2012年3月の観察日記

3月1日 クサアリモドキの幼虫が育ってきた。温めてそろそろ2カ月になるがまだ幼虫だ。
餌はふんだんに与えているし、数もほぼ現状維持で来れているので過去のようにやはり幼虫期間が長いのかもしれない。

ふと、こういう光景を最近目にするようになったことに気がついた。コオロギの幼虫の脚だ。胴体はあまり齧っていないのか結構原形をとどめているのだが脚は良く齧りついてるのを見かける。

現在の女王陛下。身づくろいしている所。産卵は落ち着いてるようで卵塊の急激な膨大は見られないし、一時期よりは腹部が少し縮んだ。

卵塊。ほんの一部でもこれくらいの数が・・

幼虫塊。大きさ比較のためにケアリワーカーを一緒に写した。これだけでも、何匹いるのやら・・
3月2日 チクシトゲアリ(2010秋採集)コロニーで今年初めてのワーカーが羽化していた。

画像が甘いが羽化したての働きアリ。色が淡い。

繭の抜け殻を運ぶワーカー。
 繭もそこそこあるし、今のところ問題なく維持できている。
3月3日 全然昨日まで予定になかったが予想外に暖かく、且つ晴れて天気も良かったので枚岡山に行った。
無目的なのもつまらないので一応キイロヒメを目的にして枯れ枝を折った。
ムネボソコロニーが2つ、コヌカアリコロニーも2つ出した。
ムネボソは複数女王が見られたがスルー。コヌカアリは女王が見当たらなかった(それほど深く割り進まなかったので当然かもしれない)。
さらに折っているとヒラズオオアリのコロニーが出た。
ヒラズ経験値が少ないので断定はできなかったが大きさからQ1、兵アリ1、ワーカー2匹のコロニーだった。
もう少し割ってみたらまたヒラズコロニーが出た。
今度のはある意味「分かりやすい」ものだった。
兵アリを生産していないコロニーで女王とワーカーしかいなかったので比較がしやすく胸部を見てすぐ女王だと分かった。
後、ウメマツオオアリのQ1,W2コロニーが出た。
これも持ち帰った。
最初の小さいほうのヒラズコロニーを常温で、後の2つを恒温機に収容。
ヒラズオオアリの飼育記録はそれほど多くない。
だから飼育は手探り面が若干あるが増えたらいいね・・ 
3月4日 昨日採集したヒラズ。ようやくコロニー全体が落ち着いた。

女王。何枚も写したがどうしてもこれよりましな写真が無かった・・ 

小さな幼虫も数匹だが存在している。
3月5日 1月採集のヤマヨツ。
今のところ例の症候群も出ておらず、順調である。

大型ワーカー。腹部が大きいのは栄養をため込んでいるのだろう。

「ヨツボシ」という名前がついてるのに、腹部の紋は不明瞭だ。
3月6日 ムネボソ。気が付いたら蛹が恐ろしくたくさん出現した。

蛹の一つ。光加減で写せなかったが羽化したてのワーカーが1匹と色の濃い蛹も少しある。 

孵化したての幼虫と卵。少しこの辺は数が少ないがまた増えてくるだろう。

成長した幼虫。ムネボソの幼虫は本当に特徴のある色形をしていると思う。

前蛹。

コロニーの様子。複数女王がいる。蛹はこんな感じでたくさんいる中をアリが動き回っている。
3月8日 今日はクシケ。

最近、クシケは卵餌を与えていたが気分を変える意味でメイプルを与えた。ご覧の通り大挙して集まった。普段は水で薄めて与えるが今回は希釈せずに「生」を与えてみた。

コオロギを与えてみても良く食べる。ミールワームもよく食べてくれる。 

ワーカーの蛹。こればかりだと思いきや・・

こんなのも混じっている。
ワーカーの蛹ではなく、形から見てどうもオスの蛹のようだ。
3月9日 昨日に続いてクシケ。
クシケに以前ハニーワームを与えたがその時は食べなかった。
しかし、実は「食べない」のではなく「存在に気がつかない」可能性があった。
クシケの餌場はミールワームの殻が少したまっていた。
それらを綴って「蓑」を作ったためにアリが気がつかなかったのではないかと考えた。
そこで餌場の掃除を行い、1匹ハニーワームを放り込んだ。
結果が下の写真。

