2015年5月の観察日記

5月1日 クロヤマアリは現在3コロニー飼育している。
2コロニーは卵ばかりだが、1コロニーでは育った幼虫が2個体見られる。

少し暗い写真になってしまった。
恐らく終齢と思われるほど育った幼虫。
この幼虫がいるコロニーは昨秋涼しくなってから突如産卵を言再開して私を驚かせた女王のコロニーのものだ。
このコロニーの女王は他の2コロニーの女王よりボンレスになりやすいので見分けがつきやすい。
5月2日 ここ数年、ゴールデンウィーク恒例行事となっている信貴山散策をしてきた。

フジの花が満開であった。

新緑溢れる山道を歩いて行く。

山道で私の目の前にとまったチョウ。近づいて撮影させてくれた。

クロオオアリがガの幼虫の死骸らしき物に集まっていた。

ニワハンミョウっぽいハンミョウ。麓だけでなく山に入ってからも時々みかけた。

キアゲハ。確実にキアゲハだ!と言うものを見たのは実は初めてではなかったかと・・。

アワフキムシとその巣。撮影した時はアワフキムシ幼虫が傍にいた事に気がつかなかった。

「鐘の鳴る展望台」付近でイタドリハムシが見られた。

これもその近くのイタドリで見かけたがハムシであると言うこと以上はちょっと良く分からない。

「鐘の鳴る展望台」のてっぺんから奈良方向を見た。

暗峠で見かけた見事なフジの花。

トンボが止まった。金属光沢の緑色が美しかった。

この花、「シャガ」と言うらしい。先週、kuroyagiさんに教えて頂いた。

クビボソジョウカイ?

オサムシが何かを貪っていた。

今年は春に良く見るキリギリス系の幼虫を見ないと思っていたが最後に見かけた。そう言えばナナフシの赤ちゃんは見かけなかった。

気温は高く、何か飛ぶかと思っていたが何も見かけなかった。
神社のクロオオアリの巣口を見ると、オスが少しだけ入口を窺っていたがまだ全体として巣口自体が小さい。飛行はもう少し先と言う印象だ。
5月3日 クロオオアリのコロニー。様子が何か変なので見てみると・・

女王陛下が崩御されていた。
このコロニーの女王は冬が終わっても卵を殆ど産まず、変だなぁと思っていたが、死の予兆だったのだろうか。
合掌。 
5月4日 トゲアリの女王と卵を写した。

まだ数個だが、産卵してくれたこと自体が嬉しい。
トゲアリが一番産卵開始が遅かったからね・・。 
5月5日 クロナガアリの女王の幼虫たちは蛹になった。

働きアリと比べると蛹の巨大さが引き立つ。

上とは別の個体。

働きアリの蛹と一緒に置かれていた。
幼虫たちは全て蛹になり、後は羽化を待つだけである。
5月6日 風はさわやか、湿度も体感的に低く飛行日和で無いことは明らかだったが枚岡。

例年取り上げるナナフシの幼虫。今日見た物は少し成長していて体色も緑になっていた。大きさは2センチほどだっただろうか。

クワガタのメスがいた。種類は良く分からないが、越冬したものだろうか。ゴールデンウィークに見るとは思わなかった。

クモの巣にかかっていたキアゲハを救出した。しかし弱っていて自力でもはや飛ぶことも出来なかった・・。

今日、唯一の見せ場。クロクサアリの脱翅メスが立て続けに3匹歩いていた。もう歩いてるんだね。このメスアリ、歩いているのを見ると色やすばしっこい所が一瞬クロヤマアリの働きアリに見えてしまう。

ケアリの働きアリが何かの幼虫を取り囲んでいた。襲う訳でもなく、触角でつついているだけ。何なのだろうか。結局分からなかった。
5月7日 ケアリコロニーでは繭が続々とできてきている。

繭はこれでほぼ全部。画面外にこれより数は少ないが裸蛹の塊がある。

今日の餌はミールワームにした。与えるとすぐに群がる。

幼虫と働きアリ。
5月8日 クロヤマアリでは繭が見られるようになった。

このコロニーでは繭が2つある。他の幼虫も育っている。

クロヤマアリは後2コロニーいる。
1日に紹介したものは今日紹介したものとは別のものだが、1日に紹介した成長した幼虫がまだ繭になっていない。
もう1コロニーでは卵しかない。
この2コロニーの状態は悪くないとは思うのだが、何が悪いのか分からない。
皆同じ条件で飼育しているはずなのだが・・。
5月9日 久々にムネアカ。

