2009年4月の観察日記

4月1日 私はゼリーを過信しすぎていたようだ。
昨日、すべてのコロニーにミミズを湿らせたものを与えた。
顕著だったのは意外なことにクサアリモドキであった。
朝、見てみたら幼虫の上にミミズの欠片が数欠片おかれて食べていた。
クサアリモドキは卵塊の数が大きくならず、最近に至ってはむしろ少なくなってるんじゃないか?と思っているほどだったが肉不足の可能性が高かった。
幸い、幼虫も元気で女王もなかなか確認できないがお腹は大きいようなのでたんぱく餌がいきわたればまた大量に産んでくれると信じたい。
これと同じことがウメマツオオアリでも起こった。
ウメマツオオアリは常温だったので気がつくのが遅れたが、昨日見たら幼虫の色つやがものすごく悪い。黄ばんでるような色だ。一昨日少し大きめのミミズを湿らせたブロックを入れたが石膏にこびりついてるもの以外食べていた。
ミミズは乾燥状態なので食べる時と食べないときのむらがあってついついおざなりになっていたが、これからは1日3ブロック以上は使わないとだめだろう。
そういえば去年はコオロギ、毎日与えてましたものね・・
コオロギは生き物なので体内にある程度水分があったのだろう。その点ミミズは乾燥させてるので水分含有量はほぼ0に近いと予想できる。
ミミズは湿らせすぎるとすぐ腐ってしまうし、乾燥状態だといまいち食いが悪い。
「加湿」という「加工」作業が必要なのは、ミールワームを切ったりするのと同じということなんだろう。

それに関連して、恐るべき事態がわかった。
クサアリモドキの卵がかなり減っているようなのだ。
つい3日ほど前まで大きな卵塊があったが今では働きアリの顎で咥える量2つ分ほどしかない。どうも卵を食べてしまったようなのだ。幼虫がそれほど減らなかったのはそっちに回った可能性がある。
最悪、産卵が停止する可能性も否定できない。
純粋にたんぱく餌は食べていないというわけではないので完全停止にはならないと思うが今ある卵塊は新しく産まれたものか古いものなのか・・
新しいものならば栄養状態が回復したらまた復活すると思うが・・心配だ。
4月2日 ミミズの話題が続いた。三番煎じとは思うが、いかにアリたちが肉餌に餓えていたかという証拠ともいえる写真をアップして自らの襟を正したいと思う。
まずはアシナガアリ。これは一番大きなコロニーのものだが、幼虫がどんどん減っていた。そこでミミズの大きなブロックを加湿して入れたら・・

これだ。集る。翌日には表面がぼろぼろになったカスが残るだけ。

このコロニーの働きアリがゼリーをなめている。ゼリーを与えた当初は何の反応もしないが、しばらくしてみてみたら集まってきているのだ。

シワクシケアリ。前方のピンボケの巨大物体が乾燥ミミズを湿らせたものだ。この通り。
今日、見てみたら蛹が少し増えていた。どうやら蛹・幼虫食いは収まったようだ。

クサアリモドキ。働きアリを大きさの比較として入れてみたがだいぶ成長した。しかもミミズを積極的に与えるようになって明らかに成長している。体内の色もゼリーの黄色から赤黒い色に変わっている。

幼虫を少し拡大。ミミズを齧っているのがお分かり頂けると思う。
クサアリモドキはミミズを齧って明らかに幼虫が大きくなって、卵塊の縮小も収まったように見える。ただ、産卵しているかはよく分からない。昨日よりは腹部が少し大きくなっているように見えたがチューブ越しなのでよく分からなかった。追い出そうとしたら集合フェロモンを出したようでアリ玉・・また先が心配になるほどの卵塊、見てみたい・・
4月3日 ミカドオオアリ。

コロニーの様子。活気があって安心してみていられる。

大型働きアリをアップ。この個体は結構黒味が強い方だと思う。

貯蔵役だろうか、時々こういうボンレスの働きアリがいる。

最後、少し変わったミカド。全体の色にご注目。この個体だけやけに黄色っぽい。
だからすぐに識別できる。
コロニー内を見渡すと、働きアリの色は必ずしも一様ではなく、結構ばらつきがあることが分かる。その辺を入れてやっぱりミカドは美しい種類だと思う。
4月4日 クシケアリ。卵が順調に孵化している。

