大きいので今後が期待される。
5月3日 晴れて天気が良いので枚岡公園に行った。目標はアシナガアリ、アメイロアリである。
梅林奥で石をひっくり返したらいくつもアメイロアリの大きなコロニーに当たった。土をタッパーにすくって女王を探したが、有翅女王、オスはたくさんいるのだが肝心の女王が一向に見つからない。そうして探しているうちにアメイロアリとは明らかに違う種類の大きなコロニーが出た。
最初、アシナガの初期コロニーか!と思って狂喜しかけたが少し違う。土をすくって振っていると女王が出て正体がわかった。オオズアリだったのだ。驚いたことにメスの羽アリも生産されていた。女王は2匹、働きアリはたくさんいたが100ほどでやめておいた。
下は帰って容器に移した後のコロニーの一部。女王は2匹、メスの羽アリは3匹採集したが、どうもメスの羽アリ1匹が羽を落としてしまったらしく女王2匹、脱翅メス1匹、有翅メス2匹、働きアリたくさんという構成になった。

そうして探し回っているうちに石の上に羽虫が結構見られるのに気がついた。
そう、アメイロアリのオスだ。今日、飛んでいたのだ。私のカメラではアメイロアリのオスは多分写らないのでパスしたがそこいらでオスが見られた。
対してメスは椋ヶ根橋で飛んで行く一個体を見かけただけで今日が本格的な飛行ではないことをうかがわせた。
その椋ヶ根橋のクロオオアリのコロニーが騒がしい。

オス、メスの羽アリが入り口で屯していた。しかしこの日は飛ばなかったようで夕方見に行っても光景は変わらなかった。
その後、桜広場のほうへと続く道で石をひっくり返したらアメイロケアリがいた。枚岡で見たのは初めてだったが、いたんだね・・写真は撮り損ねてしまった。
また、細長い石をひっくり返したらクロオオアリ女王が出た。びっくりしたがしばらくしてもう一回ひっくり返したら初期コロニーだったようで3匹のワーカーが女王のいた付近にいたので採集。けんかもしないところを見たら同一コロニーなのだろう。
また、同じ石の左右部分からケアリコロニーが出た。
どちらも初期コロニーでワーカーがとても小さい。これも採集。
その後、ハイキングコースで以前ひっくり返したアシナガコロニーがどうなっているかを見に行く途中、念願のアメイロアリ脱翅メスを採集。小さいので収容に苦労した。
下が持ち帰ったメス。水を飲んで腹がさらに膨れた。

アシナガコロニーのあった場所は石ごとなくなっていた。石がどうも撤去されたらしい。
そんな折、登山道脇の石をひっくり返したらW100ほどのハヤシクロヤマアリのコロニーが!
女王も見える!採集しようとしたら吸虫管がない!そう、私は手に荷物(シャベル、フィルムケースを入れた袋、そして吸虫管)を持っていたので落としたことに気がつかなかったのだ。
無念で見送った。この場所は今度虫義さんにでも紹介するとしよう。
今日の収穫。クロオオアリ初期コロニー1つ、ケアリ初期コロニー2つ、オオズアリ大きなコロニー1つ、アメイロアリ新女王1匹。
結局枚岡公園の展望台にも行かずに5時間ほども滞在してしまった。有意義だった。
5月4日 クロヤマアリは水をよく飲む。毎日、メイプルの水割りを与えているが与えるとすぐに集まってくる。