集まって制圧していた。
この分だと食べてくれるだろう。
クシケは以前巣部屋を増設したがそちらは今までと同じようにゴミ捨て場兼墓場になっている・・
3月10日 今年に採集したコヌカアリ。普段はチューブにこもって様子をなかなか見ることができない。だから取り上げる機会が無いのだが今日、容器を見てみたら見慣れないものがうろうろしていた。

蓋部分を歩いていたが、オスだ。3匹確認した。
拡大しているが、実は目茶苦茶小さく2ミリあるかないかという程度だ。
女王はある程度大きさがあるのに、なかなかの大きさの差異だ。
3月11日 温めている昨年採集のクロオオアリ。女王のお腹が少し前縮んだがまた大きくなってきた。

体が大きいのでお腹が大きいとなかなか迫力がある。

特に意味はないが女王胸部のアップ。翅のついていた痕が見える。

働きアリと幼若個体群。このコロニーは現在働きアリが4匹だけだが見ていて「活気」を感じるので暫くはへまをしなければ良い感じで推移していきそうだ。

中齢幼虫。毛だらけ。
3月14日 11日夜から高熱が出た。ようやく今日になって体調がほぼ回復した。
アリの様子を見たらどのコロニーも肉餌不足というのが明らかで慌てて肉餌を多めに与えた。

去年夏に採集した女王から立ち上げたケアリコロニー。働きアリが生まれた。 ぼやけた写真になったが1匹、本当に小さいのが生まれた。

コロニーの概要。

女王のアップ。
3月15日 クサアリモドキは幼虫が急に育って繭も見られるようになってきた。

巣部屋の中にかすを持ち込んでそれを繭作りの足場にしている。かすは入れたつもりはないが形を見る限り、ミールワームを入れるときに混入してしまうふすまっぽい。

繭も現段階ではそれほど多くないが見られるようになった。繭を食べるとか蛹を食べるという症候群は発生しておらず、順調。

丸々した幼虫。これからどんどん蛹になっていくだろう。
3月16日  今年初め、単独で採集した女王から育成中のチクシ。繭ができた。

チクシ単独女王からでここまで行ったのは初めてだ。
しかし・・1個体?
期間中、それほど肉餌不足にしてはいないが・・
3月17日 2010秋採集のチクシトゲアリ。チクシトゲアリは一番コオロギに対して反応してくれるような気がしている。

与えてしばらくしたらこんな感じで翌日には食べてしまう。

女王様。卵も産み続けていて安心感がある。繭もたくさんできている。
3月18日 ハヤシクロヤマアリ。

このコロニーの幼虫は石膏の屑を集めて繭を作っている。 

働きアリのお腹も大きい。

女王。
構成員は元気である。
ところが、いまいち波に乗り切れていない感じがある。
卵幼虫が増えてこないのだ。
肉餌を与えているがそれなりに食べているがどうもあまり卵幼虫という形にフィードバックされていない感じがする。
実際、幼若個体の数はかなり少ない。
この前女王が死んだクロヤマもヤマクロヤマも同じだ。
産卵開始時は一気に産むが長続きせず息切れしてしまう。
少ない数をだらだら産んでおしまい。
結果 羽化する働きアリの数<死亡する働きアリの数 になって衰退していく。
なんだろう?
3月19日 久々のトビシワ。引っ越しさせ、恒温機に入れた。
トビシワは採集した時、増えるだろうと思い大きめの容器に入れて世話していた。
しかし、どういうわけか思ったほど増えず、且つ越冬中に幼虫が全くいなくなってしまった。肉餌も食いがあまり良くない。そこで集中的に目をかける必要性を感じて小さな容器で恒温機にしたのだった。

女王。実はこのコロニーには2匹見た目女王がいるが、1匹は昨年生まれたメスアリが未交尾のまま翅を落としているのだ。
見た目は女王と全く同じにしか見えない。

別アングルから。昨日移したばかりで、まだ産卵は見られない。 
3月20日 昨日取り上げたトビシワだが早速産卵していた。
まだ数は2つほどだが一気に展開が進んだ。
肉餌を切らさないように持っていけばこの種類は一気に増えてくれるので(女王が1だけどたぶん増えるだろう)今年は回復させて増勢させたい。 
3月21日  出先でのこと。空き時間にふと枯れたイタドリが数本放置されているのに気がついた。
場所的にそれほど期待はできない場所だったが割っていくと太さおよそ1.5センチほどの割と太めのを割った時に「ごちゃっ」と出た。
第一印象はシリアゲアリだろうと思った。
しかし目を凝らすとそうではなく、ルリアリだと分かった。
持ち合わせの小タッパーにたたき落とすと夥しい働きアリ、幼虫とともに女王が一匹だけ確認できた。
ルリアリは多雌であると聞いたのでそのイタドリを丹念に探したが結局一匹だけだった。