卵塊は大きく、そこから次々に孵化してきている状況だ。

少しぶれたが蛹も出てきた。大体15個ほど。この後と若い幼虫との間に世代の断絶があり、そこの期間肉餌不足にしてしまったものと思われる。
クシケアリはパウダーを塗って以来、壁面を歩く個体が減った。
また肉餌を十分に与えるようになってから餌場のアリも少し減って巣部屋の方にいるようになった。どうやら肉餌不足状態に陥って斥候役がたくさん出ていたというのがふたを開けたらすぐに脱走兵が出るほど餌場にたくさん働きアリが出ていたということの真相のようだ。
4月5日 クサアリモドキ。

卵塊の大きさの比較にケアリワーカーと並んだ写真を撮ってみた。卵塊の大きさはこれとこれの約1.5倍ほどのものがもう一つ。そう、数はあるのだ。
ただ、卵塊が大きくならない。幼虫が大きくなっているので、それにかかりっきりになっていて女王に栄養があまりまわっていないのだろうか?ちなみにケアリの数は100未満である。当初はもっといたのだがいつのまにかこれだけになった。

その幼虫。もう大きなものはケアリワーカーと同じくらいの大きさがある。数は100ほど。

3匹の団子。ミミズの色が体内に入っているのがよく分かる。ミミズはいつも食べ残しが少し出るくらい与えている。女王の腹部は去年の最盛期とあまり変わらない大きさ。産卵しているのか?だとしても産卵量は減ってるんだろう(卵塊の大きさから)。しかし、幼虫が繭になるとどう転換するか見てみたい。これで産卵が止まっていました・・なんてなったら、泣くしかない。
4月6日 ムネアカオオアリ。

このコロニーはふたを開けての接写ができないので(壁面になにも塗ってないので)少し遠めからのアングルが多くなることをご容赦願いたい。
ムネアカオオアリのアリ団子。この下には卵や蛹が置かれていることが多い。こういった団子がそこかしこで見つかる。

幼虫。これは越冬幼虫なのだが、半分以上繭になった。それでもまだこうして成長した幼虫が残っている。小型働きアリが運ぶのに一苦労するくらい太っている。ミミズ効果だろうか。色つやもミカド幼虫よりずっといい。
4月7日 今日は、最近紹介していないアリの様子を3種類、テキストのみで紹介していく。
クロヤマアリ。一時期肉餌が不足したのか卵が減った。しかしようやくまた卵塊が増え始めて女王のお腹の節も伸びてきた。幼虫はもう孵化してもおかしくないと思うのだが、まだ確認できていない。
クロオオアリ。実は温めると書いたが飼育容器の形の関係でこれを入れると内部で飼育容器の山が崩壊する危険があったので、翌日に恒温機から出していた。
最近、ようやく女王の腹部が伸びてきた。産卵は見られない。
クロナガアリ。とても不思議な現象に見舞われている。
卵はいつ見ても50以上ある。しかし孵化する幼虫が少なく、蛹がない。
アワの実はまめに与えているが幼虫が少ないのでかじりついてる姿もあまり見られない。
カゼクサはため込んだものの湿度に負けたのか白いカビが生えてしまい、破棄されてしまった。

なんだか、失敗談のオンパレードになってしまったようにも思うが、動きがない、写真が撮りづらい、などの理由で最近登場が減っていた3種だった。

ウメマツオオアリでは産卵が始まったようでケースの底に卵が数個確認できた。女王はまた石膏の中に戻ってしまった。ここは狭く、アリたちがぎゅうぎゅう詰めになっているがその方が落ち着くんだろう。多少攪乱してもこのぎゅうぎゅう詰めが解消されることはあまりない。
幼虫の色つやも少しましになった。ちなみにウメマツオオアリも常温である。
4月8日 トビシワ。すこぶる順調である。

コロニーのごく一部を切り取ってみた。卵もたくさんあるようだが、これまたたいていチューブの中やチューブの陰にあって実数の把握ができていない。ただ産卵は順調に進んでいる模様。