そのクロヤマアリ、だいぶ幼虫が成長してきた。ここまできたら繭まであっという間だろう。
多分今週か来週中には繭になったという知らせができそうだ。
5月5日 イトウオオアリ、最近活性が落ち着いたように思う。
ミールワームを与えても以前なら毎日与えてもすぐに食べつくしたのに、最近は2日に一回で充分の様だ。
思うに、羽アリを一気に育てる必要があったためにあんなに活性が高かったのか?と考えたりもする。
そういう意味ではなんだかぱっとしないチクシトゲアリもそんなに心配しなくてもいいのかもしれない。
5月6日 一昨日、クロヤマアリのことについて記述したときに今週中か来週中にも繭ができたという知らせができるだろうと書いたが、あれから2日、早速繭になるものが現れ始めた。
まだ数は数個と少ないが、これから増えていくだろう。
多分クロヤマアリにとっては今時分の気候温度が一番成長に適しているのではないだろうか?
5月7日 ウメマツオオアリに繭ができていた。
しかし、ケアリの初期コロニー並みにちっちぇー!!!
栄養的に過不足はないと思うし、兵アリもいるのだが、何故に・・?
アメイロアリで産卵を確認した。
予想していたとはいえ卵も小さすぎ!
マクロレンズつきのカメラでないととても写せないのでアメイロアリに関しては当面文面での観察日記でご容赦願いたい。
5月8日 晴れて暑くなったので枚岡に行った。
到着後、梅林の石の上で多数のアメイロアリのオスが陣取っているのを見かけた。
下はアメイロアリのオス。・・すみません、画像編集ソフトを使っても私のカメラじゃこれが限界・・

その後、いろいろなところでアメイロアリの有翅、脱翅メスが見られた。採集したい気持ちを抑えて6匹にとどめた。しかし今日はかなり大規模に飛んでいたようで本当にどこにでもアメイロアリの羽アリはいたような感じがする。
別の場所でクサアリモドキがガの幼虫と思われるものに集まっていた。いつ見ても数で圧倒しているなぁ。

椋ヶ根橋のコロニーはどうなっているかと思って見に行った。
そうすると飛行が始まっていた。女王やオスが次から次へと巣から出てきては巣から離れたところから飛んでいく。
下はその写真。この絵、去年も写しましたよね・・

もう一枚。

女王採集が容易な枚岡神社はどうかと思って見に行くと、多数の羽アリが巣口で待機していた。

しかしこのコロニーからは女王とオスが数匹飛び立っただけであった。
飛び立つ瞬間の新女王。中々うまく写せないものだ。

枚岡神社が望み薄なので椋ヶ根橋付近で探そうと移動中、ヨツボシオオアリの有翅女王を見つけ、捕獲。少々元気がないようなのが気がかりだが、羽を落として子育てをして何とか増えてほしい。
ローカルネタで申し訳ないのだが、椋ヶ根橋の辺りは落ち葉が厚く堆積している場所でそこに下草がまばらに生えているという環境。だから新女王が降り立っても落ち葉の下に入ってしまうと見つけられない。日暮れまで粘ったが女王は見つからず。
しかし肝心の枚岡神社が飛んでいないようなので明日以降へと望みをつなぎつつ枚岡を後にしたのだった。
収穫;アメイロアリ脱翅メス6匹(うち2匹は帰ってみてみたら死んでいた。フィルムケースだと時々こういうのがあるが、何故だろうか?)、ヨツボシオオアリ有翅メス1匹。
明日も温度が上がるという。多分明日も何か飛ぶだろう。
5月9日 虫義さんと枚岡に行った。
虫義さんにはハヤシクロヤマアリとオオズアリを持って帰ってもらうつもりで案内した。
そのハヤシクロヤマアリコロニーのある直前、以前に大きなアシナガコロニーがあったそばの石に添ってまたアシナガコロニーがあった。
期待せずに石を起こしてもらうと女王がいた!あわてて採集した。幼虫もたくさん、働きアリも50ほど採集しただろうか。思わぬ掘り出し物だった。
ハヤシクロヤマアリコロニーは引越ししていたらしく石をひっくり返しても全く何もいなかった。
そこで梅林に移動、オオズを持って帰ってもらうことにした。
石をひっくり返したらおびただしい働きアリ!それと女王も数匹いた。兵アリも数匹お持ち帰りになった。これで一安心した。
その後神社のコロニーが飛ばないのを見て椋ヶ根橋に移動。
椋ヶ根橋のコロニーは今日も昨日ほどではないが飛んでいた。
しかし場所柄女王の採集はできなかった。
アメイロアリは交尾シーンに遭遇。しかし私のカメラじゃ写らないのでパスしたが良いものを見た。
桜広場に至る道でケアリコロニーを2つ見つけたが私はすでにケアリコロニーを2つ飼育しているし、虫義さんもオオズだけで良いというのでパス。
それから神社や梅林をうろうろ。ヨツボシオオアリと思われるオスが数匹見られたがそれ以外は収穫なし。
昨日、今日で飛ぶと思ったんだけどなぁ・・
帰ってアシナガを容器に収容したらチューブにこもった。写真もいいのが撮れなかったのでご容赦願いたい。
5月10日 注文していた「冷やし虫家」が届いた。感想。デカ!!!
私の部屋が1月に模様替えしていなければ設置不可能だっただろう。
早速クロヤマアリ、オオズアリ、アシナガアリ、チクシトゲアリに入室願った。
さて、チクシトゲアリは石膏の汚れがひどくなってきてその部分を避けるように壁面にいたのだが、きれいな石膏の部屋をつないでも引っ越さない。
その上、冷やし虫家に入れたら満遍なく石膏部分にいるようになった。どういうことだろう?
悲しいお知らせ。一昨日、ヨツボシオオアリの有翅メスアリを採集したと書いた。昨夜から必死に羽を落とすようなしぐさをしていたのだが、今日、夕方になってみてみたら羽が結露にくっついて身動きが取れなくなって弱っていた。
今日は急に温度が下がって久しく結露していなかったウメマツオオアリ、イトウオオアリの石膏もやや結露するほどだったのだが、若干の空気は通ると思われるもののぴたっとした容器に入れて大後悔。横になってぴくぴくと動いているが、望み薄だろう。折角メイプル溶液をたっぷり飲んでおなかがボンレスなだけに悔しい。この辺りではヨツボシはまだもう少し飛ぶだろうから何とかそれに賭けたい。今度は脱翅メス希望。
5月11日 アシナガアリ、容器に落ち着いてくれたようだ。飼育してわかったのだが、この種類、幼虫が直接餌をかじるんですね。下がその写真。

