2016年7月の観察日記

7月1日 最近、品薄状態になっていたハニーワームがようやく育ってきた。
かなり数が多いのでそろそろアリに与えていかないと培地を食い尽くしてしまいかねない。
と、いうわけで今日からアリに与えるのを「解禁」にした。
ハニーワームは食べ残しが少ないので重宝するけど、買うと割高なんだよね・・。 
7月2日  気温が高めなので、少し早いかと思いつつ枚岡を歩いた。

駅前の自販機に何かのオスアリがいた。
見たところ、ケアリではなくオオアリっぽかったが良く分からない。

神社の灯篭にハラビロカマキリの幼虫がいた。

クサアリモドキの有翅メスが外に出て様子をうかがっているところに遭遇した。

もう1枚。しばらく見ていたが、飛び立つところは見れなかった。

椋ヶ根橋でヨコズナサシガメを見た。

数匹しか見かけなかったがアシナガアリのオスアリを見かけた。
そのすぐ後にアシナガアリの脱翅メスを1匹だけ見かけた。

ニイニイゼミの幼虫にアミメアリが集っていた。

夕方、箕面へ出撃。

おそらくヒメカマキリと思われるカマキリの幼虫。
大体1センチほど。

ハヤシケアリと思われる赤っぽいケアリがいた。期待が高まる。

トイレの明かりにクワガタが来ていた。
箕面での夜戦の結果だが、いたって寂しいものだった。
自販機にも殆ど羽アリの姿が見られず、見られたとしてもケアリのオスがトータルで数匹という寂しい結果だった。
取りあえず、滝周辺で数年ぶりに蛍が舞っているのを見られたのでそれだけが唯一の成果だろうか。
7月3日 朝から枚岡に出撃した。

神社でフキバッタを見かけた。

アシナガアリの有翅メスがクモの巣に引っかかっていた。飛んでいるのだ。

ミヤマカミキリがいた。

トビイロケアリとは体の色が異なる。ハヤシケアリだろうか。2匹見かけたが採集できなかった・・。

クサアリモドキ脱翅メスも1匹だが見かけた。
最盛期にはもっと見つかるのでまだ本格的に飛び始めていないようだ。

撮影より採集を優先したので画像がないがアメイロケアリの脱翅メスを1匹かけたので採集した。
ケアリの蛹を採集できそうな倒木には予め当たりをつけていたので樹皮をめくるとそれほど多くないが蛹をゲットできた。
また来週以降に訪れて蛹を増強したい。
ケアリの働きアリは5匹だが、1匹をかみつぶした後、導入。
働きアリが変なものを探るようにしているが本格的攻撃には至っていない。
7月4日 昨日、採集したアメイロケアリである。

ケアリの働きアリも攻撃はしないものの、威嚇するような行動が少し見られる。
しかし、現状ケアリの働きアリはこの容器に2匹しかいないので大規模攻撃には至らない。

さて、会社の近所で夕方にアメイロケアリの飛行があったようだ。
右側の翅を落としたメスアリを1匹採集した。
持ち帰って、この容器の働きアリを1匹半殺しにして放り込んだ。
上で、2匹と書いたが、この1匹を除外した数だ。
ヒゲナガアメイロケかアメイロケかはまだ後日同定したい。
7月5日 予想最高気温が35℃まで上がるというので、氷枕の登場になった。
ただ、ケアリ類は明らかにその35℃近いであろう室温の方がより活発に動き回っているように思うし、気を使って恒温機に入れると却って活性が落ちてしまうように見受けられる。
この辺りは種毎の暑さへの耐性が見られて面白い。 
7月6日 先月に採集した女王2匹のトビイロシワアリ。
蛹が見られるようになった。