幼虫の一部が本隊から隔離されていたので写真を写した。実際は幼虫はこれの3,4倍の数はいる。ほぼ全ての幼虫が越冬に成功したようで去年みたいにおかしな色をした幼虫は全くいない。
4月9日 温度が上がるというので猪名川にクロナガアリの様子を見に出かけた。
到着してびっくり。かなりの部分が整地されていていわゆる雑草の類が芝生のシート(葉はまだ出ていない)に置き換えられていた。
4日に雨が降ったがそれ以降全く雨が降っておらず、温度は十分ながら湿度が足りないだろうと思ったら・・・
飛んでいる。一斉飛行のような大飛行ではないが中規模ぐらいの規模で局所的に飛んでいた。オスとメスの数から見て1つか2つのコロニーからしか飛んでいないような印象だ。
去年、一昨年と観察した大コロニーはまだ巣口を開けていないのか、付近に働きアリや巣穴を確認することはできなかった。
飛行は4時ころまで続いた。
その後時間の許す限り女王をさがしてみたが全く見つからなかった。
かろうじて有翅オスが2匹と有翅メス1匹(死骸)を見かけただけであった。
さて・・明日も温度が25℃くらいまで上がるという。このまま本格飛行になだれ込むのか、それとも来週降るという雨以降になるのか極めて微妙になってきた。
散発的な飛行で終わる・・というのはやめてね・・
大量に飛んでくれないと女王が見つからんのよ・・
4月10日 クサアリモドキでは幼虫が育ち切ったのか、粉をかけて貰う個体が増えてきた。

この光景は一昨日くらいから見られる。一昨日は1個体、昨日、今日は数個体なのだが、一向に繭や裸蛹が見当たらない。クサアリモドキは繭になるのに時間がかかるのだろうか?
それと、ひとつ嬉しいことが起こった。
クサアリモドキ女王の腹部が最盛期、3月初めの産卵前の状態にまで膨らんできたのだ。
最近、腹部は少し縮んでるようで、去年の写真を見ても伸びていないことは明らかだった。
しかし伸びてきたということは女王に栄養が行って卵巣発達の可能性が高いのではないか?と思ったわけである。
相変わらず、女王はチューブにこもってなかなか出てこないし、光を当ててストレスをかけて死なせてしまったとしたら悔やんでも悔やみきれないので観察は最小限にしてるので詳細な変化は正直よく分からない。
腹部の件は昨日、少し追い出してみたときにわかったものだ。
4月11日 とても暑かった。半そでで十分なくらいだ。
一昨日、小規模ながら飛んだので期待を込めて猪名川。
しかし空気が乾燥しているためか全く飛んでいない。しばらく、歩いて飛行しているアリを探したが皆無だった。
そこで河原の方を何気なく見ていたら篠竹やイタドリの枯れ枝が束になって置かれている場所を発見。

クロナガがダメなら・・というわけではないが、全く期待をせずに割り始めた。
そうしたら、大型のアリが出てきた。一昨年、ウメマツオオアリを採集しているが数が少ない。
サテライトか・・と思いつつ反対側に割れ目を入れたら・・
どばっと出てくる。これは!と思い、あわててタッパーにあける。

女王様もいてウメマツオオアリのコロニーを一つゲット。個体数は大体200くらいだろうか。
もう少し、竹割りを楽しんでいたら、やたらとルリアリが出る。大型の幼虫が出ているので新女王を生産してるんだろう。それでもサテライトの嵐。女王が見つからない。
そんなあるとき、一本の竹を割ってまたルリアリ。タッパーにあけたらイモ虫のようなものがいる。よく見たら腹部がボンレスの女王だ!

よく見たらピンボケですね・・すみません。
そんなわけで、ウメマツオオアリとルリアリコロニーを捕獲してほくほくと帰宅の途についた。

帰ってウメマツオオアリが本当にウメマツオオアリか同定してみたが胸部の後部がへこんでいる。あまり褐色ではないがイトウではなさそうだ。
写真はミミズの塊を与えたときの様子。