幼虫が育ち、繭ができ始めている。

卵もある。産卵数はケアリの女王に比べるとずっと大人しめだ。
5月10日 枚岡を歩いた。

地面をミドリカミキリが歩いていた。

アシナガバチが巣材として木を齧っている。

樹上性と思われるキリギリスの幼虫。先日見た時より明らかに大きく成長していた。

ガードレールにラクダムシがいた。前に見たのはいつだったかと記録を遡ると2009年以来なので6年ぶりだった。

春のお約束、カミキリモドキと花。今日の花はヒメジョオンもしくはハルジョオンのようだった。

アオスジアゲハが花の蜜を吸っていた。

スジグロシロチョウも花の蜜を吸っていた。

オトシブミの「ゆりかご」。山のある一角でまとまって落ちていた。
肝心のアリについてだが、クロクサアリの脱翅メスを1匹だけ見かけた以外は収穫皆無だった。
終始涼しい風が吹き、3時頃からその風が少し強くなり木々がざわめいているような有様だった。
巣口を見ても何もない。
今日のオオアリ系の飛行は無いと判断し、山を後にした。
5月11日 ウメマツオオアリの女王アリを写してみた。

ウメマツオオアリは本当に飼いやすいアリだと思う。比較的何でも良く食べてくれるし、増えてくれる。樹上性種と言う関係か乾燥にも比較的強い方だと思う。
ただ、僅かな隙間からでも脱走できると言う能力をもう少し緩和してくれれば・・ね。 
5月12日 クロナガアリの加温ヒーターを切った。
5月は急に暑くなってくるので温める必要もなくなり、ヒーターをつけていると乾燥が進みすぎる危険も考慮してのことだ。
これでまた今年は秋までお役御免である。 
5月13日 昨日、雨が降った。
今日は台風一過で晴れた。
会社の昼休みに少し散歩をして見るとアメイロアリのオスを1匹だけ見かけた。
そこで、会社が終わってから枚岡の当たりを少し歩いてきた。
結果は・・見事に何もいなかった。
敗因は風が少し強かった事、そして蒸し暑いと言うよりは爽やかな気温だったと言うことだろうか。
今までに数回会社の終わった後に枚岡を歩くと言うことはやっているが、どうも成績が芳しくない。
明日も晴れて今日よりもう少し暑くなるそうだ。
果たして明日はどうだろうか。
と言いつつ、明日枚岡に足を伸ばすかはまだ決めていない・・。
5月14日 今日も終業後に遠征して枚岡を歩こうと思っていた。
しかし、昼頃から雨になった。
それほど強く降らなかったようだが気温は明らかに昨日より下がり、全然良い雰囲気じゃない。 
明日も天気が悪いらしい。
しばらくお預けになった。
5月15日 今日は私用があったのだが、予想外に昼頃終わった。
それ幸いと枚岡を歩いてきた。
昨日の予報では今日は天気が良くないはずだったが持ち直していた。しかも昨夜に雨が降り、「分かりやすい」と思ったからだ。
公園内や暗峠を歩く。
全く何もない。
神社のクロオオアリが少し外を窺っていたがその時点では全く飛ぶ雰囲気ではなかったのだ。「アツい」はずだけどなぁ・・と思いながら歩いていると、4時過ぎにやけに巣口が賑やかなクロオオアリコロニーを見た。

暫く見ていたが、飛ぶ雰囲気は無いので撤収した。 
枚岡の展望台を少し上がった所にはクロナガアリの生息地がある。そこはアメイロアリもそこそこ生息しているのでアメイロアリでも見に行くか・・と思いそっちに向かう。
すると・・。

そこではクロオオアリのメスアリが飛び立ちをしている最中だった。

オスアリもその時点では少しだが空に飛び立って行った。

クロオオアリのメスアリが飛び立つ瞬間。もっと良いのを撮ろうと粘ったがこれ以上の写真が撮れなかった。

このコロニーはオスが多かった。

麓に降りてきても、至る所で祭りだった。

普段、巣口に全く気がつかないコロニーも今日は羽アリがたむろし、羽音を響かせているので容易にコロニーの場所が分かる。

午後6時を過ぎてもそこかしこで羽音が聞こえている状況だった。
ミカドオオアリのペアが私の傍に落ちてきた。あっ!と思い、カメラを向けようとした次の瞬間にはメスアリが走り出し、ペアは分離、オスは飛び去ってしまった。
明らかにオスはメスに抱きついていたんだけどね・・。
この時のメスアリは確保した。

ムネアカオオアリの有翅メスも見られた。
この辺りでムネアカのコロニーは見ていないのだが、どこから来たのだろうか。いつも飛行の時には近くにムネアカコロニーが無いと思われる場所でもメスアリを見ることができる。

