第2章ー二人三脚での成功ー

 智代の担当になった女性編集者は今井ラナといった。
 ロングヘアーにスーツにメガネ。そのせいかきつそうな性格かと思ったが、割としっかりとした女性
 であった。
 ラナは智代の部屋に来るときはいつもスーツでそれがまたとても似合っていて、智代には格好良かった。
 最初こそ、他人行儀同士だった智代とラナだが、半年が過ぎる頃にはすっかり打ち解けた関係になって
 いた。
 二人はプライベートでも一緒に買い物に行ったり食事に行ったりするほど親密になった。
 
 ラナは智代の専任に近い形だったが、時々別の作家の原稿を取りに行ったりすることがあって、そうい
 う時は
代理として岡田美奈という編集者がやってきていた。
 美奈はラナとは少し性格が違っていて甘いというか優しいというかそういうところが多分にあって、編
 集者と
いうシビアな仕事には不向きなんじゃないか?と、智代は思うくらいであったが、要所は締めて
 いたので問題は
起きなかった。
 美奈はラナと仲がいいらしく、よくラナのことを智代に話して聞かせた。
 ラナはそのことを聞くと少しむくれていたが怒っているわけでもないようだった。
 
 そんな編集者に囲まれ、大学に通いながら智代は次々と作品を発表していった。
 小説「聖騎士と妖精姫」シリーズは若い女性の間で大人気のシリーズとなって、智代はファンタジー文
 庫のドル箱
作家の一人になっていった。
 智代はその印税収入で大学の学費を賄ったというからその人気は大変なものだった。
 文系学部だったのが幸いし、3年後半にはゼミだけ出ればいいという風になったので、大学通学時にフ
 ァンから
サインをねだられてラナがそれを押さえるという光景も徐々に減っていった。
 しかし、智代は大学在学中に恋をすることはなかった。
 作家業が忙しすぎたせいで、周りの友達が合コンに忙しい中、智代は異性とはほとんど接触しない大学
 生活を送った。
 智代にとって恋愛はもっぱらドラマや他の人の書いた小説や漫画での出来事だった。
 
 そして、智代は無事大学を卒業した。郷里へは帰らず、東京で執筆活動を続けることになって、編集者
 も今まで通り、
ラナであった。
 
 そして大学卒業から3年が過ぎ、作家業も板についてきた、智代が25歳の時、新たな展開が起こるの
 だった。

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