よく齧っている。

女王。今度は薄い入れ物に入れたので石膏を多少かじろうが潜られる心配はない。

卵。移し替えて落ち着いてから見たらかなりの卵がある。枝からぽんぽんとタッパーに落とすといういつものやり方で採集したので卵までは目がいかなかった。

働きアリ。黒光りして美しい。今回は個体数が多いうえに「見える」巣なので楽しみだ。

さて、ルリアリ。家に帰って飼育容器に移し替えるとき脱走兵が多数出て一時期机の上をアリがちょろちょろしていたがほぼすべて回収した・・と思う。女王は容器に残っていてくれて助かった。

その女王。家に帰ったら超ボンレスではなくなっていたが、やはりボンレスだ。

もう1枚。ルリアリを回収するとき、吸虫管で吸い取ったのだが、ルリアリのギ酸って超強烈ですね。ヤマアリがきついと思っていたけれど、あの大きさで喉が痛くなるくらいの強烈な酸だった。また、このアリはたぶんだが、脱走癖があるとおもう。というのもベビーパウダーはあまり効果がないみたいだし、隙間に入り込んでいたのだ。
100円ショップの容器ではたぶん脱走するのでPBシリーズでないと飼育は難しいかもしれない。ルリアリは大体100ほど。これってこの種のコロニーサイズではどれくらいなんだろう?
4月12日 クサアリモドキにようやく繭ができ始めた。

まだ数個程度だが、ティッシュを繭の足がかり素材としてから劇的によくなったような気がする。裸蛹になりそうな脱糞をした幼虫もみられる。
・・さて、昨日のことだが、観察したらまた卵が減っている。
去年の初秋、湿度が高い状態で産卵をしていたことを考えて湿度が足りないのか?と考えて水を張ったフィルムケースを入れた。
今日は女王はチューブにこもって取り巻きも多いので観察できなかった。
というか、女王を観察するには光で照らして取り巻きを除去しないと観察できないが、これってストレス掛けてるんですよね・・
しばらく、放置で行こうかな・・
産卵してるかは今いる幼虫が繭になったらわかることだし・・
腹部は大きいのできっかけがあったら・・とは思うのだが、それがいまいちつかめない。
もどかしい。
4月13日 ルリアリ撮影に挑戦。

このアリ、面白いことに入れ物内部でたくさんいた幼虫で「部屋」を作って女王がその奥底に埋もれているという構図になっている。こんな「巣部屋」を作るのは初めてみた。

全体の図。トンネル型に幼虫が置かれているが、その真ん中、空間部の中に女王がいる。
昆虫ゼリーは舐めにやってくるが、ミミズを湿らせたものには今のところ見向きもしない。
幼虫も多いし、大型幼虫もいるので結構タンパク質を必要としてると思うのだが・・
今のところ、脱走は皆無。ほぼ全てのアリが巣部屋にいて、餌場に出てくるアリはごくわずかなので餌かえも楽。飼育はしやすい方なんだろうか。
4月14日 諸々編。
クロヤマアリ。ミミズの食いはいい。しかし、どういうわけか成長した幼虫が非常に少ない。
ミミズは毎日1ブロック与えていて、翌日見ても食べ残ってるくらいなのだが、肉餌不足の可能性があるので2ブロックにしてみた。

アシナガアリ。奇妙なことにペースが落ちている。ミミズは齧っているのだが、一番大きなコロニーでは入れ物を変えてミミズを食べなくなったのか、幼虫体内に色が入らなくなり、やがて幼虫減少・・今では小さな幼虫ばかりになってしまった。

クサアリモドキ。女王の腹部はまた少し大きくなったような印象だ。しかし産卵停止してるのかあるいはごく少数しか産んでいないようである。その卵から小さな幼虫が孵化し始めた。
繭は日に日に増えている。最終的には全部で大体4、50ほどになるだろうか。
恒温機から出して一時的にせよ常温にして刺激を与えようか悩む。どなたかご意見ください。

ムネアカオオアリ。卵が少しずつ増えている。女王が越冬の時かなり痩せていたので産卵するか心配したが大丈夫みたい。越冬幼虫はほぼ繭になった。幼虫がいないせいかミミズはあまり食べていない。

ミカドオオアリ。ミミズを湿らせて与えるようになってから急に幼虫の成長がよくなった。
毎日1ブロック与えているが翌日には跡形もない。卵が少ないのでまたもう1ブロック増やそうか検討中。

近況を書けるだけ書いてみた。ミミズは便利で食いもいいが、アシナガがなぜ調子を落とし気味なのかよく分からない。それと気になるのがクサアリモドキ。産卵するのか?