午後6時半頃になり、羽音が聞こえなくなってきた。
今日の飛行の規模からかなりの脱翅個体が見られると思い、散策を続けた。
段々と日没時間が近づき、陰の濃さが増す一方。今日は夜戦をするつもりが無かったので懐中電灯を持ってきていなかったのだ。
懸命に探した。
しかし、脱翅個体は1匹も見ることは無かった。
今日の飛行は例年観察していたよりも少し時間が遅く始まった感じがする。
そのため、アリたちが下りてくるのもずれこんでそのために観察できなかったのではないか、と考えた。
それでも、飛行の瞬間を見ることができたと言うことにおいて、大いに楽しめた1日だった。
5月16日 昨日、飛行に遭遇したのを受け、今日も山に上ろうと考えていた。
しかし、昼頃まで雨が残りしかも冷たい風が吹く肌寒い一日になった。
これでは探しに行っても徒労に終わる可能性が高いと判断し、山にはいかなかった。
明日は天気も回復し気温も上がるらしい。
明日も飛ぶ所が見られるだろうか。
そして脱翅メスを目撃してその大きさを改めて確認できるだろうか・・。 
5月17日 午後から枚岡に出かけた。

暗峠でクロオオアリのほぼ脱翅した新女王を見つけた。このすぐ近くで完全に脱翅したクロオオアリの女王を見た。
幸先の良い出だしにテンションが上がる。

綺麗なトンボがいた。胸部の緑が美しい。

シリアゲムシがいた。ヤマトシリアゲ?

金曜日に飛び立ちを見せてくれたクロオオアリは今日もオスが飛び立つのを確認できた。

巣口付近で風の様子(?)を見ているメスアリ。観察中、飛び立つことは無かった。

こんな感じの巣口は複数見たが一昨日のように「ぞろぞろ」ではない。
さて、今日も夕方からクロオオアリの飛行に遭遇できた。
しかし、金曜日に比べると規模の点においてかなり見劣りし、メスアリの飛び立ちは見ることが無かった。巣口から少し離れたところまでは出てくるのだが、飛び立とうとしない。オスも少し飛び立つのは確認していたが、今一つ・・。
当然、羽音がそこかしこから聞こえるなんてこともなかった。

ハイキングコースの標識にムネアカオオアリのオスが止まっていた。腹柄節の辺りだけ赤かった。翅の色もクロオオアリより褐色が強い。

ベニカミキリが死んでいた。

休息中のジャノメチョウ。

この時期に良く見かけるエサキモンキツノカメムシとは異なるカメムシ。種類は良く分からないが、今年は良く見かける気がする。これともう一種類、撮影していないがこれよりやや細長い緑のカメムシも多い気がする。

山の中でアミメアリの蟻道を歩いているアメイロアリの有翅メスを見つけた。アメイロアリは死なせてしまっていたので採集した。
展望台付近でクロナガアリの有翅メスを見つけ、クロクサアリの脱翅メスも見かけた。
また、公園事務所付近で5時過ぎに巣穴を掘ろうと隙間に頭を突っ込んで物色しているクロオオアリの脱翅メスを見つけた。
一昨日の方が脱翅メスを見かけてもおかしくない状況だったが、脱翅メスは今日の方が多く見かけた。
まだ、クロオオアリの羽アリは少しは残っているようだ。しかし、今度の週末まで残っているかと言うと、微妙だ。ムネアカの脱翅メス、見たかった・・。
5月18日 クロナガアリの新女王アリの蛹はどうなったのかと言うと、こうなっている。

色が大分濃くなってきた。

働きアリの蛹と一緒に写した。

また別の蛹。
どの蛹も色が濃くなり、もうすぐ羽化するだろう。
野外ではどういう時期に羽アリを生産しているのやら・・。
飼育条件だし、冬加温しているので少し気になった。
5月19日 クサアリモドキも順調である。

幼虫。ツヤツヤである。コオロギを食べて体内に色が入っている。

卵と働きアリ.。産卵も順調で不安要素も特にない。
5月20日 ムネアカオオアリの卵と孵化したばかりの幼虫を写してみた。

卵の卵黄が美しい。
5月21日 この前、枚岡公園でアメイロアリの有翅メスを採集したのだが、未だに羽も落とさず産卵もしない。
採集して数日経ち、もうそろそろ産卵してもおかしくないと思うのだが、アヤシゲな気配が漂ってきた。
採集したのが夕方だったので交尾はしていると思い採集したのだが、どうなるかはまだ良く分からない。
羽が残っていると何かの時に湿気が張り付いて死亡と言うこともあり得る。
うーん、スリリングだ・・。 
5月22日 ケブカツヤオオアリは女王も痩せたままで産卵も見られない。
じり貧極まりない展開だ。
何が良くなかったのだろうか。
分からないまま終戦の気配・・。 
5月23日  今日も枚岡に出かけた。到着したのは午後2時過ぎだった。
先日、大規模に飛んでいるのを見てそれから1週間ほど時間が経っているのでもうほとんど残っていないだろうと思っていたのだ。
しかし、すぐにクロオオアリの有翅メスが1匹歩いているのを見つけた。周囲を見たが、この1匹だけで交尾しているのかも怪しい。
とりあえず山に入る。