目に色が入っているので、近いうちに羽化すると思われる。
身近なトビシワでも新女王から育成してみると、コロニー採集したものとは異なった愛着がわくね。
7月7日 クロヤマアリは2コロニーいて、1コロニーが女王2、もう1コロニーが女王1だ。
今日、見ていると、女王2のコロニーの方で女王が1匹死んでいた。
女王がもう1匹いるので、終わったわけではないが、女王1匹は何かと気を揉むんですよ・・。
女王1の種で女王が死ぬのを見ていると、多女王の種って安心感がある。
それに引き換え、女王1の種は女王の突然死のリスクと常に背中合わせだ・・。
7月8日 氷枕を使うと、クサアリモドキの働きアリが餌場から消える。
どうしているのかというと、氷枕の下に集まって涼んでいるのだ。
毎年、見かける光景だがこの光景を見るとなんだかとても微笑ましい。 
7月9日  シベリアカタアリが不調。
ぽつぽつと働きアリが死ぬのが止まらない。
卵幼虫蛹のサイクルは回っているので、一気に減少するということはないのだがそれでも漸減という状態。
一体、何が悪いのだろうか。
・・・分からない・・。 
7月10日  枚岡を歩いた。
昨日の昼頃まで雨が降っていたので、今日は期待していた。
しかし、トビイロケアリの脱翅メスを1匹見かけただけで他の女王は全く見かけなかった。アメイロケアリ用のケアリの繭を採集しただけで終わった。 
7月11日 アメイロケアリの女王は死んでいない。
それを見て、ふと思った。
この女王は、栄養をもらっているのだろうか、それとも水分だけで生き延びているのだろうか、と。
先週、採集してきたケアリの働きアリは非常に少なく、アメイロケアリの女王1匹の方では少しの間ケアリが全くいない状態になった。
その間、アメイロケアリの女王は濡れティッシュの隙間に潜んでいたのだ。
はて・・この女王は水分だけで数日凌いだと解釈すれば良いのだろうか・・? 
7月12日  アメイロケアリの女王に少しずつケアリの働きアリと繭を入れている。
ケアリの働きアリは少し威嚇行動も見られるが、本格的な攻撃には至っていない。
しかし、馴染んだというわけでもない・・
羽化した働きアリがどれくらいいるかで今後の展開が変わりそうだ。
その、ケアリの繭からオスアリが・・。
数年前に体験したが、オスがわらわら羽化してくると、やはり少しへこむね・・。 
7月13日 クロヤマアリは、今年は常温飼育で行くことにした。
まだ、夏の暑さは本格的でないのか、暑さによると思われる死亡は見られない。
もし、このままうまく夏を乗り切ることができればずっと夏の暑さを乗り切るために恒温機内に入れていたのが無駄だったと言える。
クロヤマアリをうまく飼えなくなってきたのは温度ではないか、と考え始めているので一度実験してみたいのだ。
どうなることやら。 
7月14日 アメイロケアリの女王は2匹いたのだが、そのうち1匹が今朝見たら死んでいた。
そこで、働きアリと、繭を全てもう1匹の方に導入。
朝なので余り観察する時間はなかったが、見るとすぐにそのうちの1匹と熱烈な栄養交換を始めた。
それを見届けて出勤。
帰宅後、様子を見ると一部威嚇行動が見られる働きアリはいるが、噛みついたりする働きアリはおらず、アメイロケアリは元気に巣部屋の中を歩いていた。
1匹は残念だったが、これでこの1匹だけ残ったアメイロケアリに集中できるともいえる。
週末、また繭を採集しに行ってさらに増強をはかりたい。 
7月15日 今、一番動きがあるアメイロケアリ。
今日も観察してみたが、蛹が置かれている辺りに陣取っていた。
一緒の導入したケアリの働きアリからも致命的な威嚇行動は見られない。
ホント、後は繭さえ多く取れたら女王の突然死を除けば発展の目が大きくなると思う。
ちなみに、現在のケアリの働きアリの数はおよそ50ちょっと。
せめて200以上はほしいのだが、明日取れるかどうか微妙・・。 
7月16日 枚岡を歩いてきた。
本来、今日は観察会の予定にしていたのだが、私一人しか参加者がいなかったので自由気ままに歩いてきた。

9時半頃、クサアリモドキが葉の上に出ていた。観察していると数匹のメスアリが飛び立っていった。

クダマキモドキ?

何の幼虫だろう?

