2009年8月の観察日記

8月1日 不調になってしまったミカドオオアリ。産卵は停止している。

女王。独特の色彩が何ともいえず美しい。

別の女王。このコロニーには女王が3個体いるがどれも腹部は大きいのだ。

幼虫を拡大。こうしてみたら淡い色が入っている。ゼリーを食べてるのだろうか。いずれにせよかなり心配な事態が進行中だ。
8月2日 アメイロケアリだが、一向に産卵の気配がない。
恒温機の扉を開けた時など、若干ながら取り巻きはいるようなので全くダメそうというわけでもない。ただ、腹部が一定以上大きくならず、産卵しないだけ。
もう採集して1カ月。大丈夫なのか・・
8月3日 一昨日、ミカドを取り上げた。そこで不調だと書いたが、他のアリの様子を見て少し考えが変わってきた。
「越冬モード」に入ったのではなかろうか?と。
幼虫はある一定以上は減少せず、最近では少しずつではあるが成長しているし、ミールワームも食いが悪くなったとはいえ、齧ってる形跡がある。
今年は2月から恒温機を稼働させた。
どうも温度変化には鈍いと言えそうなフタフシアリのアシナガとクシケは全く変化がなく、幼虫生産している。
ということは・・?
8月4日 今年採集して働きアリを生産したクロオオアリ5コロニー。1コロニーだけ働きアリが4匹しかおらず、幼若個体も少ないのだが、他はおおむね順調である。
ミールワームを与えているが翌日には殻だけ。
クロオオアリは今まであまり成功していないので、このうち1つでも発展できたら・・
8月5日 クサアリモドキ。どうやら本格的に越冬モードに移行してしまったようだ。
幼虫は孵化しているがあまり成長が見られないし、繭になるものもない。
女王の腹部も少しずつ小さくなっていてボンレスではなくなる寸前。
夏の暑さが原因したのか、恒温機を2月から動かした所以か・・
今年は意外と増えなかったなぁ。
8月6日 他の方のアメイロケの飼育記録を見ていたら、どのアメイロケもコロニー化に成功したものは、採集から1カ月くらいで産卵したとあった。
そう、すでに産卵してなくてはおかしいくらいのタイムラグに入ってるのだ。
そこで、なぜ産卵しないかを考えてみた。
まず、このケアリコロニーにはとにかく幼虫がたくさんいる。未だ小さな幼虫がいることを考えたら肉餌が思った以上に必要だったんじゃないか、裏を返せば肉餌が足りないばかりに女王の卵巣が発達してないんじゃないか?と考えた。
とりあえず今日から肉餌のミールワームをさらに増強して様子を見る。
ボンレスになってはいないが女王の腹部は割と大きい。これだけが安心要素なんて寂しい・・
8月7日 どうやら恒温機組のアリたちのうち、クシケ、アシナガ、アメイロケ以外は越冬モードに移行しつつあるようである。
それに伴い、餌やりの頻度を上記の種類以外は2日に1回に減らしている。
常温組は未だ元気。やっぱりヒトフシ系のアリは温度変化に敏感というか・・
フタフシ系は割とそういうのには鈍感なように感じる。
8月8日 トビシワが相変わらずの絶好調である。
ミールワーム1匹は1日で食いつくし、蛹や幼虫が山とある。
去年は増え方がいまいちだったが、今年になって一気に爆発的増加に転じた印象。
この種類は小さいので小さなスペースでも飼育可能だし、飼育は簡単、増えやすいという入門者には良い条件がそろってると、ことあるごとに思う。
まぁ、アリの種類の好き好きは色々あるだろうから、一概には言えないのだが・・・
8月9日 最近、写真がない。分かってるのだが、どうしても時間が取れずに文字だけの更新になってしまい、いまいち見栄えがしないと思う。
しかし、一部のアリたちが増加モードを終えたと思われる今、中々良い写真が取れないわけで・・
8月10日 クロヤマアリの入れ物を覗いた。
産卵は終わってるようで幼虫や卵はなかった。
蛹もそれほど多くない。
しかし、そんな中でも羽化したての白いアリが数匹確認でき、蛹もまだもう少しある。
今年、クロヤマアリは2月から温めたが、よくここまで生産してくれたと思う。
冬の間に飼育容器を増設して来年以降のさらなる増加を狙っている。
8月11日 枚岡に出かけた。
今日の目的は厳密な意味ではアリではなかった。
クサアリの巣のカートンを採集しに行ったのだ。
YASUさんのブログで朽木の切れっぱしを入れたら産卵しなかったヒゲナガアメイロケが産卵を始めたという記事、それとスラダケさんのブログのカートンに群がるアメイロケの写真を見て採集を決意したのだ。
梅林にあるクサアリの巣で巣材採集を行った。
しかしカートンと呼べるものが殆どない。
そこで巣口の周辺にあった木片を採集して帰ってきた。

