2007年の観察日記(3月〜)
3月1日 チクシトゲアリ、産卵が続いている。女王の腹部もボンレスに近いくらい膨らんでいて産卵をどしどししてくれそうだ。

こちらはチクシトゲアリ単独女王。与えた幼虫の数が多すぎたのだろうか、腹部が急にしぼんだのであわてて例の「バタカーの人工飼料」で栄養補給。

一心不乱になめているのだが、ここで思ったこと。
思ったより腹部が小さいが、単独で子育てできるのかなぁ?
論文では多雌による巣の創設もあるらしいのだが・・
3月2日 チクシトゲアリには大きな幼虫がだいぶ見受けられるようになってきたが、一向に蛹にならない。去年の観察日記では3月下旬に蛹になったとあった。去年は加温していたか記憶にないのでよくわからないが、加温していたとしたら今年もあと3週間はこの状態が続くということなんだろうか。
3月3日 ムネアカオオアリ、クロオオアリとも産卵が落ち着いてるようにみえる。
産んだ分を食べて産卵しているから見掛けが変わらないのか、最初産んでその後産卵がストップしてるのかは微妙だが、クロオオアリの卵の色が変わったということを考えたら産んだのを食べてるのではないかと思う。
しかし、コオロギを入れてもそ知らぬ顔。
温度が低いので肉への活性が低いだけなのだろうか?
3月4日 大阪府大に観察に行ってきた。目的はクロヤマアリの巣口に植木鉢をかぶせることと活動状況の観察である。
圃場を歩いていたら、地面に黒いシートをかぶせている場所があった。

それをめくると、トビイロシワアリのコロニーが暖をとっていて、女王やアリツカコオロギもいた。写真は採集した後の状況。それでもこれだけの働きアリが残っていたのだ。

女王4匹、働きアリ約50匹、アリツカコオロギ数匹を採集した。
今日はとても暖かく、モンシロチョウ、モンキチョウ、キチョウが飛んでいた。
ナナホシテントウもよく見かけたが、いい写真が撮れなかった。
下はカメムシの一種。
カメムシは疎いのでどういう種類かまではよくわからなかったが、日向ぼっこ姿が気持ちよさそうだった。

ルリアリも各所で見受けたのだが、巣がどこにあるのか全然わからなかった。
クロヤマアリはごく一部で活動してるのを見かけただけで巣口は発見できなかった。
ただ、去年仕掛けた植木鉢が奇跡的に残っていて(上部の蓋となる石はなくなっていたが)それをあけたら塚状に盛り上げられた土からクロヤマアリがわらわらと出てきた。
しかし、女王はおらず、働きアリの数もそれほどではなかった。
大阪府立大学ではクロヤマアリはもう少し、という印象だった。
最後に、お口直しという意味でオオイヌノフグリ(・・と思う)の写真を載せておく。
3月5日 チクシトゲアリに最近色のくすんだ幼虫が増えてきている。
くすんだ茶色というべきだろうか、透明感がない。
蛹に入る前の休眠に入っているのだろうか?
3月6日 トビイロシワアリ。日曜日に大阪府大で採集してきたもの。
働きアリは約5、60ほど。アリツカコオロギを6匹ほど採集したが、入れ替えのどさくさで3匹ほど死んだようで現在は3匹。

「バタカーの人工飼料」に群がるトビイロシワアリの働きアリ。

卵も2つ産んでいるのを確認したし、温度の上昇とともにうじゃうじゃになってほしいものだ。
3月7日 チクシトゲアリの幼虫の色艶が相変わらず悪い。kuroyagiさんから栄養状態が悪いのでは?という指摘を受けたのだが、コオロギってよくないのだろうか?
しばらくコオロギをやめてミールワーム(粉ミルクを食べている)にしてみようか・・
「バタカーの人工飼料」とコオロギを導入したのがほぼ同時期なので、どちらが問題があるのか、正直よくわからないのだが・・
3月8日 昨日、脱皮したての白いミールワームをコロニー内に放り込んだ。

