7月1日 これは6月25日に採集した方のクロヤマアリである。
産卵を始めた。

手前にぼけた茶色い物が写っているが一枚翅を落としていないものだ。翅をちゃんと落としてほしかったが、残っている。
白い美しい卵だ。常温飼育なので何事もなければ今月末に羽化が見込まれる。
7月2日 この前、大阪城で偶然採集したアメイロケアリは大苦戦中。
ちゃんとケアリワーカーを噛みつぶさせたのだが導入したケアリが懐かない。
今まで数回採集してうまくいくタイプの女王はすぐに働きアリに囲まれたのだが、どうもそういう個体がいない。
・・・先行き、厳しいっぽい・・ 
7月3日 今年の初め、枚岡で枯れ枝から採集したウメマツオオアリ。
採集した時は女王だけだったが、働きアリが羽化してきて少しにぎやかになってきた。

常温飼育で、暖かくなってから活動を開始している。
ウメマツオオアリは脱走さえできない飼育容器を用意したら飼育はかなり簡単な方に入ると思う。
7月4日  先日引っ越しさせたケアリコロニー。

ミールワームの頭部をせっついている。

卵を世話している。
卵も多く、女王も元気。
7月5日 クロナガはどんどん働きアリが羽化している。
もうそろそろ餌を与えた方がよさそうだ。
種子を与えて肉餌として春に買ったまま眠っているアカムシを与える予定。
まぁ、週末に少し与えて様子見だ。 
7月6日 今年採集したムネアカオオアリとクロオオアリで働きアリの羽化を確認。
他のコロニーも繭があるので、じきに続々と羽化するだろう。
これから、酷暑期。
ムネアカは恒温機かな・・
7月7日 この前卵を産み始めたクロヤマアリ。
数日放置していたら卵を食べてしまった。
水分が足りないわけでもなく、よく分からない。
繭導入しないと厳しいかも・・ 
7月8日  午前、枚岡に出かけた。
信貴生駒スカイラインの辺りでこの時期はどういうものが見られるかを見たかったのだ。上る途中、ケアリのメスアリが1匹羽ばたいていた。

何回も翅を震わせていた。周囲を見たがこの1匹だけだった。

山道の斜面で見つけたカエル。

スカイラインの道沿いで見つけたオオムラサキオスの羽の残骸。
昨年は飛んでいるのを一瞬見かけたが今年はオスの羽を見ることができた。やっぱり生息してるんだ。

歩いたことのない、万葉の森内で見つけたムネアカ脱翅メス。もう足をひくひくとかすかに動かすくらいに弱っていた。どうもはぐれ女王っぽい。巣を何らかの事情で追い出されてしまったのだろうか。

歩いていくと、手頃な石があった。めくるとクロオオアリのコロニーがあって、女王もいた。女王は奥に隠れたが、そこをよく見たら行き止まりで、捕獲には十分な奥行きしかなかったので吸虫管をさしこんで回収した。
もちろん、働きアリ、繭、幼虫卵も回収。

暗くなったが幼虫を運んでいる。

行き止まりの坑道の奥に隠された繭と幼虫。

ミミズの死骸にたかるアミメアリ。

ハヤシクロヤマはまだ羽アリは羽化していなかった。大きな繭や蛹がごろごろしていた。

クサアリモドキ。今日は2個体見かけた。

神社そばでまたトビシワが脱翅メスを襲っていた。
7月9日 1日に卵を産んでいると書いたクロヤマアリ。
今日見たらひっくり返ってお亡くなり。
その数日前に羽のついたままのクロヤマアリは羽を落とさず産卵もしていない。
うまくいかないね。 
7月10日 残念な話題その2。
5月に採集したヨツボシ。
これも死んでいた。
最近、この女王は繭を食いだして適当な量と思われる量を給餌したが結局大半を食べてしまって小さな幼虫2匹だけという典型的ダメパターンになっていた。
水気もちゃんとあったので死因が不明。
合掌。
7月11日  日曜採集のクロオオアリを写した。

女王。分かりづらいが左の触角の先端が欠損している。
しかし、ちゃんと産卵はしているので影響はなさそう。

繭山。幼虫、卵よりもひたすら繭が多い。

こんな大きなものもいるのだが、なぜか働きアリが非常に少ないコロニーなのだ。
坑道を見たが深く潜っているものは無く、その穴からアリが湧いてくるという現象がなかった。
7月12日  今年採集したムネアカは働きアリが生まれたが今日給仕してみた。