それをさっそくクサアリモドキとアメイロケアリに与えてみた。
予想外に群がらない。クサアリモドキは少し興味を示しているがアメイロケの方は全く・・
木が生っぽいのがダメなのだろうか?
しかし野外からのこの導入素材が何か変化をもたらす可能性は十二分にある。
当面は様子見だ・・
(写真を数枚撮影したがぼけたりぶれたりで使い物にならなかった・・)
8月12日 アメイロケアリ。

女王。御覧の通り、お腹はボンレスではなく、産卵も見られない。

もう1枚別アングルで。採集した時よりはお腹が大きいので蜜餌は飲んでると思われるが、なぜ産卵しないのか、全く不明。

ケアリの繭山。大半はオスになると思われるが、伊那で採集したものだろうか、働きアリも羽化してきているので最終的にどれくらいの数の働きアリになるのかはよく分からない。

ケアリの幼虫。まだこのコロニーには幼虫がたくさんいて、これは大きい方。

働きアリにピントがあってしまい、幼虫は少しぼけているが小さい方。

繭を剥く働きアリ。この繭からは結局のところオスが誕生した。
8月13日 クサアリモドキ。どうやら今年の卵生産はほぼ終了した様子。

働きアリと幼虫。大きな幼虫もいなくなり、小さな幼虫ばかり、見たてで100ほどいる。
蜜餌はどれほどかはよく分からないが、肉餌はまだ若干食べている様子だ。
8月14日 7月に採集したハリブトシリアゲアリ。予想外なことに、産卵している。

卵を咥える女王。色が黒いのは画像を補正したからである。

女王の全体像。羽が黄色いのはカビが発生しているのだ。羽を無理に除去しようか悩んでいる。

もう1枚。卵は大体20個くらい産んでいて、常温飼育で飼育をおこなっている。
8月15日 ルリアリがどんどん衰退している。一応餌は与えているが、もうこの2カ月ほど女王の姿を見ていない。
最後まで面倒は見てやるつもりだが、一体何が悪かったんだろうか。
採集してから肉餌を食べず、オスが大量発生してそのあと死者が続々と・・
このアリの女王は形が面白いので又機会があれば飼育してみたい。
8月16日 3年前に採集したクロオオアリの女王が死んでしまった。
働きアリは元気なのに・・
思えばこの女王はあまり子供を産まなかった。今いる働きアリは全て導入したものだ。
3年前と言えば大飛行日に遭遇した時の個体なので何とか発展してほしかったのだが・・合掌。
8月17日 アメイロケを見たら恒温機をあけた瞬間、取り巻きがいた。
容器を動かしたら散ってしまったが・・
これで安心・・というわけでもなく、一昨日だったか働きアリが一匹女王の触角にかみついてるのを目撃した。
しかも木材を入れたのに特に変化なし。
ダメ・・なのか?
8月18日 伊那から持ち帰った分と思われるケアリの繭が続々と羽化している。意外と働きアリが多く、オスはわずかである。
というか、自前のケアリワーカーが生産した大量の繭と幼虫がいるのだが、これらは未だに時々オスが羽化する程度で大半が繭なのだ。
幼虫も小さいものがまだかなりいる。
肉餌を振り分けたとも考えられるが、もう一つ気になることがある。
それは、アメイロケアリの飼育容器の置いてる場所が恒温機の冷風が当たる場所で、そこにおいてある温度計は20℃をさしている。
ということは、産卵しないのは温度のせい・・?
ますますよく分からなくなってきた・・
8月19日 アメイロケ。どうも明るくなったら攻撃する個体がいるような感じだ。
しかし餌交換の際は明るい室内に出さなくてはならないし・・
幸い、攻撃してる個体は1ないし2個体くらいのようで女王は腹部を曲げてギ酸をかけていると、離れていく。
他のアリ団子に入っていっても特に攻撃されることはないが、そもそも卵を産まないことが多いにひっかかるのだ。
8月20日 クシケアリは順調である。
どうも毎日1匹のミールワームを必要としているようで1日あけたら餌場を闊歩するアリが増える。
そして以前発生した有翅メスだが、1匹が羽を落として餌場をうろついている。
後の2匹は消えてしまった・・
8月21日 トビシワを見てびっくり。石膏を撤収してチューブにいる。そう、石膏が乾燥しているのだ。
そこで急いで石膏に給水してゼリーを与えたらこの通り。