早速襲っていて、今日見てみたら跡形もなかった。
もう一匹、表皮の硬い普通のミールワームも入れたがきれいに食べられていた。
幼虫の色艶は・・?若干ましになったような・・?
3月9日 チクシトゲアリコロニーに脱皮したての白いミールワームを入れたら、まさに「狩り」が見られる。集団で大あごで噛み付いて蟻酸をかけたりする光景も見られる。
表皮が柔らかいから、すべて食べられてごみも出ない。
話は変わるが、明日、大阪は16℃まで温度が上がるそうだ。しかし天気が晴れのち雨。
ここ数日寒い日が続いたのでまだクロヤマは出ていないと思い観察は来週にしようと思った。
3月10日 少し肌寒いようにも感じたが、天気もいいし、することもないので大阪府大のトラップを見に行った。着いてみてみたら・・がっくし、蓋の石がずれていた。当然女王はおらず、再度仕掛けてきた。
歩くともう一つ去年仕掛けたトラップがあった。あけたらクロヤマアリのワーカーがわらわらと出たがやはり女王はおらず。そうして植木鉢上部を見たら・・なんと世間をお騒がせのセアカゴケグモがいた。

大阪府大にも生息していたのだ。怖かったので、すんなり逃がしておいた。
また、木の表皮をはがしてみたらルリアリのコロニーがあった。

女王はいなかったのでそのままにしてきたが、ルリアリの巣を初めて見た。あんなところに巣を作るのね・・
ここで友達ののび氏が合流。鉢が峰にむかった。途中、手ごろな竹林があったので車を止めてもらって探査したが見事に何もなかった。
鉢が峰に行き、キャンプ場の敷地を通り過ぎ、道なき道の斜面を下りていくと枯れ竹がそこそこ転がっているところがあったので竹割り開始。
するとまったく素人ののび氏が声を。見たら大きなアリのコロニーだ。
女王がいるのを確認して吸虫管で吸うのだが、蟻酸がきつい。苦笑するのび氏を横目に9割は吸い込んだ。
そうしていたらまたのび氏が声を。同種のアリのコロニーだ。今度は竹をタッパーの底に押し付けてとんとんとしてコロニー回収。
そうして回収したアリが以下のアリである。



最初は念願のウメマツオオアリかと思い、狂喜したが、時間がたってよくよく見てみたら脱走癖で悪名高いイトウさんのような・・
皆さん、どう思われますか?
その後、裏から回るという意味で鉢が峰寺のほうから行くとあっさり竹林に入る道があった。そこでごく少数のサテライトだったがチクシトゲアリのワーカーが見られた。
この辺でもう少し探索したらイトウ以外にも何か出るかもしれない。
そうしてホクホクとして帰宅したが蓋を開けてみたら蟻酸のせいだろうか、一コロニーは女王も死んで壊滅状態であったが、幸いにももう一コロニーは平穏無事であった。
イトウ・・脱走しませんように・・タッパーで飼育することにしたが、大丈夫かなぁ?
3月12日 トビイロシワアリ、暖めていないせいだろうか、ぜんぜん産卵しない。
女王も4匹のうち2匹は居を構えたような感じなのだが、あとの2匹がどうも落ち着かない。
土曜日に採集してきたイトウさんだが、一緒に紛れ込んだ竹の破片に寄り添うように固まっている。ベビーパウダーにまみれて死んでしまったかと思った幼虫も今日見たらきれいになってまとめられていた。これで脱走癖さえなかったらなぁ・・
3月13日 昨日、傷んでいたバタカーの人工飼料からメイプルに切り替えて与えてみた。
一晩たってみてあきれた。
どのコロニーもおなかパンパン。
下はクロオオアリの女王。メイプルのおかげで一晩で節がだいぶ伸びた。

お次はイトウさん。女王が働きアリ団子に埋もれてしまっているが、これと同じような塊が3つほどある。夏以降かなり増えそうな予感である。飼育しきれるか?
3月14日 チクシトゲアリに茶色い繭が一つできていた。

幼虫の色艶も一時期よりは少し改善したような感じだ。
イトウさん、温室に入れたらピタリ適温のかけかけてある壁面方向にびちゃっと・・
ベビーパウダーをまったくものにしない。
3月15日 今日はイトウさん。
コオロギに集まるイトウさんの働きアリ。腹部はほぼ食いつくし、残るのは顔と背中の殻の部分だけである。