15日に飛ぶ様子を見たコロニーにはまだ羽アリが少し残っていた。このオスアリは葉の上で「風を見ている」のだろうか。

上のオスアリと同じコロニーのメスアリ。この後力強く飛び立って行った。

不鮮明な写真になってしまったが、ミカドオオアリの有翅メス。これも1匹だが見つけた。
今日は殆ど飛んでいないと思っていただけに、驚いた。
そして、久々に額田展望台の方に行ってみようと上ってみたが、羽アリの気配は無かった。
辛うじて2008年ころに良く観察していたクサアリのコロニーで有翅メスが外を窺っているのを見ただけだった。

歩きまわったが、その後の収穫もなく帰ろうとした頃・・。

クロオオアリの脱翅メスが1匹歩いていた。規模は小さかったようだがやはり飛んだのだ。
これに気をよくして梅林方面も歩いてみたが後続は無かった。
恐らく、今日以降も僅かずつ飛んで行くのだろう。
アメイロアリも見つかるかと思ったが全く見つからなかった。
数年前まで良く見かけたんだけどね・・。
5月24日 大阪城のクロヤマアリの様子を見に出かけた。
昨年、羽アリを見た弓道場の当たりを中心に見てみたがどうもまだのようだ。
巣口も賑やかではないし、飛行があったと言う物証である羽アリの死骸と言ったものも見つからなかった。
まだ、これから1ヶ月ほどだらだらと飛ぶので今日は小手調べと言ったところだろうか。 
5月25日 クロナガアリのメスアリの蛹は全て羽化した。

有翅メスアリが巣内を闊歩している。 
5月26日 クロヤマアリは働きアリの羽化が始まった。しかし・・。

これだ。
この症状をすっかり忘れていた。これがあるから、繭や蛹になったからと安心できないのだ。
こういう形の「ロス」は痛い。原因が未だに掴めていない。お心当たりの方、教えて下さい・・。
5月27日 トゲアリ。

働きアリと卵。今の所卵はこれで全て。

繭も出来始めた。今のところ恒温機は動かしていない。
完全常温飼育である。
5月28日  ヤマヨツボシオオアリにした。

繭が沢山出来ている。
一部色の濃いものも出てきていて、羽化が近そうだ。

働きアリ。上手く撮影するのが難しい・・。
5月29日 ウメマツオオアリの日常編をご覧いただくことにした。

卵もしくは孵化したての幼虫を運ぶ働きアリ。

女王。産卵も順調。
肉餌はミールワームを与えている。
5月30日  晴れて暑い一日だったので大阪城にクロヤマアリを見に出かけた。
昨年、アツいと思ったポイントの弓道場傍では何も見つからなかったが、そこから少し離れた所で有翅メスを立て続けに2匹ゲットできた。
少し走り回ったが見つからなかったので少し時間をおいてからもう一度大阪城公園内を走ると別の場所で脱翅した女王アリを見つけることができた。

採集した有翅女王その1。

同じ有翅メスだが、上とは別の個体。

採集した脱翅メス。足をやけに広げているが弱ったり死んだりしているわけではない。

さて、クロヤマアリには「単雌型」と「多雌型」の女王がいると言う話がある。
正確に確定された話が出ているわけではないがどうも「単雌」タイプの女王がやや大きく、「多雌」型の女王はやや小さいように思う。
「単雌」型の女王は腹部も大きいが、今日採集した脱翅女王の腹部はそれほど大きくない。今日採集した3匹の女王を見ると、どうも「単雌」と思われるやや体の大きな女王と「多雌」と思われるちょっと小ぶりの2匹に分かれるようだ。
全部が羽を落としていると腹部だけでも比較にと思うが・・。
ちなみに、「多雌」女王は子育てが下手くそな個体が多いように思う。
土で飼育すると、巣を掘らないとか卵を産み散らかすだけで世話しないとか・・。
全てがそうだとは言い切れないが私個人はそう言う印象を持っている。
5月31日 私用があり、短時間のみであったが大阪城でクロヤマアリを観察してきた。
観察した時間が短かったのが災いしたのか、羽アリは一切見かけることは無かった。
クロヤマアリはシーズン中だらだらと飛ぶので、今日飛びだした個体がいなかったのかと言われると答えは恐らく「否」だろう。
また今度の週末に期待しつつ、今日は撤収してきたのだった。 

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