2014年8月の観察日記

8月1日 クロナガアリはオスが羽化してきた。

現在6匹。羽化後すぐ殺されるかとも思ったが元気に巣内を走り回る。

幼虫。粟の実を齧っているものも見られる。
8月2日 ハヤシクロヤマアリ。

女王アリを働きアリが取り囲んでいる。
恒温機を稼働させてそろそろ1カ月になるが、秋を感じたのか卵や幼虫が無くなっている。シーズン最初よりは少しは増えたが増え方に手ごたえを今一つ感じられないまま今年もシーズンが終わってしまいそうだ。
8月3日 アシナガアリは肉餌を齧っている所は良く取り上げるが、蜜を飲んでいる所はあまり取り上げた記憶がなかったので、それにしてみた。

これは蜜を与えた所だが、すぐに容器内の石膏から出たと思われる砂粒のようなもので蜜を覆ってしまう。
8月4日 アメイロケアリの異変に気が付いたのは少し前のこと。
なにがおかしいのかと言うと、卵以外の幼若ステージが見られなくなったのだ。
肉餌はそれなりに食べていると思われるが、どうも怪しい。
先日までハニーワームを与えていたが、趣向を変えてコオロギにしてみた。
何が原因なのだろうか? 
8月5日 7月に採集していたヒラズオオアリ。
最後のメスアリが死んでいた。
ヒラズは今年リベンジを果たそうかと思っていたが、果たせぬまま今年は終わりそう。
脱翅メスだったので、期待したんですけどね・・
合掌。 
8月6日 トゲアリ。今のところ順調である。

働きアリが団子になっている。この団子の下に女王がいた。

団子の中から女王が顔を覗かせていた。 
8月7日  アメイロアリは、巣部屋増設後に新しい巣部屋にほぼすべてが引っ越し、今までの巣部屋はゴミ捨て場になってしまった。
本当は2部屋利用してくれる展開を期待したのだが・・
そのアメイロアリの増設した巣部屋は以前ヒメアリがいた巣部屋で蓋が分厚いのか撮影がし辛い。
ふと、中を見ていると有翅メスがいた。

微妙な結露の影響もあるのだろうが、この容器だとこれが限界・・。シルエットは蓋にいる働きアリのものである。
1匹だけかと思ったが、3匹いる。
オスは見られない。
8月8日 常温のクサアリモドキ。
繭の数は少なくなっているが、これが気候を感じた故か、肉餌の不足の故なのかは今一つ決めかねている。

繭と働きアリ。大半の働きアリは「地下1階」の巣部屋に陣取っていて繭と一緒にいる働きアリの数はそう多くない。
8月9日  ケブカツヤオオアリ。今年の生産は諦めた。

餌を与えると働きアリがわらわらと餌場に出てくるが、巣部屋の働きアリたちは手持無沙汰気味にたたずむ。
来年、産卵してくれるだろうか。餌は食べてくれているのがせめてもの救い。
8月10日 夏の初めころから、恒温機の扉を開けるとクサアリの臭いが強くするようになってきた。
クサアリモドキ2コロニーは順調で個体数が増えているからと言えるのだが、これだけ匂いがすると他のアリに影響が出るのではないかと心配している。
常温飼育のものは部屋の窓を開けているためか臭いがしない。
うーん、どうしてくれようか。 
8月11日 トゲアリなのだが・・

この働きアリは、触角や脚が縮れているのだ。

拡大。とても歩きにくそうだし、触角も始終気にしている。
そんな働きアリの様子が心配なのか、トゲアリの働きアリが時折駆け寄っては栄養交換するでもないのに、気にかけるように触角で触っている。
8月12日 アメイロアリは有翅メスが羽化したと書いたが、羽化した3匹以外にも有翅メスになりそうな大きな蛹が見られるのだ。