※追記:クサアリモドキに刺激を与えるために恒温機の温度を1℃あげて24℃に設定した。
4月15日 24℃にして1日が経った。そうしたら変化があった種類がいくつかあった。
ヨツボシオオアリ、ヤマクロヤマアリに蛹ができた。ヨツボシオオアリは繭ができていて、ヤマクロヤマアリは裸蛹が1個ずつ。
ヨツボシオオアリはこれで3匹目の働きアリだ。成長速度、遅いね・・
クサアリモドキにはいくつか裸蛹ができている。ケアリとほとんど同じ大きさなので、正直野外で見るクサアリと比べると見劣りしてしまうが、初期ワーカーは小さいという例の法則がここでも適用されるというところだろうか。

常温飼育のクロオオアリで卵2つ確認。真っ白だ。現在働きアリが5匹と零細コロニーながら2006年から細々と生きているので今年は目をかけてやらなきゃね・・
4月16日 トビシワ。前蛹が出始めた(写真はボケてますが・・)。

卵はチューブの下や不透明になったチューブのなかに置かれていることが多く総数はよく分からないが女王1匹の割にはかなり産んでいるようだ。

卵塊の一部を運ぶ働きアリ。
飼育管理もしやすい。ミミズを湿らせて放り込むだけで数日かかっても分解して食べつくす。
トビシワって本当にもう少し体が大きければ入門種として最適ではないかとすら思ってしまう。
4月17日 クロオオアリの卵。少し色を補正してみたがこれが限界だった。

産み始めてから3日になるがもう10個ほどの卵を産んだ。今年こそ・・

シワクシケ。成虫がどういうわけか少し減ったがミミズをふやかして与える様になって復調してきた。そんな中この写真を見てほしい。

右側の個体、胸に翅のような物体が突き出ているが、有翅個体か?恒温機のために季節感が狂ったのだろうか。

羽化したての色の薄い働きアリ。いつも見慣れた色と違って結構趣深い。大型幼虫はいないが中齢幼虫がたくさんいるので大丈夫だろう。
4月18日 ヤマクロヤマアリ。蛹になった個体が増えてきている。

裸蛹で繭がない。繭を張るときに必要な石膏カスがないからだろうか。

もう1枚、別の個体。大体5,6匹がこんな状態だ。

ミミズを食べる幼虫。クロヤマアリ類というだけあって直接齧りつくスタイルも健在。
さて、ヤマクロヤマアリだが、産卵数が凄く少ない。すべての幼若個体を入れても20個体もいない。ミミズが足りないのだろうか?ミミズは与えすぎないように心がけていたら不足を招くというスパイラルに陥ってるような気がする。

今日は、約1週間ぶりに暖かい、いや、暑いくらいの陽気になった。
クロナガアリの飛行があるかもしれないと思い、出かけた。
到着して唖然。風が強い。
歩いてみたが飛んでいる個体は皆無であった。
手ぶらというのも何だと思ったのでまた篠竹割り。最初、ウメマツオオアリのコロニーが出た。
このコロニーの働きアリは明らかにウメマツオオアリというくらい胸部が茶褐色で分かりやすかったが、大型働きアリはいるのに全体の働きアリの数が10匹程度だったのでリリースした。
次はルリアリコロニーが出た。サテライト1個を出したあと、女王が出た。しかしなんだか腹部が小さく、迫力に欠けるうえ、ルリアリは1コロニーでいいと思い、またリリース。
竹割りの最中、赤っぽいアリが2,3匹が出た。ウメマツオオアリかと思ったら、何とシベリアカタアリだった。

例によってボケてますね・・ごめんなさい。背後の写真が撮れたら良かったですね。
付近を探してみたが、これだけだった。コロニーも見つからず。しかし、猪名川にシベリアカタアリがいるのがわかったのは大きな収穫だった。
そうして、額に若干の汗を書いて竹をぱきぱき割って行くとようやくウメマツオオアリノ大きなコロニーが出た。このコロニー、最初サテライトかと思ったが複数の節に住んでいるようで、割っても割ってもわらわら出てくる。こういうパターンは女王がいるな・・と思っていたら、出た。