働きアリも蜜を飲ませて腹部が大きくなった。
羽化して日が浅いためか色がやや淡い。
7月13日 チクシトゲアリに生のメイプルを与えた。これまではメイプルは水割りにしていたが、ふと思い立ってのことだ。

このとおり凄い群がり方。「濃い口」で暫く行ってみるのも良いかもしれない。 
7月14日  午後から枚岡。
歩いて早速トビイロシワアリの脱翅メスが歩いていた。

3個体ほどこの辺りで見つけた。採集はしなかった。

山道で見つけたクサアリモドキの脱翅メス。いつ見てもこのアリはごつさとぴかぴかですぐに分かる。

アシナガアリも飛んでいたようだ。この有翅メス以外にもオスも見かけたが数は少ない。
どうも今日はあまり飛んでいないようだった。
いつもならたくさん見かけるケアリのメスは今日は全く見当たらなかった。
側溝は水が流れている所もあって地面もやや湿気ていた。
雨が降ったのかもしれなかった。
7月15日 午前枚岡。
ケアリ祭りかと思いきや、ケアリは見かけなかった。
もうシーズンには入ってるはずなんだけど、脱翅メスを今年はまだ見てない。
とりあえず歩いてみた。

アシナガアリの脱翅メス。1個体だけ見つけた。
クモの巣にかかっている有翅メスもいるので飛んではいるようだがどうもまだ本格的ではないのか数が少ない。

オスも見られるがまだそれほどほどの数とは思えない。

後翅以外翅を落としたトビシワメス。

クサアリモドキも歩いていた。そのうち1個体を採集した。
写真は撮っていないがケアリの繭は沢山確保していたので以下に寄生の簡単な手順を。この方法は一番最初に土生さんが開発されたのに乗っかった。

タッパーに採集した繭をあけたところ。もちろん、ケアリワーカーも入っているし、オスも少し入っている。たぶんこの繭からオスは出てくると思うが採集の時に羽化したての白い働きアリも見られたので全部オスとは考えにくい。ただ、オスはどの程度入ってるのかよく分からなかったので多めに採集した。ケアリ寄生種は(他の寄生種でもそうだと思うが)ホストの数が多いほど多く卵を産むのは昨年繭の数で差がついたクサアリモドキで確認済み。

クサアリモドキ導入前に蜜を飲ませた。これにより、馴染んだ働きアリからクサアリモドキへとすぐに蜜をいきわたらせると同時に、ケアリを落ち着かせ、満腹になったことから攻撃性の低下を期待した。

カギとなる羽化したての働きアリ。今までの経験からクサアリモドキ女王は体の固まったいわゆる普通の働きアリにはあまり口移しを要求しない。
しかし、この色の薄い働きアリに対してはそれこそ異様とも言えるくらいの頻度で口移しをせがむ。繭をたくさん入れてるのもそのため。

クサアリモドキの女王に噛みつくケアリ。しかし、致命的に攻撃することは少ない。多くは暫く噛みつくか威嚇後立ち去る。もちろん、ここではケアリの働きアリの数は意図的に少なくしているのであるが。

上の写真からおよそ2時間後。オスがクサアリモドキの下で休んでいた。羽化したばかりの働きアリがこうやって徐々に女王の周りに集まってきたらしめたものだ。
以上、簡単ながら今日やった導入の手順でした。

おまけ。

昨年も見かけた赤いカミキリムシ。種類はなんだろう。ハナカミキリの仲間であるとは思うが・・

エダナナフシ。今日は別々の場所で3個体見かけた。いつもはトゲナナフシばかり見かけるのだが、エダナナフシと来た。
そういえば去年あれほど見かけたミヤマカミキリは今年まだ1匹も見ていない。
7月16日 午前、少しだけ枚岡公園。
空気が乾いているせいかいつもならたくさん見かけるケアリ女王は見られず、アシナガアリも有翅メスしか見当たらない。

