2017年6月の観察日記

6月1日 ミカドオオアリ。久々に取り上げる。

ミカドに交じってムネアカ1匹。これは昨年、ミカドの女王を採集した後にメイドさんとして導入した。
大型のミカドの働きアリもこの女王由来ではなく、昨年の蟻研の河内長野で採集した繭からである。

女王。沢山の幼虫が見られるがこれらは5月に枚岡で採集したミカドの幼虫だ。
とにかく、今は働きアリを増やすこと。これに尽きるのだ。
6月2日 アズマオオズアリ。

女王アリ。働きアリと比べると大きさがだいぶ違う。

もう1枚。卵はよく産んでいる。

働きアリ。兵アリに比べると地味だが良く働いてくれる。
6月3日 淀川に出かけた。

トビシワが恐らくナメクジの死骸と思われるものに集まっていた。

これ、何だろう?2匹ほど見かけた。

トビシワ脱翅メスの死骸その1。
今日、死骸は幾つか見かけたが生きている個体は見かけなかった。

死骸その2。生きている個体を見かけないというのは何だか寂しい。

このメスアリはトビシワの働きアリが足の先に噛みついたままお互い事切れていた。

オスアリ。この個体は瀕死だったがまだ生きていた。攻撃されたというよりは交尾後、体力を使い果たしたというように見えた。

そのオスアリのすぐそばで完全に事切れたメスアリの死骸が。
オスの様子から見て今朝、飛んだのだろうか。

その後、大阪城に移動。先週、見かけた寄生蜂の撮影に挑戦した。
しかし、今日は寄生蜂の姿が見えない。
居なくなったのか、単純に見かけなかっただけなのか・・。
このハチはかなり珍しいようなので是非とも撮影の機会が欲しい。
そして、別の場所でクロヤマの働きアリの繭を少しだがゲットできた。
帰宅後、これらの繭は昨年採集したクロヤマとこの前枚岡で採集したクロヤマに入れた。昨年のクロヤマの方に多く入れ、先週の分には数個入れて負担がかからないようにした。
クロヤマの羽アリは全く見かけなかった。
飛んでいるとは思うのだが毎年中々見つけられない。
6月4日 大阪城に観察に出かけた。

クロヤマアリに寄生するハチと思われるものを観察できた。

この個体は少し弱っていたのか地面に降りる時間が多かった。

そうしていると、クロヤマアリに噛みつかれた。てっきりこのまま噛み砕かれると思っていたが、この後クロヤマアリがこのハチを離して立ち去った。
このハチは少し動きにぎこちなさは見られたがこの後再び飛び立ち、ホバリングした。
忌避物質でも出したとしか思えないのだが、どうなのだろうか。

上とは別の個体。明らかにクロヤマアリを狙っていた。
ハチの行動を観察したが、産卵の成功率は高くないようだ。腹部に止まって産卵するという行動は見ることが出来なかった。クロヤマの抵抗が激しい。アタックしてもすぐに攻撃されて離れてしまう。
産卵された個体を採集して飼育してみたかったが、この後少しして姿が見えなくなった。
日射の影響で巣口が日陰になったことが影響したのかもしれない。
しかし、同じ巣口に同時に2匹、このハチが来ているのを見ることができた。
この後、少し時間をおいてこの場所を再訪したがこのハチを見ることは無かった。

クロヤマアリの女王!

それは、引っ越し途中のクロヤマアリの女王だった。
この後、少し離れた巣に入って行った。
この女王は「大型」に見えた。
このクロヤマアリの「大型」「小型」女王の話も突き詰めたいと思っているが・・・。
6月5日 ムネアカ。