刻んだミールワームに鈴なりになって食べている。卵も確認できたし、増えてくれることを祈る。
もう一枚、不鮮明であるがこのコロニーの女王。最初、以前あった大コロニーの残党が集まったものかと思っていたが働きアリをよく見たら全個体ともそれほど大きくない。やはり初期コロニーだったようだ。幼虫がたくさんいて、全部羽化したとしたらかなり繁栄していきそうだ。
5月12日 枚岡に少しだけ行ってきた。
今日は気温が25℃まで上がるという予想だったのだが、着いてみたら風が予想以上に冷たい。蒸し暑いというよりすがすがしい風が吹いていた。
色々なクロオオアリの巣を見て回ったが、1コロニーだけメスが巣口を伺っているだけで飛んだ形跡は皆無であった。
明日は今日より温度が低いという。週間天気予報がこのまま行くとしたら私は今度の月・火・水辺りが怪しいと思うのだが、正直クロオオアリの飛行は読めなくなってくる。
5月13日 少しヘンなアリたちを紹介する。この状態が一時的なものか、何らかの原因で不具合が起きているのかよくわからないが、ご意見を募集したい。

トビイロシワアリ。この種は特に加温もしていなかったので幼虫が出てこないのは仕方がないかな?と思っていた。最近まで。しかし考えが変わってきた。何かおかしいのだ。幼虫がこの時期になっても3匹ほどしか見つからない。卵もある一定の数以上は増えていないようだ。アリツカコオロギがコロニー規模の割には多く入れてあるのと謎のクモが3匹いるのだがこれらが原因なんだろうか?餌の食いは普通である。

次、イトウオオアリ。好調の最先端を走っていたこのアリなのだが、羽アリが繭になってから事情が変わった。肉餌にそれほど集らなくなったし、活性が明らかに落ちている。このコロニーは3月に採集したもので部屋のハロゲンヒーター以外特別な加温をしていないのに巣部屋は眠っているようにとても静か。ミールワーム蛹を入れてもかつてのように瞬殺というわけでもなく、謎だ。ちなみにワーカーとなるであろう小さな繭も見受けられ、女王のおなかはボンレス、卵は数える気にならないほどあるのが、後述のチクシトゲアリに似ている。

