2008年10月の観察日記

10月1日 クサアリモドキの女王も腹部が縮んできている。もう白い部分が見えないほどになってきた。
産卵もされていないようだが、孵化は続いていて、小さな幼虫が増えている。
しかしどうも2齢くらいでそこから先のステージが見られない。
最初の孵化から時間がたっているのに、成長しないということは越冬モードに入った可能性が高いのではないだろうか。
だとしたら初子は来年か・・
10月2日 各種のアリたちが店じまいの様相を濃くしている中、依然好調を保っているアリがいる。
トビイロシワアリだ。
幼虫もたくさんいて越冬の様相を全く見せない。
このコロニーは再々書いているように去年の冬、温めたためか今年の夏ころまで一向に構成員が増えなかった。
それが真夏のころから急に好調になってきて幼虫たくさんの状態が続いている。
こうなってくると温めたくなる誘惑に駆られるが、去年の失敗は繰り返しませんよ・・
10月3日 実にうれしく、かつ予想外のことが起こっていた。
モリシタケアリの幼虫が孵化したのだ。
まだ5匹ほどと数は少ないが、来季へと大いに希望を持たせる展開になっている。
卵の塊も一時期ほどの大きさはないが、女王の腹部はクサアリモドキほど縮んでいない。
卵は大体50以上100未満というところだろうか。
せめてこれが全部幼虫になってくれたら・・・
しかし長かった。採集から2ヶ月ちょっと。こんなに卵期間が長いとは・・
10月5日 アシナガアリの今年育成のコロニーでは触角が欠損している女王以外のところでは蛹ができている。
面白いのはQ1のところでは蛹が3つほどしかないのに、Q2のところでは色づいた蛹が10個ほどある。
やはり、多雌のほうがスタートダッシュはかけられるようだ。
しかし喧嘩をしていたことを考えるとこの事例は特殊なんだろうか?
正直、実験してみてますますわからなくなった。
働きアリが生まれた後、この女王2匹の関係がどうなるか注視していきたいと思う。
10月7日 アシナガアリのQ2のコロニーのところで、働きアリが4匹生まれていた。
Q1のほうは蛹が3,4個あるだけだが、Q2のほうは蛹が8個くらいある。

さて、寄生性種ケアリの2種類も卵が目に見えて減った。
モリシタケアリは幼虫になっていると思われるが、食われているのも多いと思われる。
アシナガアリの羽化が一段落したら恒温機の温度を下げようと思っている。
そうして今年はクロナガアリ以外は店じまいとなる予定だ。
10月9日 去年に倣い、10月に入ってから餌替えの頻度を2日に1回にした。ここが大体2回に1回のペースで更新されているのもそのためだ。
さて、新女王から育成のアシナガアリで羽化が続いているもののそれも終わり次第、恒温機の温度を下げようかと思っている。
そうして12月以降の真冬は機械自体の電源を切って(最低10℃までしか設定できないので)寒い時期、部屋を開け放ち、恒温機の扉も開け放ち、寒さを体感させる。
そして3月になれば一気に温度をあげていこうかというのが今年の計画だ。
クロナガアリだけは温めるが大体計画はこんな感じである。
10月11日 トビイロシワアリが種子をかじっている写真を以前載せたことがあった。
それ以来、種子は与えていないのだが、今日見てみたら幼虫が種子を齧っているのが確認できた。
トビイロシワアリと草の種。
まさか種を食べるとは思わなかったので、この美味しそうに齧っている様子に少々戸惑う。
本当にこの種類は食べ物の守備範囲が広い。
10月14日 ほぼすべてのアリで越冬モードに移行したのに伴い、恒温機の温度を3℃下げて、20℃にした。
モリシタケアリもクサアリモドキも女王の腹部は小さくなっている。
産卵が止まったのを示している。

アシナガアリQ1のコロニーで異変が起こった。
なにも条件を変えていないのに、急に蛹や幼虫を喰いだしたのだ。
もう幼虫が1匹ほどしかいない・・
Q2のほうは順調だ。もうそろそろ入れ物を変えてやらなくてはならない。
10月20日 クサアリモドキを久々に見て驚いた。
越冬幼虫だがこれがべらぼうに多い。少なく見て150以上、多く見積もったら200はいるのではないだろうか。
今、恒温機は秋モードにしていて外気温より3℃ほど低い20℃に設定している。
餌は食べているようで働きアリの腹部は大きいが、シワクシケアリとアシナガアリで若干産卵がある以外は特に動きがなくなった。
クサアリモドキとモリシタさんは年内に初子が見たかったのだが、越年決定の見込み。
半年か・・長いなぁ。
10月23日 るぱんさんから昨日、トゲアリ女王が届いた。
今回は寄生させるオオアリコロニーがいくつかあるので実験を行った。