腹部が大きい。以前のルリアリもそうだったが野外で採集したら時々こういう腹部の大きい女王様に出会うことがある。それが持ち帰ったら縮小してるのだ。
採集して帰路についた。

帰って入れ物がないので壊滅寸前だったヤマヨツさんをリリースしてそこに入ってもらった。
これでウメマツオオアリは3コロニーになった。
4月19日 猪名川。空気が乾燥気味なのであまり期待していなかったが、9日より少し規模の大きい飛行に遭遇できた。以下に写真を並べ立ててみる。

出発前、働きアリがオスを励ますような仕草をしていた。

2時過ぎあたりからこういう光景が見られた。

草によじ登る新女王。

オスと新女王。

奥にいる働きアリが見送るように葉っぱの上に登ってきていた。

巣の周囲の様子。下の方が賑やかしいのがお分かり頂けるだろうか。

オスのアップ。身づくろいをしているような感じだ。

オス2匹。

手に止まったクロナガのオスアリ。

この写真は上のものとは別コロニー。上のコロニーより30分ほど遅れてパラパラと飛行を始めた。

草間から飛び立つ機会をうかがうオス。

また別の個体が草を上っていた。

分かりづらい写真になってしまったが、羽のついたメスが引き込み行動?されていた。

さて、「アリ柱」も9日よりは規模が大きかったが、例年観察している大コロニーは上の方の写真なのだが、有翅個体の数が異常に少ない。
下の写真数枚のコロニーも飛び立った個体は10匹くらいだった。
先週、水曜日は観察にいけなかったが、温度は上がった物の北風が吹いていた日だった。
まだ本格飛行には至っていないと見ているが、観察にいけなかったときに飛んでいる可能性がある。
もう少し飛行は続くだろうから「本番」がまだなのか、あるいは終わったのかを見極めたい。
こんな具合なので、今日も採集個体は0だった。
しかし、石をひっくり返したらトビシワのコロニーがあってそこにアリツカコオロギや例のクモがいた。クモにしか興味がなかったので4匹採集したが帰ってみてみたら2匹死んでいた。
若いと思われる色が淡くやや小さな個体と成体の雌と思われるお腹が大きく丸っこい個体が生き残った。クモはまたいるだろうからもう2匹ほど採集したい。写真を写したが見事にボケてしまったので明日以降、撮影にリトライする予定。

最後は少し色が変になったが肉団子を作っているフタモンアシナガバチ。
4月20日 トビシワの巣にいたクモ。
昨日は見事にピンボケで使い物にならない写真ばかりだったが今日は1枚だけ少しましなもの。

このクモ、不思議だ。やはりちょこちょこと前脚でトビシワの体を触っている。しかしその脚先を口器に持っていかない。どうやって栄養を得ているのか本当に分からない。
しかし、こういう未知のものがこんな身近に転がっているあたり、アリの世界の奥深さと楽しさをまた垣間見てるんだなぁと思ったりもする。
4月21日 オオアリ特集。
ミカドオオアリ。

最近、繭が急増している。大きさ的に見ても、たぶん働きアリが生まれてくるだろう。ミミズを2ブロック与えている。

ムネアカ。卵から小さな幼虫が孵化を始めた。それに伴い、以前は放置だったミミズをがっつくようになっている。今はミミズを半ブロック与えているが、翌日には跡形もないので増量を検討中。

繭と大型働きアリの頭部分。大型働きアリって腹部がとても美しい。

大型働きアリ。貯蔵役なのか、腹部が大きい個体が多い。

ヨツボシオオアリの繭。卵からも幼虫が孵化を始めた。この分だと今年はW20くらいが目標かな?
4月22日 クサアリモドキ。順調に蛹が増えている。
裸蛹は数は少ないが、ちゃんと存在している。