スズメバチが休んでいた。割と近づいたのだが、近くまで寄って撮影させてくれた。

ニイニイゼミ。

クロオオアリがミミズの死骸に集まっていた。

キマワリのペア。

今日の戦果。ケアリの繭が沢山。
木を捲ると、ばらっと出た。
アメイロケアリの女王に導入する。
羽アリ関係は、アシナガアリのオスが1匹と、上で取り上げたクサアリモドキの僅かな飛び立ちを見ただけ。
他は羽アリは一切見られず、寂しい結果だった。
7月17日 昨日、採集したケアリの繭からは働きアリが羽化している。
時期的に、オスアリの羽化ピークは過ぎたと思っていたが、採集したとき若干のオスがいたので繭からオスが多く出てきたらアメイロアリには使えないなぁと思っていたがほっと一安心だ。
今日は、蓋を開けた時に働きアリがアメイロケアリの女王を咥えて引きずって移動させようとしていた。
良い感じだ。 
7月18日 午後から枚岡に出かけた。
しかし、何と言うか・・非常に静かなのだ。
羽アリ関係は、アシナガアリのオスを1匹とハヤシケアリの脱翅メスを1匹見ただけでほかは全く見かけなかった。
時間的に一番気温の上がる午後3時頃歩いたからだろうか。
しかし、過去の記録を見てみると午後でもオスアリやメスアリをたくさん見た日はあって、それを考えると、「飛んでいない」という結論になるのだろうか。
例年、この3連休辺りは結構いろいろな種のメスアリを見ることができていたので、大いに肩透かしを食った気分になった。

アメイロケアリ用のケアリの繭を探した。
先日、捲った木をもう少し捲ってみようと思った。
その時、ふと傍に倒木があるのを見つけた。
樹皮が少し硬そうだったので期待せずに鉈を振り下ろすと、いい感じで皮が捲れてそこにあったのは大量の繭、繭、繭。
無我夢中で吸い取った。

戦果。分かりづらい画像になってしまったが、とりあえず全体を写したかった。

タッパーの片側に寄せてみた。どう見ても、数百個はある。
これらをアメイロケアリに投入した。
これに伴い、アメイロケアリもタッパーから石膏の巣部屋に引っ越しさせた。
1時間ほどで巣部屋を認識して入ってくれたのでほっと一安心だ。 
7月19日 昨日、採集してきたケアリの繭は私が帰宅する頃には全て巣部屋に運び込まれていた。
繭からは少しずつではあるがケアリの働きアリが羽化してきていて、それらはアメイロケアリの女王に懐いているようでアメイロケアリの女王の周りに集まっている光景も見られる。
取りあえず、第一段階はクリアとみて良いと思う。
後は、女王が突然死せず、産卵を開始してくれればもっと安心できる。 
7月20日 アメイロケアリ。少し落ち着いたので写真を写した。

羽化したばかりの体色の淡いケアリの働きアリがアメイロケアリ女王の近くに多く見られる。
産卵はまだ確認できていないが、状態としては良いと思う。
7月21日 クロヤマアリは、今年、常温飼育で飼育している。
暑さによると思われる働きアリの大量死は今の所、起きていない。
それでも、中々増えてくれない。
産卵数が思ったほど増えてきてくれないのだ。
何が良くないのだろう・・。 
7月22日  恒温機は日中だけ稼働させている。
夜は部屋にエアコンが効いているからだ。
恒温機には今年採集したヤマトシロアリがいて、小さな幼虫が数匹孵化している。
ティッシュだけしか入れていないし、現状数も多くないのでもう少しフィルムケースとティッシュで過ごしてもらおう・・。 
7月23日 午前、枚岡を歩いた。

自販機にオスが来ていた。
形と色から見て、ヒラズオオアリかハヤシケアリ辺りだと思うが、分からない。

上とは別のオスアリ。ウメマツオオアリあたりだろうか。

ウメマツオオアリか、イトウオオアリか・・。
いい加減、同定しなきゃね・・。

ヒグラシが幹に止まっていた。

月曜日、繭を取った朽木をもう少し物色してみると、もう少しだけ繭が出て、10日の日に繭を採った朽木からも繭が取れた(ここは繭の数に対して働きアリの数が異様に多く、採集には苦労した)。
それでも目分量で100以上の繭、裸蛹をゲットし、帰宅後。繭、蛹を導入。
この前ほど数が多くないのですぐに運び入れられた。
…すごい繭になった。また、今日から蜜エサでかでなくミールワームも与えるようにした。
蜜だけだと蛹を食べているようなのだ。
それを見てしまったので、ミールワームの導入に至った、
7月24日 久々に、午前に箕面に出かけた。