持ち帰って恒温機に入れ、早速コオロギを貪る。

コロニーのごく一部。女王になると思われる大きな幼虫もみられるが写真に写っていなかった。
そして女王様は撮影時壁面にへばりついてとうとう撮影叶わず・・
3月22日  ムネボソは羽化ラッシュだ。

この個体のそばでも2個体白い個体が写真で確認できた。

蛹と幼虫。蛹は羽化して数は減ったが卵幼虫蛹と断絶は無いのでまぁ、安心かな。
3月23日  クシケは有翅個体が羽化している。

撮影時、オスかと思ったがこうやって見たらメス?

これはオスのようだ。
3月24日 アシナガアリでも有翅個体が羽化している。こちらはオスのみである。

羽化数はそれほど多くない。ただ、翅をもって走るので目立つ。
働きアリたちによる攻撃も見られない。
3月25日 ヤマヨツボシオオアリ。意外なことだが割と順調。

コロニーの様子。卵はいつも右側奥の壁面にあって撮影が難しい。

働きアリ。星が明瞭でないので最初ウメマツオオアリかと思ってしまったほどだ。
3月26日 クシケは非常に良い感じになってきている。
このコロニーはミールワームも良く食べるがコオロギも食べている。
肉餌をよく食べるとそれだけ卵になって反映される。
思えば、このコロニーは2007年に伊那で土生さんに頂いたものだが飼育してみて非常に飼いやすい部類ではないかと思っている。
私はどうもこのアリに刺されると疼くというか痛痒い感じがしてしまうので 集られるのは勘弁だが飼育面においては抜群にお勧めできると思う。
もっとも、夏場の高温を避けるような環境があってのことではあるが・・
3月27日  再び、ルリアリの世界に分け入る。
今回も女王様は壁面の角にいて撮影できなかった。
元気なのは確認してるのだけど、撮影できないというのもなんだか・・

女王様になると思われる巨大幼虫。働きアリが移動させるのも大儀そうだ。

大きさの比較対象が無いが働きアリになる幼虫。
大型幼虫は数がそれほどでもないが、この普通の幼虫は実にたくさんいる。
そのため、肉餌も体の割に半端ない消費量だ。
3月28日 クロオオアリは繭を確認して(以前記事にしたのが11日だった)もう2週間以上たつがまだ繭から羽化が見られない。
繭が黒くなるという羽化間近のサインもなく非常にゆっくりしている。
繭を食べたのかとも思ったが繭の残骸もないので単純に成長に時間がかかってるのだろうか。
今のところ働きアリ4匹。
少しでも早く働きアリは増えてほしい・・ 
3月29日 産卵開始したトビシワ。写真を写した。

卵塊を運ぶ働きアリ。これと同じくらいの大きさの卵塊がもう一つある。

卵を拡大。

働きアリ。背景の色加減かやけに赤っぽく写った。
3月30日 採集してからずっと撮影に挑戦しつつうまくいかなかったルリアリの女王様。 
今日はうまく床面にいてくれたので撮影できた。

働きアリと比べると大きさが段違い。
産卵も始まっている。
このアリ、以前飼育した時に採集して暫くして急に衰えてしまった。
そして同じカタアリ亜科のシベリアカタアリを飼育してこれまた同じようにおかしくなった。
どうも共通項はゼリーもしくは蜜餌を置いたままにしておくとそれを付着させたまま歩きまわって巣部屋の環境が悪化するのではないかと考えた(実際、ダメになってくると黄色いのではない灰色っぽいカビが目立った)
そこで、蜜餌は目の届く週末に数時間与えてすぐに撤収。平日は基本水だけでやってみることにした。
3月31日 久々にアシナガアリの直食いの様子を。

ハニーワームに齧りついている。幼虫の色艶は良い。

育った幼虫。丸々してみていても栄養状態がいいのが分かる。

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