繭。これはごく一部で大体現時点で50ほどありそうだ。

さて、クサアリモドキの繭以外の幼若個体。これはどうなのかというと数はそれほど多くないが、幼虫が見られる。ただ、孵化したての幼虫はほとんど見当たらない(若干はいる)。逆算したらこのころに卵を食べていたのではないかと推察できる。
そして卵だが、卵塊は大きさはあまり変わらないと思う。「と思う」と書いたのはどうも石膏の部分と女王の部分に分けて置いてるようなのだ。女王はチューブにこもっている。よほど居心地がいいのだろう、攪乱しても出てこなくなった。しかし腹部は大きく(パンパンではないけれど)、腹部にこの前卵が2,3個付着していたので産んでいないわけではないようで、一安心。
個人的な直観だが、クサアリモドキのワーカーが羽化して個体数が増えたら産卵モードに入るような気はしている。
4月23日 クシケアリ。なんとこの時期に羽アリが誕生した。

少しぼけているが腹部が大きいのでメスアリのようだ。

正面から。
羽アリは4匹いて、すべてメスだ。トビシワの例を見たらこういう時期外れのメスアリは羽を落としたあとしばらくして殺されていたと思うが、どうだろうか。しかしオスがいないのが変だ。
この辺も以前の季節はずれのメスを産んでいたトビシワと共通項がある。

コロニーの様子。中程度の大きさの幼虫がたくさんいる。卵がやや少ないが、まさかもう越冬モードに入る・・なんてことないですよね?
羽アリがなぜ誕生したのかよく分からない。恒温機の温度は1℃あげたがそれは羽アリの蛹を見つけてからだ。それまで温度は23℃のままだった。不思議だ。
4月24日 ルリアリ。女王はいたって元気で腹部の膨張が凄い。

光加減でいまいちな感じになってしまい、申し訳ないが、シロアリ女王並みに腹部が膨れた。

産卵量も凄く、5ミリくらいのボール状の卵塊が2つ。いったいどれくらいの卵なんだろう・・

コロニーの様子。なぜか黄色っぽい幼虫がいるがこれはなんだろうか?こういう幼虫が多いのでコロニー全体がオレンジがかって見える。

蜜を飲んでる働きアリ・・なのだが、拡大したらよく分からない写真になってしまった。

大体コロニーの全体を写してみた。平面的に見たら大した数ではないかと思われるかもしれないが、幼虫が立体的にたくさんいて、働きアリもその間に埋まってる・・てな感じで少なくとも100はいるだろう。正確な数はちょこまかして動く上に小さいので数える気になれない・・

巨大幼虫。メスの羽アリになるのだろうか。

最後、幼虫の世話をする働きアリ。
肉餌はミミズをふやかしたものを与えているが乾燥気味のが好みなのか、湿って間は齧らない。乾燥してきたらせっつくのだ。
このアリの肉餌の嗜好は少し注意しなくてはならないかもしれない。
今のところ巣部屋に大人しくこもっていて脱走も皆無。
飼育はしやすい。ただし密閉できる容器を用意できたらの話だが。女王のボンレス具合は見ていて気持ちがいい。
4月25日 クロオオアリ。産卵数が徐々に増えてきている。卵は真っ白。今まで世話をさぼり気味だったので増えていないが今年は増やしたい。


話は変わってクサアリモドキ。幼虫はそれほど多くない。しかも死んでいる個体もいるようで死骸を食べてる幼虫もいる。しかしそれほど深刻な事態ではないと見ている。現に繭は一時期ほどの急増加ではないにせよ、ティッシュに絡まっている幼虫は毎日のように見かける。
このコロニー、ティッシュを放り込んで劇的によくなったように思う。
ティッシュを繭の足がかかりにしたり、繊維状にしたティッシュを巣部屋のようにドーム型に組み立てているときもある。
クサアリは共生菌がいるという。以前、石膏だけの時は繭作りに失敗してばかりだったのに、ティッシュを入れてからコロニーの様子が安定したように思えてならない。
クサアリ飼育はこの例だけしか知らないので他の方のご意見も頂戴したいところだが、ケアリ寄生種飼育には木材断片もしくは紙のようなものが必要なのではないだろうか。
ふと、そんなことを考えていた。ご意見募集します。是非議論しましょう。
4月26日 ルリアリにミールワームを与えた。
というのも、ミミズだと食いが悪いうえに幼虫が死亡しているらしくそれを食べているような仕草が見受けられたので肉餌の変更を余儀なくされたのだ。