卵塊。小型種と違って無茶な増え方をしないので飼いやすい。

女王陛下。昨年、採集した個体だが元気。
6月6日 枚岡で採集したクロヤマアリはどうなったのかと言うと・・。

元気だ。腹部が大きいがこれが採集して以来一切給餌をしていないということに少し驚きだ。いつも「小型」の女王を見ることが多かったから・・。

卵と幼虫。繭は大阪城で採集したもので、卵と幼虫がこの女王の実子になる。
6月7日 久々にアメイロケアリの女王。

撮影しやすいところに出てきてくれた。

腹部は大きい。黄色い働きアリも増えてきて女王の周りに集まっている。 
6月8日 クサアリモドキの様子。

試しに与えているタンパク配合とうたっているゼリーを与えてみた。
2日でこれだけ食べている。

女王。産卵数はそれなり。
例年ほど腹部が肥大化していないがそれでも大きい。
6月9日 職場近くで、昼休みにクロヤマアリの女王を見つけて拾った。
この個体も「大型」個体だ。
持ち帰って容器に収容。
今のところ、問題はない。
それにしてもクロヤマアリの「大型」「小型」女王は一体どういうことなのだろうか。
枚岡と職場近くで拾ったものは大きかった。
動きもどしっとした安定感がある。
小型女王は・・落ち着きがない。
分からない。 
6月10日  大阪城にクロヤマアリと寄生蜂の観察に出かけた。
寄生蜂の来ていた巣口のある辺りは、今日は人が多く観察できそうになかった。
公園内を見てみたが、羽アリの観察は出来なかった。
何か消化不良だ・・。 
6月11日 今日も、大阪城。
今日は、天気が悪く涼しいというより冷たい風が吹く天気だった。
そのためにクロヤマの巣口も働きアリの出入りが極めて少なく、ハチも見つからなかった。
当然、羽アリも見つからなかった。
せめて、寄生が確認された働きアリを採集出来たら面白いと思っているのだが叶わない。
む、む、む・・・。 
6月12日 まずは、遠目の画像から。

黄色いアリ、アメイロケアリだ。

近づいたもの。世話はアメイロケアリがしている。

繭の置き場。ここでは、ホストのケアリも繭山を歩き回っている。
餌場にはアメイロアリは全く出てこず、採餌はホストのケアリのみが行っている。
以前、書いたがアメイロケアリだけになった時に上手く餌を食べて行ってくれれば問題がないのだが・・。
今は肉餌はミールワームしか与えていないが食べてくれている。 
6月13日 5月に新女王を採集したアメイロアリにしてみた。

幼虫、ここまで育ちました。

女王。本当に小さい種であることが悔やまれる。飼いやすい種だと思うのだが昨年採集した女王は死んでしまった。
6月14日 5月に枚岡で採集したクロヤマ。

幼虫が育ってきた。繭は大阪城で採集したものだが、羽化しない。
食べていないのだが羽化しないのは変な気分。

女王。無給餌だがそれでも腹部はやや大きいままだ。
6月15日 昨年、新女王を採集したクロヤマアリだが・・
絶不調なのだ。
肉餌を食べてくれない。
繭を導入しているが、導入した幼虫は干からびているのだ。
蚊を与えても食べてくれない。
取りあえず、タンパク入りをうたっている昆虫ゼリーを与えているが・・
1990年後半の方が増やせていたということに動揺を感じるしかない日々である・・。 
6月16日  チクシトゲアリは意外にもミールワームをよく食べてくれる。
そのお陰で、繭も見られるし、勢いに特に問題はない。
チクシは今までコオロギとかハニーワームのような餌を与えていたがミールワームを食べてくれると手間、予算的に助かる。
ミールワームは簡便な餌で入手のしやすさ、手間のかからなさに改めて脱帽する日々である。 
6月17日  大阪城に出かけた。
今日の目的はクロヤマアリに寄生するハチだ。

1匹だが飛んでいるのを見つけた。
このハチ、本当に撮影が難しい。
殆どホバリングしているし、小さいからだ。

よく似た飛び方をするハチを見て撮影したがこうしてみるとクロヤマアリに寄生するものとは少し違うように見える。

そして、やっと撮影できた。
クロヤマアリの腹部に止まって産卵しているところ。
何枚も撮影したがこれ以外はボケて使い物にならなかった。
この産卵された働きアリは撮影のどさくさに紛れてどこかに行ってしまったが、後で産卵されたと思われるクロヤマアリを1匹採集した。
もっと寄生されたクロヤマアリが欲しかったがホバリングばかりであまり産卵してくれない。これは狙われているクロヤマアリが明らかに警戒しているからだ。 
6月18日 今日も大阪城に出かけた。
昨日、Elasmosomaと教えて頂いた寄生蜂のいる辺りは人が多く観察できなかった。
しかし・・だ。

いたのだ。昨日とは、全く別の場所で。

クロヤマアリを付け狙っている。

ホバリングしてチャンスをうかがう。

左側のクロヤマアリは踏みつぶされた死骸だ。それをせっつくクロヤマアリに付きまとった。
産卵も確認したが、ピンボケで全く使い物にならない写真しか撮れなかった。
更に、まさかの採集用具の吸虫管、フィルムケース両方とも置き忘れてしまうという大失態。採集も叶わず。
今度、ここに来られるのは日曜日。観察、採集出来るかな・・
6月19日 クロヤマアリだ。