シリアゲアリがいた。街灯近くの手すりに集まっていた。
種類、調べようと思い、1匹サンプルとして持ち帰った。

アシナガアリも飛んでいたようでオスアリを歩き始めてすぐに見かけた。

クロホシテントウゴミムシダマシ。今日も見ることができた。

ふと、葉の上を見るとクサオオアリの脱翅メスがいるではないか!
2013年に9月にこの種の脱翅メスを見たし、今までこの時期に見たことがなかったので本当に驚いた。

アシナガアリのメスアリ。
脱翅メスは1匹も見かけなかった。

まさかのアゲハモドキが街灯に来ていた。
2010年に枚岡で飛んでいるのを見かけて以来だ。
今日の個体はじっと止まっていてくれたので。思う存分観察と撮影ができた。

赤っぽいケアリ。ハヤシケアリっぽい。

上で取り上げたのと同じ種と思われるシリアゲアリの団子。
メスアリばかりだった。

ハヤシクロヤマアリのオス。そういえば、ここ数年オスは見るけどメスの羽アリを見ていないなぁ・・。

良く分からないカメムシ。見たことがない種だったので撮影した。

街灯に来ていたクサオオアリの有翅メス。
やはり、飛んでいたのだ。
しかし、今までこの時期に全く見かけなかったのだけれど・・?

採集優先にしたので撮影できなかったのだが、この他にナワヨツボシオオアリの脱翅メス2匹、有翅メス1匹を採集した。
アギトアリは生息地を訪れてみたが姿は見えなかった。
日が出ている時間はあまり活動しないと聞くので、その関係だろう。
そのあと、昆虫館に寄って帰った。
7月25日 6月に淀川で採集したトビイロシワアリ。
女王2匹でスタートしたのだが、働きアリが4匹生まれている。

羽化して間もないと見え、体色が淡い。
トビシワは新女王から育てたことがなかったので、こういうのも趣向が変わって面白い。 
7月26日 アメイロケアリに入れたケアリの蛹からは働きアリ次々と羽化している。
それらは、女王の周囲にいて雰囲気はとても良い。
後は、産卵開始を待つだけだ。
今のところ、目立った腹部の肥大は見られない。
メイプルの水割りはとてもよく消費されるのだが、これらが女王に行っているのか、羽化したばかりの働きアリの消費に回っているのか良く分からない。
とにかく、肉餌としてのミールワーム切片とメイプルの水割りはさぼれないということになる。 
7月27日 日曜日に箕面で採集したクサオオアリは、有翅メスが1匹翅を落とした。
普通なら、これで万歳と言う所なのだが、この種はここから働きアリ誕生に至るまでが異様に難しそうな印象だ。

2匹いる脱翅メスの1匹。
腹部の白いラインが特徴的だ。
さて、どうしてくれようか・・。
7月28日 アメイロケアリ。
まだ、産卵を確認していない。
働きアリが女王の周囲に集まっているし、女王も見たところ問題はなさそうに見える。
腹部がまだ大きくなっていないが産卵が始まれば大きくなると思う。
とにかく、最初の1個だ。卵を確認できたらそこからすべてが好転してくれると思う。 
7月29日 ケアリコロニーの様子にした。

蛹の世話をしている。
女王も昨年写したくらいの大きさに腹部が大きくなったが、撮影時に結露した場所にいて撮影かなわずだった。
7月30日  アメイロケアリに入れたケアリの繭、蛹からは毎日大量の働きアリが羽化し始めている。産卵はまだ見られないが、2011年の記録を見ると8月中旬に産卵したこともあったので気を揉むほどでもないのかもしれない。
蜜餌、肉餌ともに消費が激しく、朝給餌したメイプル水割りが夕方には完全にすっからかんになっている。
ロケットスタートを切れたと思っている。 
7月31日 
卵である。
何の種類かと言うと、先週に箕面で採集したクサオオアリなのだ。
ここ数日、完全放置に近い状態になっていたのだが、それが良かったのだろうか。
しかし、まだ油断できない。
働きアリが生まれて初めて一息つけるのだ。

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