働きアリと働きアリの蛹を一緒に入れて写した。
こうやって見ると、大きな蛹だ。 
8月13日 キイロシリアゲアリ。
蓋の部分に小さな幼虫を貼りつけた。

巣部屋の部分にはかなりの卵幼虫蛹があり、スペースが不足しているためと理解した。
近日中に新しい巣部屋を増設してやろう。
8月14日 暑い日がまた戻ってきた。
恒温機内のアリたちは心配ないのだが、常温のもの。
氷枕を乗せている。
この氷枕はスペースを取らないし、(少し結露が気になるが)基本乗せるだけなので、手間は少ないと思う。
そのお陰か今の所暑さで狂走するコロニーは無し。
苦肉の策として導入したのが最初だったと思うが、私的に気に入っている。 
8月15日 箕面で採集したケアリ。
2匹採集したが、1匹は死んでしまった。
残りの1匹だが、少し変だ。
なにがおかしいかと言うと、子供が成長しないのだ。
まだ卵あるいは小さな幼虫。
tenさんのブログでヒゲナガケアリの事例が紹介されていたが、それを彷彿とさせるほど成長しない。
どうなってるんだろう? 
8月16日 ムネアカオオアリが、羽化途中だったのを写してみた。

繭が腹部先端にくっついている。
どうも羽化途中に給餌のために蓋を開けてしまったのでアリたちが驚いたようだ。 
8月17日 ケアリに給餌をする時、いつもの生き餌ではなく、乾燥アカムシを餌場に入れて様子を見た。
働きアリはすぐにアカムシに気がつき、触角で触る。
暫く確かめるように触った後、興味を失うように去っていく。
数匹の働きアリの様子を見たが全てこの反応だった。
以前、このコロニーはアカムシしか与えていなかった時期があった。
その後、生き餌に変えたが、「美味しい物」を知ってしまうと、「美味しくない物」には見向きもしなくなってしまうのだろうか。
そんな事を考えてしまった。 
8月18日 給餌をしていると、面白い光景を見かけた。

トゲアリが餌として与えたミールワームの欠片を被っているように見える。 
勿論、アリが被ると言うことはしないのでそう見えたと言うだけなのだろうが、何だか可愛らしかった。
8月19日 アメイロケアリは卵から幼虫が孵化した。

幼虫はこれでほぼ全部。
産卵は停止しているようで卵は見られない。
ハニーワームの食いがいまいちになったので今はミールワームやコオロギを代わる代わる与えている。 
8月20日 ムネアカオオアリも産卵がとまり、幼虫の成長も止まったように見える。

全てこの大きさ。
斉一である。アリたちは恒温機内は秋だと感じているようだ。
8月21日 ケアリ。特に問題ない。

育った幼虫と働きアリ。コオロギをメインに与えている。

卵を世話する働きアリ。画像が白っぽいのは蓋にうっすらと付着した結露による。
この卵塊よりやや大きいの卵塊が画面外にあるが、一時の事を考えると減った。
8月22日 ここ最近、常温のクサアリモドキが凄い。
何が凄いかと言うと、お腹がすいてくると、働きアリが大挙して餌場の壁面をよじ登ろうとしているのだ。
パウダーのおかげで脱走兵はいない。
しかし、1日おいただけでこれ。
来週末、蟻研に出かけるのだが、その間に脱走されないか少し不安だったりする。
パウダー塗って出発当日と帰宅時に少なくとも蜜はふんだんに与えなくてはならないだろう。 
8月23日 キイロシリアゲアリにした。

メイプルに集まっている。
ミールワームの断片はメイプルに接しているが、普段は接しないようにばらばらに与えている。 
餌場に出ている働きアリの数は巣内のアリの数よりずっと少ない。
8月24日 常温飼育、恒温機飼育のアリたちも多くが生産のピークを越え、徐々に秋モードに移行しているのが見て取れる。
本当を言えば、恒温機は電源を落として常温にしたいのだが日中はまだまだ暑い。
そんなわけで恒温機にはもう少し頑張ってもらうつもり。
それにしても、恒温機は2007年に我が家に来たのだが、故障もせずに頑張ってくれている。今年もこれのおかげで夏の暑いピークを乗り切ることが出来た。
電源を落とすのはまた過去の飼育日記を見て、外気温と相談の上で決めたい。
こういうことを考え始めると、「秋が来たなぁ」と思う。
8月25日 久々にウメマツオオアリ。
これは以前女王アリが複数いる者として取り上げたもの。
女王アリは徐々に数を減らして今月初めに2匹いた女王のうち1匹が死んでからバラされたのか、働きアリに攻撃されて死亡した後、バラされたのか不明だがバラバラになり、女王アリが1匹になった。