チクシトゲアリ。以前からヘンだと書いていたが、本当にヘンなんだろうか?女王のおなかはボンレスで産卵も多い。大型幼虫が一時期ほど多くはないが、コオロギ成虫の在庫がなくなったので小さな幼虫を与えてみたら翌日には跡形もない。食べているのだ。要するにコオロギ成虫では供給過剰だったということ。そういう意味ではあまり心配しなくて良いのかもしれないが、一時期の高活性状態を見ている身としては少し心配が残る。

最後、クロオオアリ。といっても去年から飼育しているものではなく、今月に石の下から出てきたコロニー。兵アリ2匹と初期コロニーならではの小さな働きアリ1匹の3匹を従えている女王なのだが、一向に産卵しない。肉餌も食べている気配がない。この場所、その後も何回もひっくり返したのだがクロオオアリはこれだけしかいなかったので3匹だったのかなぁと思ったりもする。
働きありは蜜は飲んでいるようで蜜を与えると腹部が膨れる。しかし産卵しないのは・・?

他は今のところまずまずである。
5月14日 オオズアリで産卵が始まり、女王と同じくらいのサイズの卵塊が2つほどある。
幼虫は少ししか採集しなかったが、その幼虫の成長も始まった。
最初、オオズアリは中々産卵が始まらなかったのでどうしたんだろうと思っていたのだが、冷やし虫家の環境が気に入ったのか入れるのと時期を同じくして産卵が始まった。
小型種で増えるだろうとは思っているが、まだこの段階でいきなり女王の体2つ分くらいの卵塊を見たら増えるんだろうなぁと思う。
チクシトゲアリ、石膏巣がよごれたたためか餌場に卵と幼虫を持ってきていたので、昨日新しい巣を連結した。しかし、居つかない。現在、古い石膏巣、餌場と新しい石膏巣をつなぐチューブに固まっている。新居にあっさり移動してくれると思ったんだけどなぁ。
移動してくれないと冷やし虫家に入れられないので吸虫管で強制移住させようかとも考えてしまう。
アシナガアリ、22℃くらいが適温だとスラダケさんに指摘され、22℃で稼動させていたが、そうしたら石膏部分が冷えすぎるのかチューブに屯するので24℃にしたらようやく石膏にいついてくれた。ミールワームの食いもいい。
5月15日 アシナガアリは面白い。餌を直接食べるのかと思ってミールワーム2匹を切断して餌の皿に入れておいたら翌日見ても皿の上にミールワームの断片があった。
しかし中身は空っぽ。昼間あまり見てやれないのだが、その間に食べていることになる。
果たして幼虫を持ってきて食わせているのか、働きアリが食べてそれを幼虫に与える形になっているのか興味津々だ。
チクシトゲアリは古い石膏巣とチューブに居座り、新しい巣になじもうとしない。
多分古いほうの石膏巣には慣れ親しんだにおいがあるんだろうけど、それならなぜ幼虫を乾燥した餌場に持ってきたのか・・?
5月16日 この前、枚岡公園で採集したケアリ2コロニーの話。
一つはW2と女王のみ、もう一つは女王とW9と幼虫少々だった。
いずれも女王の腹部と同じくらいの卵塊がある。W9コロニーのほうでは幼虫が繭になり始めた。
産卵というのはエネルギーを使うのか、一昨日、W9コロニーの女王がかなりしぼんでいたのでメイプルを与えた。翌日にはボンレス。
もう一つのW2コロニーのほうは湿度の高いところに陣取っているせいかそのままでもボンレスに近い。増えるのは覚悟の上だが、どれくらいまで増えるんだろう・・
同日に採集したクロオオアリの初期コロニー、女王が死んだ。産卵も肉餌も一切受け付けず変だとは思っていたが残念だ。
去年からのクロオオアリコロニーではじめての働きアリが生まれた。しかし羽化不全だったようで縮むような形でろくに歩けないような個体だ。何故羽化に失敗する個体がいるのかわからない。
繭は後3個、しかし卵が見たところ15から20前後はありそうなので今年の最大は30辺りか?
※追記:クロオオアリ、時間がたってみたら蜜を貰ったようで縮んでいた腹部は膨れ、ぎこちないながらも歩いていた。どうやら私が観察したのは羽化直後だったようだ。
5月17日 アシナガアリの幼虫なのだが、どうも前蛹になり始めたらしく、クリーム色の個体が多くなってきた。多分これから蛹になるのだろう。羽化までどれくらいかかるんだろう?24℃で維持しているから少々時間がかかるかもしれない。
チクシトゲアリはあまりに新しい巣が不評なので従来どおりにした。すると何事もなかったように元来の巣部屋に卵幼虫を入れている。若干の個体がチューブに居座っているが・・
しかし、アシナガアリとクロオオアリは本当にいつミールワームを食べているのか・・
見たときはいつもミールワームの殻だけ。しかし食べてるのを見たことがない。ある意味怪奇現象だ。
5月18日 オオハリアリを採集してきた。湿った桜の倒木の樹皮下に固まっていたのを採集してきた。多分コロニーのほぼ全員を採集してきたと思うが、気がつかない奥のほうにまだいたかもしれない。
というのも、幼若個体がまったくいない上、女王がどれだけ目を凝らしてみてもわからない。
私はオオハリアリの女王を見たことがないし、サイズも働きアリとほぼ同じと聞く。
胸部を見るしかないのだが、これまたみんな同じに見える・・
とりあえず飼育してみて産卵が始まるか、そうしてその産卵された卵からオスが生まれないことを祈るしかない。
コオロギの幼虫を殺して与えてみたが見向きもしない。はて・・?
・・・とよく観察してみたら早速卵が5個ほどあった。吐き戻した食料かと思っていたが、拡大したらしっかりと卵。ということは女王がいる・・?
5月19日 アシナガアリ、全幼虫のおよそ半分がクリーム色の前蛹になったようだ。ということは食料の消費も少し減るということなのでミールワームはまた毎日一匹に戻した。