呆然。与えてすぐに、切断面に首を突っ込んで食べている。

少し拡大。
ルリアリは昆虫ゼリーはよく食べていたが、やはり他のアリ同様肉餌を必要としていたようだ。
その肉餌はなぜかミミズではなくミールワームであった。
女王は相変わらずすさまじく産卵していて腹部も他のアリではなかなか見られないくらい膨張している。
・・・なんだか怖くなってきた(苦笑)
4月27日 ムネアカオオアリでは羽化が始まった。

一昨日くらいから繭の抜け殻は確認していたが羽化を確認できなかったのだ。見ての通り、色が淡い。

クロナガアリでは幼虫が孵化している。温度が高い時期、卵ばかりだったが、今では卵の方が少ない。不鮮明だがコロニーの写真を一枚あげておく。

卵が写っている。産卵はされているようだ。幼虫が多いというのを写したかったが、隅の写りにくい場所に群れていたのでこれで勘弁いただきたい。
4月28日 ウメマツオオアリ。今年は2コロニー採集したが最初に採集した方はいたって順調で卵、幼虫がたくさんいる。

卵や幼虫を世話する働きアリ。これはごく一部を切り取ったもので全体では卵、幼虫が少なくとも150はいると思う。


こちらは後で採集したコロニー。このコロニーの女王は常に腹部が大きい。産卵も順調で発展が期待できる。こちらは採集した時の幼虫が少なく、50ほどだろうか。だいぶ大きくなっている。1個体だけだが繭もできた。
4月29日 祝日で天気もいい。ただ、温度がそれほど高くないので枚岡公園へぶらりと出かけた。
まず、梅林近くでオオズアリを探したが、どこかに引っ越したのかかなり密度が低い。
一昨年採集した場所で石をひっくり返したが出るのはアメイロアリばかりだった。
梅林のクロナガアリの様子を見に行ったが巣口は見当たらなかった。
花にアオスジアゲハが来ていて、蜜を吸っていた。

ふと、隣を見ると見慣れないチョウが止まっている。種類がおわかりだろうか?

1枚目。

2枚目。飛んでいるジャノメチョウが写っちゃってますね。

3枚目。手前の草、邪魔・・
答え。結構珍しいらしいアオバセセリ。小学校の時、図鑑で見たことはあったが実物を見たのは初めてだった。後翅しか写っていないが名前の通り青いという前翅は羽を開いてくれなかったので見ることはできなかった。しかしこんな種類が大阪の中心部から電車で1時間以内の場所にいるとは驚嘆に値するのではないだろうか。

3年前、オオズアリを採集したポイントへ。コンクリート片をひっくり返すが何も出なかった。このポイントのそばには大きな樹木が生えているがその樹木の地上ほんの50センチほどの高さのところに洞ができていてクサアリが住み着いていた。去年はいなかったぞ・・

幹を歩くクサアリ。

もう1枚。

クサアリの住む洞。働きアリとの大きさを比べるとそこそこ大きいことが分かる。

クロヤマアリがガの幼虫の死骸だろうか、何か干からびたものを運んでいた。

オオスズメバチの女王が巣材集めだろうか、木の根元でちょこちょこと何かしていた。

神社わきで木の腐った部分をはぐとヒメアリがいた。

帰り道、路傍の石をひっくり返していたら落ち葉の間からこれが出た。
?昨日までとても寒かったので今日飛んだのだろうか。しかしなぜ落ち葉の中から?しかも周りにはミカドの巣は確認していない場所だ。フライング個体濃厚だが、不思議な気持ちにさせられた。

採集はしなかった。アメイロアリで1コロニー、大きなお腹をした女王がいるコロニーが出たが働きアリが思うように採集できず、リリースした。
涼しいという割には日向で歩くと暑かった。猪名川、飛んでないよね・・?
4月30日 ルリアリの例があったので昨日、数コロニーにミールワームを与えてみた。
そうしたらほぼ全てのコロニーで受け入れられていた。
中でもアシナガアリは最近ミミズを食べなくなっていた大コロニーが必死に襲って食べたのには驚いた。
もう一つ、クサアリモドキのコロニーでも刻んだものが今日見たら中身が空っぽ。
ミミズは万能餌に近いと思っているが、たまにはローテーションを組むのもいいんだなぁと思った。

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