これだけがっついてくれたら、気持ちがいいですね。
8月22日 2007年採集のクロナガアリ、女王4匹死亡。
原因は乾燥。
冬場は温めているので気をつけているが夏場の乾燥は結構やってしまう。
はぁ、中々うまくいかないね・・
8月23日 アメイロケアリだが、とうとう死んでしまった。
昨日、観察した時、やけにかみつく個体が多いと思っていたら・・
はぁ、寄生種ってほんとうに難しい・・・
8月24日 クロヤマアリではほぼ蛹もなくなり、女王の腹部も小さくなって越冬モードに移行した模様である。
今年は思ったより長い間生産をしてくれたが、その割には年初と数的にあまり変わらないような・・
容器の容量がいっぱいいっぱいなのでこれは増設しないとこれ以上増えないってことなんでしょうね・・・
8月25日 ルリアリはどうやらいつの間にか女王が死んでしまったようで、最近姿を全く見なくなった。
このルリアリとよく似た経過をたどる予感のするアリがいる。
5月に採集したアズマオオズだ。
初期のころは子供をそれほど多くないが生産したのに、6月頃から恒温機に入れたのに生産ストップ。
大量死はしないが徐々に数が減っている。
兵アリの腹部は大きいものがいるのでゼリーはある程度食べてるようだが・・・
8月26日 恒温機も夕方に見てみたら設定温度の23℃になるようになった。
今年はやけに秋の訪れが早いように思うが、クシケとアシナガ以外は越冬モードに入ってるのでそろそろ恒温機の温度を下げ始めた方がいいのかな?
とりあえずもう少し様子を見て徐々に温度を下げて秋の終わりには最低温度の10℃に設定予定。
8月27日 クロオオアリは今年採集したものが5コロニーある。
そのうち3つは働きアリが10匹を超えているが、2つは5匹ほどだ。
しかし、その残り2つのコロニーでは女王のお腹がボンレスになっている。

これくらいボンレスだと気持ちがいい。

同じコロニー。他のコロニーは幼虫や繭、卵も殆どなくなってきたが、このコロニーだけこのように太った幼虫がいる。
ミールワームは2日に1回与えているが足りてるかなぁ・・?
8月28日 クシケアリだが、よく見たら世代が断絶しているのがわかる。
羽化間際の蛹が、ない。
いるのは卵幼虫と若い蛹。
ミールワームはそれなりに与えたつもりだし、産卵が停止したりとかいう現象も出ていないのに、これはどういうことだろう?
ちなみにこのクシケアリ、ミールワームを入れたら最近一気に襲いかかり、非常に活性が高くなっている。
襲われるミールワームには気の毒だが、狩りの様子は、なかなか見ごたえがある。
8月29日 去年新女王を2匹採集して同居させているアシナガアリのQ2コロニー。
不思議な現象が起こっているのだ。
それはコロニーが発展していないということである。
このコロニーにはミミズを与えているが、食べているようで幼虫にも色が入っている。
そして食べてる証拠に細かくかすのようになった残渣もある。
それなのに、発展しないのだ。
コロニーを見た感じでは何かが止まってるという感じ。
このコロニーにもミミズをあきらめてミールワームを与えたほうがいいのかな・・?
8月30日 一大事だ。
贔屓にしているペットショップがある。そこのミールワームはほかの店より明らかによく太っていて餌にちょうどいいのだが、今日行ったら品切れで入荷は木曜だそうだ。
うーん、クロオオあたりに肉餌がほしいんだけど・・
かといってほかの店で中途半端な大きさのを買う気にもならないし・・
8月31日 今年は秋がすごく早い。
昨夜は夜、浴衣では風が肌寒く感じたほどだ。
そこで、2月から温めていることと、アリたちが越冬モードに入ったこと、そして外気温の低下という3つの要因から恒温機の温度を例年より一カ月早く今日から2℃下げて21℃にした。
これで徐々に温度を下げて行って秋の終わりには10℃にする予定である。

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