そしてこれが採集したオオハリアリのコロニーの一部。。およそ半分がメラミンスポンジに寄り添うように居ついている(もう半分は餌を探し回ったり、もう一つのメラミンに寄り添っている)。昨日与えた半殺しのコオロギ、今日になってみたらだいぶかじった形跡があった。
ひとまずは安心か・・?しかしハリアリ飼育は初めてなので何もかもが手探りだ。皆さんの助言がなければ無理だっただろうなぁ。ご助言くださった皆様に感謝している。
5月20日 先月末、猪名川で採集してきたケアリの話を以前にちょこっと書いたが、そこにはもともと羽アリになる大きな幼虫しか入れていなかった。
しかし枚岡公園で何回か竹に営巣したケアリの大コロニーを暴く機会に恵まれ、これでもかというくらいに幼虫を入れている。
以前、ムネアカオオアリ女王に大量の幼虫を入れたら衰弱死したことがあったが、今度は大丈夫だと思っている。
そうしてアメイロケアリ、もしくはクサアリモドキに備えている。
話ではもうアメイロケアリが飛んだという。今冬は異常暖冬だったせいだろうか、普通はあと一ヶ月くらいかかるのだが・・枚岡に行っても夕方まで目が離せないということだ。
最初、クサアリモドキといっていたが、枚岡にもアメイロケアリがいることがわかったので色がカラフルという点でこっちもいいかな・・
5月21日 チクシトゲアリを強制的に新しい石膏巣に引越しさせた。多少怪我したり、死んだりした個体が出たが、それはそれで仕方がないのだが、時間を置いてみたら全員が餌場に集合していた。
むぅー、最初こそ繭を運び込むようなしぐさを見せていたのに・・
去年みたいに突然死しないことを祈るのみだ。
アシナガアリに蛹ができ始めた。裸蛹だ。今でこそ蛹の数は少ないが、採集したときの幼虫のおよそ2/3が前蛹になっていて卵も働きアリの口いっぱいの大きさになっている。
イトウオオアリは石膏巣を壁に沿って掘り始めて今では壮大な地下都市みたくなっている。
それにしても羽アリの繭ができて一ヶ月、一向に羽化してこない。よく見たら若干の個体に目の部分が色づき始めている個体がいるので6月中には羽化するだろう。
しかし、羽化したらしたでどうしてくれようか・・
5月22日 枚岡に行った。到着してしばらくしたら枚岡神社のコロニーが騒がしくなってきていた。

