2007年1月のアリの観察日記

1月2日 明けましておめでとうございます。
マイペース更新ですが、今年もよろしくお願いします。
さて、現在、アリたちは越冬していて特に書くべきこともないのだが、いろんなところで書いているように目標を書いていこうと思う。
目標。それは普通種を普通に飼育できるようになる、ということだ。
去年は珍奇な種類を何種か飼育できる好機に恵まれた。
しかし、結果手を広げすぎて年末には惨憺たる有様だった。
そこで、重要攻略種を設定して、その種類を重点的に飼育してみる、という方針にしたい。
重要攻略種は4種。トビイロケアリ、トビイロシワアリ、クロナガアリ、クサアリモドキである。
トビイロケアリは実は相性がすごく悪く、女王から飼育してもワーカーが今まで10を越えるまで飼育できたためしがない。まぁ、目をかけるのが雑で気がついたらスポンジが乾燥していたという笑えない失敗もあるのだが、初期コロニーはなかなかこちらの上げた餌を食べてくれないという印象を持っている。初期コロニーのワーカーは数が少なく、小さいのも一因かもしれない。
この種は7月に枚岡に行けば結構女王が拾えるということがわかったので、時間を見つけて数を採集してみたい。女王にも子育てが得意なやつとそうでないのがいるし。
次はトビイロシワアリ。
去年は8月に長野に行っている間に石膏に給水し忘れたため帰ってきたら実にあっさりと全滅というやってはならない級の大失敗をしたのだが、この種類は比較的容易に羽アリ生産をするようなので(巣内交尾をしていた可能性もある)これを1コロニー飼育してみたい。
この種類は家の横の小道で4月ころに小さな植木鉢を仕掛けておいたら簡単にコロニーが採集できるので、最初からうじゃうじゃでスタートできるのが嬉しい。
次、クロナガアリ。去年はまめに目をかけたほうだと思うのだが、2コロニーとも全然増えない、わずかのワーカーはなぜか冬前に全滅という惨憺たる出来だった。
この種はご存知のように植物の種子で飼育できるし、種子を巣内に溜め込むので比較的容易なほうだと思うのだが・・私の飼育下手さを象徴してしまっているので、今年は何とか冬までに持たせてやりたい。ただ、今年は飛行時に暇ができるか、すなわち女王を拾えるかが最大の難関だが・・
最後、クサアリモドキ。去年はアメイロケアリ、モリシタケアリという2種を縁があって飼育できた。それまで私は寄生種は寄主ワーカーがなかなか集められないので(近所でもトビケはいるのだが、巣がなかなか見つからない)敬遠していたのだが、短期間とはいえ飼育したら、とても面白い。すっかり魅了され、手を出すことを決意した。
この種は7月の枚岡でトビケ女王同様わんさか手に入るので、そのうち2、3匹を拾って増やしてみたい。
ただ、問題があってクサアリ系は飼育部屋に換気が必要という人とそうでないという人がいて意見が分かれている。どうなのだろうか。私は初期の間は密閉タッパーで飼育しようと思っているのだが・・ご意見があればお願いしたい。
新年早々、長々と書いてしまったが、去年のようにアリの飛行に遭遇できることを祈りながら・・
(余談だが去年の4月の観察日記のクロナガアリのメスアリが草から飛び立つ写真は神が降りたと思っている。というのも私のカメラは日光が当たる環境下だと、撮影した写真の確認ができないのだ、光で見えなくなるから。めくら撃ちのように撮影して偶然ピントが完璧な写真が撮れたのだ。今年もあのようなものが撮れるかな?)
1月20日 本来はこの日は九州に旅行に行く予定だったのだが、諸般の事情で行けなくなり、予想外に時間とお金に余裕ができたので、足を伸ばして河内長野の滝畑に行った。
バスを降りたらすぐにチクシトゲアリの生息地だ。しかし、記憶で思っていた以上に範囲が狭くイタドリが見られた部分は道沿いの100メートルほどではなかっただろうか。
とにかく、目に付いたイタドリから折り始めた。
直径1センチほどの細いイタドリを折ると、チクシトゲアリの女王が出た。
ほかに働きアリや幼虫がいないかを探したが、この1匹だけだった。
そうしているとやや太いイタドリを見つけた。