1.クロオオアリ3年目W約15のコロニー
このコロニー、一向に働きアリが増えない。今年の子育ても終了したようなので、トゲアリ女王2匹をえさ場に導入。
そうしたらえさ場をうろうろするだけで一向に巣部屋に入っていかない。そのうち攻撃を受けるものが出る始末。働きアリが小型なので致命傷にはならず、かみついている個体を除去したら元気になったが、これではだめだと思い、においつけをさせることにした。
チューブに働きアリ1匹を入れてしばらく様子を見ていたら馬乗りが見られた。
その後攻撃は見られなくなったので、働きアリをもう少し増強してからクロオオアリに導入しようと思う。

2.ムネアカオオアリ大コロニーへの導入
オークションで落札したものなので観察日記には出ていないが私はムネアカのW200ほどのコロニーがいる。これまた温めたせいか少しおかしく、越冬前なのに幼若個体がほとんどいない。そこで導入を決意。
巣部屋にいきなり入れたらメジャーワーカーにかみつかれていたので即救出。
その後例によってチューブ法なのだが、チューブの在庫の関係上やや大きなチューブなので今のところ接触は見られない。しかしこのコロニーは大きいのでもぐりこめたら成功の可能性が一番大きいと思われる。

3.ミカドオオアリコロニーへの導入
1月に大阪南部で採集したミカドオオアリコロニーへ導入を行った。
このコロニーはミカドオオアリの多分に漏れず、増えなかった。
そこで女王を取り出して狭い容器(直径4センチほど)で同居させた。
しかし、トゲアリの攻撃は全く見られなかった。
トゲアリはミカドオオアリの女王を攻撃するのだろうか?
とにかく攻撃しないので女王を元に戻してしばらくしてみたら・・
ミカドオオアリの女王、八つ裂きにされてました・・
隔離していた時間は20分ほどなのに、何が悪かったのだろう。
働きアリは50ほどいるのでこれらをトゲアリに供することにして小型働きアリから匂いつけ開始。早速執拗に舐めまわしていていた。現在働きアリ2匹。徐々に増やしていきたい。

最後に、るぱんさん、今年も貴重なトゲアリ、ありがとうございます!!
10月26日 トゲアリを導入するため、ムネアカオオアリの活性を下げる必要が出てきた。
他のアリも越冬状態に入っているので、もう恒温機の温度を下げても大丈夫だろうといういう判断で、設定温度を一気に最下限の10℃に設定した。
実際は今日の庫内温度は14℃が最低気温なのだが、もうすぐ10℃になるだろう。
厳冬期は電気を切って扉を開け放ち、冬の寒さにたっぷり触れさせる。
そうした上でトゲアリ導入・・と目論む。

クロオオアリに入れたトゲアリ。W5ほどを手なずけたのでコロニーに入れたら攻撃されてる・・
致命傷ではないが、一向にクロオオアリ女王のもとに行かない。
他の人の記述では割とすんなり寄主女王のもとに行ったとあるのにこの差はなんだろう?
10月27日 クロオオアリに入れたトゲアリだが、左の触角が切られてしまった。
むぅー、やはり冬になって導入するしかなさそうだ・・

今日は割と温度が低く、部屋の恒温機の庫内温度が12℃を示している。
この分ではもう1週間もしたら設定最下限の10℃くらいになるだろう。

さて、いよいよ書くことがなくなってきた。
真冬はクロナガアリ以外は冷却予定なので、クロナガアリ中心の記述になるだろう。
ここも今でも十分不定期化しているがさらに不定期更新化が予想される。

今冬も大阪南部に出かけたい。ミカドオオアリの女王が八つ裂きにされたこととチクシトゲアリがやはり諦めきれないのだ・・
最速予定では11月23日辺りを考えているが、行くことはたぶん行くのだが、時期は冬のいつか、としか言いようがない。
トップページの更新履歴はここの更新履歴に対応しているのでここが更新されたら日付も変わるはずだ。
10月28日 トゲアリだが、クロオオアリに入れたものは無残にも頭を落とされてしまった。
ムネアカオオアリ用に保存していた女王2匹も乾燥したわけでもないのになぜか死んでしまい、生きているのはミカドオオアリとチューブに入れてある女王のみである。
トゲアリが女王に向かっていく条件ってあるのだろうか?

昨日、久々に恒温機を開けて中身を見た。
その時、モリシタケアリで面白いものが見られた。
女王を働きアリが団子になって取り巻いているのだ。
女王は全く見えない。
以前土生さんがクサアリ団子での越冬状態を見たと仰っていたことがあったが、これかな?とおもった。ケアリの働きアリ数が少ないので団子の大きさも2センチほどだったが、面白いものが見られた。
10月29日 伊那で採集したミカドオオアリだが、温度を下げたら一つの巣部屋にこもっていたものが3つに分かれた。
一つは従来の巣部屋にいる。
もう一つは面白いことに石膏を削りまくってゴミ捨て場化していた第二巣部屋の隅っこに。
最後の一つは餌場に出てきている。
恒温機の温度は11℃を示していたが、室内の温湿度計を見たら10℃きっかりであった。
ほとんどのアリたちに動きは見られず、様子を見るために恒温機から出したら動き回るという具合である。

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