そのすぐそばではオスアリとメスアリが巣を離れて石の上で待機していた。

この状態がしばらく続いていたがやがてこのうち1/3から半分くらいのオスが飛び立ち、メスも数個体が飛び立った。
下はなぜか死んだメスの羽アリを運ぶクロヤマアリ。結婚飛行も命がけなのだ。

こちらはアブにつかまった新女王。去年も写しましたが、今日はこの一個体だけが観察されただけだった。何とかアブより先に見つけて捕獲したいのだが・・

観察の合間に土に穴が空いてる箇所があった。穴を広げてみたらヒラタクワガタと思われるクワガタが出てきた。もう成虫になってるんだなぁ。

観察の合間、椋ヶ根橋で腐りきった桜の枝をこぼすとハヤシクロヤマアリのコロニーが中に住み着いていた。竹割と同じ要領で採集。女王もいた。ちなみにこのコロニーは虫義さんにプレゼントすることにしている。
5月23日 枚岡。昨日、夕方5時半過ぎで観察を切り上げざるを得なかったのだが、その後ムネアカが神社に来ていたようで2個体、脱翅メスの死骸があった。
昨日、盛んに出入りしていたコロニーからはそれほどの数出てこず、昨日が本式か?と思わせた。
そんな中、そのすぐ近くにあるコロニーでまさに「黒山」のごとく羽アリが待機していた。

しかし、このコロニーからはメスが少数離れただけで飛行には至らなかった。
代わりに昨日飛行していたコロニーから夕方5時を過ぎた辺りからメスが飛行を始めた。
見ただけでも10匹以上は飛んで行っただろう。
虫義さんが合流。このコロニーを見ながらしゃべっていたら階段部分に今まさに落としたばかりと思われるクロオオアリメスの羽が3枚、ほとんど同じ場所にあった。
これは女王も近い!と思い二人で目を皿にして探したが、私がヨツボシオオアリの有翅メスを一個体採集したのと、虫義さんがミカドオオアリの未交尾と思われるメスを見ただけであった。
明日も晴れるという。しかし私は明後日、明々後日の雨の後の日曜が怪しいと思っているのだが・・
5月24日 オオズアリにコオロギを与えた。そうすると兵アリが動員されてきた。

兵アリは食いついたら離さないという感じで暴れるコオロギをノーマルサイズの働きアリとともに制圧してしまった。
下は卵塊。これと同じくらいの大きさのものが3つほどある。