次はメラミンスポンジの上に集合したイトウさんの働きアリ(の一部)。
こうやって見たら形態差というか大きさが結構違う。
3月16日 イトウさんを石膏巣に入れ替えた。しかし、石膏の乾燥は2日ではだめだったんだろう、結露がすごい。
その上、移し変えの際、冷却が足りず、アリが動き出したので余計な竹の破片までそのまま入ってしまい、現在竹の破片にもぐりこむようにいてしまっている。
当然女王の観察は不可能。うーん、地道に取り除くか・・しかし、蓋、開けられるかなぁ・・?
3月17日 イトウさんのチューブ、やはり穴を開けて埋め込まないとだめだ・・
小さいやつがチューブに入り込んでる・・
そこで石膏に穴を開けて埋め込んだ。
しかし2日しか乾燥させていなくて結露環境の石膏ってとても石膏とは呼べないくらい柔らかく、驚いてしまった。
クロオオアリで産卵されていた卵が孵った。一匹だけだが小さな幼虫が確認できた。しかし肉餌を食べない。こんなものなのだろうか?
3月18日 チクシトゲアリなのであるが、幼虫の色艶が戻ったと思ったら今度は卵が少ないことに気がついた。
考えうる可能性はどうもミールワームの栄養がたくさんの幼虫に行って女王まで行かなかったのではないか?というものだった。
そこで、投入するミールワームを1日1匹から2匹にしてみることにした。
また、チクシトゲアリに2つ目となる真っ白な繭ができていた。
3月19日 イトウさんの飼育容器。工具入れに石膏をしき、蓋にドリルで5ミリの穴を開け、給水用チューブをつないだもの。石膏面にも少し穴を開けてチューブを突っ込んでいる。