私はタバコを吸わないし、硬貨の持ち合わせもなかったので、1000円札になってしまったが、太さは約2センチほど。結構乾燥気味だった。3本あるが、元は1本のものを割って写真にしてるので3本になっている。
割るとビンゴ!チクシトゲアリの働きアリ5,6匹が出てきた。
サテライトかなぁと思いつつ、割ったところを下にして容器にとんとんとあけてみたら、割っていない部分にコロニー本体があったようでどさっという感じで働きアリと幼虫が落ちてきた。
一通り回収して容器内をくまなく見たら女王もいた。今年は自力でコロニー発見できた。
下は採集したチクシトゲアリ。大体150ほどの構成員数のようだ。

周囲を見てみたら、土に半分埋まって湿気てやわらかくなっているイタドリが見つかった。

今回は大きさの比較のものを置き忘れたがさっきのチクシトゲアリが出たイタドリとほぼ同じ、2センチほどの太さだった。
割ってみたら、ミカドオオアリのサテライトが出た。

もう1枚。

周囲のイタドリはあらかた割ってしまったので、短時間の滞在だったが、生息地を後にした。
今回、チクシトゲアリとミカドオオアリの生息するイタドリを3本発見したわけだが、どれも直径2センチほどだった。ノギスなり定規なり、長さを測れるものを持参しなかったのが悔やまれる。
単独で採集したチクシトゲアリ女王はコロニー採集したチクシトゲアリから幼虫を数匹養子に出すことで春以降の観察を行うことにした。
1月22日 100均の小物入れの側面にチューブで穴を開け、餌場とした小さな小物入れと連結した。
巣部屋は試験管を使った(下写真)。

昨日、試験管の入った箱の部分にチクシトゲアリのコロニーを放り込んだ。
昨日は室温が18℃くらいまで上がったためだろう、今日観察してみたら大半が巣部屋の試験管に引越ししていた(下写真)。
1月23日 温室であるが、一昨日18℃まで上がっていたのは、単純にハロゲンヒーターのためであることがわかった。今朝、温度を見たら10℃ほど。うーん、もっと気密性を良くしないとなぁ。
温室は、スラダケさんのアイデアを拝借して、ピタリ適温を棚の上部に貼り付け、ダンボールで蓋をするというもの。どうもそのダンボールが折れ曲がっていたために起こった事態のようだ。
1月24日 ピタリ適温とダンボールで作った「温室」なのだが、温度計を見てみたら最低でも12℃くらいより下にはならないようだ。
上は室温が上がるとそれに伴い、18℃くらいまでに上がる。
最低温度12℃というのはどうなんだろう?産卵とか幼虫が成長するとか、何らかの動きの引き金になりえるのだろうか?
1月25日 クロオオアリとムネアカオオアリも「温室」にいれている。12℃くらいの室温だとじっと固まっているが温度が上がってきたら少しの振動で動き回る。
しかし、働きアリ、女王アリともに腹部がそんなに大きくない。
メイプルの水割りを入れているのだが、飲んでいるのだろうか?
1月26日 ピタリ適温、小型のものでは温度が上がらないので、大きなものに変えてみた。
夜、部屋に火の気がない状態で見てみたら18℃。いい感じだ。
1月27日 ややや?クロオオアリ女王の腹部が少し大きくなっている。
ボンレスとは言わないが、明らかに節が伸びている。
ムネアカオオアリではそんなことは見られない。
2種の間で温度への感受性が違うということなのだろうか?
1月28日 チクシトゲアリがチューブのほうにも多くなってきた。
チューブは穴を開けられるかもしれないので、できたら試験管に収まっていてもらいたいのだが、そんな人間様の思惑なぞどこ吹く風。
こうなったらチューブに穴を開けられないことを祈るしかない。
1月30日 温室内温度は依然18℃から20℃を保っている。
こうなればクロオオアリでわずかにいる幼虫も成長をはじめてもよさそうなのだが、どういう条件になれば成長をはじめるのだろうか。
1月31日 ムネアカオオアリに若齢の小さな幼虫が1匹いるのを見つけた。
どうやらメラミンスポンジが保護色になっていて見落としていたらしい。
しかし今気がつくということは少し大きくなったからなのか、単純な見落としなのか、少々迷うところだ。

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