最後は兵アリとメス。女王が2匹、脱翅メスが3匹なのだが、女王と脱翅メスはまったく見分けがつかない。
5月25日 トビイロシワアリに居候していた謎のクモだが最近急にいなくなった。まずメスと思しき腹部の丸い個体が消えて約3週間ほどの間に一匹もいなくなってしまった。卵を産むこともなく、何を食べているかもとうとう突き止められなかった。アリツカコオロギも最近少し減った。しかしそれと反比例するようにトビイロシワアリに幼虫が出始めた。
イトウオオアリ、羽アリが羽化した。しかし、今のところ全てメス。オスは羽化してくるんだろうか・・
そのイトウさん、働きアリと幼虫が石膏の下の「地下都市」に引っ越したようだ。今でも派手に石膏を掘っていて多分穴だらけになっているだろう。
クロナガアリの全コロニーで幼虫が孵化した。そこでかねてから保存していた小鳥の餌を与えたら粟の実をかじっているのが観察された。今のところ女王が直接食べているだけだが、栄養状態もこれで少しは改善するだろう。
5月26日 昨日の雨の後、温度が上がるというので飛行があるだろうと思い枚岡に行った。
しかし風がやや強く、終始黄砂のせいか日射が弱く、数字よりは温度は低く感じた。
アメイロアリは石をひっくり返したら卵を咥えた女王がいたりしたが、その一方で飛行も行っていた。
肝心のクロオオアリであるが、夕方4時半頃から5時頃に賭けて一つのコロニーで羽アリが出てきていたが一個体も飛行しなかった。
神社の23日に取り上げたコロニーは巣口の辺りで羽アリが蠢くだけで全然出てこなかった。
何が悪かったんだろうか?
来週は土曜頃まで涼しいという。ということはこれらのコロニーが明日飛ばなかったら枚岡で観察を始めて初めての6月に飛行という線が出てきた。
今年の飛行はすでに終わっているコロニーもあってかなりばらばらに行われているという感じがしている。
5月27日 虫義さんと枚岡。
今日こそは飛行するだろうと思い、行ったのだが、風が強かったせいだろうか、一箇所の巣からメスアリが一匹飛んだだけであった。神社のコロニーはオスが数匹出てくるだけ。あれだけいた羽アリたちはどこに行ったのだろうか?
クロオオアリ、ムネアカオオアリ採集の間、椋ヶ根橋で直径1センチくらいの湿った、中身が柔らかく腐った枝があった。虫義さんが指摘してくださったのだがその枝のそばに中身を掘った様な木屑があった。長さ10センチほどだったので半分に折ると空っぽの空間に何かいる。フィルムケースに落とし込むと、なんとミカドオオアリの脱翅メスだった!
虫義さんがいいというので私がいただいた。
その後、梅林で直径15センチくらいの、割と土に深く埋まった石をのけてもらうとキイロシリアゲアリのコロニーが出た。またいつもどおり女王がいないのか・・と思いよく見たら女王が!
あわてて吸虫管で回収したが1匹はシャベルでつぶれ、もう一匹は弱っていた。
それでも4匹の女王と50以上と思われる働きアリを採集。これまた頂く。
その後、枚岡神社参道で探していたら灯篭についていたムネアカオオアリ有翅女王を虫義さんが発見!お持ち帰りいただいた。
その後、私が枯れ枝を折ったらよくわからないオオアリの女王が2匹出た。
そういえば3年前、これと同じ種類だったような記憶があるが2匹女王を一緒にして飼育していた記憶がある。採集。
結果。虫義さんはムネアカオオアリ有翅女王1匹。
私はミカドオオアリ脱翅女王1匹、キイロシリアゲアリコロニー、謎のオオアリ女王2匹。
この女王、体調8ミリ。色は全体的に黒っぽい。

何の種類か、ご意見募集。
5月28日 アメイロアリのコロニーを採集した。石をどかしたら大きなコロニーがあり、ぱっと見たところでは女王が見られず、またいつもどおり働きアリばかりかと思って目を右に移したらすらこらと遁走する女王を発見。大急ぎで吸虫管をとりだして片っ端から吸った。
それでも石の隙間に入り込んだものもいてコロニーの完全採集とは行かなかったが、8〜9割は採集できたのではないだろうか。
帰って移し変えたら乾燥のせいか働きアリが10匹ほど死んでいたが、他は概ね元気。
増えるんだろうなぁ・・餌場にする容器がないので今日は巣部屋に収容だけした。
5月29日 昨日、採集したアメイロアリだが、あっさりと女王が死んでしまった。
働きアリが噛み付いたり小突いたりするのでおかしいと思ったが、今日見てみたら死骸があった。思うに石の左にコロニーがあったのに対し、この女王がいたのは右のほうだったので右側で単独で子育て中のものだったのではないかと思われる。可哀想なことをしたものだ。
キイロシリアゲアリは石膏巣に移ってくれない。餌場に土ごとアリをぶちまけ、土が乾燥するにつれて石膏巣のほうに移るだろうと思っていたが、なんとチューブに詰まっている。どうなるんだろう?
クロナガアリで数日前、幼虫が孵化した。そこで小鳥の餌を与えたら粟と思われる丸い実をかじっていた。幼虫にも与えているのが観察できた。
オオハリアリ、4匹の幼虫を確認。意外と丸っこい形をしているんだなぁ。接写の利くカメラでないのが疎ましい。ヨーロッパイエコオロギの幼虫丁度一匹を毎日消費する。餌やりをサボるとすぐに卵幼虫を食べてしまうので、ここは神経を使うが、壁に上らないというのは非常に管理がしやすい。
イトウオオアリで羽アリの羽化ラッシュ。しかし、よく見たら全てメスの羽アリなのだ。