山道でムネアカオオアリがガの幼虫のようなものを解体中だった。 

殆ど瀕死だったスズメバチ。オオスズメバチではないと思うが種類がちょっと分からない。

唯一見つけた脱翅メスがこのクサアリモドキ。1個体だけ見つけた。

寄生ケアリのオス。色や形からクサアリのようだ。

ヒラズオオアリの有翅メス。壁にへばりついていた。
7月17日  一昨日、ケアリの繭と一緒に入れたクサアリモドキは今日帰宅後に見てみたらケアリの羽化したての働きアリの集団に紛れ込んでいた。
まだ、女王を取り囲む形にはなっておらず、働きアリの集団に寄り添うようにいるが、一つのヤマは越えたっぽい。
ただ、今日はかなり気温が上がって女王が少しへばり気味のような印象をもったので、恒温機に放り込んだ。
週末にもタッパーから薄い飼育容器に移動をさせたい。
7月18日 5月に採集したヨツボシオオアリの有翅メスが死んだ。
このアリは翅を落とさず、未交尾濃厚で産卵もしなかったのでダメだろうと思っていたが・・
ヨツボシの新女王からの育成は私にはかなり難度が高い。
7月19日  クサアリモドキをタッパーから薄型飼育容器に移し替えた。
と言っても、餌場にすべてを放り込んで後は巣部屋への引っ越しはアリたちにさせるという方法だ。
繭を運び始めてすぐにクサアリモドキもそれの後ろを追いかけるように巣部屋に入った。
観察していたら熱烈な口移しも働きアリによるグルーミングも見られ、安心できそうだ。
写真を撮ろうとしたが、写す段になって容器のふたが曇った・・
7月20日 この前の週末に採集したアシナガアリ。

卵も数個産んでいる。
このアリは常温で飼育すると暑さのためか卵を食いつくしてしまう。
恒温機がないと飼育はちと厳しいと思う・・
そんなアリが盛夏に飛行してるというのも面白いとは思う。
7月21日 午前、枚岡を歩いた。

最初見つけたのがエダナナフシ。今年はやけに見かける。 

今日はハリブトシリアゲアリがやけに目に付いた。といっても、脱翅メスはこの写真の一個体だけであとはすべて有翅メスだったがそこかしこで見かけた。

恐らくアシナガアリ同士が喧嘩してるところにケアリが大挙して押し寄せ、結局2匹とも張り付けになってしまったようだ。

トラカミキリの一種のようだがよく分からない。

神社付近でハリブトの死骸を運ぶトビシワを見た。
7月22日 午前に枚岡を歩いた。
上っていると、樹液の出ている木があってそこにクロオオアリが集まっていた。
 
赤いのは近づいてみたが何かよく分からなかった。植物種子によく似ていたがこんなところにあるはずもなく・・

コロギス。見たのは久しぶり。顔の付近を見たが肉食が強いと言うだけあって噛まれたら痛そうな・・

ウメマツオオアリ?樹上性オオアリのメス。脱翅メスは見かけなかった。

ムネボソのメスがいた。種類がよく分からない。

アシナガアリのオスも見かけたが先週までより明らかに数は少なくなっていた。

ハリブトシリアゲアリは今日も目に付いた。しかし昨日の方が数は多かったように思えた。

道端でカナブンが死んでいた。カナブンはこの時期死骸を何度か見ているが色彩が微妙に違う。

側溝にクワガタのメスが落ちていたので救出して撮影した。

アシナガアリの死骸があった。撮影した時は気がつかなかったが胸部が空っぽ。

アシナガアリが襲っているのはハナアブの幼虫だ。これ、普通は汚水に潜ってるはずなのに、なぜこんなところにいたのだろうか。

ハヤシクロヤマアリのオスが飛び立とうとしていた。しかし、どういうわけか翅を震わせても飛び立たない。何かの理由で飛べなくなったのだろうか。

このハリブトシリアゲアリの脱翅メスは左前脚に同種の働きアリが噛みついていた。この働きアリはすでに死んでいた。
歩いてみたが、今日もアシナガアリやケアリの脱翅メス目撃には至らなかった。
枚岡に夏通うようになって数年になるが、これほどケアリのメスが見つからないのは初めて。
気象条件が悪いということもなかったので全くよく分からない話だ。
7月23日 クロナガアリは順調。粟を与えている。
ただ、今年は寒い時期に購入した乾燥アカムシが比較的だぶつき気味なのでそれも与えている。
今のところ、問題は生じていない。 
7月24日  15日に採集したクサアリモドキは餌場と巣部屋の連結チューブがお気に入りで、そこに籠っている。
観察できる範囲ではかなり密に口移しで栄養をもらっているし、腹部も伸びてきた。
まだ、産卵をしていない関係だろう、肉餌はそれほど食べない。
一つ、容器が結露しているのだ。
一応空気穴は開けてあるが蓋がうっすらと結露している。
そのため、クリアな写真や観察がいまいち。
腹部がパンパンになってきたら巣部屋に入るかもしれないが、今現在、ちと観察し辛い 
7月25日 今年採集したアメイロアリ。