普通の何の変哲もないクロヤマアリだが、この体内には寄生蜂が宿っているのだ。
土曜日に産卵行動を確認した2匹のうち1匹。
寄生蜂の産卵を撮影したものとは別のクロヤマアリだ。
本当はもう少しそういったクロヤマアリを採集したかったがあまり産卵しなかったので結局この1匹だけ。
普通のクロヤマアリも入れてみようかと考えたが、脱出した寄生蜂の幼虫が食われたりしたら嫌だったのでこの1匹だけ。
さて、これからどうなることやら。 
6月20日 先月、枚岡で採集したクロヤマアリの女王。
繭を導入していたが、働きアリの羽化が確認できた。

羽化して間もないようで体色が淡い。

女王と働きアリ。
幼虫はこの女王アリの実子だ。
6月21日 ここ数日、アメイロケアリが餌場に出てくるようになった。

昆虫ゼリーを舐めている。
巣内の黒いケアリに混じってオレンジのアメイロケアリが増えてきた。
さて・・ここからがうまく行くか、だ。 
6月22日 寄生蜂に寄生されたと思われるクロヤマアリは今のところ元気だ。
このハチについては全く生態が分からない(私が調べたところでは)。
どういう展開になるのだろうか。
楽しみだが、如何せん1匹しかいない。
貴重品・・ 
6月23日  アメイロアリでは、働きアリの羽化が始まった。

羽化して間もないようで体色が淡い。
21日のアメイロケアリと色的にはあまり変わらないように思えるが、何分小さい。
蜜を与えても気を抜くとすぐに溺死してしまう。
結構気を遣う。 
6月24日 今日は、晴れて気温も高い。
絶好の観察日和・・なのだが、会社の用事で全く観察に行くことが出来なかった。
先週のこともあって、テンションが上がり気味なところでこれは痛い・・。
明日は雨と言う。
そして、7月の1日はまた別の用事で観察に行けない。
次、観察できるのは7月2日。
せめて、晴れて飛んでいてくれることを祈るしかない。 
6月25日  寄生蜂に寄生されたクロヤマアリは相変わらず。
行動を観察しても特に異常は見られない。
もっとサンプルがあれば顕微鏡下で腹部の解剖をしても面白そうだが(と言っても我が家には顕微鏡はないのだが)、まずはとにかくどういう経過をたどるかを観察することが重要だ。
そう思って、日々寄生されたアリを眺めている。 
6月26日 例年に比べて、少し涼しい日々が続く。
しかし、もう1か月もしたら氷枕と恒温機に活躍してもらうことになるだろう。
恒温機購入時、冬場の加温をメインに考えていたが、今では夏場の冷却をメインに考えている。
真夏の暑さが危険だということは2004年辺りに初めて気が付いたが、まさに「狂走」としか言えないアリの動き。
暑さに比較的強いケアリ系は常温でもじゃかじゃか増えてくれるから楽だけどね・・。
6月27日 5月に枚岡で採集したクロヤマに初めて給餌した。
働きアリが蜜やミールワームに集まる。
この勢い、そのまま維持して増えてくれたらなぁと思った。
でも、うまく行くかなぁ。 
6月28日 日曜日に、アメイロケアリに入れた昆虫ゼリーは、ほぼ食い尽くされてしまった。

こんな感じ。
導入したケアリの数が多かったためだろう、食欲もすごい。
アメイロケアリの羽化も続いていて段々オレンジ色の領域が増えてきた。 
6月29日 9日に採集したクロヤマアリの女王の子供も蛹になった。

この女王には繭を入れていないし、給餌もしていないがここまで子育てした。
今までの「小型」女王だとここまで中々来れなかったので、拍子抜けするほどあっさりとした展開だ。
本当に同種なのかと疑いたくなるほど・・。 
6月30日 先月、枚岡で採集したクロヤマアリには、一番最初の餌としてミールワームの欠片を与えた。
与えた後、思った。
最初は乾燥アカムシを与えてみたらよかったのではないだろうか、と。
アリは結構グルメでいったん美味しい餌を覚えると、味の劣る餌の食いが悪くなる。
乾燥アカムシは今まで数種類のアリに与えてみたがどれも生餌(あるいは殺したて)の後だ。
せめて最初は乾燥アカムシにしたら良かったと思ったりした。 

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