採集したアメイロアリは順調。腹部と同じくらい、あるいはそれより大きいくらいの卵塊がある。5月3日に採集したアメイロアリには幼虫らしいものもいるのだが、容器の角に積み上げる上、いかんせん小さすぎてマクロレンズで拡大しても卵か幼虫かわからない。
こんなに小さいとは・・
5月30日 アシナガアリは当初採集した幼虫がほぼ蛹になった。卵は働きアリが口で一杯に咥えるほどの大きさ。孵化した幼虫も5,6匹見られ(そのため今はあまり肉系の餌はいらないようだ)繁栄していきそうだ。この分では夏ごろに巣部屋の増設を考えなくてはならないかもしれない。
不思議なのはオオハリアリ。幼虫、確かに5,6匹いる。
しかし、それ以外の卵がまったく見当たらない。
メラミンに採集してきたときに入った木のくずを集めて巣のようにしているところがあるのでそこに卵があるのかもしれないし、メラミンが白いから見落としているだけかもしれないが、不思議だ。
女王らしい胸の盛り上がった個体はいるのでそんなに心配していないのだが・・
オオハリアリはコオロギ幼虫1匹を一日で消費する。以前、蜜餌を与えたら翌日に5匹ほど溺死していたのでそれ以来与えていないが、それも関係あるのだろうか?
キイロシリアゲアリに蜜を与えたらリング状に集まった。

こういうリングを見たら、蜜あげてよかったと思う。そのキイロシリアゲ、女王がまた1匹死んで、今現在1匹だけ。腹部は大きいのでそれはいいのだが、何故死んだのだろうか・・
5月31日 5月も今日で終わり。とうとう今月はクロオオアリ、ムネアカオオアリの女王様を生け捕りには出来なかった(ムネアカオオアリは脱翅メスの死骸を2個体見ている)。
サーバーの容量の関係もあって写真は少し控えめにして行こうと思っているが今日は大盤振る舞い。というか最近採集日記になってばかりで観察日記になってなかったので・・
まず、アシナガアリ。ごらんのように蛹がわんさかある。卵も働きアリの顎で咥えて2個分くらいの塊がある。幼虫は今現在10個体もいないが、卵が孵化したらきっとよく食べるようになるだろう。

続いてトビシワ。最近報告が滞りがちであったが、ようやく幼虫がそこそこ見られるようになった。しかし、去年まで飼育していたコロニーに比べて個体数が少ないせいか随分おとなしいというか増殖率が低い。アリツカコオロギも寿命のせいか最盛期の半分くらいに減ったが、それから幼虫が見られるようになったことを考えたらコオロギが何らかの悪影響を与えていた可能性はある。

続いて去年から飼育しているクロオオアリ。冬の間に働きアリが3匹にまで減少し、ひやひやしたが今は6匹にまで増えた。繭は7個、幼虫は8匹、卵が約15個なのだが、ミールワーム3匹を毎日与えているのに追いつかないほど肉餌を食べる。どれくらいにしたらいいんだろう?

次、クロナガアリ。幼虫がだいぶ大きくなってきた。今のところやはり女王数の差というべきか女王5のところでやや幼虫が多いがほかは大体似たり寄ったりだ。
この前、粟の実を与えたら女王が齧った破片を幼虫が齧っているのが確認できた。7月中の働きアリ羽化を見込んでいる。

次、枚岡公園の石の下にいたケアリ2コロニーのうち、働きアリの多いほうの写真。
この写真で幼虫がいるが全て導入したものである。幼虫数が多いのでミールワーム1匹を毎日完食する。繭はもともとあったこのコロニーの幼虫が成長したものである。

ほかにも数種類いるのだが、それはまたの機会に・・

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