しかし、写真を見てもらえたらわかるように乾燥が十分でなかったので結露がひどい。
そのせいだろうか、乾燥した餌場にしてる箱(見づらいですが写真右上)に集結しつつある。
あの・・ここに集結されたら餌やりが果てなく困難になるんだけど・・
また吸って強制送還しかないかなぁ・・
どういう意味かよくわからないが、多くの働きアリが給水用チューブに抱きつくように群がっている。
どういう意味なんだろうか?
3月20日 チクシトゲアリの単独女王が死んだ。
育児放棄してからも卵も産むこともなく、死んでしまった。何が悪かったんだろうか。
とにかく冥福を祈る。
さて、クロオオアリとムネアカオオアリで幼虫が大きくなってきた。
不思議なことに気がつく。クロオオアリの幼虫は体内の内容物が黄色く見えるので刻んだミールワームをひそかに食べてるのかな?と思ってるのだが、ムネアカオオアリの幼虫は体内真っ白け。それなのに少しずつだが大きくなっている。女王の産んだ卵を食べてるんだろうか?
ムネアカオオアリにミールワームを与えても知らん顔。むぅ・・
3月21日 トビイロシワアリで卵を5個確認した。このコロニーは加温していないので、中々エンジンがかからなかったが、ようやく春が来た、というところだろうか。
下の写真はごちゃっと固まったイトウさん。今日は暖かかったので表面のアリが蠢いてはいたが塊が解体されることはなく、女王様も見ることはできなかった。いい加減動いてくれないと蓋を開けて餌をやるわけに行かないので、困るんだけど・・
3月22日 イトウオオアリの群れなのだが、表面は蠢くのだが、一向に餌を摂りに来たりという行動がない。そんなに動き回っていないので、体力の消費も少ないと考えるのだが・・
そのイトウさん、一部の働きアリが給水チューブに沿って石膏を掘り始めた。脱出されたら非常に困るので何とか対策を考えなくてはならない。
どなたかいい案をお持ちでないですか?他力本願で申し訳ないのだが、大募集!
3月23日 普段、いかに観察をボーっとしているかの証拠みたいな事例なのだが、チクシトゲアリ女王の左触覚の前部がなくなっていることが今日見ていたらわかった。しかしよく観察日記を見たら今月1日の観察日記で女王の写真を上げているのだが、そこでも確かに見えませんね・・
産卵も一時期ほどではないが続いているようだし、繭も増えているので支障はないのだろうけど、少し心配。
3月24日 イトウオオアリ、また餌場に集結を始めた。
この餌場、石膏をしいていないので乾燥してるのだが、それがいいのだろうか?
とにかく、巣部屋に行ってくれないとこれだけ集結されたら餌やりが非常に困難なので、また近いうちに巣部屋に戻して餌場を封鎖して数日、巣部屋に強制的に慣らさせようと思うのが、うまくいくだろうか?
21日に紹介したアリ団子、依然そのまま。しかし餌場に幼虫が少しいるから細いながらも行き来はあるらしい。
3月25日 イトウさんに昨日脱皮仕立ての柔らかいミールワームを与えた。
翌日見たら体の真ん中の部位を残すだけで両端は跡形もなくかじっていた。
すごい咀嚼力だ。
まぁ、与えたのが柔らかいミールワームだったので咀嚼の必要があまりなかったのかもしれないが。
3月26日 イトウさん、強制移住させた。餌場への道は封鎖。しかし餌場へのチューブにアリが入り込んで栓をガジガジしているという現状だ。
女王がいるであろう塊は変化がない。
当初の予想ではばらけて拡散すると想っていたのだが、こんなに団子になるとは予想外だ。
容器に匂いがなじむまで、という意味で封鎖はしばらく続ける。
3月27日 トビイロシワアリの卵が少しずつだが増えてきている。
働きアリが大あごで一杯一杯の大きさにまで卵塊が大きくなった。
前にも書いたがこのコロニーは常温飼育なので野外と同じサイクルなんだと思っている。
そのせいか、最近少しではあるがミールワームも食うようになった。
最初は蜜ばっかりだったのに・・
3月28日 数日前からチクシトゲアリにミールワーム1匹とコオロギ1匹を与えているのだが、どうもチクシトゲアリはコオロギのほうがお好みらしい。集り具合が全然違うし、翌日の食べ残しも全然違う。
コオロギのほうが柔らかい部分が多いということなんだろうけど、以前の幼虫の色艶が悪くなった事件からコオロギ一本に絞るのもためらわれる。
コオロギにしてから女王に行く肉分が多くなったのか産卵数が増えたように思う。
成長した幼虫がたくさんいるので、たぶん肉系はそっち優先で女王はおざなりだったのではないか?と思っている。
クロオオアリも小さなコオロギを入れたら翌日には腹部や柔らかいところを食べている。幼虫も成長しているのだが、卵がいまいち増えない。
3月29日 ムネアカオオアリの幼虫はコオロギを食べているのだろうか?
コオロギのそばに幼虫が置かれていて中身も少しだが色づいている。
よく見たら首もとの肉がかじられてるような・・
そのムネアカオオアリを常温飼育に戻した。今日、昼間暖房をつけていない状態で温室内が28℃まで上がり、暑いのが苦手といわれるムネアカには暑すぎるのではないか、産卵停止もそれと関係あるのではないかと考えたからだ。
しかし、ムネアカオオアリ(とそれに導入してるミカドワーカー)は肉をがっついてるところを見せて安心させてほしいものだ。
3月30日 ムネアカコロニーに昨日部屋を飛んでいた小さなガガンボを与えた。
これなら食べるだろうと期待していたのだが、まったく食べた形跡無し。
うーん・・幼虫がいるんだからもう少し肉を食べてくれないと幼虫食いしてしまいそうですごく怖い。
3月31日 大阪府大に行った。午前中が天気がよいとの予報だったので、午前中に出かけてみた。
下は例によって仕掛けたトラップの写真。巣口にスポッと言う感じではめ込み、上部の穴を石などでふさいだもの。

このトラップには女王はいなかったが、働きアリはそこそこ入っていた。
そこで別のトラップに移動。さかさまにしてタッパーへ、とんとんと鉢をたたくとアリが落ちた。ただ午前中ということもあるのだろう、「ぼとっ」というほどではなかった。ここもだめか・・と思いつつ、トラップふちの部分の地面を見たら女王が!あわてて吸虫管で回収した。
最初、なぜか女王の触角を噛んだり足を引っ張るような行動が見られて別コロニーか?と思い辺りを見たがこのコロニーしかなかったのでこのコロニーの女王なんだろうと思いしばらく様子を見たらどうもすべる床面で懸命に女王を移動させようとしていたようだった。
下はこうして採集した女王。帰って飼育容器に移して30分くらいで早速卵を一つ産んでいた。
すごい適応力・・