女王を囲んでいる働きアリ。いつ見ても女王は腹部が大きい。

働きアリ。小さい。

このような働きアリもいる。栄養を貯蔵しているのだろうか。 

羽化したてのもの。見ていたら本当にひ弱そうに見える。
7月26日 久々に取り上げるルリアリ。女王様が撮影しやすい場所にいてくれたので写真を撮った。

女王陛下。細長い腹部が特徴的。

小さな幼虫。

成長した幼虫と働きアリ。

栄養交換の図。
7月27日 キイロヒメアリ。
最近取り上げていなかったので写真撮影。

働きアリと幼虫。色と大きさはコヌカアリが近いか。とにかく小さい。

幼虫を咥えている。

女王。2匹いるがもう1匹は画面外。
7月28日 朝、枚岡を歩く。
側溝にアシナガアリの翅が何枚も落ちていた(朝日を浴びてきらっと光るのです。)
そう思って探してみると脱翅メスが見つかった。

今日は脱翅メスを2匹見かけた。もう少し見つかってもおかしくなさそうだったが2匹だけだった。

腹部のアップ。アシナガアリはいわゆるボンレスにはならず、この大きさが最大値のようだ。

壁に止まっていたウメマツオオアリもしくはイトウオオアリと思われる樹上性オオアリの有翅メス、脱翅メス、オスの豪華3点セット。同じコロニーから出たのだろうか?ずっと寄り添っていた。

クサアリモドキ。ピークを越えたのか1匹しか見かけなかった。

クロヤマアリが何か運んでいる。見てみたらケアリの脱翅メスの死骸だ。今シーズン、初めて見たのがこれとは・・

最後おまけ。ヤブキリのメス。前脚はカマキリほどではないがトゲが多く生えていて、これで他の昆虫を捕まえて食べるらしい。
7月29日 朝、箕面公園に出かけた。
早朝、歩いたのには理由があって、この場所は有名な観光地。
人通りが昼以降増えてきて踏まれてしまう個体が出ると想像したから。
歩くと、すぐにシリアゲアリの有翅メスが見つかった。

この後、凄い展開が待っていた。

川沿いの手すりの上にて。シリアゲアリの有翅メスが固まっていた。
それも1か所ではなく、数多くの手すりの上に集まっていた。
脱翅メスもいたが大半は有翅だった。

ケアリの有翅メスが丁度飛び立つところだった。しかし、周囲を見てもこれ1匹だけだった。

脱翅メスが見つかった。1匹だけだったのであまり大規模に飛んだわけでもないようだ。

すぐ近くで有翅メスがいた。

ヒラズオオアリの脱翅メス。木の幹にいた。

赤っぽい色のケアリ。

滝の近くに行くにつれてアシナガアリがよく見られるようになった。

右翅だけ残して後は翅を落としたケアリのメス。

よく分からないハチの仲間。

アシナガアリ有翅メス死骸に集まっていたアズマオオズアリ。

アシナガアリの脱翅メスも数個体見つかった。

滝のそばでトビシワの脱翅メスが同じトビシワに運ばれていた。

ラミーカミキリ。色が美しい。

オオアリで同じ構図を取り上げたがアシナガでも見られた。不思議な感じ。

ハゴロモの仲間?お尻に分泌物だろうか、毛状のものをくっつけていた。
7月30日 今年採集したコヌカアリ。コロニーは維持しているがなぜか全く増えない。
働きアリ数匹、女王1匹と幼若個体少々の零細コロニーだ。
枝を割って何回かコロニーをだしてるのでこんな規模で終わるわけがない。
何かが意にそぐわないんだろうけど・・ 
7月31日  恒温機組で野外採集したもの以外は大体今年の生産は終了したようだ。
クサアリモドキもすっかり女王の腹部が小さくなり、幼虫も粒ぞろいの小さな幼虫ばかりになった。
思えば、クサアリモドキの大きい方のコロニーは 6月終わりまで卵があったので、結構長い間生産したと思う。

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2012年7月の観察日記