普通に飼育していたが、このコロニーは何故か働きアリの増え方が非常に遅い。
これでほぼ全員である。

女王アリ。あれだけいた女王アリたちもこの1匹以外死んでしまった。
8月26日 トゲアリに久々にコオロギを放り込んでみると・・

トゲアリの働きアリが出てきて解体作業を始めた。
最近はミールワームの断片を入れていたが、その時はクロオオアリの働きアリが出てきて切断面に口をつけていた。
今日は餌場をトゲアリの働きアリが徘徊しており、そこにコオロギを放り込んだら、こうなった。
クロオオアリの働きアリはもう10匹もいないが、この様子を見ると少し安心できるような気もする。 
8月27日 以前、スラダケさんのブログで同じような図があったのだが、我が家のケアリの餌場壁面に小さなクモが居座っている。

餌場の上の方、アリがまず登ってこれない所にいつもいる。
アリを食べている所は見たことが無いのだが、生きている所を見ると食べているのだろう。餌場の上から下で動き回るアリを見ているようだ。
でも、このクモどこから来たのだろう。
8月28日 明日から日曜まで新潟県で行われる日本蟻類研究会の集まりに出かけてくる。
と言うことで各コロニーにゼリーを与えた。
ゼリーが保湿性と言う意味でメイプルの水割りより優れていることは経験済み。
少なくとも乾燥は凌げると思っている。
また、最近朝夕を中心に涼しいので氷枕のようなものも常温飼育のものには必要ないと判断した。
大丈夫・・だよね? 
8月29日 蟻研記録一日目。なお、写真は無い。
なぜなら嵩張るのを嫌ってカメラを入れなかったからだ。

蟻研初日。
大阪駅10時12分発和倉温泉行きのサンダーバードに乗る。
金沢ではくたか号に乗り換え、直江津へ。
直江津からほくほく線に乗り換え、目的地まつだい。
文字にしたらこれだけだけど、実際は乗車時間丸々6時間の長旅であった。
まつだい駅に着いたのは15時51分だった。
そこから越後湯沢方面からの電車を待った後、宿舎へ。
到着後、すぐに温泉。
温泉は少しぬめりがあり、アルカリ泉だったのかもしれない。
その後、懇親会。
ビールと日本酒を頂く。
合間を見てお宝ホイホイが期待された宿舎の灯りを見に行くが殆ど何もいなかった。
宿舎の周囲は夜になると漆黒の闇。
こんな真っ暗闇、久々。 
8月30日  蟻研二日目。
講演を聞く。
前日の夜、あまり寝付けなかったがお話がどれも面白く眠くなる暇が全くなかった。
夕方に前日訪れた松之山温泉で温泉。
実は前の日に来た時、長く浸かった記憶はないが物凄く温まってしまい、のぼせかけた。
夜にはスコールがあったがそれが幸いしたのか前日より羽虫が来ており、オスアリも見られたのでオスアリを集めておられた吉村先生に見てもらったりしていた。
この日、一番驚いたのはカマキリモドキが見られたこと。
生きているの、初めて見た。
夜になり、霧模様。 
夕食後暫くして先日放送された「ダーウィンが来た!」に始まり、秘蔵動画、画像の観賞会となった。
どこがどう「秘蔵」なのかは皆さんのご想像にお任せしたい・・
8月31日  蟻研最終日。
朝、目が覚めて外を見ると霧が雲海のようになっていた。
スマホ片手に宿舎を出で少し歩きまわる。
この霧は日が昇ってくると段々消えて行った。
エクスカーションに参加してきた。
トゲアリやムネアカを見、良く分からないハリアリもいた(見つけた時周囲に誰もいなかった事と採集道具を全くもっていなかったので)が、そっと元に戻した。
また、エクスカーションに先立ち宿舎の前で記念撮影が行われた。

文章にすると、こんな感じ。
細部はかなり端折った感じもする・・ 
多くの方とお話出来、非常に楽しい会でした。

戻る